■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報

第13号 1999年5月12日


発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
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●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。
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 個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円
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<1>国会の動き


【12日・13日と審議続行】
 10日から始まった参議院での審議は二日間連続で連日7時間をかけての総括質疑・集中審議が行われた。
 3回目のきょう12日も、7時間かけて集中審議を行い、明日13日は参考人質疑を行うという慌ただしい審議日程となっている。
 13日の日程は次の通り。

 9:00〜12:00 参考人(陳述各15分)
 森本敏(中央大学総合政策学部大学院客員教授)
 森英樹(名古屋大学大学院法学研究科教授)
 金城睦(弁護士)

13:00〜16:00 参考人(陳述各15分)
 西 修(駒澤大学法学部教授)
 浜谷英博(松坂大学政治経済学部教授)
 志方俊之(帝京大学法学部教授)

 各政党の質問(午前、午後とも)
  自民・民主     各25分
  公明・共産     各20分
  社民    15分
  自由・参院・二連  各10分

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<2>各地の動き


 全国各地で多数の民間団体が法案に関する決議や声明を発表している。法案に対する自治体・民間の関心は全国で広がりを見せている。


【陸・海・空・港湾の交通・運輸事業に携わる人々による声明】(3月19日)
 「ガイドライン」関連法案は、国会での議論が進むにつれ、国民生活に与える影響の大きさと、私たち交通運輸関係に働く労働者を知らないうちに戦争への協力者としてしまう危険性が、日を増すごとに明らかになってきています。

1 アメリカが始める戦争に自動的に巻き込まれる険性−政府は「周辺事態は日本が自主的に判断する」といっていますが、これまでのアメリカによるパナマやイラクなどへの先制攻撃について、日本政府が「NO」と言ったことがあったでしょうか。

2 「後方地域支援だから安全だ」?−支援物資の輸送も「戦闘地域」の一歩手前の「後方」だけにとどめておいたのでは支援になりませんから、「戦闘地域」にまで輸送せざるを得ません。それを強制されるのは、わたしたち交通運輸産業で働く労働者です。

3 日本国憲法や国際法などの法の精神に違反−兵たん活動が国際的には戦闘行為の一部であることは常識です。武力行使を専守防衛に限定し、集団的自衛権の行使を禁止した憲法9条に違反します。民間航空機の安全を担保するために定められた「国際民間航空条約」と日本の「航空法」には、「民間航空機のみに適用し、軍や警察の航空機には適用しない」と明記されています。条約は「軍事協力は認めていない」のであり、軍事物資や兵員の輸送は戦争行為と判断されてもやむを得ません。

4 経済活動と国民生活に影響−「後方地域支援」は経済活動の大動脈である船舶、トラック、鉄道、航空機などの輸送手段を大動員し、港湾や航空、ターミナル施設を軍事優先に使用することになります。物流・生活必需品の停滞、国民生活の混乱が予想されます。

5 「自治体や民間への協力依頼」は実質的な強制−政府が許認可権限をもつ民間企業では、協力要請を拒否できない側面があります。個々の労働者が企業の業務命令を拒否する自由も奪われるでしょう。

−過去に何が起こったか、「周辺事態」で何が起こるか具体的に見てみましょう

●海上輸送−第2次大戦中、商船の徴用により「後方」といわれる兵たん活動で、船員6万人余が戦没。イラン・イラク戦争では、多数の中立国船舶が戦闘に巻き込まれ650人が死傷、日本人が乗り組む船舶12隻が攻撃を受け、2人が犠牲に。

●港湾運送・陸上輸送−輸送手段だけでなく、施設・設備も兵たん基地として攻撃目標となるのは常識。イラン・イラク戦争でペルシャ湾が戦場になったあとの物資輸送に携わったトラック運転手の死者は多数にのぼった。

●航空−平時でも米軍機とのニアミスが相次ぐ日本、「周辺事態」となれば米軍機や自衛隊機が優先し、民間航空が使用する空域や航空路は寸断される。北朝鮮が軍事行動として韓国機や米国機を爆破したテロ行為などから、民間機がテロの対象になる危険性が見てとれる。

●気象情報−航空機・船舶の運航や国民生活に欠かせない気象情報が、軍事機密として取り扱われることは過去の経験から明らか。

以上のように「周辺事態」になれば、陸・海・空すべての物流が停滞し、公共輸送機関はその役割を果たせなくなり、全国民に多大な影響を与えます。そこに働く労働者の生命と財産も危機に瀕します。

