■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報

第6号 1999年4月10日


発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
予約・問合せ先:〒223-0051横浜市港北区箕輪町3-3-1日吉グリューネ102号ピースデポ
TEL:045−563−5101 FAX:045−563−9907
Email: peacedepot@y.email.ne.jp
Website: http://www.jca.apc.org/peacedepot/

○予約者に無料で、ファックスまたは電子メールで一斉にお送りします。(宛名を明記しませんのでご注 意ください。)
○平均して3日に1回、A4版3〜5ページ。
○バックナンバーは、上記ホームページにアクセスするか、ファックスでとり出すこともできます。(03−3813−8180にダイアルし、ボックス番号800#でバックナンバー一覧、810# で最新号が入手できます。)
●掲載しきれなかった情報や、記事の原資料は事務所にあります。お問い合わせを。
●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。
●プロジェクトを支えるカンパを募集します。
 個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円
 郵便振替:00280-0-38075 加入者名「平和資料協同組合」 ※「ガイドラインカンパ」と明記を。
 銀行口座:横浜銀行日吉支店 普通 1216616 「平和資料協同組合」

T.国会の動き

 衆院ガイドライン特別委では、去る7日、8名の参考人からの意見聴取と質疑が行われた。<資料1>

【今後の審議日程】

(確定)
4月12日(月)12時 理事会のみ
4月13日(火)9時一般質疑(8時間)
4月14日(水)地方公聴会
(福岡・福井・函館:同時開催)
*当初予定だった沖縄は理事会で除かれた。
4月15日(木)9時一般質疑(8時間)

(予定)
○一般質疑:4月19日からの週に3日間
○中央公聴会
○その後、締めくくり総括質疑?
○4月26日(月)〜28日(水)頃、委員会採決か
○4月29日(木)首相訪米

【今後の審議の流れについて】

 現在審議されているのは、衆議院の特別委員会である。委員会で採決、可決された場合には、次に衆議院本会議での採決となる。衆議院本会議で可決(修正可決も含む)された場合は、以下のような流れになる。(注:ファックス版には以下の流れを整理した図表が付いています。)

(1)衆議院で可決(または修正可決)した場合、次に参議院での審議に入る。
(2)参議院で可決した場合は成立となる。
(3)参議院で修正可決した場合は衆議院に戻される。この場合、再度衆議院で同意が得られた場合は成立となる。
(4)一方、参議院で否決となった場合、衆議院に戻され衆議院で3分の2以上の同意で成立となるか、両院協議会(衆議院請求)によって調整がはかられる。
*両院協議会とは衆参両院の意思が一致しないとき、これを調整して、統一した意思決定に導くために各院から選んだ衆参各10名の委員で構成され、組織される協議会。

U.各地、自治体の動き

【反対、危惧表明地方議会が173に】

 4月5日現在、全国で173の地方議会がガイドライン法案への反対または危惧を表明する意見書を採択した<資料3>。本速報では、引きつづきこうした流れをアップデイトし、毎号いくつかの自治体の例をとり上げていく。

【大東町議会が意見書を可決】

 岩手県大東町議会が3月議会で、「アメリカの軍事介入に日本を参戦させる「周辺事態法」などの制定に反対する」意見書を可決した。意見書では、岩手山での日米合同演習(昨年11月)の際、米軍が花巻空港を4日間で23回利用したことについて、「周辺事態法の先取りともいえる」事態が進んでいると指摘し、国民の生活と権利を脅かすガイドライン関連法案は許すことができないとしている。(『しんぶん赤旗』4月2日)

【佐賀県知事、社民党の申入れに「国は慎重審議を」と回答】

 3月9日、社民党佐賀県連合が井上県知事に対して、法案撤回を国に要求すること、また、撤回されない場合には次の事項を各自治体の長と確約するよう要求することを申し入れた。@安保条約および関連取り決め以上の義務を負わない、A自治体・住民の意向を無視した用地収用をおこなわない、B空港、港湾の米軍の使用には自治体・住民との協議を尊重させ優先使用を認めない、C自治体管理下の病院の米軍使用による入院患者の強制退院や医師等の徴用がおこなわれない、D自治体職員が意に反した業務を強要されない(憲法18条)。知事は「知事本人が判断すべきものではないし、県民の意見を十分尊重する」「国は慎重審議をしてほしい」と答え、詳しい内容は文章回答すると約束した。(『社会新報』3月31日)

