■ 自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報
第15号 1999年5月21日
発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道
編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
予約・問合せ先:〒223-0051横浜市港北区箕輪町3-3-1日吉グリューネ102号ピースデポ
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●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。
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個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円
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●今号の内容
<1>各地、自治体の動き
・法案に危惧する意見書各地で相次ぐ
・地方公聴会開催地沖縄の反応
・野呂田長官に辞任を求める声明・続報
<2>国会参院審議
・24日参院本会議採決へ
・どちらが優先?地方公共団体の給水協力
・地方公務員の協力拒否は義務違反
<3>国会参院公聴会
・5月18日国会で中央公聴会
・5月19日沖縄で地方公聴会
<4>資料
資料1:国会参院参考人質疑採録(5月13日)
資料2:国会参院中央公聴会採録(5月18日)
資料3:参院特別委参考人質疑審議採録(5月13日)
資料4:参院特別委一般質疑審議採録(5月17日)
資料5:参院特別委中央公聴会審議採録(5月18日)
*参考人、公述人意見陳述は844#『第15号』に掲載
<5>市民の声とどく
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<1>各地、自治体の動き
【法案に危惧する意見書各地で相次ぐ】
●那覇市議会意見書可決
那覇市議会(上原清議長)は十九日、五月臨時議会を開会。冒頭で、さきに共産党が提案していた「周辺事態措置法などの制定に関する意見書案」について、共産、さわやか市民の会、ビジョン・ユイ、市民クラブ、公明の五会派二十七人が共同提案した意見書を審議、自民を除く賛成多数で可決した。
意見書は「この法案において国は地方公共団体の管理する施設の利用などの協力を求めることができると規定されている」とし、「去る大戦においては、ここ沖縄でも、自治体や住民に多大な犠牲を強いる結果となった。よって政府におかれては、こうした沖縄県民の心情や地方公共団体の立場を十分理解され、慎重に対応されるよう強く要望する」としている。
あて先は内閣総理大臣、外務大臣、自治大臣、防衛庁長官、参議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会委員長など。
(5月19日『沖縄タイムス』夕刊)
●長野県飯田市議会が意見書決議
5月13日飯田市議会は、全会派・全議員から発議されていた「新ガイドライン関連法案に関する意見書」を可決した。
内容は、周辺事態の際に地方公共団体が協力を求められることについて、「その内容いかんによっては、住民生活や地域経済活動に影響を及ぼすものであると懸念されている」、「一方的に地方公共団体の役割が定められることについて、地方自治の本旨に照らし、深い危惧と憂慮を禁じ得ず、これを容認することはできない」、「地方公共団体の意向を十分に尊重した徹底審議を強く要請する」というもの。
また、5月20日付『しんぶん赤旗』によると、18日に佐賀県鳥栖市議会が「法案への危惧を表明する意見書」を全会一致で、19日に茨城県下館市議会は慎重な対応を求める意見書を、京都府八幡市議会は「慎重に対応されるよう強く要望する」意見書を全会一致で、それぞれ可決した。
下館市の場合は、3会派の4人の議員が共同で提案し、賛成多数で可決したもの。
●神奈川県市長会、同町村会が要望を提出
5月14日、神奈川県市長会、同町村会は「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」に関する要望、を政府に提出した。内容は、第9条による規定について、11項目以外の協力項目、協力依頼の手続き、協力の期間や人的・物的な協力の程度など、依然として明らかでない事項について、正確な情報提供と、具体的な内容を明らかにするよう要望する、というもの。 座間市長らが国会へ要望書提出に出向いた。
【地方公聴会開催地沖縄の反応】
●稲嶺知事「沖縄の要望聞いて」
稲嶺恵一知事は十七日午前の定例記者懇談会で、那覇市内で開かれる地方公聴会について「地方からいろんな意見を聞いてほしい。とくに沖縄で開かれるのは、基地が集中する本県においては必要であると考える。歓迎する」と述べ、今後の国会審議については「今回の地方公聴会で生の声を聞き、沖縄側の要望を勘案しながら、それぞれの立場で十二分に審議を尽くしてほしい」と述べた。
周辺事態が発生した場合の沖縄への影響については「過重な負担がかかれば好ましくない」との考えを、また県の対応については、「県民の生命・財産、経済活動への影響を総合的に勘案して適切に対応したい」と従来通りの考えを述べ、具体的には「現時点では、どのような協力になるかは分からないので、ケース・バイ・ケースの対応になる」と答えた。
