■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報

第14号 1999年5月17日


発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
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<1>各地、自治体の動き

【長野県議会が意見書を提出】

 長野県議会は5月13日、法案に関する危惧を表明し配慮を求める意見書を内閣関係大臣に対し提出した。県議会としては静岡に次ぐものとなる。その内容を以下に掲載する。

新ガイドライン関連法案に関する意見書

長野県議会議長
中島 輝夫

 国は、新たな「日米防衛協力のための指針」を具体化する、いわゆる新ガイドライン関連法案を国会に提出し、衆議院では一部修正のうえ可決し、現在、参議院での審議が進められているところである。
 「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」については、地方公共団体などに対して必要な協力を求めること又は依頼することができるとする規定が設けられている。
 この規定については、想定される協力項目例として、地方公共団体の管理する空港等施設の使用などを求めること、地方公共団体や民間に対し人員及び物資の輸送、給水、病院への患者の受け入れなどを依頼することが示されており、その内容いかんによっては、住民生活や地域経済活動に少なからぬ影響を及ぼすものであると深い危惧の念を抱くものである。
 よって、政府において、こうした状況を踏まえ、地方公共団体からの意見聴取などにより地域住民の立場を十分理解し、特段の配慮をされるよう強く要請する。

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【反対、危惧表明地方議会が215に】

 ガイドライン法案への反対または危惧を表明(議案を採択)した地方議会は5月13日現在、214にのぼったと「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」の調べでわかった<資料4>。
 また、14日には埼玉県北本市議会が臨時議会で「ガイドライン関連法案の立法化に関する意見書」を採択した。内容は「地方自治の観点から深い危惧の念を抱く」、「法案の慎重な審議を求める」というもの。同市は非核自治体宣言都市。
 政府は衆院特別委員会のなかで、「意見書が提出されている自治体は全体の数パーセントにすぎない」などと発言したが、こういった地方自治体(市民)の意思表示に対し、今後どのように答えていくのだろうか。

(注)本速報第8号で、ガイドライン関連法案に関する地方自治体の決議・意見書提出について、札幌市は不採択、徳島県(海部郡)牟岐町は審議の事実はないと報告した。その後の調べで、それらについては次のような意見書が提出されていたことがわかった。
 札幌市は平成9年10月27日に、新ガイドラインについて国会の場で是非をはかることを要望する意見書が、牟岐町では平成8年6月18日に、「有事立法」や「集団的自衛権」制定に反対する意見書が、それぞれ提出されていた。これらの内容を本法案に関するものととらえ、各所で報道されていたようだ。

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【野呂田長官の発言に反響】

 11日の特別委員会で、野呂田芳成防衛庁長官が、周辺事態の際に沖縄が巻き込まれる可能性が高いとの考えを示したことに対して、県内の首長や平和団体などは同日、一斉に抗議の声を上げた。
 親泊康晴那覇市長は「沖縄には那覇軍港、嘉手納基地、各種の軍事基地がはり付けられている。敵国から見ると、攻撃の目標として基地のある所を狙うのが戦争の一つのパターンだ。沖縄が攻撃を受ける率は(日本の中で)一番高い。それは常識だ」「衆議院で審議している時も、この法案をもっともっと国民の間で議論してもらいたいと訴えてきた。今になって、(沖縄が)リスクが高いと言うのは、沖縄の基地問題を軽視した表れだ」と政府の姿勢を批判した。
 また、普天間基地を抱える宜野湾市の比嘉盛光市長は「懸念されていたことが、まがりなりにも政府が証明したことになり、先行き不安が募る」と危機感を強め、「基地があるゆえに有事の際には、その攻撃目標になりかねず、不安は常につきまとう。(防衛庁長官の発言の)真意がどの辺にあるのか不明だが、不安が現実化する可能性が強まった。ゆゆしき問題だ」と批判した。
 県平和運動センターの岸本喬事務局次長は「沖縄が周辺事態に巻き込まれる可能性が高いと知りつつ、新ガイドライン関連法案を押し通そうとするのは、県民の生命や生活をないがしろにするものと言わざるを得ない」 名護市のヘリ基地反対協議会の仲村善幸事務局長は「これほど政府の本音が出た発言は聞いたことがない。県民の不安を認識しながら、なお法案を通そうとしているとは恐ろしい状況だ」、 中部地区労の平安常清議長も「以前から米軍基地が集中する危険性を訴えてきたが、防衛庁長官に開き直ったように堂々と言われるのは心穏やかでない。では、そういう沖縄の現状をどうするつもりなのか」という声が上がった。
(5月12日『琉球新報』)