 私たち陸・海・空・港湾の交通運輸関係に働く労働者は「自らが絶対に加害者にならない」という決意を込めて、「ガイドライン関連法案に反対し、廃案をめざす」という一点で、立場の違いを越えて、国民各層を労働組合が連帯して行動するよう呼びかけます。        (抜粋)

賛同団体(順不同・20単産単組34万9千名):
全日本海員組合・船舶通信士労働組合・全国港湾労働組合協議会・全国港運海貨物流労働組合協議会・全日本運輸一般労働組合・交通運輸労働組合共闘会議・全国自動車交通労働組合総連合会・全日自労建設農林一般労働組合・国鉄労働組合・全国鉄動力車労働組合・全運輸省労働組合・全運輸省港湾建設労働組合・全気象労働組合・全国税関労働組合・東京都区職員労働組合港湾支部・横浜市従業員労働組合建設支部港湾分会・川崎市職員労働組合港湾支部・航空労組連絡会・日本乗員組合連絡会議・航空安全推進連絡会議

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【国会議員も参加 5.7女性大集会】
 5月7日の午後、東京・日比谷野外音楽堂で、政党を代表した国会議員のあいさつ、海外からのメッセージ、賛同人の発言につづき、全国から集まった女性たちが決議を採択した。

大脇雅子議員(社民)のあいさつ:
 日本の防衛は、これまで専守防衛、軍事大国にならない、非核三原則の厳守、シビリアンコントロールを基本として、平和を維持することが国の大儀だった。法案は憲法・安保条約の枠を越え、国際条約の枠をも踏みこえるもの。私たちは周辺事態の定義と範囲の曖昧さと、法案の危険性にノーをつきつけなければならないと思う。
 ガイドラインの調査で米国に行ったとき、周辺事態とはどこかとペンタゴン、国務省、防衛大学、さまざまな研究所や議員などに聞いてまわった。「ラテンアメリカ・アフリカのケープタウンは含まないだろう」という回答だった。そこで、それ以外は含まれる可能性があると理解した。湾岸戦争のような場合がこの法案に該当するかとの質問に、国務省は「該当することを希望する」と答えた。
 法案は後方支援という名のもとに、自衛隊が海を渡り、武力を行使するという可能性を持っている。地方自治体と民間の協力に罰則はないというが、拒否することは可能なのだろうか。
 衆議院では修正論議に焦点があてられすぎて、法案の本質に迫る議論が少なかったと思う。各地からの真剣な意見が反映することはほとんどなかった。周辺事態の定義、武力行使の範囲、後方支援の内容、民間・自治体の協力など、法的に定義として詰めていく作業が残っている。参議院では国民の意見を審議の中に反映していきたい。
 平和と民主主義は武力で築くことはできない。NATOへの空爆はすぐに停止して、政治的・平和的解決がはかられることを願わずにはいられない。(要旨)
 
竹村泰子議員(民主)のメッセージ:
 政府は日本の安全保障政策の大転換をガイドライン関連法案という形に押し込んでいる。周辺事態という言葉と、その認定、武器の使用、自治体や民間の協力など、多くの懸念はそのまま。このままでは、コソボ問題のような事態が起きたとき、日本はアメリカの命ずるがままに米軍の行動に協力せざるを得なくなり、当然近隣諸国をも巻き込む状態になっていくのは明らか。ともに頑張りましょう。(要旨)

 決議:
 国民の間に疑問が出されているのに、衆院で強行採択し、いま参議院で審議されています。この法案が成立したら、アメリカの引き起こす戦争に、日本が参戦することになり、日本の自由も独立も平和もおかされてしまいます。
 アジアと日本のはかりしれない犠牲と引き替えに手にした日本国憲法。「戦争をしない」の誓いこそ、いま世界で輝いています。国連を無視したNATO軍によるユーゴ爆撃をみても、武力によっては何も解決しないことは明らかです。
 21世紀へ、平和な日本と世界を引き渡さなければなりません。日本国憲法を守り、新ガイドライン法の廃案を要求します。(抜粋)

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<3>資料


【弁護士会による声明・決議】

 各地の弁護士会が法案に関する声明や決議を発表している。今号では、東京、横浜、静岡、新潟の各弁護士会によるものを掲載する。(一部省略)