V.解説

【地位協定5条適用の変遷】

 本速報でも何度も紹介しているように、94年の朝鮮半島緊張時に米軍から1,059項目にわたる民間施設使用などの支援要請があり、その中には成田空港の軍事目的での提供も含まれていたとされる。政府はこれを否定している。

●「5条適用は人道上の非常時に限る」−−69年政府答弁

 1969年4月18日、衆院内閣委員会において、成田空港が米軍により軍事目的で使われる可能性をめぐって、激しい議論がたたかわされた。このとき、羽田空港への米軍機の着陸回数が引きあいに出され、その法的根拠である日米地位協定第5条との関係、そしてそれが成田空港においてどのように運用されるかについての論議があった。このとき原田運輸大臣(当時)は、第5条適用による米軍機の着陸はありうるとしながらも、その運用にあたっては、「民間空港の本旨に反しないように」、「人道上の非常時に限り」、「軍事基地としての使用は拒否する」と答弁している<資料2>。

◎日米地位協定第5条第1項
 合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入りすることができる。(以下略)

●沖縄の訓練移転で民間機・船舶に5条が適用

 ところがその原則が、崩されつつある。「第2号」で紹介したとおり、在沖米海兵隊の実弾演習の本土移転演習においては、兵員や砲弾の輸送に民間の航空機、船舶、車両が利用された。これら民間機等は「米国の管理の下に公の目的でおこなわれている」ので、地位協定5条の適用によって港湾への出入りが認めらる、というのが外務省の説明だ。5条が適用されることによって、民間機・民間船舶であっても米軍機・米軍船舶と同じ扱いになるので、空港管理者、港湾管理者による積み荷のチェックはできなくなる。
 しかし、99年2月10、11日の『西日本新聞』によれば、大分県日出生台での演習に際し、福岡防衛施設局は1月半ば、大分県に対していったんは「民間船に第5条は適用しない」と説明していたという。(1月27日には約200人が大分空港で民間チャーター機による大分入りに抗議、29日には約1000人が民間チャーター船による大分港への武器・車輌の搬入に抗議をおこなった。)
 同様の移転演習では、根室市花咲港や仙台港にも米軍物資を積んだ民間船が5条適用で入港しているが、防衛施設庁は港湾管理者である各自治体に通知をしていなかった(「義務がないのでおこなわなかった」、同庁)という。(『月刊キャッチピース』99年3月20日号)

●5条適用の拡大に警戒を

 このように、あくまで限定的な出入権を認めていたはずの地位協定5条が、きわめて頻繁に、しかも米軍にチャーターされた民間航空機・船舶についても幅広く適用されるような流れになってきている。現在の法案審議において運輸省は、「5条による空港・港湾の使用は可能だが、優先使用は認められず、周辺住民、各航空会社、自治体との合意や安全性に配慮する必要がある」(「第1号」、「第4号」)としているが、実際にどの程度「5条適用」が拡大されていくか、監視が必要である。 

ページの先頭に戻る

<資料1>衆院ガイドライン特別委、参考人意見聴取の概要(4月7日)

カッコ内は肩書、推薦会派

▼西元徹也(株式会社東芝顧問、元防衛庁統合幕僚会議議長、自民)

 冷戦後、ミサイル拡散、テロ、麻薬、難民の発生などのさまざまな脅威が直接、間接に日本に及ぶ可能性が出てきた。直接的武力攻撃、周辺事態から、テロ、難民、攻撃、恫喝、不法行為、海上・航空路妨害、海外に住む日本人の生命と財産の危険にいたるさまざまな事態が予想される。国連や話し合いの外交には限界があり、日本の自由貿易・民主主義を守るには、日米安保の機能充実が必要だ。ガイドライン法案には、平素からの協力、武力攻撃への対処行動、周辺事態における協力が必要。95年12月の防衛大綱の基本にのっとった危機管理型防衛政策であり、危機の抑止、平時の安全政策であり、特定地域への対策ではない。
 政策としては、@政策遂行手段、目標達成度合い評価など総合的手段、日米安保の信頼性向上、A危機特性をこうずるタイムリーな措置の枠組み、B国、政府、地方の総合力確保、C自衛隊、警察、海保庁、その他実行機関の立場に立った措置への配慮、D実行機関準備の重要性への理解の確保政策。措置としては、@計画体系確立と各種実行計画作成(災対法はそのモデル)、A有事対応、B交戦規定(ROE)の設定、などを要望したい。
 有事への対応は、国民の理解を得て対処すべきだ。法案の早期成立を願う。

