■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報

第10号 1999年4月27日


発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
予約・問合せ先:〒223-0051横浜市港北区箕輪町3-3-1日吉グリューネ102号ピースデポ
TEL:045−563−5101 FAX:045−563−9907
Email: peacedepot@y.email.ne.jp
Website: http://www.jca.apc.org/peacedepot/

○予約者に無料で、ファックスまたは電子メールで一斉にお送りします。(宛名を明記しませんのでご注 意ください。)
○平均して3日に1回、A4版3〜5ページ。
○バックナンバーは、上記ホームページにアクセスするか、ファックスでとり出すこともできます。(03−3813−8180にダイアルし、ボックス番号800#でバックナンバー一覧、810# で最新号が入手できます。)
●掲載しきれなかった情報や、記事の原資料は事務所にあります。お問い合わせを。
●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。
●プロジェクトを支えるカンパを募集します。
 個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円
 郵便振替:00280-0-38075 加入者名「平和資料協同組合」 ※「ガイドラインカンパ」と明記を。
 銀行口座:横浜銀行日吉支店 普通 1216616 「平和資料協同組合」



【衆院、修正案を可決】

 衆院ガイドライン特別委では、26日の委員会の冒頭で、周辺事態法案の政府原案に対する自民・自由・明改3会派による修正案(自自公修正案)と民主党による修正案(民主修正案)が提案され、趣旨説明がおこなわれた。3時間の質疑の後、採決がおこなわれた。二つの修正案の採決では、自自公修正案が可決され、民主修正案が否決された。これを受けて、周辺事態法案は自民、自由、明改が賛成、民主、共産、社民が反対、賛成多数で可決した。関連するACSA改正案と自衛隊法改正案は、自民、自由、明改、民主が賛成、共産、社民が反対、賛成多数で可決した。

●周辺事態法案の政府原案と、自自公修正案、民主修正案の全文の対照表を、明日お届けする。

 つづく27日の衆院本会議では、この結果を山崎拓委員長が報告し、3法案について採決がおこなわれた。委員会と同様の賛否によって、3法案はいずれも賛成多数で可決され、参議院に回された。3法案は、28日に参議院本会議および特別委員会で趣旨説明がおこなわれ、参院特別委での実質審議は連休明けからおこなわれる見通しだ。

ページの先頭に戻る

【衆院特別委理事会、数々の論点が未公開のまま「決着」】

 衆院ガイドライン特別委では、質疑をおこなう各党の議員が山崎拓委員長に対し、「この点について理事会でとり扱いを協議してほしい」と申し出て、山崎委員長がこれを了承すると、その事項が「理事会とり扱い事項」として整理されてきた。特別委の冒頭4日間の総括質疑の中で「理事会とり扱い」とされた8項目の事項については、本速報7号の<資料2>として掲載した(ファックスボックス番号834#)。
 これらの事項のうち、いくつかの点については4月23日または26日(委員会採決の日)の理事会の場で政府側から見解が文書で示されているが、重要なことは、
●それらの政府見解が政府統一見解なのかどうか性格があいまいであること、
●理事会で提示されたものが理事会全体として了承ないし合意されたのかがあいまいであること、
●理事会で了承されたとしても、それが公開の委員会審議の場にきちんとした形で戻され討議されていないこと(26日は3時間のみの質疑で採決にいたった)、
である。
 参議院の審議は、これらの点を整理し、公開の委員会の場で審議し直すことから始まらなければならない。本速報では、こうした衆院での「積み残し課題」を一つひとつとり上げていきたい。

ページの先頭に戻る

【新たな自治体・民間協力項目例示】

 今号では、法案9条の自治体・民間協力の具体例をとりあげる。以下の文書は、4月23日の理事会で政府側の案として提示され、その後26日の理事会で正式に提示されたものである。しかし、政府統一見解であるかどうかははっきりしていない。政府は今年2月3日、「内閣安全保障・危機管理室、防衛庁、外務省」の三者の連名で、「想定される協力項目例」を10項目例示していた。今回の文書は、基本的にこれを踏襲しつつ、新たに「地方公共団体の有する物品施設の貸与等」を加えた11項目とし、各項目について数行ずつの説明を付している。特徴は、委員会での各党の追及を受ける形で、とりわけ民間輸送事業者の協力について安全配慮することや、民間医療機関への患者の受け入れについて一般患者に必要な医療提供が欠けないよう配慮する旨を強調していることである。
 参議院ではまずこの文書の内容、および法的位置づけについての公開審議がなされるべきである。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

国以外の者の協力(周辺事態安全確保法案第9条)の内容について

(1999年4月23日および26日、衆院特別委理事会提出文書、全文)

 協力の内容については、事態毎に異なるものであり,予め具体的に確定される性格のものではなく、以下のものに限られないが、例えば次のような項目例が想定される。
 また、項目ごとに記載している具体的な内容についても、典型的に想定されるような内容を記載しているものであり、これに限られるものではない。

1.地方公共団体の長に対して求める協力項目例(第9条第1項)

