新アジェンダ連合声明
2005年NPT再検討会議第2回準備委員会

(ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、南アフリカ、スウェーデン、ニュージーランドを代表して、ニュージーランドが提出)

2003年4月28日

 あいさつ(略)

2 私たちは、第一回再検討会議準備委員会における成果と「事実概要」の上に築きあげていくことを期待しています。議長、「概要」の最初の一文は、NPTが世界の不拡散体制の礎石であり、核軍縮の追求における欠くことのできない基盤であると、NPT締約国が再確認した、と記しています。このコミットメントは、普遍的規範を維持と範囲の拡大のために、軍縮と不拡散の基本原理として見なされるべきです。私たちは、NPT条約によってレイアウトされた義務を遂行することが、次の世代に対する義務であると考えます。

3 昨年のニューヨークでの会議以降、いくらかの前進がありましたが、同時に、NPT体制における重大な障害となる傾向も存在しました。帳簿の「利益」側として、私たちはNPTとトラテロルコ条約への加盟というキューバによる決断を歓迎します。また、私たちは、中央アジア5カ国による非核地帯設立に向けた努力、そして中東での大量破壊兵器禁止地帯の設立を目指したアラブ連盟の努力を評価します。

4 しかし、帳簿の「負債」側としては、暗い傾向が続いています。中東やアジアでの極めて不安定な状況は、NPT体制の完全履行に向けた私たちの努力、そして条約の普遍性のみならず、国際的義務の遵守に関する世界的な安定性の重要さを断固として強調する私たちの努力に対して、間違いなく奮起を促すものです。これに関連して、私たちは、中東の核ならびに他の大量破壊兵器禁止地帯設立への支持を新たにします。私たちは、イスラエルを除くこの地域におけるすべての国がNPT締約国であることに留意し、イスラエルに対して、できるだけ早期にNPTに加盟し、同国のすべての原子力施設を包括的なIAEA保障措置のもとに置くことを要求します。

5 また、私たちは、緊張が高まるアジア地域に対して懸念を持ち続けています。この文脈で、私たちは、中央アジアと南アジアにおける非核地帯設立への支持を新たにし、また、インド・パキスタン両国が、核兵器を熱望することをやめ、条約に無条件で加盟するよう要求します。

6 中でも懸念がもたれるのは、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)のNPT脱退決定と、IAEA保障措置外で寧辺(ヨンビョン)の原子炉を再稼動させるという意思表示です。これらの決定に至る状況はさておいても、これらが含意するものは重大であり、私たちすべてに影響を与えます。国際社会における他の国々と同様に、新アジェンダは対立ではなく対話を支持します。私たちは、DPRKを条約の合意事項への完全遵守への復帰に導くような、この状況の平和的な早期解決を希望します。また、私たちは、DPRKに対して決定を再考するよう要求します。

7 過去一年の進展の中でも私たちが注目するのはモスクワ条約です。私たちは、この条約を、米国とロシアの新しい関係を定義する上で肯定的な一歩であると認識しています。しかし、両国の核兵器数が、なおそれぞれ何千にのぼる以上、私たちは、冷戦の遺物は本当に過去のものとなったのかと疑問がもたざるを得ません。さらに、同条約の核軍縮への貢献も疑わざるを得ません。同条約は、検証規定を持たず、また、作戦配備されていない弾頭数を無視しています。作戦配備された戦略核弾頭数の削減は、核兵器に対する不可逆な削減や完全廃棄の代用とはなり得ません。私たちは、モスクワ条約を、核軍縮に向けた不可逆的で検証可能な条約とするよう、米国とロシアに要求します。