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【野呂田長官に辞任を求める声明】

 11日の特別委員会・記者会見における野呂田防衛庁長官の発言により、「沖縄県内の首長や市民団体から非難の声が上がったこと、それを翌12日には釈明、撤回し、国会の審議(12日)を混乱させたこと、『時間足らずで』という釈明をしたことなどの二つの件における対応は無責任であり、国民への信頼を失墜させた責任は厳しく問われるべき」と、辞任を求める声明が12日、市民団体・婦人民主クラブから出された。

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<2>国会の動き

【早くも中央・地方公聴会へ】

 10日から始まった参議院での審議は連続5日間行われ、衆議院での審議をもこえる早さで進んでいる。
 今週の審議はきょう17日も行われ、18日に東京で中央公聴会、19日に沖縄で地方公聴会が行われる。
 それ以降の審議日程は17日の理事会で協議する予定。

【11・12日の防衛庁長官発言に波紋】

●沖縄が周辺事態に巻き込まれる可能性が一番高いと認める

 11日の特別委員会で、島袋宗康議員(二院ク・自由連合)が「朝鮮半島、ベトナム戦争、湾岸戦争の出撃拠点となったのは沖縄の基地。ほとんどの軍事評論家もこの法律の成立によって、沖縄が真っ先に周辺事態の影響をまともに受けるだろうと予想している。周辺事態に巻き込まれる可能性は沖縄が一番高いと認識しているが。」と政府の考えを求めたのに対し、
 野呂田芳成防衛庁長官は「確かに地理的条件からいって、(米軍)基地が多く存在することを考えても、委員が言われることがあり得るのではないかと考えられる」と答え、佐藤謙防衛局長は「あらかじめどの地域にどういう措置が必要かは先験的に申し上げる状況にはない」「いずれにしても沖縄は基地が集中している状況にあり、この問題についても慎重に考えなければいけない」と付け加えた。
 また、同議員が「中国のミサイル発射事件のとき、与那国町では漁ができず、水揚げが落ち、魚民の生活に困難が生じる事態があった。再び台湾で同様なことが起きれば周辺事態として対処されるか」との質問に、
 野呂田長官は「事態が周辺事態に該当するか否かは、その時点の状況を総合的に見た上で判断するべきものであり、一般論として言えば単に漁ができなくなったということをもって、我が国の平和と安全に重要な影響が生じていると判断する(周辺事態であると認定する)ことは困難」と答えた。
 尖閣諸島で紛争が発生した場合の対処についての同議員の質問に、竹内行夫北米局長は「一般論で言えば、日米安保条約第五条で、我が国の施政のもとにある領域への武力攻撃が行われた場合には、日米で共同の対処を行うことが定められている」と答えた。

●前日の発言を訂正

 12日の特別委員会で、周辺事態が発生した場合に沖縄が最も影響を受ける可能性があるとした前日の野呂田長官の発言について、斎藤頸議員(民主)・小泉親司議員(共産)は「国民にさまざまな不安を与えている」などと問い、照屋寛徳議員(社民)・島袋議員(前出)らとも次のようなやりとりがあった。
 各議員の質問に、野呂田長官は「舌足らずな面があり、県民、国民の皆さまに不安を与え、審議に混乱を与えたことを心からおわび申し上げたい」と釈明し、「周辺事態は地域をあらかじめ特定するものでなく沖縄など特定の地方公共団体に過重な負担を強いるようなことも考えていない」と発言を撤回した。
 また、小渕恵三首相も「県民はじめ国民に誤解を与えた点にはお詫びしたい。決して沖縄に過重な負担を強いるものではない」と釈明した。
 照屋議員(前出)は「ガイドライン関連法が成立すれば、県民が深刻になるのは当たり前。陳謝しても県民は安心できない」と批判し、島袋議員(前出)も「野呂田長官の発言が政府の本音だと理解している」「沖縄は日常的に危険にさらされている。一般論では許されない」と述べ、
 野呂田長官は「誠心誠意、沖縄問題の解決に努めたい」と答えた。