●東京弁護士会 会長声明(3月10日)
 新ガイドライン関連法案は、以下のとおり、憲法に反する疑いがきわめて強いものである。

 周辺事態措置法案は、「周辺事態」に際して、我が国の米軍に対する後方地域支援、後方地域捜索救助活動、我が国の領海又は周辺の公海における船舶検査活動を実施するものとしている。これは、憲法上「集団的自衛権」は認められないとしている政府見解にも抵触する疑いがある。しかも、安保条約ですら限定している地域の概念及び共同行動の範囲を際限なく拡大させるおそれもある。

 また、武器、弾薬の輸送も含む後方地域支援や、臨検にまでわたる可能性のある船舶検査等の周辺事態措置活動は、実質的には米軍の戦闘行為と一体のものと評価されかねないものであり、専守防衛の枠を乗り越える危険性を払拭できない。

 とりわけ、重大な問題点は、周辺事態の概念が明確でなく、周辺事態の認定主体・手続が規定されてないこと、周辺事態の対応措置の「基本計画」は閣議で決定され、国会の承認を要件とせず報告で足りるとされていること、さらに、地方公共団体や国以外の者に依頼することができるとされる協力の種類や内容等はすべて基本計画及び政令に白紙委任され、かつ、事実上の強制力をもって行われる可能性もあることである。これらは、国会を唯一の立法機関で国権の最高機関と定めた憲法41条や地方自治の本旨を定めた憲法92条に反するばかりか、国民の基本的人権を侵害するおそれもある。

 憲法は、「日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」、「全世界の国民が、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」(憲法前文)としたうえで、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を明定している(憲法9条)。新ガイドライン関連法案は、この憲法前文の趣旨を逸脱し憲法9条を始めとする各条項に反する疑いがきわめて強いといわざるをえない。

 当会は、基本的人権の擁護を使命とするものとして、この法案の憲法上の問題点を指摘し、国会に対して慎重な審議を求めるものである。   

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●横浜弁護士会 会長声明(3月18日)
1 法案は、一昨年は9月日米両政府間において合意された「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)を実効あらしめるために国内法を整備しようとするものであり、周辺事態法案は、周辺事態に際して、自衛隊等による米軍への後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動などの対応措置を定めるとともに、地方自治体その他の者に対しても対応措置への協力要請ができることを定めようとするものである。

2 この法案に対しては、ことに数多くの米軍基地を抱える神奈川県において、多くの地方自治体や県民から様々な懸念、不安が表明され、市議会や町議会でも法案に反対する意見書、危惧の念を表明する意見書があいついで採択されている。

 神奈川県下においては現在でも、たとえば厚木基地における訓練の強化による騒音被害の拡大など、米軍基地による市民生活への影響は甚大なものがあり、これに加えてすでに、基地として提供されていない港湾への米軍艦船の寄港などが問題になっているところである。

 周辺事態法案によれば、周辺事態における米軍への協力は、安保条約6条に基づく米軍基地の提供を超えた、きわめて広範な事項にわたっていることは、(その別表をみれば)明らかである。地方自治体との関係でも、港湾の管理、貯油施設の許可(消防法)、病院の提供、武器・弾薬を含む物品や人員の輸送などのほか、どのような協力要請があるのか予測は困難であり、また、このような後方地域支援によって市民生活への影響がさらに深刻なものになるのではないか、他国から不測の攻撃を受けることにならないかなど、地方自治体、県民の不安には深刻かつ現実的なものがある。

3 周辺事態法案においては、上記意見書も指摘するように、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という「周辺事態」の概念がきわめて不明確であり、また、「我が国領域並びにそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われていることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空」という「後方」地域」なるものも、画然と線引できる性格のものとは思われない。

 しかも、「周辺事態」が生じたとの判断や、自衛隊はもちろん地方自治体・民間企業・国民の協力を含む後方地域支援などの対応措置の内容は、総理大臣が閣議の決定により実施するものとされ、国会の関与は事後報告を受けるにとどまっていて、内閣に対しる白紙委任というべきものとなっている。国民全体の日常生活や平和のうちに生きる権利の基本を左右しかねない重大な意思決定に、国民の民主コントロールが及ばない構造となっているのである。

4 そもそも新ガイドラインは、安保条約5条のいう「日本の施政下にある領域」への武力攻撃でない場合である「周辺事態」に、日本が米軍を支援することを取り決めたものであること、安保条約6条との関係でも、新ガイドラインに先立つ日米安保共同宣言(安保再定義)で「アジア太平洋地域の平和と安全の維持」等への対応が唱われたのを受けたものである「周辺事態」への対処は、米軍への基地提供目的である「極東」の範囲を越えてしまっているのではないかという疑問を生ずることなど、安保条約の実質的な改定に当たる疑いがある。しかし、安保条約改定としての国民的議論と条約承認の手続が践まれないまま、このたびその国内法化としての国民的議論と条約承認の手続きが周辺事態法案等の制定が進められようとしているのである。

