■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報 第12号 1999年5月7日 発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム 監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代 事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ 予約・問合せ先:〒223-0051横浜市港北区箕輪町3-3-1日吉グリューネ102号ピースデポ TEL:045−563−5101 FAX:045−563−9907 Email: peacedepot@y.email.ne.jp Website: http://www.jca.apc.org/peacedepot/ ○予約者に無料で、ファックスまたは電子メールで一斉にお送りします。(宛名を明記しませんのでご注 意ください。) ○平均して3日に1回、A4版3〜5ページ。 ○バックナンバーは、上記ホームページにアクセスするか、ファックスでとり出すこともできます。(03−3813−8180にダイアルし、ボックス番号800#でバックナンバー一覧、810# で最新号が入手できます。) ●掲載しきれなかった情報や、記事の原資料は事務所にあります。お問い合わせを。 ●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。 ●プロジェクトを支えるカンパを募集します。 個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円 郵便振替:00280-0-38075 加入者名「平和資料協同組合」 ※「ガイドラインカンパ」と明記を。 銀行口座:横浜銀行日吉支店 普通 1216616 「平和資料協同組合」 -------------------------------------------------------------------------------- <1>国会の動き 【衆議院での審議回数及び時間】 4月26日の衆院特別委員会総括質疑の中で、中山利夫議員(自民)の「本特別委員会におきましても、80時間を越える記録的な審議が行われた。この間、修正論議をめぐり、委員会の外での長い論議を通じて、お互いに強い信頼関係を構築することができた」という発言に、修正案趣旨説明者の大野功統議員(自民)は「審議時間は、実は93時間20分になっており、歴代の特別委員会の審議時間の中でもベストテン入りをしている」と答えた。 一方、辻元清美議員(社民)は「60年安保のとき、当時の衆院日米安保条約等特別委員会での審議は39回やっている。今回はまだ10回しか審議をしていない。かつ、政府はこの間、何回も求めた根拠条文すら最後まで示すことができなかった」と発言した。 【10日から参院特別委員会での審議始まる】 6日の理事懇談会で10日(月)参議院第一委員会室で開かれる特別委員会の日程が決まった。各会派の質疑日程は次の通り。 9:00〜11:40 自民 11:40〜12:00 民主 13:00〜14:20 民主 14:20〜15:00 公明 15:00〜15:40 共産 15:40〜16:10 社民 16:10〜16:30 自由 16:30〜16:50 参院 16:50〜17:00 二連 なお、11日(火)の質疑日程は現時点では未定。 【ガイドライン特別委員会委員名簿】 ファックスボックス802#で、参議院特別委員会委員の名簿が取り出せる。議員会館の直通電話・ファックス番号入り。 ▲ページの先頭に戻る <2>地方 【沖縄県民対象に電話意識調査】 沖縄タイムス社は4月23・24日、県民を対象に新ガイドライン関連法案に関する緊急電話意識調査を実施し、その結果を報じた。ガイドライン関連法案に「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人は55%、「賛成」「どちらかといえば賛成」は26%。(沖縄タイムス社4月26日付) 【沖縄県議会で意見書・抗議決議を可決】 4月27日沖縄県議会臨時議会で、嘉手納飛行場内での米軍パラシュート降下訓練と大型ヘリ墜落事故についての意見書と抗議決議をそれぞれ全会一致で可決した。 ▲ページの先頭に戻る <3>論説 【参議院の熱い「第二読会」に期待しよう】 (前田哲男) ●問題の本質は明らかになったか 新ガイドライン関連国内法が衆議院で可決されたのは残念なことであったが、これですべてが終わったわけではない。第二読会ともいうべき参議院での論戦がすぐに始まる。