●記者会見での発言も訂正 

 一方、11日の記者会見で、野呂田長官は船舶検査の際の警告射撃は武力行使ではないから憲法違反ではないと発言し、12日の特別委員会でこの発言についても「武器使用の一形態として停船命令に応じない船舶に対して警告射撃を行えるのではないかとの私見を述べたもの」と強調し、訂正した。

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【民間協力事例今後具体的に出てくる可能性】

 14日の特別委員会で、笠井亮議員(共産)は政府が示した「自治体・民間協力の11項目の事例」について「米軍のニーズ(要求)があり、それを協議したものなのか」と質問した。これに対し、佐藤謙防衛局長は「(米側の)ニーズを踏まえたもの」と答弁し、伊藤康成内閣安保・危機管理室長は「具体的になるといろいろ出てくるかもしれない」と述べた。     (5月15日『しんぶん赤旗』)

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<3>資料


<資料1、2>:照屋寛徳参議員は4月1日、「日米合同委員会に関する質問主意書」を提出し、4月16日に答弁書が出された。その内容を掲載する。

<資料3>:参議院第1回目の特別委員会(5月10日)の審議採録

<資料4>:ガイドライン法案への反対または危惧を表明した地方議会一覧表
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<資料1>日米合同委員会に関する質問主意書(質問第14号)

 政府は、参議院予算委員会及び参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会における私の質疑に対し、在沖米海兵隊の砲撃移転訓練に際し、兵員や武器・弾薬を輸送した民間航空機、民間船舶に日米地位協定第5条を適用した旨答弁した。私は、右の場合における日米地位協定第5条の適用に関する政府の解釈・運用は間違っているものと考える。
 ところで、日米地位協定第25条は「この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、合同委員会を設置する。」と定めている。1997年9月23日、日米防衛協力のための新指針(新ガイドライン)が日米両政府で政治的文書として相互確認されている。この新ガイドライン合意を受けて日米間で在日米軍基地の使用に関する日米合同委員会での協議が重ねられているものと推察される。
  日米合同委員会に関しては沖縄米軍基地提供に関する1972年5月15日の日米合同委員会合意(いわゆる5・15メモ)の公表をめぐって、政府は秘密主義に徹し、国民の願いを裏切ってきた経緯がある。
 在日米軍基地の運用及び管理について、日米合同委員会は米軍主導、米軍本意に決定してきたと批判せざるを得ない。
 よって、次の点について質問する。
1、日米地位協定第5条第1項に関する日米合同委員会合意を明らかにされたい。
2、1997年9月23日以降開催された日米合同委員会の開催日時、開催場所、協議事  項、合意された事項を明らかにされたい。
3、現在の日米合同委員会の組織(分科委員会、部会を含む。)を図表をもって明らかに  されたい。
4、在沖米海兵隊の砲撃移転訓練に際し、兵員や武器・弾薬を輸送した民間航空機及び民間船舶に日米地位協定第5条を適用した場合、当該民間航空機及び民間船舶は国内法の適用を除外されるのか否かについて明らかにされたい。また、国内法の適用が除外される場合は、除外される国内法令を明らかにされたい。
 右質問する

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<資料2>参議院議員照屋寛徳君提出日米合同委員会に関する質問に対する答弁書(内閣参質145号14号)