▼ 笹森清(日本労働組合総連合会事務局長、民主)

 新ガイドラインを国民の審判を受けずに合意をしたことが問題だ。国民の疑念の解消を求める。日米安保条約の改定をしないまま、二国間同盟が地域全体の安保を担保するものに変質している。98年4月、審議未了だったものを、内閣の連立枠組みが代わったのに原案のまま審議することは理解しがたい。法案が安保条約に根拠を置くことを明記すべきだ。
 後方地域支援の内容について不明確なまま合意していることに不安と疑問を持つ。緊急時以外は原則として国会の事前承認とすべきで、承認後の経過見直し措置を加えるべきだ。
 周辺範囲の定義を、防衛的性格、国際地政学の観点から明確にすべきだ。武器使用、船舶検査、機雷除去の基準等も明確にすべきだ。
 民間協力について「同法案での義務づけは行わない」とあるが、現行法の範囲で行えるのならば協力規定は削除すべきだ。
 加盟団体の中に、港湾での危険作業に関わらざるを得ない状況が何回かあり、被弾したという危険な経験が平時においてあったことを考慮すべきだ。
 いわゆる「非核神戸方式」については、生活者不安を解消する観点から理解すべきであり、政治的意図で妨害すべきでない。
 米軍への施設提供については、演習地移転問題などの既成事実について明らかにし、基地における不祥事についても審議すべきだ。

▼ 岡崎久彦(元駐タイ大使、自由)

 ガイドラインは日米同盟関係の強化の目的。周辺事態の定義は、日本にとっての安全予想により、拡大または縮小するものであるが、世論において必要ならばつくるべきだ。後方地域支援の適用範囲は、安易に狭めることは無意味である。支援をすべきかどうかはっきりした方がよい。日米同盟は、国の死活に関する問題である。日本が平和で安全、自由であるのは今までの、日英・日米同盟による保障である。同盟が自立、自治外交、平和主義に反するという意見もあるが、安保・同盟問題に、自立・平和主義を盛り込むのは難しいことだ。また、国土防衛には膨大な費用がかかるものだ。米国にたてついたからといって、自立にはならない。
 将来的には集団的自衛権は必要で、これを行使しない(米国の求めに手助けしないこと)は日米同盟が崩れる。各国の経験を見れば、同盟を守るために最後は核戦争をする。平時から備え、計画することが日米の信頼関係を強める。

▼ 小沢隆一(静岡大学助教授(憲法学)、共産)