前半の審議が終了したに過ぎないのである。あきらめるのは早すぎる。 憲法第59条は「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決されたとき法律となる」と規定する。衆議院の優越が認められる「特別の定のある場合」とは、予算と条約についてのみである。同条第2項には「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したとき」にしか成立しないと規定されている(速報第6号「審議の流れについて」参照)。だから参議院特別委における審議次第で逆転のチャンスは、まだある。徐々に高まりつつある国民の関心、とくに地方自治体の危機意識が、政府に対する異議申し立てとして今後さらに盛り上がるなら、廃案や再修正・衆議院への差し戻しも十分に見通せる。 衆議院特別委での審議を振り返って、なにが論じられ、また、なにが論じられなかったか考えてみよう。そこから参議院で行うべき議論の方向性が浮かび上がってくるはずである。「周辺事態法案」の核心をなす「周辺事態の定義」「後方地域支援の範囲」「国会承認の形」「船舶検査活動と国連決議の必要性」に関しては、かなり長時間の議論がなされたとはいえる。多くの問題点が指摘され、いくつかの点については修正ないし削除がなされた(速報第11号の対照表参照)。 しかし、それによって問題の本質が明らかになったかというと、そうではない。修正とは本来「よくないところを直して正しくすること」であるはずなのだが、衆議院における修正劇は、もともと法案に内在する矛盾と混乱をさらに拡大するものでしかなかったからだ。それは「周辺事態法案」第1条・目的に追加された文章をめぐる自由党(周辺事態の定義が変更された)の解釈と、自民党(たんなる例示に過ぎない)の180度異なる受け止め方に典型的に表れている。「国会承認」問題についても、条文上の修正がなされたとはいえ、運用上は“事後報告”と同じものでしかない。にもかかわらず衆議院では採決が強行されたのである。 ●“国会対策型審議”がもたらすもの このようなわかりにくい経過をたどった大きな理由は、(1)論じられたエネルギーの大半が議場での質疑討論にでなく、〈自・自・公〉か〈自・公・民〉かという、議場外での政党間による水面下交渉の場で費やされたこと、また、(2)衆議院の審議日程が小渕首相の訪米前議決を前提に立てられたことによる。その結果、周辺事態、後方地域支援、船舶検査活動など法案の柱の実態的な吟味より、成立に向けた数合わせのためにどんな表現で妥協するかに重点が置かれ、また首相の“訪米みやげ”へのタイムリミットとも重なって駆け足修正劇となり、国民の目から見てますます不可解なものとなった。 「国民の関心が低い」と評されるのは、これら“国会対策型審議”がもたらした結果である。 参議院で、この愚を繰り返してはならない。衆議院において明らかになった問題点、また、修正によって新たに生じた矛盾点を踏まえつつ、参議院特別委では“良識の府”の面目にかけて、出直し的な審議がなされることを望みたい。同時に、審議を見守る側も、「もう終わった」とあきらめるのでなしに「まだ後半戦がある」と関心を持続させながら反対と監視の姿勢をいっそう固めていくべきであろう。実際、この奇妙で恐るべき法案は、いまようやく全体像が見え始めたといって過言でない。 ●解明が求められる5つの点 とりわけ参議院で解明されなければならない点として、以下の総論的側面を指摘しておきたい。 (1)日本国憲法をテキストにして(第2章「戦争の放棄」、第3章「国民の権利・義務」、第8章「地方自治」および憲法下の法体系──地方自治法、港湾法、航空法などを引きながら)、新ガイドラインとそれに基づく周辺事態法案が、いかにそれらと相反する反憲法的な協力義務の押し付けであるかを明らかにすること。 (2)日米安保条約をテキストにして(たとえ安保容認の立場に立つにせよ)、新ガイドラインに登場した「周辺事態」なる地域紛争への協力が、条文上に根拠を有しない条約の実質改定であるかを明確にすること。同時に、60年安保改訂のさい、国民に説明された条約の性格(60年2月1日の「岸首相施政方針演説」、2月9日の「藤山外相提案趣旨説明」、2月26日安保特別委における「岸首相と愛知揆一議員との質疑」など)を示しながら、今回の周辺事態協力がいかにかけ離れたものであるか究明すること。 (3)以上のことから、新ガイドラインの決定が安保条約改訂に伴なうものではなく「内閣の行政事務」による「政府間取り極め」として国会の批准承認なく行われるものであるかぎり、従来政府がとってきた憲法と安保解釈の枠内においてのみ許容される行為であるにかかわらず、今回のガイドライン改訂においては、それらを下から突きくずす、法的手続きの破壊が行われた事実を証明すること。 (4)新ガイドラインをテキストにして(「周辺事態法案」は「ガイドラインの実効性を確保するための措置」にほかならない法律案なのだから)、その中で対米公約されたさまざまな軍事協力のかたちが、法案のどの条文とどんな関係でつながっているかを、両者を逐語、逐条的に突き合わせる質疑によって具体的、実態的に追求していくこと。それによってこれまで隠されてきた協力形態が見えてくる。 (5)なかでも、衆議院の審議で十分に尽くせなかった「地方公共団体」と「国以外の者」(民間)の協力分野に燗する徹底した論議が必要である。たとえば、新ガイドライン中の「米軍の活動に対する日本の支援」には、イ 施設の使用として「日本は、必要に応じ、新たな施設・区域の提供を適時かつ適切に行うとともに、米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一時的使用を確保する」と記載される。この対米約束と周辺事態法案第9条の地方・民間協力が、どうつながるのか(速報第1号「日米地位協定と施設の使用」参照)。さらに、ロ 後方地域支援によって、この協力形態が地方と民間にもかぶさってくることも合意されている。すなわち「後方地域支援を行うに当たって、日本は、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する」とされる。後方地域支援に協力させられるのは自衛隊だけではないのである。その協力項目例が「ガイドライン別表」に40項目にわたり列挙されている。地方・民間にかかわる分も少なくない。“項目例”だから、これ以外にもあると考えておくべきだろう。これら新ガイドラインでなされた合意事項と周辺事態法案第9条との関係を、国民にわかるよう明確にしていく論戦を提起しなければならない。 以上は、参議院での論戦を構築していく上での枠組みの提示であるが、衆議院審議で見られた、各党バラバラの、重箱の隅をつつくような一貫性のない質疑を避けるためにも、原案に反対の立場に立つ民主、社民、共産の間で、何らかの連携が必要ではないだろうか。また衆議院にない会派への働きかけも重要である。 ▲ページの先頭に戻る <4>資料 【「在AのB軍に対する後方等の支援」とは?】 衆議院特別委員会の中で上原康助(民主)、志位和夫(共産)両議員などが指摘し、明確な回答が出ていない問題の一つに、「朝鮮半島緊迫時における米軍からの支援要求」がある。これに関して、既に参院予算委員会でも別の文書の存在が指摘されている。以下に、「在日米軍からの後方支援要求(’93年)に対する防衛庁統合幕僚会議の検討内容」について報告する。 (1)4月7日の参議院決算委員会で、緒方靖夫(共産)議員の質問に、野中広努内閣官房長官と野呂田芳成防衛庁長官が答えた。 緒方議員の「北朝鮮の核開発疑惑をめぐる緊張が高まった1993年秋頃、当時の石原信雄官房副長官の主導で内閣安保室を事務局役とし、これに外務省、防衛庁、警察庁を加えた4省庁会議なるものが朝鮮半島有事を想定した対策を検討したというのは事実かどうか」との質問に、 野中官房長官は「関係省庁間で情報交換等を行い、それぞれの立場から所掌事務の範囲内においてあらかじめ必要な検討を行った。しかし、内閣官房に報告するとか内閣官房がみずから何らかの取りまとめを行うとかいった状態には至らずことを終わった」と答えたが、 同議員の「3月4日放送のテレビ朝日系番組『ニュースステーション』の『検証ガイドラインの原点』という特集に、石原氏が登場し、四省庁会議の存在は極秘扱いにした、外務省や防衛庁が米国から得た情報をもとに、事態の進展や米側からの対日支援内容について分析を行ったと、坪井内閣安保室長は経済制裁の実施から朝鮮半島での武力衝突に至るまでのシナリオを想定し、各段階で必要な対応策と法的措置を検討した、米軍への後方支援などを可能にするために有事立法まで練ったなどと証言している」という指摘に、 同庁官は「事実開催した。ただ、事態の変化に伴ってそれを取りまとめて一つのものにするようなところに至らなかった。四省庁会議、やりました」と答えた。 その先の緒方議員と野呂田長官のやりとりを部分的に抜き出して以下に掲載する。 緒方議員「番組の中で、当時の冨澤陸上幕僚長、林崎海上幕僚長らが、四省庁会議と連動して既に統合幕僚会議では在日米軍から受領した朝鮮半島有事の際の自衛隊に対する支援要求リストをもとに、より具体的な検討を進めていたと述べている。米軍は93年当時から支援要求を示していたことは明らかではないか。」 野呂田長官「平素からさまざまなレベルで安全保障上の情報交換や意見交換、さまざまな議論が行われている。