(5月17日『沖縄タイムス』夕刊)
●関係者の声
親泊康晴那覇市長も要請団の激励に訪れ、声を大にして「周辺事態が起こった場合、わが国は米軍の後方支援の働きをしなくてはならなくなり、沖縄が一番先に攻撃される恐れがある。法案を阻止するため、本土の皆さんにこの沖縄の立場を訴えてきてほしい」と訴えた。
(5月19日『沖縄タイムス』夕刊)
●公述人の談話
会場入りする前に公述人の高良鉄美琉大教授は「公聴会は限られた人しか傍聴できない。本当にやるなら一カ月前にやりますと県民の前でもっとオープンにやってほしかった」と話した。公聴会では「法案の中身がよく分からない。きちんと国民に説明してほしいと話すつもり」と語った。
(5月19日『琉球新報』夕刊)
●公聴会会場に緊迫感・反戦地主ら抗議集会
公聴会の会場となる那覇市西のパシフィックホテル。会場設営は前日までに整い、午前十時半ごろから、テレビ局のカメラマンなど、取材準備のために報道陣が次々に集まってきた。特別委の委員や公述人らの到着を待つホテル周辺ではパトカーも待機、警察官が数カ所に立ち、物々しい雰囲気も漂った。
午前十一時からは、ホテル前で沖縄平和運動センターや県労連などがそれぞれ集会を開いた。
仲宗根義一事務局長は「基地の集中する沖縄に大きな影響が出ることは明らか。議員には沖縄の実情を少しでも感じてもらい、慎重審理、廃案にしてほしい」と話した。
(5月19日『沖縄タイムス』夕刊)
約50人が集まった県労連傘下の集会では比嘉正夫統一連議長が「平和の心を持つ県民の願いを、沖縄公聴会で国会議員はしっかり受け止めてほしい。型通りの審議ではなく、平和の心をくみとっていただきたい」と述べた。沖縄女性の会の外間豊さん(80)は「戦争で亡くなられた人々にとって、法案を廃案に導いて平和憲法を守り抜くことが一番の供養になる」と訴えた。
(5月19日『琉球新報』夕刊)
【野呂田長官に辞任を求める声明・続報】
本速報第14号で掲載した、野呂田防衛庁長官の辞任を求める声明に46団体、47人が賛同した。
14日、婦人民主クラブほか5名で防衛庁に辞任要求を渡した。
応対した防衛庁防衛局防衛政策課 田中利則部員は「沖縄県が攻撃される可能性が強いというのは、誤解である。日本はどこからも攻撃などされない。自治体協力についても強制ではない。」と述べた。
記者会見には、琉球新報、沖縄タイムス、TBSテレビが取材に来たもよう。
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<2>国会参院審議
【24日参院本会議採決へ】
今週も連続5日間の強行日程となり、20.21日は一般質疑が行われた。
きょう21日夕の理事会で、24日10時から参院特別委員会締め括り総括質疑、その後引き続き委員会採決、同日午後3時30分より、参院本会議採決との日程が決定した。
いくつかの地方紙では「国民の不安、疑問に対して、政府は説得ある答弁をしていない」(4月18日『琉球新報』)、「疑問点を残さず、論議を尽くすのが参院の責務」(4月18日『中国新聞』)と社説などに書いている。
【どちらが優先?地方公共団体による給水協力】
5月12日の参院特別委員会で、照屋寛徳議員が「1989年3月、沖縄は大変な水不足で、赤ちゃんにミルクを作ってあげるのも大変なときがあった。隔日24時間断水が始まろうとするとき、在沖米海兵隊は県企業局に基地内の給水確保を優先するよう申し入れした。周辺事態法が成立すると、自治体の協力、給水支援との関係で軍事と国民の生活、どちらが優先するかという事態がおこると思うが、そのような事態の際、地方自治の本旨に照らしてどのような自治体の選択があり得ると考えているのか」と質問した。
これに対し、野田毅自治大臣は「給水については、法案第9条2項にもとづく国以外の者に対する一般的な協力の依頼である。水道事業は地方公共団体が公営企業として営んでいる事業である。給水するか否かというのは公権力の行使に該当しないため、法律上何ら義務が生ずるものではなく、住民生活を犠牲にしてまで協力に応じるような義務は生じない。自治体自らの緊急性と住民の利用等を考慮して対応を決定して構わない」と答えた。
また、宮下創平厚生大臣は「何よりも重要なことは、既に給水を受けている地域住民の生活に必要な給水の確保に欠けることがないよう配慮することが重要。それに基づく適切な対応が行われるように基本計画等で定める必要があろうかと存じている」、「なお、水道法15条で『水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申し込みを受けたときは、正当な理由が泣ければ、これを拒んではならない』とあるが、給水にかかる協力依頼を受けた地方自治体は、その給水を行うことにより、既に給水義務が発生している一般の需要者、地域住民の需要者への給水に著しい支障を来すおそれがある場合には正当な理由があるものとして拒否できると解されている」と答えた。
●いまだに不安定な水事情が続く沖縄で
照屋議員の示した事例の際、水の供給業を請け負う県企業局は「特別扱いはできない」と申し入れを受け入れなかった。4月27日付の「沖縄タイムス」紙によると、