1について
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号。以下「日米地位協定」という。)第5条1に関連して、昭和37年1月25日、日米合同委員会において、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の管理の下に運航される航空機が我が国の空港に着陸する際の手続きについて合意された。これは、当該航空機が日米地位協定第5条の適用ある航空機であることを空港関係者が容易に確認できるよう、米軍当局から空港関係当局に対し、同航空機が米軍の管理の下に運航されていることを明らかにする書面を発出する手続きを取りまとめたものである。
2及び3について
 日米合同委員会は、日米地位協定第25条に基づき、日米地位協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する協議機関として設置されているところ、平成9年9月23日以降開催された同委員会の開催日及び場所については、別表のとおりである。また、組織については、別紙のとおりである。
 なお、合意事項及び協議事項については、施設及び区域の提供、返還等に関する事項、低空飛行訓練に関する事項等である。また、これまでの日米合同委員会において、周辺事態に際しての日米間の協力について協議が行われたことはない。
4について
 1 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する米軍についても、同様である。
 しかしながら、このことは、米軍がその活動に際し、我が国法令を無視してよいことを意味するものではなく、外国軍隊が接受国の法令を尊重しなくてはならないことは当該軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務であると考えられる。日米地位協定第16条が、米軍の構成員及び軍属による日本国の法令の尊重義務を定めているのも、かかる考えに基づくものである。
 2 日米地位協定第5条に関する合意議事録4において、「この条に特に定めのある場合を除くほか、日本国の法令が適用される。」と規定されている。同議事録4にいう「日本国の法令」とは、日米地位協定第5条の趣旨からして、同条にいう船舶、航空機等の通行主体の通行行為自体を通行秩序の維持の観点に立って規制する法令を指すものと解されているところである。したがって、このような法令に該当しないものについては、適用が除外される。
 3 特に、日米地位協定条約第5条にいう航空機については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律(昭和27年法律第232号)において、当該航空機及び当該航空機に乗り組んでその運航に従事する者について、航空法(昭和27年法律第231号)の規定の一部について適用を除外する旨定められている。また、日米地位協定第5条にいう船舶については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う水先法の特例に関する法律(昭和27年法律第124号)において、当該船舶の船長について、水先法(昭和24年法律第121号)第13条の規定について適用を除外する旨定められている。
 4 以上のことは、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊が沖縄県道104号線越え実弾砲兵射撃訓練を本土に移転して行った訓練に際し、同海兵隊の人員及び銃器、りゅう弾砲等の物資を輸送するため、我が国に駐留する米軍からの調達の依頼を受けて防衛施設庁が借り上げ、日米地位協定第5条が適用された航空機及び船舶についても妥当するものである。

平成9年9月23日以降開催された日米合同委員会
 開催日 :開催場所
平成9年
10/9 :外務省
10/23:ニューサンノー米軍センター
11/6 :外務省
12/4 :ニューサンノー米軍センター
12/18:ニューサンノー米軍センター
平成10年
 1/29:ニューサンノー米軍センター
 2/26:ニューサンノー米軍センター
 3/12:外務省
 3/26:ニューサンノー米軍センター
 4/9 :外務省
 4/23:ニューサンノー米軍センター
 5/21:ニューサンノー米軍センター
 6/4 :外務省
 6/25:ニューサンノー米軍センター
 7/16:ニューサンノー米軍センター
 8/27:外務省
 9/10:ニューサンノー米軍センター
 9/24:外務省
10/8 :ニューサンノー米軍センター
10/22:外務省
11/5 :ニューサンノー米軍センター
12/3 :ニューサンノー米軍センター
12/17:外務省
平成11年
 1/28:外務省
 2/25:ニューサンノー米軍センター
 3/25:外務省
 4/8 :ニューサンノー米軍センター

日米合同委員会組織図(PDF形式で収録)


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<資料3>参院ガイドライン特別委審議採録(5月10日)

▼若林正俊議員(自民) 
 後方地域における支援の諸活動は、交戦状態に入っている関係諸国から見れば、交戦力を高める効果を持つのであるから、支援活動に対して重大な関心を持つことは考えられるし、場合によっては、後方支援をしているわが国に対して種々の軍事行動を行うかもしれない。そうしたリスクを敢えて承知しながらも、周辺事態に対する法制度を整備して日米間の強力な信頼関係を築くことによる、抑止による平和の確保といった効果のほうがずっと大きいという判断が法案の根底にあるのだと思う。外務大臣の考えをいただきたい。
▼高村正彦外務大臣
 法案では後方地域を設けてそういうリスクができるだけ少なくなるような努力をしている。努力はしても何らかのリスクは残るかもしれない。だが、周辺事態が起こって、それが日本に対する有事に発展することにならないように行動する米軍に対して日本が支援し、食い止めることによって一般的に日米防衛安保関係の信頼性が向上することによる抑止力の効果のほうが、何かしら残るかもしれないリスクよりも遥かに大きいと考え、法案を提出している。
▼若林
 国会承認の対象は、自衛隊の現地部隊が実施しても良いかどうかという可否についてであって、その部隊がどこでどのような行動するかということについては対象にならないと理解してよいか。
▼赤城徳彦議員(修正案提出者・自民)
 現行法上、防衛出動等も含めて、緊急事態に際して国会承認が求められるのはいずれもその実施の可否であり、具体的な措置の内容について立法府の承認に図らしめる立法例は他にないことを踏まえたものである。国会での議論を踏まえて行うわけであり、国会に対しては基本計画も報告されるし、様々な議論を踏まえつつ実施することになると思う。
▼若林
 国会での論議が煮詰まらず、そのために時期を失する恐れがある場合も但し書きの「緊急の必要がある場合」に含まれるのか。
▼赤城
 国会承認の手続きを経てはわが国の平和と安全を確保するに十分な時間的余裕が無いと判断される場合には事後承認になる。原則はあくまでも事前承認。
▼若林
 国会が休会中などの場合はどうか。
▼野呂田芳成防衛庁長官
 国会が閉会中または衆議院が解散している場合が想定されるが、内閣は憲法53条により召集を決定するか、54条によって参議院の緊急集会を求めた上で事前承認を得ることができる。ただし、これらの手続きを経ていてはわが国の平和と安全の確保が十分にはかることが出来ないと判断される場合には、緊急の必要がある場合に該当し、次の国会が召集された後、速やかに国会の承認を求めることになるものと理解している。
▼若林
 事前に実施して、事後、承認が得られなかった場合、速やかに行動を終了しなければならないと規定されているが、既に着手されている人命救助のような活動を終了させるようなことになると、人道上の問題も出てくるのではないか。どのような配慮がされているのか。
▼赤城
 「直ちに」と書いた場合にはより時間的な即時性が強く文字どおり直ちに終了しなければならない(自衛隊法76条のみで用いている文言)が、治安出動の場合に使う「速やかに」というのは時間的即時性が強く求められてはいるものの直ちに終了しなければならないほど即時性が強いわけではない。