8 概括すると、新アジェンダ連合の懸念は、以下のようないくつかのレベルで生じています。
●国際的安全保障のレベルでは、核兵器国がお手本として先頭に立って行動するという責任がかつてないほど大きくなっている、と私たちは考えます。次々に展開していく安全保障政策や防衛ドクトリンが、これまでと変わらず核兵器の保有をベースにしたものであるという事実は、まさに、通常戦争における対抗措置として、新しいデザインや新世代型の核兵器の必然性を生み出し、世界の安全保障環境とNPT体制をいっそう不安定化させています。
●NPTの履行と実施のレベルでは、核兵器国は、条約の義務ならびに2000年の再検討会議での約束を実行することによって強い指導力を示さなければなりません。これは、NPTの信頼性と持続性の維持のために、極めて重要なステップです。核軍縮の達成に向けた青写真である13項目に対し、リップサービスではない積極的な履行が必要とされています。
●今回の準備委員会のレベルでは、この会合は、NPT体制が国際的な核軍縮と不拡散に向けた努力の中心的要素であり続けること、そしてそれが包括的で効果的な再検討プロセスに裏づけされていることを、NPT締約国であるなしにかかわらず、すべての国に対して立証するという重大な責任を負っている、と私たちは考えています。

9 第一回準備委員会での報告書の採択の直後に、新アジェンダ連合は以下の点を含んだ短い声明を発表しました。
●1995年と2000年の再検討会議のコミットメントは、すべての締約国による後戻りのできない拘束力のある約束によって成り立っている。
●現行の再検討サイクルにおける最初の2つの会議の目的を考えると、強化された再検討プロセスの目的の達成、ならびに再検討会議において課せられたように原則、目的、方法の検討のために、この第2回準備委員会ではより活発な相互討論が求められている。
●定期報告は、このような相互討論を補完するものである。

10 新アジェンダ連合は、この準備委員会においてもさらに努力を重ねていきます。すでに暗に示していましたように、私たちは13項目ならびに条約第6条の履行を精力的に追求していきます。私たちは、核軍縮へのアジェンダを促進する具体的なアイデアを前進させ、安全保証や戦術(非戦略)核兵器の問題に積極的に取り組みます。加えて、私たちは、条約第6条をはじめとしたNPTの履行に関する報告内容についての議論を通じて、相互討論的な再検討プロセスの促進を図っていきます。

11 私たちのこれまでの声明で示されているように、新アジェンダ連合は、過去一年はNPTにとって、とりわけ核軍縮の問題にとって、全体としては不幸なものであったと考えています。新アジェンダは、この準備委員会で議論に付される予定の最新版のポジション・ペーパーでこれらの問題を扱っています。この文脈で、私たちは、戦術核兵器に関する私たちの見解に、より広い意味合いを持たせる必要があると考えています。国際的な核軍備管理と軍縮に関する努力は、これまで伝統的に戦略的核兵器に焦点を当ててきていました。非戦略核(戦術核)は無視されてきました。新アジェンダは、透明性があって不可逆的な手段での非戦略核(戦術核)の削減と廃棄が、完全な核軍縮プロセスの枠組みにおける必要不可欠な要素であると考えます。非戦略核(戦術核)の保有は真の危険をもたらすものであり、さまざまな理由から、私たち全体としての注意が必要とされています。例えば、非戦略核が比較的携帯可能であることや、紛争地域に近接して配備できる能力をもっていることにより、それらの兵器が戦闘や窃盗用に使用される可能性がよりいっそう高くなっています。

12 私たちは、2000年の再検討会議において、5核兵器国がNPTの加盟国である非核兵器国に対して法的拘束力を持つ安全保証を供与することが不拡散体制の強化につながるという合意がもたれたことを想起します。その会議においては、2005年の再検討会議に向けて、安全保証に関する勧告をするよう、準備委員会に要求がなされました。この文脈で、私たちは今回の準備委員会に、作業文書ならびにNPT加盟の非核兵器国への核兵器の使用と使用の威嚇の禁止に関する草案文書を提出します。交渉が完了するまでの間、核兵器国は、これに関連した既存の約束を最大限に尊重しなければなりません。