当時、在沖米海兵隊は「20%の節水を努力するので、基地内の給水を確保してもらいたい」と、キャンプ・ハンセンの断水の免除を求めた。その理由は、キャンプ・ハンセンは兵舎や医療施設を持ち、実弾砲撃訓練が行われている。このため、隔日給水が続けば、@(山火事が発生した場合の)消防活動に支障を来すA水道管の赤さびで大量の水が無駄になるというもの。
この年、長引く少雨で、県内のダム貯水率は40%に落ち込み、約二ヶ月間にわたる水不足に、県企業局には住民から苦情の電話が殺到していた。
県薬務衛生課によると、全県の水需要は年間約一億八千六百万トン。そのうち、約4%に当たる約七百三十万トンが嘉手納飛行場、ホワイトビ−チ(勝連町)などの米軍施設へ提供されている。
用途は施設内の兵舎や医療施設の用水、船舶への給水など。料金は日米地位協定に基づき、消費税が免除されている。
県内で使用される水のうち、約三割を消費する那覇市では、那覇軍港を抱える米陸軍へ年間約二万五千トン(97年度)を給水している。
那覇軍港はホワイトビ−チに次ぐ在沖米軍第二の軍港で、60年代のベトナム戦争では多くの軍艦や原子力潜水艦が出入りを繰り返した。平時には、入港する軍艦数は減少していたが、91年の湾岸戦争では再び緊迫した。米軍の戦争と直結した中継基地の性格を持つ。
「有事」になり、那覇軍港に軍艦の入港が相次げば、水供給が軍事優先になりかねない。
那覇市水道局は長期的な水需給のバランスを見ながら事業計画を策定する。今後、那覇新都心の開発が進めば、水需要は一層増加すると予測する。同局は現在、民間や事業所など約十三万世帯に給水している。
山田義浩局長は「周辺事態となれば、短期的に、かつ多量の水供給が予想される。例外的な供給は需給バランスに大きな影響を及ぼす」と指摘。「いつ来るか分からない周辺事態のための投資は厳しいし、市民を差し置いた米軍への協力は難しい」と話している。
【地方公務員の協力拒否は義務違反】
14日の特別委員会で、「周辺事態における地方自治体の協力」に関連し、福島瑞穂議員(社民)の「自治体職員が思想信条によりその職務を拒否した場合、どうなるのか」と質問した。
これに対し、伊藤康成内閣安保・危機管理室長は「9条1項では、地方公共団体の長が協力を引き受けた場合、地方公務員が拒否すれば『地方公務員法上の義務違反』という問題が出てくると思う」、
「9条2項の自治体・民間への協力依頼については、なんらかの労務を伴う場合がある、この場合も地方公共団体の長が契約なりを締結すると決心した以上は、職員にはそれに従う義務が生じると思う」と述べた。
【国会審議採録】
連日行われた国会審議。参考人質疑(5月13日)の参考人の意見陳述を採録して、巻末<資料1>に掲載する。
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<3>国会参院公聴会
【中央公聴会】
参院での審議開始から早々と行われた感のある中央公聴会(5月18日)。その公述人の陳述を、巻末<資料2>に掲載する。
【沖縄で衆参を通じ初の地方公聴会】
19日の午後、沖縄県那覇市のパシフィックホテル沖縄で地方公聴会が開かれた。小渡亨(沖縄県議会議員)、比嘉良彦(政治アナリスト)、伊佐真一郎(全沖縄駐留軍労働組合執行委員長)、新垣勉(弁護士)、高良鉄美(琉球大学法文学部教授)、新崎盛暉(沖縄大学法経学部教授)らが意見陳述を行った。参院の地方公聴会は沖縄一カ所のみの開催。
●公述人・「貢献」「負担」訴える
意見陳述や質疑の中で、同法案に賛成する立場から日米安保再定義に基づくガイドラインの法的整備の必要性が強調された。一方、反対の立場からは基地沖縄が米軍の出撃拠点となり、住民生活が紛争に巻き込まれるとの懸念が示された。
小渡県議は、「法案は冷戦後の日米安保の重要性を再確認し、アジア太平洋地域の平和と安定の維持に寄与する」と積極的に評価。さらに「自衛隊を増強することなく抑止力を高める効果もある」と述べた。また、日本有事の法整備の必要性を指摘し「政府は自衛隊と国民に行動基準を明確に示すべき」と述べ、一日も早い法案成立を求めた。
比嘉氏は「わが国の安全保障はどうあるべきかという大局的議論が国会内で欠けている」と指摘。日米安保に基づく安全保障政策を選択する場合は「沖縄の(米軍基地の)過重な負担を軽減する策を講じた上で、日米防衛協力のための法整備を行うことが必要」とし、民主主義と法治主義の立場で徹底した審議を尽くすことが大事、外交努力や文化交流など平和的活動がその前提になると強調した。
伊佐委員長は「日本全体が戦争に巻き込まれるとの危ぐがあるが、そうならないようにするのが関連法案だ」との基本的な認識を示し、「法案が一日も早く法制化され、日本の安全保障に大きく貢献することを願っている」と語った。
新垣弁護士は「法案は県民の総意に逆行するもので到底認めることはできない」と強調し、「沖縄は米軍の出撃基地、政府や自衛隊の支援を受けた強大な補給基地になっている。沖縄は現実的な危険の渦中に置かれる」と批判した。
高良教授は「法案の内容を国民はまだよく理解していない。シミュレーションを示してほしい」と注文、「国民の権利、義務に関することについては慎重に審議してもらいたい。政治日程、外交日程だけで決めないでほしい」と要望した。
新崎教授は多くの公聴希望者が参加できなかった公聴会の在り方を批判した。世論調査結果の本土と沖縄の違いを取り上げ、「地元の過半数は法案に否定的。沖縄の歴史的体験や今置かれている状況が民衆にそう教えたからだ」と指摘した。
