新アジェンダ声明:

第3回NPT再検討会議準備委員会における声明


ルイス・トゥピー・カルダス・ドゥ・モウラ
ブラジル大使が発表

1. 私は、ボリビア、ボツワナ、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エジプト、エルサルバトル、ガーナ、イラン、インドネシア、アイルランド、レソト、マレーシア、マラウイ、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、ナイジェリア、パナマ、ペルー、フィリピン、ソロモン諸島、南アフリカ、スワジランド、スウェーデン、スイス、タイ、ウルグアイ、ベネズエラ、ジンバブエの各国代表に代わって意見表明を行いたいと思います。

2. 1995年、加盟国はNPTを無期限に延長しました。我々は、全国家の加盟を達成するために、あらゆる努力を尽くすことを約束しました。我々は、条約の再検討プロセスを強化しました。条約の履行を呼びかけるための原則と目的を採択しました。

3. 1995年に我々が採択した決定と決議は、国際協調の新たな時代が予告している未来への期待を背景として採択されたものであります。「冷戦の終結後進行した国際的な緊張の緩和と諸国家間の信頼の強化によって、核軍縮が実質的に容易になった」と、我々は結論しました。したがって我々は、核軍縮の約束は、決意をもって遂行されるべきであると合意したのです。この目的をもって、我々は、第6条の全面的な実現と効果的な履行にとって重要であると合意された行動綱領を採択しました。さらに、核兵器国は、第6条にある「核軍縮に関する効果的な措置について誠実に交渉を行う」という責務を再確認しました。

4. 翌年の国際司法裁判所の勧告的意見は、全会一致で次のように結論しました。すなわち、「厳格かつ効果的な国際管理の下において、すべての側面での核軍縮に導く交渉を誠実に追求し、かつ完結させる義務が存在する」と。

5. しかしながら、1995年に設定された核軍縮目標に照らしてのバランスシートは、十分なものではありませんでした。我々は、包括的核実験禁止条約(CTBT)を採択しました。残念なことに、核分裂性物質条約に関する交渉は、まだ行われていません。消極的安全保障に関する国際的に法的拘束力のある条約は、見通しが立っていません。

6. そもそも我々は、仕事を終えていないのです。核分裂性物質条約に関する交渉の即時開始と早期締結は、明確な最優先事項です。CTBTの発効と加盟促進、およびその目的や規定の厳格な遵守もまた同様です。そして消極的安全保障に対するさらなる追求が続けられなければなりません。

7. 地域的には、非核地帯の一層の発展、とくに南半球と隣接地帯を非核化する動きにおいては、前進がみられました。

8. 核不拡散の目標が臆面もなく無視された南アジアにおいては、厳しい後退がありました。中東は依然として、非常に憂慮すべき状態です。朝鮮半島における動向は、継続的で細心の注意が必要とされます。

9. 別の側面からみれば、二国間の戦略兵器削減条約(START)プロセスの可能性があります。核戦力削減交渉にやがて継ぎ目なく統合してゆくことを容易にするような歓迎すべきステップが、いくつかの核兵器国によって踏み出されました。しかし、不幸なことに、STARTU批准は凍結しています。このことによって、STARTVに関する交渉の開始も妨げられています。

10. これらすべての展開を考慮すると、NPTのすべての義務を履行する努力のペースはにぶい、という明白な結論を下さざるを得ません。その結果、核兵器の究極的廃絶を達成するために必要な措置に関する交渉は、深刻な赤字状態であります。

11. 条約上の義務とは、第6条の義務と1995年の原則と目標にしたがって核兵器を全面的に廃絶するという急を要する義務であると、核兵器国が考えている証拠が見あたらないことは、深刻に憂慮すべき事態です。逆に、核兵器の継続的な保有が再び正当化されてきました。核ドクトリンが再確認されてきました。すべてのNPT加盟国が核兵器の廃棄に決意をもってとり組むと合意した、まさにそのときに、このありさまです。

12. NPTの無期限延長は核兵器の無期限の保有を正当化しません。われわれは、絶対にこの点を明確にするべきです。限りない将来にわたって核兵器の保有が正当であると見なされるような見通しをもって、我々は次の千年期に入ってはなりません。

13. NPTのすべての条文は、すべての加盟国に関して、つねに、あらゆる状況において拘束力をもつことが強調されなければなりません。

14. NPTの非核兵器国は、核兵器保有の選択肢を捨てるという義務を負いました。その決定は、保有核兵器を廃棄するという核兵器国の法的拘束力ある約束に対応してなされたのです。

15. しかし、NPTにおいて取り決められた、この基本的で、ほぼすべての国が参加した約束は、遂行されようとしていません。その明白であいまいさを残さない義務は、じゅうぶんの意欲をもって実行されようとはしていません。五大国が無制限に核兵器を保有できる一方で、180以上の国家が、同じ条約にしたがって核兵器保有を抑制するというような世界秩序は、受け入れられないものです。核兵器廃棄の過程が、相当に目に見えて加速し、よりよい調和が得られるという見通しがなければなりません。

