「新アジェンダ連合」声明(全訳)

核兵器のない世界へ:
新しいアジェンダ(議事次第)の必要性




1. われわれ、ブラジル・エジプト・アイルランド・メキシコ・ニュージーランド・スロべニア・南アフリカ・スウェーデンの各外務大臣は、核兵器国または、核不拡散条約(NPT)に加盟していない三つの核兵器能力国によって、核兵器が無期限に保有されるという展望、およびそれに伴う核兵器の使用または使用の威嚇の可能性に見いだされるような、人類への継続的な脅威に関心を抱いてきた。このような状況は、インドとパキスタンとによって最近実施された核実験により、ますます深刻になってきている。

2. われわれは、キャンベラ委員会がその声明において表明した以下のような結論に、完全に同意する。すなわち、「核兵器を永久に保有しつつ、偶発的にも決定によってもそれを使用しないことが可能であるという議論は、信頼性を欠く。唯一の完全な防御は、核兵器を除去し、核兵器が再び製造されないと保証することである」。

3. われわれは、国際連合総会が、すでに1946年1月、その最初の決議において、「核兵器およびその他の主要な大量破壊兵器を各国の軍備から除去すること」を提案するよう、委員会に全員一致で要請したことを、想起する。1972年・1993年の条約により、化学・生物兵器をすべての国に完全に禁止するという結論に、国際社会が達したことは喜ばしいけれども、同時に、同様の目的でなされてきた核兵器に関する無数の決議や発議が、過去半世紀にわたって実現していないままであることは、嘆くべき事実である。

4. 核兵器国および三つの核兵器能力国が、そのような根本的で必要な行動を起こそうとしないこと、すなわち、彼らが保有する核兵器および核兵器能力を、直ちに、最終的、完全に廃絶することを明確に誓約しようとしないことについて、われわれはこれ以上容認できない。われわれは、そのような措置を即座にとることを、これらの諸国に要求する。

5. 国際連合加盟国の大多数は、核兵器およびその他の核爆発装置を、受領あるいは製造せず、その他の方法で入手しないということについて、法的拘束力のある約束をしている。このような試みは、それに対応するような、核軍縮をを追求するという、核兵器国の法的拘束力を持った約束を背景として、なされたものである。核兵器国が、その核兵器を完全に廃棄するという緊急の約束としての、条約上の義務にとり組もうとしていないことについて、われわれは深く憂慮している。

6. これとの関係で、われわれは、1996年勧告的意見における、国際司法裁判所の全員一致の結論を想起する。それによれば、厳密かつ効果的な国際的管理のもとで、あらゆる側面における核軍縮に至るため、誠実に交渉を追求し締結に至らしめる義務が存在するのである。

7. 現在の危機が、核兵器を永久に廃絶し禁止する唯一の機会を提供しているのであるから、限りない将来にわたって核兵器の保有が正当であるというような見通しを持って、国際社会は、三千年紀に突入してはならない。それゆえわれわれは、核兵器国および核兵器能力国のそれぞれの政府に対して、おのおのが持つ核兵器および核兵器能力を廃棄することを明確に約束し、その実現のために必要な実際的な手段と交渉を、即座に開始することに同意するよう、要求する。

8. 核兵器の完全な廃棄に至るための、このような試みの結果として生じる措置は、もっともたくさんの核兵器を備蓄する国々からまず、始められるであろうということに、われわれは同意する。しかしまた、そのような措置が、より少ない核兵器を備蓄する国々の措置と切れ目なく適切につながることの大切さを、われわれは強調する。核兵器国は、このために措置をとることを、即座に考慮し始めるべきである。

9. この関係で、われわれは、STARTのこんにちまでの成果および将来の約束を、ともに歓迎する。それは、二国間、ひいてはすべての核兵器国を含む多国間のしくみであり、核兵器の廃棄をめざして企図された、核兵器の実際の解体・破壊という目的にとって適切といえる。

10. 備蓄核兵器を現実に廃棄し、そのために必要な検証体制を開発するには、時間が必要とされるだろう。しかし、核兵器国が即座にとることができ、またとるべきである多数の実践的措置がある。われわれは、それらの国に、核兵器の警戒解除や不発化に着手することによって、一触即発の事態をなくすよう要求する。またそれらの国は、展開された基地への非戦略核兵器の配備をとりやめるべきである。そのような措置は、継続的な軍縮の努力のためになる諸条件をつくり、偶発的あるいは偶然的、非公権的な核攻撃を防止する助けとなるだろう。

11. 核軍縮の過程が進展するために、三つの核兵器能力国は、明確にかつ緊急に、それぞれの核兵器の開発・配備の追求を留保し、核軍縮に向かう国際社会の努力を害するような、いかなる行動も慎まなければならない。われわれは、それらの国およびすべての未加盟国に対してNPTに加盟し、その条約への加盟に伴って必要とされる措置をとるよう要求する。われわれは、同様に、包括的核実験禁止条約(CTBT)に、即座にかつ無条件に、署名・批准することを、それらの国に要求する。

12. 核兵器およびその他の核爆発装置のための核分裂物質の製造を、国際的に禁止すること(カットオフ)は、核兵器の完全な廃棄に向かう過程をさらに下支えするものである。1995年にNPTの締約国によって合意されたように、そのような条約に関する交渉が即座に開始されるべきである。

13. 軍縮の措置のみでは、世界から核兵器をなくすことはできない。核兵器の拡散を防止する、実効的な国際協力が不可欠であり、とりわけ核分裂物質およびその他の核兵器の部品に対する管理の拡大を通じて、そのような協力は増進されねばならない。新しい核兵器国や、核兵器を製造あるいは入手しうるような状態にある非国家主体が登場すれば、核廃棄の過程は深刻な危機にさらされる。

14. 完全な備蓄核兵器廃棄に至るまでの間、そのほかの措置もとらなければならない。核兵器国が相互に第一使用をしないことを保証することや、非核兵器国に対して核兵器の使用やその威嚇を行わないこと、などといった、いわゆる消極的安全保障に関して、法的拘束力を持った制度が、発展せられるべきである。

15. 南極条約と同様に非核地帯をもうける諸条約、すなわち、トラテロルコ条約・ラロトンガ条約・バンコク条約・ペリンダバ条約の締結により、核兵器は、世界全体から着実に排除されてきた。そのような非核地帯を、とりわけ中東や南アジアなどの緊張状態にある地域において、さらに追求・拡大・設定してゆくことによって、核兵器のない世界という目的に向けて、大きく貢献することになるだろう。

16. これらの措置はすべて、不可欠の要素であり、核兵器国自身によって、あるいは、核兵器国と非核兵器国とが協力して、並行的に追求されうるものであり、またそうされるべきである。そうすることによって、核兵器のない世界にいたる道程が示されるであろう。

17. 核兵器のない世界を維持するためには、普遍的で多国間で交渉された条約や、相互に補強しあう一連の条約体系が、それを支える必要があるだろう。

18. われわれに関していえば、これまで述べたような目的を追求するための努力を惜しむことはない。われわれは、共同して、核兵器のない世界という目標を成就する決意である。核兵器後の時代への断固として迅速な準備を、いま始めなければならない。われわれは固くそう信じる。

1998年6月9日

(訳:西平等)



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