意見陳述に引き続き、公述人に対する質疑に移り、若林正俊(自民)、山本一太(同)、鈴木正孝(同)、柳田稔(民主)、斎藤勁(同)、日笠勝之(公明)、笠井亮(共産)、照屋寛徳(社民)、田村秀昭(自由)、山崎力(参院)、島袋宗康(二院クラブ・自由連合)が質問に立った。
(5月19日『沖縄タイムス』夕刊/20日同朝刊)
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<4>資料
<資料1>国会参院参考人質疑採録(5月13日)
−参考人の意見陳述− カッコ内は肩書
▼森本敏(中央大学総合政策学部大学院各員教授)
ガイドラインに基づく必要な法整備は、今後、アジア太平洋において日米同盟が強化され、この日米同盟を軸としてこの地域の平和と安定を維持するために不可欠な作業であると考える。
第一条「目的」の前半の部分で「そのまま放置すれば、わが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」という言葉を入れることによって周辺事態の定義を例示的にあげたことは、国民にとってわかりにくかった過去1年間の議論をわかりやすくしたという意味で評価できる修正である。
しかし、政府がかねてから示していたいくつかのシナリオ・ケースの中で、例えば、わが国周辺で難民が大量発生したり、あるいは、ある特定の国の内政や社会に非常に大きな混乱が生じたために、周辺事態と認定し必要な措置を取らなければならない事態になった場合が、そうした例示を入れたことによって、必ずしも周辺事態にあてはまらなくなることがあるのではないかという点が懸念される。
また、第一条の後半に、「日米安保条約の効果的な運用に寄与する」という条文の修正が入れられたことは、この全体の法律が、日米防衛協力に基づく日米協力を行うものであるという趣旨に鑑みれば、適切な修正であったと考える。しかし、例えば、捜索救助活動で、日米安保条約の枠内では捉えられない米軍人以外の戦闘員に対する捜索救助をどのように法的に担保していくのかということは残された課題ではないかと考える。
こうした細かい点に加えて、今後この法案をどのようにとらえ扱っていくかということは今後の大きな課題であるが、それに関しては、出きるだけ速やかにこの法案を成立させ、その趣旨、内容そして地方自治体、国民にどのような協力が求められるのか、分りやすく説明していくこと、有事法制や領域警備といった分野の法整備を出きるだけ早く着手し成立させること、そして船舶検査を日米協力というよりむしろ広い意味での国際協力あるいは国連協力というコンテキストで実施できるように法整備していくこと、が必要であると考える。
▼森英樹(名古屋大学大学院法学研究所教授)
衆議院での修正可決の経過自身が、指針連法案の性格を暗示しているように思われる。
まず、一部政党による修正協議が最後の最後まで正規の委員会の外で非公式あるいは非公開で行われ、その修正内容が法案の根幹に関わる変更を含んでいたにもかかわらず、修正協議が整うや否や正規の委員会での審議を殆ど経ないまま採決された。
政党政治においては政党間協議の存在意義は否定されるものではないが、法案審議自体は国会内で公式に国民に公開された形で行うのが国民代表議会制の最低限の要請である。
そして、首相訪米での手土産にするために衆議院での修正採決を急いだということが政府与党筋から公然と語られたが、衆議院を通過しただけの法案がいわば手土産になるというのは、参議院制度を軽視するもはなはだしい言いまわしであり、また一国の根幹にかかわる国内法審議日程が首相の訪米日程に左右されるというのは、主権国家には恥ずべき振る舞いである。
対米軍事協力システムの発動もこうした形、つまり、非公式非公開の政党間折衝が重視され、そこで決着すると即座に議会決定がとられる、そして対米配慮が全てを凌駕するという形で進行するというのが実像ではないか。
脆弱な国会関与についてはかねてから指摘があったが、自衛隊法では「特に」緊急の必要がある場合に事後承認が認められ、その事後承認は「直ちに」行われなければならず、そして不承認の場合は「直ちに撤収」とされているのに比べると、修正法案では、緊急の必要がある場合には速やかな承認が必要とされ、不承認の場合には速やかな終了とされている。こうした要件の強弱に微妙以上の差異があることは看過できないものである。
なお、自衛隊法の防衛出動には衆議院解散時の場合を想定した参議院緊急集会での承認の制度があるが、修正法案では同じような規定がないというのは問題ではないか。指針関連法案は自衛隊をいわば米軍の兵站部隊として組み込むだけでなく、自治体・民間協力と相俟って、日本全土をいわば「不沈空母化」する方向に向かわせるものである。経済力、軍事力で世界第1位の米国と第2位の日本が一体化し、こうした軍事的プレゼンスでそれこそ周辺を威圧するシステムを構築することは、かえってアジアでの緊張を高めるものである。
仮に日本の平和と安全に重要な影響を与える事態に対する軍事的対処を構想するにしても、提案者や修正者は、日本が官民をあげていわば不沈空母となる、場合によってはコソボ紛争のごとき事態にもなるという覚悟を正面から国民に求めてその審判を仰ぐのが筋である。
▼金城睦(弁護士)