13 第1回準備委員会では、議論の活性化に向けた努力がなされました。例として、新アジェンダ連合のポジション・ペーパー、非戦略核に関するドイツ提案、報告書のフォーマットへの工夫に関するカナダ提案などがあります。しかし、これらはどれも部分的にしか会議での相互討論を刺激しませんでした。今回の会議では、私たちは、主に定期報告に関する「項目12」の履行のレベルに関して、よりいっそう集中した議論を追及していきます。そして、締約国が今回と前回の準備委員会で提出された相当量の貢献−報告書と作業文書−にコメントすることに期待します。 

14 私たちは、各国代表団に対し、透明性、説明責任、不可逆性、CTBT発効、安全保障政策における核兵器の役割の縮小、ジュネーブ軍縮会議の行き詰まりの打開−核軍縮を扱う下部機関の設置や、核分裂性物質の生産禁止に関する交渉の再開における失敗−そして、NPTの普遍性、といった原則と要素に対する私たちの強い思いを再確認します。

15 私たちは、保障措置下にない原子力施設を稼動し、NPTに加盟しないというインド、イスラエル、パキスタンの3国による核保有継続の選択と、そのような選択を破棄しないという事実に対し、大きな懸念を抱き続けています。これに関連して、国際社会は、普遍的なNPTへの無条件支持の達成に向けた努力を強化し、条約の信頼性や持続性を脅かすおそれのあるいかなる手段にも警戒しなければいけません。

16 世界の人々に対して説明する際に、説得力のある象徴となっているものが、地球上の広大な土地に広がった非核地帯と、その広がりの可能性のある地域です。いくつかの地域では、非核地帯化に向けさらなる進展がありました。特に、そのような武器から南半球とその隣接地帯を自由にする動きには進展がありました。キューバによるトラテロルコ条約への加盟により、ラテンアメリカおよびカリブ地域の非核化が達成されました。ラロトンガ条約、バンコク条約、ペリンダバ条約に関しては、それぞれの地域におけるすべての国家、および関係国による批准が非常に重要な問題として残っています。非核地帯条約の議定書に未だ批准していないすべての関係国に対し署名を奨励するために、私たちは協力していく必要があります。

17 私たちは、常任理事国による声明といった、核を含む大量破壊兵器に関する国連安全保障理事会における最近の議論が、それらの武器の合法性、保有、使用の可能性に関する国際的な関心の重要性を明確にしていると考えます。これらの声明は、すべての核兵器を非合法化し、核軍縮に向けた国際的な努力を促進する国際的な努力に、さらなる勢いをもたらさなければなりません。さらに、これらの声明は、どこであろうと、核兵器を含むどのような大量破壊兵器も使用されないための唯一の保証は、その完全廃棄と、二度と再び使用されたり生産されたりしないという保証であるという、私たちの基本的な信念の重要性を明確にしています。

18 議長、NPTプロセスとは、核兵器によってもたらされた脅威に対処するために、締約国が協力しあう機会であると繰り返させてください。多国間主義とは、すべての国家がともに行動しようという集団的意思であり、その意思は、不拡散の義務を履行しないことを選択する国々によって害され、また、核軍縮、国家指導力の発揮と前進の義務を負いながらもそれを果たしていない国家、そしてNPTの体制外にとどまる国家によっても同様に害されます。

19 議長、最後になりますが、私はこの機会に、核軍縮よりもはるかに広範囲にわたる問題であり、軍縮・軍備管理大臣としての私の特別な関心事でもある「軍縮教育」の問題を持ち出したいと思います。軍縮と不拡散の規範や規定を強化するために教育を利用する必要性がこれまでになく高まっています。この問題の効果のある前進に向けた協力は、締約国、国際機関、そして市民社会の責任です。
(訳:ピースデポ)


ページの先頭に戻る


特定非営利活動法人
ピースデポ
〒223-0051 横浜市港北区箕輪町3-3-1-102
TEL:045-563-5101 FAX:045-563-9907
Email:
office@peacedepot.org