それをもとに防衛庁として米軍に対する具体的な支援内容の検討を行ったという事実はないと思う。」 緒方議員「テレビで幕僚長は、固まったものを受け取っていないとかではなく、相当量の要求が来た、各幕も一章にそれを検討することになったと言っている。その資料というのは、統合幕僚会議が93年に作成した極秘研究の一部『在AのB軍に対する後方等の支援』というタイトルで、93年3月の北朝鮮NPT脱退表明を受けて、倒幕が朝鮮半島有事が発生する可能性を想定して、日本が平時の前提で自衛隊による在日米軍への後方支援を研究したもので、支援項目が10頁に渡って列挙され、内容は施設、整備、輸送、衛生などの12項目、さらに48項目に細分化されている。(※) しかも、これら支援項目が日米の秘密研究と言われる有事相互支援(CMS)研究における米軍からの支援要求項目に準拠して設定したと書かれている。これらの報告を受けているか。」 野呂田長官「その当時研究したテーマというのは、現行法制の中でどのような対応が防衛庁としてはできるかという問題について主な検討を加えたというのが実態である。そういう資料があるとは聞いていない、検討を加えたものを固めたという事実はない。」 緒方議員「原資料では、今、長官が言われたように、48項目ごとに自衛隊が支援を行う上での問題点として能力面と制度面の両面から検討を行っている。それをもとに作成した資料では支援実施の可能性を、能力も制度もあるものについては丸、能力はあるが制度がないものについては三角印、能力も制度もないものにはバツ印をつけて示している。ACSA締結とそれに関連する法整備で支援が可能となるものがほとんどである、とこの資料に書かれている。これはまさにガイドライン関連法案を指している、項目内容も符合している、このときの検討が関連法案の下敷きになったことは明らか。」 さらに、同議員は「看護婦の派遣は、自衛隊だけでは対応できない場合、国公立病院や民間病院からの派遣が当然あり得る、米軍からの要望人数によるとされて、人数によっては派遣可能な人員がいないことがある、作業員やドライバー通訳者などの役務の提供も明記されて、結局国民を総動員することになる、九十三年以来ずっと積み上げられて、そしてこのガイドラインの法案になってきた。米軍の当局者は、ガイドラインの項目の九割は米軍の要求によってできているといる。法制化されようとしているその中身は米軍の本来の要求の七割、八割ぐらいだ、と言われている」、「一体なぜこういう形で出て、今日に至っているのかということについて、きちっと押さえていただきたい」と要求し、 野呂田長官は「この法律によって協力をお願いする場合でも、相手はいつでも拒否権がある、断ることは自由であって、何ら罰則も何もついていない、総動員法とは全く考えていない。」と答え質疑は終了した。 (※)緒方議員の示した48項目についての一覧表はFAX BOX:841#にて取り出してください。 (2)『週刊現代5月1日号』に、法案関連の記事が3ページに渡り掲載された。 紙面の内容は、評論家の室伏哲郎氏の法案に対する指摘にはじまり、「ガイドライン関連法案の叩き台になったとされる防衛庁統合幕僚会議がまとめた極秘文書の一部を入手した」というもの。 記事中、その極秘資料は「K半島事態対処計画」と題され、防衛庁内では別名「06(マルロク)防衛研究」といわれる10センチほどの分厚さで、表紙は赤色、機密レベルは最高という文書、と紹介されている。 また、入手した文書については、A4判ペーパーのタイトルは「在AのB軍に対する後方等の支援」で、「在AのB軍」とは在日米軍を指し、内容は(1)現態勢下である程度の能力と制度を有するもの(2)現態勢下である程度の能力は有するものの制度を有さないもの(3)現状では自衛隊は能力も制度も有さないもの、の3つに分類している。 項目の中で「化学汚染除去」とあるのは、北朝鮮の生物・化学兵器による攻撃を受けた戦闘機や船舶の汚染を除去するというもの、「戦没者の取り扱い、仮埋葬地の指定及び提供、B軍のための国外輸送」などの項目は、朝鮮半島有事の際は、米兵の死体を本国に送り返す余裕もなくなることを想定している(米軍のシミュレーションでは、第二次朝鮮半島有事での予想される米兵の死傷者は5万2000人)。 また、「米国国防総省に所属する国防情報局(DIA)が制作した、北朝鮮の軍事力に関するレポートの一節」として、北朝鮮軍は既に化学戦を想定し、日常的にNBC(核・生物・化学兵器)に対する防護訓練を行っており、軍のあらゆるレベルにおいて化学兵器に対する防護部隊が配備されている、と報告している。 ▲ページの先頭に戻る |
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