日本の国のあり方やその命運を決しかねないほどの大きな問題を含んでいる新ガイドライン法案の審議において、わずか数名の者の意見を1日2日聞くとか、公聴会を形式的に開くといった程度で事足れりとするようなことがあってはならない。11日の野呂田防衛庁長官の発言は沖縄で大きく報道され問題となっているが、それは想定される周辺事態が沖縄の現実と直結しているからである。沖縄に住んでいる人の殆どが、沖縄戦における犠牲者を親族に抱えている。日本政府の行為によって遂行された戦争、その沖縄戦において、住民の三分の一から四分の一が犠牲となり、今日にいても全国の75パーセントに及ぶ米軍基地が存在し、日夜基地被害に悩まされ、準戦時体制と言っていいような状況に置かれている。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争においては、沖縄の米軍基地の動きはあわただしく、直接的な攻撃基地あるいは後方としての兵站基地といった役割が発揮され、その時の状況は戦時体制そのものだったと言っても過言ではないものであった。沖縄県民の日常生活はもとより、生命にも関わる重大な事態が生じたのである。
ベトナム戦争最中に、日本人船舶修理工がベトナム海域に派遣されたり、日本人が戦場で負傷するということがあった。更に、B52爆撃機が核兵器の貯蔵が疑われていた弾薬庫付近に墜落炎上したり、原子力潜水艦の沖縄寄港の際に放射能漏れが懸念されたこともあった。
このような状況が、自衛隊も参加した新しい形で全国的に拡大されることを想定したものが、新ガイドライン関連法案なのではないか。そのため、圧倒的多数の沖縄県民が法案に危惧、反対している。この関連法案は、戦争までの過程にあるターニングポイントになりかねないものであり、太平洋戦争への過程における国家総動員法に匹敵する程のものではないかとさえ感じられる。その意味で、簡単に認められるものであってはならない。
▼西 修(駒澤大学法学部教授)
法案の目的を定めた第1条に「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃にいたる恐れのある事態等」と「等」というすこぶる抽象的な文字が入っているというのは、他の法律ではあまりないことではないか。「等」の中身についてもっと説明する必要がある。
今後の課題としては、まず、政府の「集団的自衛権は保有できるが行使しない」という解釈では限界が生ずると考えられるので、その見直しが必要である。そして、国内における法整備の検討が不可欠になると考えられる。周辺事態の影響がわが国の領域内、国土に及ぶことも考えられ、その場合の対処について法的な整備をしておくことは法治国家の責務である。
▼浜谷英博(松阪大学政治経済学部教授)
有事法制が未整備ということは、有事の際に政府がとった行動がことごとく超法規的にならざるを得ないことを意味し、法治国家を標榜するわが国にとっては遺憾極まる実態をさらけ出すことになる。また、緊急事態法制の未整備による超法規的行動の不透明性は、逆に、周辺諸国をはじめとする関係国にいらない疑心暗鬼を増幅させる場合も考えられる。 有事法制がない限り、わが国が有事の際にどこまでどの程度行うのか他国にはわからないのであり、国際的な信頼醸成というには程遠い状況であると言わざるをえない。その意味で、有事法制の整備というのは軍事的合理性ばかりを追求した、いわゆる人権無視の法制などでは決してなく、わが国の平和や安全、国民の生命・財産が脅威にさらされたり、具体的に不法に侵害された場合の非常手段の確立を目指すものである。有事法制の整備を急ぐことが必要である。
具体的な問題として、現周辺事態法案には、国会が一度承認を与えた案件について、その後国会が再チェックし、少なくとも先の結論と異なる考え方を示す法的手段がないが、その手段として「期限付き承認制」を提案したい。これは事前であれ事後であれ、初回の承認に有効期限を設け、その期限後も継続して基本計画等を遂行する場合には、期限満了前の特定期日までに政府に対して計画継続のための手続きをするように義務付け、その計画継続の容認には国会の事前承認が必要とするというものである。
また、細かい点であるが、事後承認の期限が不明であること、両院が不一致の場合の両院協議会の規定がないこと、そして不承認の場合に撤退のための期限が設定されていないことなども問題である。
▼志方俊之(帝京大学法学部教授)
第一に、有事法制の整備が必要である。これはシビリアンリーダーシップの基本である。シビリアンコントロールというのは日本にしかない言葉である。シビリアンリーダーシップというのが本当の言葉であり、みなさんがリードするという意味だが、有事法制がないためにそれが欠けてしまっている。また有事法制がないというのは、準有事の対応のための土台がないということでもある。
第二に、武器使用の基準の明確化が必要である。自衛隊は集団で行動するものであるが、現段階では、警職法が準用されることになっているために、個人が危険と思った場合に個人の判断で武器が使用できることとなっている。最前線にいる一兵卒にそのような判断を任せておいて文民統制と言えるのだろうか。
第三に、戦いとは錯誤の連続である。法案の六条五項に「戦闘行為が行われるに至った場合、または付近の近況に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には」とあるが、このようなことがわかるのであれば、戦いは始めからあり得ない。現場にとってはこのような文章よりも「危ないと思ったら逃げろ」と言ってもらったほうがずっと判りやすい。
第四に、将来的には日米安保だけでなく、もっと広いアジア全体の地域的集団安保が必要になってくると考えられるが、そうなると日本も何らかの形で参画することが必要になろう。そのため、現在の日本の集団的自衛権に関するグレーゾーンを整理することが重要である。