5 ここに当会は、以上のような多くの法的問題点をかかえ、また国民・県民の人権や生活に深刻な影響を与えることの危惧される周辺事態法案及び関連法案について、重大な懸念を表明せざるをえない。これらの法案は、新ガイドラインについて国民的議論が不十分である経過も含め、改めて広く議論が尽くされることが不可欠であり、国会においても、そうした十分な国民的議論を経たうえで、慎重な審議が尽くされなければならないと考える。

 憲法の規定する国民の基本的人権、平和のうちに安全に生きる権利が、政府の行為によって万が一にも侵害されてはならないからである。

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●静岡県弁護士会 会長声明(4月14日)
 政府は1998年4月「日米防衛協力のための指針」を具体的に法制化した新ガイドライン関連法案(周辺事態措置法、自衛隊法改正案、日米物品役務相互提供協定改定案)を国会に上程し現在、その審議が継続している(以下、単に本法案と略称する)。
 しかし、本法案に対しては地方自治体をはじめ各種団体からは反対あるいは慎重審議を望む声が多数あげられている。これは本法案に基づく周辺事態に際しての米軍に対する後方支援活動などの諸活動は実質的には米軍の軍事活動と一体のものとして評価される畏れのの強いものであり、我が国が専守防衛の枠を越えるばかりか第三国からの攻撃を受ける危険性を包含するからである。

 特に重要な問題は、本法案における「周辺事態」の概念が明確でないうえに、「周辺事態」の認定主体、認定手続きが規定されていないこと、「周辺事態」の対応措置たる「基本計画」は閣議決定されるもののその判断如付によっては後方支援活動の範囲内容はいかようにも拡大される危険を孕んでいるということである。

 更に、本法案の有する重大な危険性として指摘してなければならない点は、「周辺事態」の対応措置たる「基本計画」の閣議決定は、国会の事前の承認ではなく事後の報告で足りるとされていること、しかも、地方公共団体や民間の諸機関に依頼することとされる支援協力の種類や内容等は、すべて「基本計画」や政令に白紙依頼されることになっている点である。こうした規定は、憲法上の保障を有する地方自治行政の下で暮らしている地域住民の生命と安全に重大な危惧をもたらすこととなろう。

 以上のとおり本法案は国会中心主義、地方自治体の本旨に抵触し、何よりも「政府の行為によって再び戦争の惨禍を招くことのないよう」非戦の決意を宣明した国際平和主義、戦争放棄という憲法の原則に抵触するものである。
 よって、当会は国会に対し、本法案についての慎重な審議を要請するものである。

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●新潟県弁護士会決議(2月26日)
 法律案は日本国憲法前文第一段及び第9条に違反し、また国際連合憲章第2条3号及び4号に違反する危惧を冒すものである。
 新潟県弁護士会は右法律案に対し、強い反対の意思を表明する。

理由

1 日本国民は日本国を存亡の危惧に立たしめた第二次世界大戦の惨たんたる経験に深く思いをいたし、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」した(憲法前文一段、不戦の決意)。

 法律案は、周辺事態に際し日本政府が自衛隊を出動して必要な対応措置としての後方地域支援を、米国と第三国間の「戦争等の武力紛争」に従事する米軍に対し提供する道を開くものである、この後方地域支援は、米軍の戦力を補給ないし増強するためのものであるから実質上の参戦に当たる。

 周辺事態の認定は内閣(政府)が行ない、対応措置の実施及びその基本計画は閣議決定される、対応措置の実施は内閣総理大臣の指揮・監督の下、関係行政各部がこれに当たる、自衛隊による後方地域支援の実施は内閣総理大臣及び防衛庁長官が、それぞれの同法案の条項に従ってこれを行なう。
 即ち、実質上の参戦である後方地域支援の決定及びその実施については、「周辺事態の認定」に始まるその全過程は政府の権限とされ、主権者としての日本国民及び国権の最高機関としての国会にはなんらの権限もなく、内閣総理大臣は基本計画の決定及び変更を国会に報告すれば足りるとされている。

 かくて日本国民の不戦の決意は無視され、「政府の行為により再び戦争の惨禍が起る道」が開かれようとしている、「周辺事態法案」が憲法前文1段(不戦の決意)に違反することは明白である。