 周辺事態法案撤回を求める。
 「周辺事態」の概念が「事態の性質に応じる」とすれば、際限のない拡大を禁じ得ない。日本に武力攻撃がなされていない場合を「周辺事態」と認定するのは、日本と米国の集団的自衛権を前提とする。これは従来の政府見解によれば憲法違反であり、日米安保条約の逸脱でもある。
 後方地域支援は武力行使にあたらず武力行使と一体化しないという政府説明があるが、国際法に照らせば、後方地域における兵たん活動は、「戦闘行為、兵たん活動も等しく攻撃対象となりうる」とされている。リア・エリアでのロジスティック・サポートは軍事目標となる。(編集部注:政府は、「後方地域支援」は「リア・エリア・サポート」であり、「兵たん」を意味する「ロジスティックス」とはちがうと説明している。)兵たん活動自身の合法性は、武力行使の合法性と関連している。米国の対処を米国自身が判断するのであれば、日本の後方地域支援の合法性は、米国の判断に委ねられていると言える。
 憲法第9条は、狭い意味での戦闘行為の禁止でなく、総合的な戦闘行為を禁じている。正規の戦争ではない武力行使を含めて禁止をしている。
 国会事後報告では、議会制民主主義が守られておらず、周辺事態認定の基準も示されていない。
 武器使用について法案は、武器使用と武力行使を分けている。武器の種類の限定がなく、武器使用に際し上官命令が当然、自衛隊法95条適用も当然とされている。武力行使との境界があいまいである。後方地域支援には武器使用の前提がないにもかかわらず、武力攻撃に対する反撃が可能ということは、後方地域支援の際の武力行使の可能性は法案をこえてはるかに大きい。集団的自衛権でしか説明のつかない後方地域で支援活動を行いつつ、攻撃を受けた際は個別的自衛権での反撃を正当化する論立ては正しくない。
 自衛隊法改正案については、外国での緊急事態の輸送時の武器使用は危険であり、また、国際条約上軍用機による民間人の輸送に保護適用はなく、危険は増大する。相互レベルでの平和的な解決を突き崩す危険を持っており、戦後の日本が積み上げてきた信頼を損ねるものである。

▼岡本行夫(株式会社岡本アソシエイツ代表取締役、元外務省北米第一課長、自民)

 国の安全を守る必要性があるならば、日本と同様の価値観を共有する米国と同盟を結ぶこと以外は考えられない。周辺の紛争が日本に及ぶ可能性は大きい。日本を安全にするための抑止は、緊密な米国との協力と約束を守ること。そのような日本の対応を周辺国が意識することが抑止につながる。
 海上交通三法など国内法改正の必要。海上保安庁は平時の安保に重要ながあるのでもっとつめるべき。防衛医官の領域外派遣も認められていない。
 国連安保理決議が前提ということには異論がある。東アジア地域の状況を考えると、安保理決議は成立しにくいと思われる。多国籍軍型の行動に日本が参加しないことは「いやな部分を外国に押し付ける」ことである。日本が加わることが信頼を得る。
 非核証明などで米国艦船の入国拒否をするなど、米国防衛戦略に不都合なことを要求することは日米安保の崩壊につながる。自治体の一人よがりだ。
 日本への攻撃に対する審議がされていない。その際の対応行動ができない現状を検討すべきだ。

▼小川和久(国際政治軍事アナリスト、民主)

 日米安保体制を日本の国益と平和を守る役割の為に維持すべきだ。危機管理失態は国の盛衰につながる。安保を選んだ国として、どのように関わったらいいのか、現実に生かすべく審議すれば国益を損なわない。法案は、日本の国益のために米国をどう機能させるかという観点が不明確なため、疑いを持たれかねない。米軍への便宜供与は、技術的な部分が先行することなく、日本の国益につながるような機能の議論のなかでイエスかノーを示すことが、信頼・期待・評価を得る。国家意思の表明は国民の代表である国会の仕事であり、官僚がやることではない。
 旧ガイドラインで研究協議の対象としていない「事前協議」、「憲法上の制約」、「非核三原則」について日本の見解を打ち出すべきだ。「周辺事態」について同意、非同意を表明できる態度をとり、同盟国への拒否力を持てば、日米同盟の健全な維持と周辺諸国への安全と信頼が確保できる。
 北朝鮮については、国交正常化に向けて信頼を得るよう努力が必要だ。
 集団的自衛権行使については、憲法・安保・国連憲章を読み込み、日本的なものを作る。「後方地域支援」というまやかしの言葉を使うべきでない。

▼伊豆見元(静岡県立大学国際関係学部教授、明改)

 法案の早期成立を望んでいる。
 朝鮮有事について法案の意味合いは有事への抑止だ。北朝鮮は真剣に日米間の協力関係を意識しており、有事においての在韓・在日米軍の対応に関心を持っているので、ガイドラインの整備は軍事衝突を事前に防ぐ「予防防衛」だ。ミサイル攻撃ついて、日本が攻撃を受けた際は反撃をすることになっているが、実際に相手のミサイル基地を爆撃できる能力燃料・武器などの整備があるのかを示し、反撃に対抗できるのかの議論が必要だ。それが周辺諸国への抑止力につながる。
 法案については、独力防衛でなく同盟を選んだ国として、周辺諸国の懸念を解消するのに役立つよう、あいまいな部分を具体的・明確にすべき。
 「予防防衛」だけでは足りない。紛争の予防外交がともに行われるとなお効果的。北朝鮮に対して、対話と抑止、建設的な対応の変化を引き出すような対話が大切だ。