第五に周辺事態に自衛隊がおかすリスクが不明確である。つまり、自衛隊は有事に至るまでじっと待っているのかということである。もしそうであれば、かなりの自衛力が必要ということになる。それよりも、やはり有事に至る前に米軍と協力して行動するべきではないか。
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<資料2>国会参院中央公聴会採録(5月18日)
−公述人の陳述− カッコ内は肩書、推薦会派
▼栗山尚一
(早稲田大学法学部客員教授、前駐米大使、自民)
わが国の安全保障環境は冷戦の遺産が完全には清算されておらず不安定、不確実、不透明である。日米安保体制は平和と安全を守るために不可欠であり、わが国が死活的利害を持つアジア太平洋地域の平和と安定のためにも欠かせない。安保体制の抑止力の信頼性を高めるための本法案、ACSAの協定改正を支持し、速やかな成立を期待する。
わが国の安全保障環境の改善のためには安保体制の抑止力を維持していくだけでは不十分で、積極的な外交努力があわせて必要だ。
93年から94年前半の北朝鮮核疑惑による緊張激化の際、不測の事態が発生した場合の日本の国内体制が未整備だったという危機感の共有が、日米安保共同宣言や新ガイドライン、そして関連法案へとつながった。
アメリカのシカゴ外交評議会による米国民の世論調査をみると、米国民は同盟国、友好国を守るために戦うこと、血を流すことには極めて慎重であり消極的である。そうした米国民の内向きな心理状況を考えると、同盟国側は同盟関係の信頼性の維持のため平素から相当な努力が必要だ。
同盟国は同盟国同士の公正責任の分担があってはじめて成り立つ。政治的、経済的、軍事的なリスクとコストを分担することであり、平和を守るために自国の行動の自由に対する制約を受け入れることだ。
本法案の本質はアメリカとの同盟関係において安保理体制の枠内でガイドラインに基づいてわが国が分担する責任を果たしていくために必要な国内の法体制を整備していくものだ。
安保体制は国連の集団的安全保障体制の枠内でその正当性が認められているものであり、国連と安保体制は二者択一のものではない。わが国周辺は安保理常任理事国の複雑な利害がからんでおり、国連が効果的に機能する条件が満たされる保証はない。
アメリカが効果的に対応しないと困るのはわが国であり、後方地域支援等の防衛協力はわが国自身のために行うものだ。憲法の枠内で最大限に協力するのは当たり前のことであり、空港や港の使用、輸送、医療といった分野で地方公共団体に求められる協力やそのために一般国民が受入れなければならない様々な不便は、我々自身の平和と安全のために払うべきコストであり、その点の国民の理解が不可欠である。
▼平山誠一(全日本海員組合教宣部長、共産)
なぜ新ガイドラインと関連法案に反対するのか述べたい。戦前戦後を通じて船員が強いられた経験について述べてみたい。組合の前身である戦前の日本海運組合・海員協会は1940年解散を余儀なくされ、戦時統制のもと船員は全て徴用対象とされた。船員は海上輸送のため戦場の海に丸裸で狩り出された。日本商船隊は文字通りかい滅し、62000人に及ぶ船員が逃げ場の無い海で戦没した。
戦後の海員組合は再びこの悲劇を繰り返さないという不戦の誓いを根底に再建・創立された。しかし、1945年9月には再び総動員され復員輸送に従事させられ、機雷の中を身命を賭してやり遂げた、1950年6月に勃発した朝鮮戦争の際には、米軍の要請に応じ貨物船など約70隻が提供され、船員も半ば強制的に数千人規模で船舶運航に従事させられた。
1980年から8年続いたイラン・イラク戦争では、開戦初頭4隻の日本船が戦闘地域に孤立し、その脱出のために大変な苦労を強いられた。イラン・イラク双方による中立国をも巻き込んだ無差別攻撃によって体験した者しか語れない戦争のすさまじい現実を体験した。日本船舶は中立国表示をして航行したが、12隻が被弾し、2名が死亡した。乗組員は日本が中立国であり非交戦国で紛争当事国でないことを唯一の誇りある正当な拠り所にした。
2年後の湾岸戦争の際にも、物資輸送の協力を求められ、武器弾薬などは輸送しない、乗組員の就航拒否権の保証など政府との特別協定を締結して就航した。帰ってきた本船キャプテンは「ああ生きて帰ってきた、世界の海に真の平和が訪れ、日本国憲法が世界的に理解されることを望む」と語っている。
政府は憲法が明確に禁じる武力行使と後方支援には明確に一線が引かれるので「一体化はあり得ない」と繰り返しているが、私たちの過去の経験からみて、とりわけ海上輸送においては全く現実離れした見解としか聞こえない。机上の空論であり「平和ボケ」と言わざるを得ない。
NATO軍によるユーゴ空爆でも橋や鉄道、道路などの補給路が破壊されており、一たん戦端がひらかれると確実にエスカレートし、何が起きても不思議でないのが戦場を支配する論理だ。台湾海峡など日本周辺の狭い海域での米軍の護衛による後方支援活動は武力行使との一体化そのものだ。線引きなどできはしない。
法案では、国民生活に決定的影響を及ぼす自治体・民間協力について一切明確な内容が示されていないばかりか、「後方支援イコール安全、あとは白紙委任してくれ」という政府答弁が繰り返されるたびに、この法案の危険性とともに、国民生活はじめ直接後方から前方へ、兵たん活動を担う船員はもとより陸上、航空、港湾の交通運輸労働者の命に関わる深刻な事態を痛感せざるを得ない。