▼本岡昭次議員(民主)
 周辺事態法案は、中国を仮想敵国として想定しているのか。
▼小渕恵三首相
 ある事態が周辺事態に該当するか否かはその事態の規模、対様等を総合的に勘案して判断することであり、周辺事態の生起する地域をあらかじめ地理的に特定できず、ある特定の地域における事態が周辺事態に当たるかどうかを答えることは不可能。いわゆる仮想敵国を想定してこの法律は存在するということはない。
▼本岡
 なぜ仮想敵国として(中国を)想定していないとはっきり言えないのか。
▼高村外務大臣 今、総理は中国は仮想敵国でないとハッキリ言われたと私は思う。
▼小渕首相 
(*昼の休憩の後に)わが国はあらゆる諸国との平和友好関係を維持発展していくことを外交の基本的考え方としており、中国を仮想敵国と想定していることはない。
▼本岡
 朝鮮有事に在日米軍が日本の基地から出撃する場合、それは事前協議の対象するのか。
▼高村外務大臣
 戦闘作戦行動として出撃するのであれば、当然、事前協議の対象となる。

▼筆坂秀世議員(共産)
 90年10月号の文芸春秋で、宮澤大蔵大臣は「輸送や通信のようなロジスティックス(兵站)はだめです。それは戦争でないとはいいがたい」西廣元防衛庁事務次官「広い意味での戦争行為には、戦闘部隊も後方活動も全部包含されている」、「ある意味では、輸送とか通信というのは、前線で戦う歩兵より重要なくらい」だと。後藤田正晴さん「後方兵站というのはいわば槍の柄で、穂先と柄があって槍になる」と言っている。また、アメリカの海兵隊の教本に「兵站は戦争の不可欠な分離できない一部である」と明記している。後方地域支援が武力と一体化しないという政府の論理はアメリカと全く違っている。
▼宮澤喜一大蔵大臣
 私は湾岸戦争の時に、あそこに通信隊や輸送隊を送ったら、あの戦争に巻き込まれると言った。この法案とは何の関係もない。
▼筆坂 
 1986年のニカラグア事件での国際司法裁判所の判決は「兵器または兵站もしくはその他の支援の供与の形でなされる反徒への援助は、武力による威嚇または武力の行使とみなしうる」と明確に述べている。
▼高村外務大臣
 その判決は、ある国が他国国内のゲリラ等の反政府勢力に対して行う支援に対して法的評価を行ったものである。それと周辺事態のために国連憲章と日米安保条約にしたがって行動する米軍に対する支援を同列に考えることはできない。
▼筆坂
 今までの政府の答弁をまとめると、日本からみるとおおむね地球の裏側に当たる部分(南北アメリカ大陸)や中東、インド洋は適用されないあるいは想定されないとのことだが、では、残りの地域である東アジア・太平洋地域は想定されるのか。
▼高村外務大臣
 現実問題として、極端に遠いところに関しては想定されないであろうと答えることはできるが、全ての地域に関して想定できるかどうか答えることはできない。