▼川本和弘(日本乗員組合連合会議議長、社民)

 私たちは日本の民間航空パイロットの9割5,200名で組織する団体だ。
民間航空利用は、国際民間航空機構のなかでおこなわれており、それを維持する国際民間航空条約(シカゴ条約)が機能して利便性を日常的に享受している。その条約の前文に、「国際民間航空の濫用は、一般的安全に対する脅威となる」とあり。第3条によれば、保護を受けるのは民間航空機のみで、軍など国の航空機は国際的民間航空システムの中では保護されない。ガイドラインが発動された場合、それらの前提がすべて崩れ、その場で働く者として大きな危惧をいだかざるをえない。
 周辺事態法案第9条には、日本がおこなう米軍支援に、国以外の者に対し必要な協力を依頼することができるとある。あくまでも依頼であり強制ではないというが、現実にそう動くのか。許認可権の支配する業界の企業にとって、国からの依頼を断ることは難しいと思う。ある企業の団体交渉では、社長が「国の要請には応える」明言した例がある。従業員にとって会社の業務命令に逆らうことは難しく、生活をかけて拒否するのか、やむを得ず参加するのか、二者択一を迫られる危ぐを持っている。
米軍協力について民間航空関係の協力は、米軍による空港の使用・人員や物資の積み降ろし、保管、保管場所の提供、民間航空機による人員・物資の輸送などが考えられる。97年の日本のある航空会社が米国海兵隊員を沖縄から横田に運んだ問題では、団体交渉等を通じて会社に中止を依頼し、帰りの便は中止になった経緯がある。
 そのほか航空機の整備、燃料等の補給等、航空管制、空域の優先的使用、異常接近・空中衝突の危険性などが多くなると考えられる。現在でも軍用機と民間機との異常接近が日常茶飯事的に発生しており、万一、周辺の空域や海域が紛争事態になった場合は民間航空の安全は根底から覆ってしまうのではと考える。
 民間航空機長の責務は乗客の生命の安全を確保すること。もっとも脅威となるのがすでに何例もあるテロで、これを抑止するのは相手の意思が固ければ不可能といえる。日本の民間航空機は世界各国を飛び回っており、日本でいくらセキュリティーを厳重にしても防ぐことはできない。
 紛争当事国にならなくても、イラン・イラク戦争当時、ホルムズ海峡で米軍の誤射でイランの航空機が撃墜され、二百九十人の乗客全員が亡くなった。こういう苦い教訓、悲劇がたくさんあり、そういう観点から、ガイドラインの法案について大変危ぐをしている。

●参考人に対する質疑(抜粋)

▼大石秀政(自民)
 阪神大震災も有事の一つか。
▼西元
 地域非常事態に自衛隊は船からも重要な働きをした。そういうことからも、自治体と国とが結ばれるよう望む。

▼桑原豊(民主)
 民間協力に応じた企業の労働者は協力することになる。審議の中で「拒否したいことを強制されたら、個人の力で回避するべき」とのやり取りがあったがどう思うか。
▼笹森
 企業の押し付けから労働者の権利を守るために、労組としては「労働者の拒否権提示の事項」を「労働協約」に盛り込まれるよう努力する。

▼遠藤乙彦(公明)
 北朝鮮の核・ミサイル開発については。
▼西元
 北朝鮮に対しては、@国際社会化が一致協力して対応すべき、A日本の防衛体制、日米安保体制の強化、B法整備、C外交的な説得などが必要。
▼笹森
 朝鮮の安定は重要、日本の外交力の強化−政府、行政、民間それぞれのレベルでの外交が必要。
▼岡崎
 基本は米国と韓国の協調が大切。有事を考えると、その2国での有事に比べれば日本の損害はわりと少ないだろう。ミサイル問題は残っている。
▼小沢
 憲法の前文にたったものから検討されるべき。TMD構想の参加には問題あり。北朝鮮とは外交的対処を求める。

