不拡散と軍縮は車の両輪

2004年9月21日

 7年前、われわれの国々――ブラジル・エジプト・アイルランド・メキシコ・ニュージーランド・南アフリカ・スウェーデン――の外相たちが、核兵器にもはや役割が与えられないような安全保障秩序の構築へ向けて、新アジェンダ連合を結成した。われわれは、今日、核軍縮は国際平和と安全保障にとって緊要の課題であるということに、以前にもまして確信を持っている。
 われわれは、核兵器がより軍事的重要性を増しつつあるという危険、抑止のためのこの古い道具がテロリストのための新しい道具になるかもしれないという恐れに直面している。
 不拡散は決定的に重要なものだ。しかし、それだけでは不十分である。核不拡散と核軍縮は同じコインの両面であり、ともに真剣に追求されなくてはならない課題である。さもなくば、新しい型、新しい使用法、使用のための新しい理由付けをめぐって、果ては、弾頭の量をめぐって、新たな核軍備競争が今にも始まってしまうかもしれないのだ。そして、核兵器をコントロールする主要な道具であるNPT(核拡散防止条約)は
分解の危機に立たされ、結果として核拡散がさらに進むことになる。
 NPTは、より好みして部分的に履行されるものではない。それは法的拘束力のある協定であり、5つの核兵器国(中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカ)による誓約と、非核兵器国による誓約との間の適正なバランスの上に成り立っている。この条約の核心は、核兵器国が自国の核兵器を削減し、究極的に廃絶することを約することと引き換えに、非核兵器国が核兵器を開発しないという点にある。
 1995年と2000年に、この取り決めはさらに洗練された。1995年には、核兵器国が核軍縮を追求し、CTBT(包括的核実験禁止条約)の発効に向けて全ての国が努力するという条件の下で、非核兵器国が、NPTの無期限延長に同意した。 2000年には、核兵器国が、自国の核を廃絶することを明確に約束し、全ての加盟国が、核軍縮追求のための実行プランを採択した。しかしながら、それ以来、事態はほとんど進んでいない。
 全く逆の方向を指し示す非常に不吉な兆候が存在する。すなわち、米国は、核実験禁止条約に最初に署名したにもかかわらず、同条約の発効に向けて努力することをせず、条約への支持を撤回してしまった。また中国は、その批准プロセスを年々遅らせている。核兵器国の中には、核兵器を廃絶する代わりに、核兵器の近代化や新型核兵器の開発を行い、それらの新しい合理化を行おうとしている国もある。
 また、核兵器は非核兵器国に対して先制的に使用しうるとの考えを示している国すらある。ロシアでは、核兵器は通常兵器に対するひとつのありうる防衛手段だという見方がますます強まっている。米国とロシアは、核弾頭を破壊しないで貯蔵している。
 戦略兵器削減条約は、正しい方向へ向けた重要な一歩であるが、この条約の下では、これら兵器の破壊が義務づけられておらず、戦術核も含まれていなければ、検証に関する条項も含まれていない。プロセスは不可逆的でも透明でもない。
 もし核兵器国が、核兵器によって安全保障が高まると考え続けるのならば、他国が、自らも同じようにすべきだと考え始めるという真の危険が出てくる。近年の動向を見れば、これがすでに起こっていることがわかるだろう。 
 では、いったい何ができるのだろうか。 第一に、全ての加盟国は、NPTの下における誓約を果たさなくてはならない。また条約の全員加盟を実現するべきである。全ての国は、さらなる核兵器拡散に対してもっと警戒レベルを高めるべきである。そして、核兵器国は自国の誓約を果たし、核軍縮を誠実に追求しなくてはならない。新型核兵器、新しい使用法、新しい役割、あるいは使用に関する新たな正当化を開発するよう
ないかなる計画も、今すぐ中止されなくてはならない。
 第二に、CTBTの発効を、緊急の課題として追求すべきである。 
 第三に、検証措置を伴った核分裂物質のカットオフ条約に関する交渉が今すぐ始められるべきである。同条約は核兵器の主要部品である、濃縮ウランとプルトニウムの製造を禁止し、核軍縮プロセスにとっての要石となろう。
 それは、NPTにいまだ加入していないインド、イスラエル、パキスタンに制約を課すこととなるだろう。それは、核実験禁止条約と相まって、NPTをしっかりと保持するだけではなく、核不拡散と核軍縮に関する規範を強化するのに、大いに役立つことであろう。
 未来は、われわれの行動にかかっている。
(訳:山口響)


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