▼山崎力議員(参議院の会)
 周辺事態でわが国の領海外においてアメリカに対して自衛艦が燃料を補給していた場合、その自衛艦は周辺事態が日本有事に発展した時点で補給をやめなければならなくなるが、これはおかしいのではないか。
▼野呂田防衛庁長官
 わが国有事に際しての対米支援を含む米軍の行動に関わる法制については、安全保障上の課題であり、その取り扱いについては今後真剣に検討していく必要がある。

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<資料4>:ガイドライン法案への反対または危惧を表明した地方議会一覧表

県名 自治体名
北海道 札幌市、留萌市、釧路町、上砂川町、夕張市、浜頓別市、深川市、黒松内市、本別町、美唄市、網走市 11
青森 川内町、浪岡町 2
秋田 藤里町、男鹿市、五城目町、矢島町、横手市、稲川町、羽後町、東成瀬村、雄勝町、田代町、皆瀬村、西目町、雄物川町、鷹巣町 14
岩手 大東町 1
山形  
宮城 柴田町、大河原町 2
福島 大玉村、鏡石町 2
栃木 日光市 1
群馬  
茨城 藤代町、下妻市、内原町 3
千葉 栄町、下総町 2
埼玉 小川町、加須市 2
東京 小金井市、田無市、清瀬市、狛江市、保谷市、武蔵村山市、東大和市、多摩市、稲城市、国分寺市、新宿区 11
神奈川 平塚市、茅ヶ崎市、座間市、津久井町、横須賀市、厚木市、寒川町 7
山梨  
新潟 津川町、田上町、塩沢町、六日町、加茂市、新津市 6
長野 小諸市、諏訪市、大町市、信濃町、戸倉町、上山田町、北御牧村、松川村、四賀村、生板村、大桑村、佐久町、波田町、木曽福島町、辰野町、箕輪町、木島平村、野沢温泉村、栄村、豊田村、牟礼村、原村、喬木村、臼田町、大岡村、信州新町、松本市、塩尻市、中野市、丸子町、高森町、朝日村、須坂市、泰阜村、富士見町、中川村、県議会 37
富山  
石川  
福井  
岐阜 笠松町、北方町 2
静岡 県議会、清水市、長泉町 3
愛知 扶桑町 1
三重  
滋賀 虎姫町 1
京都 京都市、舞鶴市、大山崎町、網野町 4
大阪 田尻町、吹田市、泉佐野市 3
奈良 平群町 1
和歌山 すさみ町、古座町 2
兵庫 城崎町、香住町、竹野町、浜坂町、宝塚市、伊丹市 6
鳥取 若桜町 1
島根 柿木村 1
岡山 高梁市、有漢町、久世町、久米南町、落合町、大原町、和気町 7
広島 府中町、熊野町、神辺町、広島市、安浦町、芸北町、世羅西町、福山市、作木村、因島市、廿日市市、君田村、三良坂、吉舎町 14
山口 楠町、小郡町 2
香川  
徳島 木頭村、日和佐町、牟岐町、鴨島町、阿波町、山川町、勝浦町、池田町、海南町、川島町 10
愛媛  
高知 本山町、大野見村、十和村、高知市、芸西村、伊野町、佐賀町 7
福岡 糸田町、大牟田市、鞍手町、行橋市、椎田町、築城町、桂川町、水巻町、八女市、山田市、田川市、志免町、田主丸町、稲築町、碓井町、若宮町、嘉穂町、筑穂町、穂波町、頴田町、香春町、赤池町 22
佐賀  
長崎 伊王島町 1
熊本  
大分 上浦町、香々地町、浦江町、宇佐市、犬飼町、津久見市、日出町、鶴見町、大野町、清川村、九重町、安心院町 12
宮崎  
鹿児島 名瀬市(空港軍事利用反対) 1
沖縄 西原町、東風平町、具志頭村、佐敷町、北中城村、読谷村、中城村、南風原町、大宜味村、沖縄市、大里村、糸満市 12
合計   214
1999年5月13日現在 「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」調べ


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<お詫びと訂正>本速報第8号3頁中、長野県佐久町は不採択と報告したが、佐久町が不採択であるとは間違いで、佐久町では平成10年9月22日新ガイドライン関連法案に慎重に取り組むことを強く要請する意見書が採択されていた。訂正してお詫びします。
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