▼達増拓也(自由)
 武器使用についてどう思うか。
▼西元
 自衛隊法95条と周辺事態法案11条とのセットは必要最小限。

▼木島日出夫(共産)
 小沢氏の論文の中に「周辺事態措置法案には白紙委任のシステムが盛り込まれている。」とあるがそれはどういうことか。
▼小沢
 国家総動員法には、総動員物資・業務の規定がある。周辺事態措置法案は、実質上の強制があると見られるにもかかわらず、自衛隊の活動以外の国家行政、自治体、民間への協力活動に対する業務などの明記がないので、まさに当時の言葉を使って比較すれば「白紙委任」といえるのではないか。

▼田村憲久(自民)
 地方自治体の断る口実を与えずに、強制的に協力を求めるようにしたほうがいいと思うが。
▼岡本
 今のままでは強制力はないが、協力を求めるという明記があれば地方に投げかけることができるのでよいと思う。
▼小川
 政府の説明責任として事後告発権があるといいと思う。

▼玄葉光一郎(民主)
 対北朝鮮外交について、超党派国会議員訪朝団(村山外交)についてどう思うか。
▼伊豆見
 建設的対応は期待うすいが、対話はできるのではないかと思う。村山外交については、対話のチャネルが多いのは良いことだ。悪化状態をよくするためには、成果を求める前に、金正日まで日本の状況が直接伝わるようにすることが大事で、あえて「お土産」はいらない。
▼岡本
 日本政府の拉致問題あたりから関係が悪くなってきた。対話の前の誠心誠意の伝達行為だけでも続けてほしい。
▼玄葉
 対中国政策は。
▼岡本
 第二次大戦の傷は時が癒すことはない。72年にきちんと政府が示していないため、中国の民族主義は反日の中国人を増やすこととなったので、意識的努力は必要。
▼小川
 米国と並ぶ重要な国なので友好国として関わるべき。台湾問題などがあるが、互いの価値観をもっと話し合い続ける必要があると感じる。米国の「建設的関与」を学ぶべきだ。

▼赤松正雄(公明)
 対北朝鮮政策について。
▼伊豆見
 挑発行為をつつしんでもらうために北と日本との対話を。非難されていることについて無視することはいけない。非難されていることは一つ一つ応えることが必要。食料支援などにより、「ノドン配備」をやめさせるような取り引きができるのではないか。

▼西村眞悟(自由)
 国民の関心が薄いのはセキュリティーの問題として議論しなかったからだ。集団的自衛権はあるんだという前提で政策をする必要性についてどう思うか。
▼小川
 (集団的自衛権が)「あっても使わない」という議論はおかしい。あるべき安保制度の姿の実現が必要。

▼佐々木陸海(共産)
 共同アピールとはどういうものか。
▼川本
 99年3月19日に提出した。(注:「第1号」に抜粋掲載。)ガイドライン法案の廃案を求める共同アピールで、陸・海・空の交通・港湾関係の組合員など277,000人が参加している。内容は、自動参戦・後方支援などへの安全性、憲法や国際法に違反しているのではないか、経済活動・国民生活への影響、民間協力は実質強制ではないのかというものである。

▼保坂展人(社民)
関空・成田なども協力要請の対象に含まれるが、米軍が管制をコントロールし、要塞化されてしまうのだろうか。同時期に現場で運航することが安全に保てるのか。
▼川本
 共用空港化には反対だ。旅客機と軍用機の違いは、例えれば講堂をスポーツカーが全速力で走るような事態であり、極めて安全性が揺らぐと言える。
▼保坂
 民間機が武器・弾薬を運んだときは民間機と言えるのか。11年前のイラン(軍民共用型)のエアバスの撃墜事件などのように、戦闘に巻き込まれることについてどう考えるか。
▼川本
 国の航空機と見なされる可能性が高い。イランイラク戦争の当時、米軍のミス発射をし、6000万ドルの慰謝料を払って解決した。セキュリティーシステムにはすき間があり安全の確保は難しい。

<資料2>地位協定5条適用をめぐる過去の論議(1969年4月18日第61回国会衆議院内閣委員会会議録より)