16. 同じく、一つの国家集団が条約の義務を履行するペースを独自に決めることはできないということは、相互的に合意された義務に基づくいかなる条約においても、本来的な事項であります。究極的な核兵器の廃絶という期限のない目標を復唱するだけでは、2000年にはもはや不十分であります。核兵器の全廃を迅速に遂行するという、明白であいまいさのない誓約を確保しなければなりません。

17. そして、この明確な約束にしたがって、早期に核の脅威を軽減し、すべての側面においてNPTを完全に履行するために要求される措置に関して、合意することが必要であります。このような措置は、核兵器を伴う世界を捨て去って二度ともどらないようにするための過程の要素となるにちがいないものです。それらは、現実的でかつ達成しうるものでなければなりません。

18. 二国間、複数国間、多数国間の努力のあいだには適切な調和が保たれる必要があります。それらは、相互に補強され、並行して遂行されるべきであります。STARTプロセスの継続的な遂行は基本的なものであり、米国とロシアにこのプロセスに対する障害を克服するよう我々は求めます。また他の核保有国は、自国の核兵器の廃棄につながるプロセスに継ぎ目なく統合して行くような、必要な措置をとるべきであります。全面的かつ最終的な核兵器の廃棄のためには、多数国間の協定が必要とされるでありましょう。

19. また、核兵器の脅威を減らし、安全保障戦略における核兵器の役割を軽くする観点から、核保有国がとるべき中間的な措置が多数存在します。たとえば、核兵器の警戒態勢の解除や運搬手段からの弾頭の除去、非戦略核兵器への依存の軽減、さらに、戦略的な安定性を高める措置の早期の検討とそれに応じた戦略ドクトリンの見直し、などであります。NPTに加盟している非核兵器国に対する核兵器の使用や使用の脅威に関して、法的拘束力のある条約を発展させければなりません。すなわち消極的安全保障であります。

20. すべての核兵器国は、保有核兵器や核分裂性物質の貯蔵量に関する透明性を確保し、必要分を超えた余剰核分裂性物質をIAEAの保障措置のもとに置くことにとり組むべきであります。

21. NPTに加盟していない国は四カ国のみであります。そのうち三ヶ国は核兵器能力をもっています。昨年、そのうちの二カ国が核実験をおこない、それらの国は、「最小限信頼性抑止」という正当化を、お互いに言い合いました。三つ目の国はその地域では唯一NPTに加盟していない国家であります。我々は、それらのすべての国に対し、無条件に、かつ遅滞なくNPTに加入し、すべての核施設をIAEAの完全な保障措置のもとに置くことを要求します。

22. 我々はまた、未だそうしていない国に対して、CTBTに迅速に署名し、無条件にかつ遅滞なく批准すること、そして条約が発効するまでのあいだ、核実験の一時停止を遵守すること、を要求します。

23. 国際安全保障構造を形成する、現存するすべての基本的な二国間、多数国間条約が、維持され、かつ支持されることが不可欠であります。

24. これらのすべての手段が、2000年とそれ以降のアジェンダの要素を構成するでありましょう。我々は、これらがですべてが網羅されていると主張するつもりはありません。多くの代表から他にも建設的な提案がなされています。しかし、われわれが今日主張していることは、われわれが直視しなければならない重要な要素ばかりであります。

25. 議長。この声明が代表するところの国家グループは、1998年の国連総会第一委員会において、一つの決議草案を上程しました。それは、核兵器のない世界を達成するために追求されなければならないアジェンダを提起しています。その決議は、国連加盟国の大多数、すなわちこの条約の加盟国の大多数によって、総会において採択されました。これらの提案に盛られた考え方に対して国際社会がすでに与えている支持に鑑みれば、これらの提案は、準備委員会あるいは再検討会議が作成する将来計画の文書のために考慮されなければならない目標を定式化する際に、加盟国の指針となるべきであります。私は、決議53/77Yの文書が、この準備委員会の公式文書として配布されること要求します。

26. さらに、われわれはみな、かつてなかったほど、建設的であり、創造的であり、精力的なとり組みをしなければならないでしょう。NPTの比類のない必要性は変わりません。しかし、政策においても、誓約においても、軍縮プロセスの再活性化へ、明確な移行が必要であります。そして、すべての加盟国は、NPTを前進させることによって、みずからその一員であることを示す義務を負っているのです。

1999年5月12日


(訳:西平等、梅林宏道)





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