船員は弾の飛び交う戦場の海はもう御免だ。他国の戦場に自ら当事者となって「後方支援」という兵たん活動の戦闘に立て、など本人はもとより家族にどう説明がつくのか。
「来るべき戦争に備えよ」と声高に叫ぶ前に、なぜ世界に誇る憲法の平和主義を育み、武力なき平和の実現に向けて、目に見える具体的努力ができないのか。この新ガイドラインと関連法案は一旦白紙撤回して、21世紀の日本のあるべき進路について徹底した国民討議の上総選挙で真を問い、それでも必要というのなら国民投票で決めていただきたい。
▼富澤暉(元陸上幕僚長、自由・参議院の会)
新ガイドライン関連法案に全面的に賛成だ。この50年で初めてできる有事法制であり待望のもの、一日も早い成立を望む。平時に有事法制を作り、それに基づきしっかり訓練をして即応体制を保つことではじめて抑止ができる。この抑止という土台の上に本当の対話ができる。
個別的自衛が一番大切ではあるが、それしかやらないのでは孤立し、発言力と自主性を失いその国の存在がなくなり、防衛の目的そのものを失してしまう。わが国は個別的自衛にすら議論があり、未だに極めて不十分だ。そのため集団的自衛権や集団的安全保障の議論があまりにもなかった。「一国平和主義」や「核武装するのでは」という海外の誤解を断つためにも、わが国の防衛はこれから集団的なものにシフトしていくべきだ。今回の法案審議は「一国平和主義」から脱却する第一歩で、極めて画期的なことだ。」
朝鮮半島有事を考えると、戦争は米軍の自衛戦争として始まった後、国連軍ないしは多国籍軍ができることが想定される。その際、米軍支援はおそらくできても、それ以外の国の軍隊に対しては基地は貸せても、後方支援はできない。それぞれの国々ときちんと協定を結ぶべきであり、具体的にはガイドライン関連法案の内容をそのまま国連軍にも適用するという形をとり法的枠組みは別にする形で決めればよい。
「米国一辺倒では」というイメージを払拭するためにも、国連軍・多国籍軍、PKOなどいわゆる集団的安全保障の分野に目を向けるべきだ。他にも、日本有事における法整備、領域警備、部隊警備に関する権限を自衛隊に付与すること、PKF凍結解除などの場合の武器使用基準が今のままでいいのかという問題なども大変大事だ。
▼猪口邦子(上智大学法学部教授、民主)
地域的範囲を明確にするやり方は多国籍間の地域防衛協定、例えばNATOなどの場合があるが、二国間の場合は地域を限定することになる。議論されている「周辺」という表現は英語では「エリアズ・サラウンディング・ジャパン」であることを考えると、了解できるものだ。
アメリカはベトナム戦争敗戦後、作戦の根本的見直しを行った。その結果「高度民主主義社会では多数の戦死者がでる作戦は容認されない」という結論に至った。それは、アメリカが地域紛争に関わる際の関心のポイントだ。
アメリカの船舶検査などへの反応の弱さと、空港・港湾の利用に対する反応の強さはその点から理解できる。ガイドラインの根本精神は「犠牲の最小化」にあり、その観点において後方支援は理解できるし、実際の協力項目もそうなっている。
船舶検査については国連決議に基づくという政府案が適切だった。経済制裁は国連憲章で定められているものであり、国連決議は重要だ。また、警告射撃はしなくても検査権は大きく、安保理報告するなどの方法は可能だ。
▼岡本行夫(岡本アソシエイツ代表取締役、元外務省北米第一課長、公明)
周辺事態法案に賛成する。我が国の安全確保の選択肢は武装中立か同盟かの二つしかない。集団安保体制は現状では無理であり、自由と民主主義という価値観を共有する米国との同盟しかない。日米安保は極東・東アジア全域の抑止力を高めるものだ。その意味で修正案の第一条の目的の所に「安保条約の効果的な運用に寄与し」と明記されたのは評価できる。わが国への直接攻撃の恐れは低く、周辺の紛争が波及する恐れの方が高い。
米国は極東全体を大きな面と考えて対処している。在日米軍は予め区分けして決められている兵力水準ではなく、その時に日本の領域に存在している米軍の総称にすぎない。ガイドライン法案は日本が日米安保を選択した当初から想定されていたものと言っても過言ではない、後方支援時の武器の使用の明記、「周辺事態」概念の類型明示、自治体協力の項目明示などの改善を行ってきた国会の努力に敬意を表する。
今すぐの修正を希望するものではないが、有事法制議論を恐れるあまり、会場交通三法や道路交通法。など国内法改正が手つかずだ。また、船舶検査については日本周辺地域では国連決議は成立しにくいので、安保理決議のみを活動要件にするのは妥当ではない。
事前の国会承認については防衛出動と同じような印象と国民に植えつけるので、残念だ。今回の後方支援は単なる便宜供与に過ぎず、そういうことの国会承認を求めている国はない。1時間単位で動く事態に迅速に対応できるのか。行政府の対応にもっと信頼を置いていい。
集団的自衛権についての政府の定義は広すぎて、個別的自衛権でできることまでやらずにきたため、極めて奇異な防衛体制になっている。一番大切なのは自国の直接的防衛であり法制は穴だらけだ。法案成立後に議論すべきだ。
▼藤井治夫(軍事評論家・社民、二院ク・自由連合)
60年安保の議事録を読むと、議論がかみ合い、未解決のことが解明されていく質の高い議論がされている。それに比べ今回は行政府の答弁がなにより問題がある。ムダが多く、答えるべきことに答えていない。中身ある議論をするべきだ。