○地方公共団体の管理する港湾の施設の使用

 米軍又は自衛隊艦船が、地方公共団体の管理する港湾に入港し、港湾施設を使用しようとする場合に、港湾法に基づく条例による施設の使用許可について協力を求めること等が想定される。

○地方公共団体の管理する空港の施設の使用

 米軍又は自衛隊航空機が、地方公共団体の管理する空港に離着陸しようとする場合に、航空法に基づく条例による施設の使用許可等について協力を求めること等が想定される。

○建物、設備等の安全等を確保するための許認可

 国が燃料の貯蔵所を新設しようとする場合に、消防法に基づく危険物貯蔵所の設置許可について協力を求めること等が想定される。

2.国以外の者に対して依頼する協力項目例(第9条第2項)

(1)民間に対して依頼する項目の例

○人員及び物資の輸送に関する民間運送事業者の協力

 人員、食料品、医薬品等を米軍や自衛隊の施設・区域と港湾、空港との間で輸送することについて、民間運送事業者に依頼すること等が想定される。
 地域としては、主として我が国領域内での輸送が想定される。公海上の輸送も排除されるものではないが、現に戦闘行為が行われている地域又はそのおそれのある地域への輸送を依頼することは想定していない。
 また、安全確保のための配慮事項を基本計画に盛り込んで閣議決定した上、協力を依頼する際には安全確保のためのマニュアルを提供するとともに、事態の変化等について最新の情報提供を行うなど、安全について万全を期していく。

○廃棄物の処理に関する関係事業者の協力

 米軍や自衛隊の廃棄燃料、医療関連の廃棄物について、関係事業者に処理に係る協力を依頼することが想定される。

○民間医療機関への患者の受入

 米軍、自衛隊、避難民、救出された邦人の中の傷病者について、その受入を民間医療機関の開設者に依頼すること等が想定される。
 依頼を行うに際しては、一般患者に対する必要な医療の提供に欠けることのないよう配慮する。
 また、通常は、自衛隊の医療機関、これ以外の国立医療機関、公立医療機関、民間医療機関という順序となると考えられるが、具体的に如何なる医療機関に対して協力依頼をするかについては、傷病者の状況、協力依頼をする地域における医療機関の状況等を加味し、総合的に勘案して決定することになると考えられる。

○民間企業の有する物品、施設の貸与等

 ・民間企業の有する物品の一時的な貸与又は売却
 ・民間企業の有する倉庫や土地の一時的な貸与
 について協力を依頼すること等が想定される。

(2)地方公共団体に対して依頼する項目の例

○人員及び物資の輸送に関する地方公共団体の協力

 地方公共団体の有する車両等による輸送を依頼することが想定される(輸送の内容については、(1)の民間輸送事業者の場合と同様)。

○地方公共団体による給水

 米軍、自衛隊、避難民に水をタンクで給水することを地方公共団体に依頼すること等が想定される。

○公立医療機関への患者の受入

 (1)の「民間医療機関への患者の受入」参照。

○地方公共団体の有する物品、施設の貸与等

 ・地方公共団体の有する物品の一時的な貸与
 ・地方公共団体の有する施設や土地の一時的な貸与
 について協力を依頼すること等が想定される。

(注)地方公共団体の長が施設の使用に関して許可を行う場合は、第9条第1項に基づく協力の求めの対象となる。

ページの先頭に戻る

【傍聴雑感:傍聴しても情報がつかめないまま採決がおこなわれた】

 (編集部:池田佳代)
 これまでは交代で行っていたが、先週は20〜23日の4日間、連続して特別委員会を傍聴した。傍聴席では、それぞれが、目と耳をフル回転させて委員会の様子を見つめ、政府や議員、官僚の発言から見えてくるものを探すのに必死だった。(傍聴者が多い場合は30分ごとに入れ替えることになるが、はじめから最後までいることは可能だ。)
 昨日(26日)の特別委員会は、当日の正午(開始の1時間前)に自民党の大野、民主党の畑両議員から提出された修正案の趣旨説明が行われた。その直後、締めくくり総括質疑が各党から1人20〜40分づつ行われ、引き続き討論(各党の法案に対する意見を述べる)、採決が行われた。
 法律は国会で審議して成立するかどうかが決まる仕組みとなっている。国会の傍聴をしていれば審議の様子から最新の情報を把握できるはずであるが、今回は違っていた。その日の審議終了時までにわかったことよりも最新の情報が、その日の深夜または翌日の朝には報道されているのである。昨日の委員会で、これと同様の発言が野党議員たちからも挙がり、さらに「理事会協議事項の回答も得ていない」、「審議は尽くされていない」、「国会の歴史上恥ずべき審議の記録を残すことになる」などの発言が相次いだ。この法案への国民の理解は進んでいないというアンケート結果があちこちのマスコミで出されたが、国会においても議員の理解(審議)が進んでいない中で採決が行われているように感じた。
 この様子を知るには、多くの市民がその場に居合わせる必要があるのであり、国会議員もそれを切に望んでいるように感じた。



ページの先頭に戻る



特定非営利活動法人
ピースデポ
〒223-0051 横浜市港北区箕輪町3-3-1-102
TEL:045-563-5101 FAX:045-563-9907
Email:
office@peacedepot.org