▼手塚良成運輸省航空局長
 「(米軍機が羽田へ相当回数着陸していることについて、)着いております内容は、燃料の補給あるいは一時的な部品の交換、そういうわれわれでいいます技術着陸という立場で着いておるわけでございます。・・・(その回数が増えたときは)しばしば外交ルートを通じまして米軍に申し入れをして、そういう地位協定のたてまえ(第5条)があっても、なるべくそういう本来の接収飛行場すなわち横田、厚木等を使うようにということを要請しており、その実効をあげてきております。成田につきましては、一定のエリアを継続的に使うというような意味の使い方については、私どもは拒否するつもりでおります。・・・」(中略)
▼渋谷悠蔵議員
 「・・・現在羽田に離着陸しております米軍機ですが、この中に軍事目的で使われている米軍機はございますか・・・。」
▼手塚航空局長
 「軍事目的云々は実は私どものほうではわからないわけでございます。・・・(地位協定5条に基づいて)米軍機に対しては航空法の特例法というのができておりまして、管制に従う以外の問題につきましては航空法の適用はないということになっております。しがたってその積み荷とかあるいはそういう目的というようなことについてこれをチェックする、あるいはとめる、そういうようなことは、われわれ航空当局においては、法律的な面においてはできないということになっております。・・・」
▼渋谷
 「・・・そうすると、やはり米軍機が成田空港へ着く場合は軍事目的か何かわからないままに着けるということになりますが、そう理解してよろしいですね。」
▼手塚航空局長
 「・・・私どものほうで立ち入り調査権というようなものが、米軍機に関してははずされております。それから、たとえば軍需品の輸送は、一般民間航空については禁止をされておりますが、そういった航空法の適用も除外になっております。したがって、そういう面でのわれわれのタッチということはできません・・・。」
▼渋谷
 「・・・米軍機は成田空港に離着陸を許すというのでしょう。許すのですか、許さないのですか。」
▼手塚航空局長
 「軍事基地的な使い方としては許しません。・・・そういう要請がございました場合にはこれを拒絶をするというふうに考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、地位協定5条に基づきますところの技術着陸的な出入についてはこれを拒否はできないので、あるいは成田にもおりることがあり得る・・・。」
▼渋谷
 「御答弁は非常にあいまいですね。
 公団の総裁に伺いたいのですが、あなたは地元で土地の提供や何や一生懸命骨を折っておるときは、口をすっぱくして、軍事目的には使わぬということを言ってきたはずですね。この方針、変わりましたか、変わりませんか。」
▼今井栄文新東京国際空港公団総裁
 「変わりません。」(中略)
▼渋谷
 「(米軍から)どうしても使わしてもらいたいという強い要請があれば、これはいまの地位協定5条に照らしても、断りきれないのじゃないですか。・・・」
▼手塚航空局長
 「地位協定5条は、先ほど来申し上げておりますような不時着的な使い方をさしての、米軍の権利と申しますか、条約上の地位になっておるわけです。軍事基地的な使い方で使わしてくれというような言い方で参ります場合には、合同委員会の議を経なければなりませんので、これは私どものほうでは拒絶をすることは可能だ。・・・」(中略)
▼渋谷
 「・・・原則として米軍機そのものの離着陸を許すのか許さないのか、あなたはちっとも答えていないじゃないですか。拒絶するなら拒絶するとはっきり言ったらよろしい。・・・これは局長じゃだめだったら、われわれはやはり原田運輸大臣に御出席を願ってはっきりした御答弁を聞きたい。・・・」(中略)
▼原田憲運輸大臣
 「現在の条約というものにのっとりまして軍事基地に使うという考えをもってきた場合には、これを拒絶するという態度を持してまいります。・・・現在羽田において米軍の徴用した民間機が燃料補給等のために離着陸しておるというようなことに対しましても、できるだけ現在交渉をもって減少せしめておるというように、制限をするようにできるだけの努力をし、民間空港としての本旨に反しないものとする所存でございます。」(中略)
▼渋谷
 「地位協定の5条というものは、アメリカが軍用機の離着陸を要求した場合には断れないようになっているのです。断れないでしょう。断れますか。・・・」
▼原田運輸相
 「条約のたてまえでは技術着陸等のための出入りは人道上のこともあり拒絶できない。しかし、軍事的な問題は拒絶する、こういうことでございます。(中略)
 (地位協定5条の)運用についてはできるだけ制限的に運用すべきものと考えております。新空港は元来、純民間空港として建設しつつあるものであります。したがって米軍機の出入りについてはわがほうに支障があれば日米合同委員会を通じ協議し、これを抑制するよう処置する所存であります。・・・」(中略)
▼渋谷
 「結局、人道上あるいは非常の場合ややむを得ない軍用機を除いては、全面的にこれを拒否する、あるいは合同委員会にかけるという御主張ですね。・・・」
▼原田運輸相
 「そういうことにいたいしたいという所存でございます。」