2 日本国民は憲法第9条1項において「国際紛争を解決する手段としての戦争と武力による威嚇または武力の行使の永久放棄」を、2項において「陸海空軍その他の戦力の不保持」と「国の交戦権の否認」明定した、日本国民の「不戦の決意」を貫くための規定である。

 第9条の規定が自衛権を放棄したものでなく、自衛隊は自衛のため必要な程度の自衛戦力として、2項により保持を禁じられた戦力に当たらないと解しても(1954年政府統一見解)、自衛隊の出動は自衛権の発動、即ち日本の領域に対して武力攻撃が発生した場合に厳しく限定されなければならない(日米安全保障条約第5条、国連憲章第51条)。

 「周辺事態法案」にいう「周辺事態」がこの場合に当たらないことは、法案自体による定義「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下周辺事態という)」により明らかである。よって「周辺事態」における「後方地域支援」の実施としての自衛隊の出動は自衛権の行使としての出動ではないのであるから、その自衛権の出動による参戦は憲法第9条1項の戦争放棄の規定に違反し、又、その出動にかかる戦力(自衛隊)憲法第9条2項により保持を禁じられた戦力に当たる。

 かくて同法案による自衛隊の「後方地域支援」としての米軍支援が憲法第9条に違反することは明白であると言わざるを得ない。

3 国連憲章第2条3号は加盟国に対し、「国際紛争の平和的解決義務」を課し、同条4号は加盟国に「他国の領土保全又は政治的独立に対する武力による威嚇又は武力の行使」を禁止している。

 米国はしばしば右憲章の原則に違反して軍事力を行使している、グレナダ侵攻、パナマ侵攻、ベトナム戦争はその例である。特にベトナム戦争は第二次世界大戦後行われた最大の戦争の一つであり、しかも極東周辺で起きた戦争であった。昨年、米国により強行されたアフガニスタン・スーダン爆撃及び4日に亘るイラクに対するミサイル攻撃はわれらの記憶に新しい。

 米国の国連憲章違反の戦争等の武力紛争に際し、日本が米軍に「周辺事態法案」所定の後方地域支援を行なうならば、日本もまた国連憲章違反の責任を問わなければならないことは当然である。
 「周辺事態法案」には日本が「後方地域支援」を実施するにつき、米軍の戦争等が国連憲章第2条3号、4号に違反するものでないことに対する保障が全然存在しない。即ち、同法案は国際社会の憲法ともいうべき国連憲章違反の危惧を冒すものである。

 4 「周辺事態法案」は、日本国憲法前文1段の「不戦の決意」及び第9条の「戦争放棄」・「戦力不保持」・「交戦権否認」を有名無実化し、「政府の行為により再び戦争の惨禍が起る」道を開く事を企図する重大かつ顕著な違憲法案であり、いわゆる解釈改憲の法的許容限度を遥かに超えるものである

 よって冒頭のごとく決議する。

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<ミニ情報>
一般新聞紙上に掲載された国会議員の談話から、ガイドライン関連法案について触れたコメントを以下に紹介する。

●4月28日、自民党山崎派会長の山崎拓・前政調会長(衆院日米防衛協力指針特別委員会委員長)が9月の党総裁選で、集団自衛権の行使を禁じた憲法9条の改正を公約として掲げる方針を明らかにした。「集団的自衛権の行使という形で、国際的な安全保障問題に日本が積極的な役割を果たせる道を開くべきだ。憲法解釈の拡大ではなく、改正によってやるべきだ。」「日米安保体制に対してアジア諸国の一定の理解があるので、その体制を堅持することが(集団自衛権の行使の)一つの歯止めとなる。」    (『読売』4月29日)

●社民党土井たかこ党首の演説から:「憲法九十九条ではすべての国会議員に憲法擁護の義務を規定している。平和のためのガイドラインをつくるためにも憲法を変えてはいけない」「衆院では日米防衛協力の指針(ガイドライン)関連法案が通過した。憲法違反の状況を作っておいて、次は憲法を変えることだという手順で、憲法調査会を国会の中に設けようという動きも進んでいる」(上野駅前街頭演説、「今こそ憲法改正を!」シンポジウムで)
      (『読売』『産経』『朝日』5月4日)

●現在、地方自治体の長による法案に対する声明や、政府への要望・要請書が各地から出されている。また、新聞に意見広告を掲載するなどさまざまな取り組みが行われている。
 今後、本速報でそれらについて取り上げていきたい。また、そういった取り組みに関する情報を当プロジェクトチーム編集担当宛に寄せてほしい。



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