ページの先頭に戻る

<資料3>新ガイドライン法案に反対・危惧を表明した地方議会

1999/4/5現在
県名 自治体名
北海道 札幌市、留萌市、釧路町、上砂川町、夕張市、浜頓別市、深川市、黒松内市、本別町、美唄市 10
青森 川内町 1
秋田 藤里町、男鹿市、五城目町、矢島町、横手市、稲川町、羽後町、東成瀬村、雄勝町、田代町、皆瀬村、西目町、雄物川町、鷹巣町 14
岩手 大東町 1
山形   0
宮城   0
福島 大玉村、鏡石町 2
栃木 日光市 1
群馬   0
茨城 藤代町、下妻町、内原町 3
千葉 栄町、下総町 2
埼玉 小川町、加須市 2
東京 小金井市、田無市、清瀬市、狛江市、保谷市、武蔵村山市、東大和市、多摩市、稲城市、国分寺市、新宿区 11
神奈川 平塚市、茅ヶ崎市、座間市、津久井町、横須賀市、厚木市 6
山梨   0
新潟 津川町、田上町、塩沢町、六日町、加茂市 5
長野 小諸市、諏訪市、大町市、信濃町、戸倉町、上山田町、北御牧村、松川村、四賀村、生板村、大桑村、佐久町、波田町、木曽福島町、辰野町、箕輪町、木島平村、野沢温泉村、栄村、豊田村、牟礼村、原村、喬木村、臼田町、大岡村、信州新町、松本市 27
富山   0
石川   0
福井   0
岐阜 笠松町、北方町 2
静岡 県議会、清水市、長泉町 3
愛知 扶桑町 1
三重   0
滋賀   0
京都 京都市、舞鶴市 2
大阪 田尻町、吹田市、泉佐野市 3
奈良 平群町 1
和歌山 すさみ町、古座町 2
兵庫 城崎町、香住町、竹野町、浜坂町 4
鳥取   0
島根   0
岡山 高梁市、有漢町、久世町、久米南町、落合町、大原町、和気町 7
広島 府中町、熊野町、神辺町、広島市、安浦町、芸北町、世羅西町、福山市、作木村、因島市、廿日市市、君田村 12
山口 楠町 1
香川   0
徳島 木頭村、日和佐町、牟岐町、鴨島町、阿波町、山川町、勝浦町、池田町、海南町、川島町 10
愛媛   0
高知 本山町、大野見村、十和村、高知市、芸西村、伊野町、伊賀町 7
福岡 糸田町、大牟田市、鞍手町、行橋市、椎田町、築城町、桂川町 7
佐賀   0
長崎 伊王島町 1
熊本   0
大分 上浦町、香々地町、浦江町、宇佐市、犬飼町、津久見市、日出町、鶴見町、大野町、清川村、九重町、安心院町 12
宮崎   0
鹿児島 名瀬市(空港軍事利用反対) 1
沖縄 西原町、東風平町、具志頭村、佐敷町、北中城村、読谷村、中城村、南風原町、大宜味村、沖縄市、大里村、糸満市 12
合計   173
「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」調べ




ページの先頭に戻る



特定非営利活動法人
ピースデポ
〒223-0051 横浜市港北区箕輪町3-3-1-102
TEL:045-563-5101 FAX:045-563-9907
Email:
office@peacedepot.org