問題は、@国是として平和主義から脱線していこうとしているA主権国家としてのプライドを捨て、外国の言いなりになっているB議会制民主主義がないがしろにされ、行政府が国民や国会をコントロールしようとしている、という点だ。
憲法が重大な危機にさらされている。行政府の政治手法が非常にこそくで、条約にないことをやるのに根拠について何の説明もない。
ガイドライン自体が奇妙なもので、法的位置づけの説明さえあやふやだ。だから、国民は何をやっているのかがよくわからない。また「周辺事態」や「有事法制」など、わからない言葉を使うことに行政府が熟違している。正確に事の本質を示す言葉を使うべきだ。主権は国民にあり、国民の理解を得て進めるべきなのに、全く転倒している。
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<資料3>参院特別委参考人質疑審議採録(5月13日)
−参考人に対する質疑−
▼柳田稔議員(民主党)
周辺事態法によって自衛隊が日本の領海外で活動できるようになる。これは海外の人達にとっては集団的自衛権の行使にあたるとみなすのではないかと私個人としては考えるが、政府は、これは集団的自衛権の行使ではなく世界に無い新しい概念であるという。森本参考人はどう考えるか。
▼森本敏(中央大学総合政策学部大学院各員教授)
これは国際協力・国連協力でも集団的・個別的自衛権の行使でもない、いわゆる同盟協力という分類にあてはまるのではないか。
広い意味で同盟協力というのがあって、それには、例えば、一緒にPKO活動するために地図を交換したり、情勢分析・意見交換などを行う、また同盟国として双方が様々な協力を領域外で行うというようなものが考えられる。これらは国連協力や自衛権行使という二つの考え方のみで必ずしも解釈できるものではない。
周辺事態法に基づいて自衛隊が領域の外で米軍のために行う後方支援活動は、国連協力でも自衛権の行使でもなく、広い意味での同盟協力の部類と考えていいのではないか。
▼柳田
コソボ情勢をみてもわかるように、事態というのは時がたつにしたがって状況が変わることが多いのではないか。そう考えると、事態の泥沼化を防止・阻止するために、国会が一度承認した基本計画を変更させたり終了させたりできるという国会がもう一度関与できる仕組みが必要なのではないか。
▼森本
この種の紛争の事態が生き物のように動くというのは通例であり、当初の情勢判断または情勢判断に基づく基本計画を途中で変更する可能性は大いにあり得る。
しかし、例えば単に自衛隊出動の可否についてのみ国会の承認を求める場合であっても、現実としては、政府がその情勢判断や根拠といったことを説明してから初めて審議に入るというのが国会の常であるから、法には基本計画の内容は国会承認の対象ではないと書いてあっても、実態としては、国会でも基本計画そのものが審議されることになる。したがって修正案にある手続きで十分であると考える。
▼小池晃議員(共産党)
この法案に関して放置することが絶対出来ない重大問題は何か。
▼森英樹(名古屋大学大学院法学研究所教授)
ここは立法機関であるのだから、法的な吟味に耐えるような審議をしっかりやっていただきたい。既に述べた点に加えて、今日の議論を聞いていると、国際法上の問題も出てきているのではないか。
森本参考人は、同盟協力という国連協力でも集団的自衛権でもない中間地帯のような概念を使って説明されたが、これは森本参考人もおっしゃったように既存の国際法上の枠組みでは説明できない立法と協力をしようとするものであり、問題であると考える。
国連憲章では、武力行使は国連軍で行うか、あるいは個別的・集団的自衛権の行使として行う場合しか認めていない。しかも個別的・集団的自衛権が行使できるのは安保理が当該の措置をとるまでの間であり、さらに個別的・集団的自衛権の行使自体は憲章の中では必ずしも正義であるとは認定されていない。それを決めるのは安保理である。
このように二つしか枠組みが用意されていないところに同盟協力という新しいジャンルを設けて発動しようとするのは国際法上非常に特異なことであり、海外から批判を受ける可能性は十分ある。
▼亀井郁夫議員(自民党)
例えば大陸の沿岸部で周辺事態が起きた場合に、その近さから、公海を飛び越えて日本が後方地域に入る可能性もある。そう考えると、周辺事態法が適用される時には同時に有事につながってしまうということもあるのではないかと心配をする人が多い。
▼志方俊之(帝京大学法学部教授)
軍事技術の発達に伴い、後方地域の定義あるいは前方と後方の区別はますます難しくなりつつある。
例えば、湾岸戦争の時、何百キロも後方のサウジアラビアにいた米軍兵士がミサイル攻撃によって死傷した。このように、距離の概念によって後方地域と戦闘地域を定義することは非常に難しいし、ここは将来戦闘地域になるかもしれないから離脱するというのも現実的には難しい。潜水艦などはいたるところに出現する可能性があるのである。
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<資料4>参院特別委一般質疑審議採録(5月17日)
▼前川忠夫議員(民主)
第2次対戦以降軍事力で屈服させるといったケースはどれくらいあったかのか。
▼高村正彦外務大臣
90年のイラクのクウェート侵攻があった。
▼前川
民族の対立といった問題は軍事力で解決できないと思うがこの辺の背景認識についていかがか。
▼高村
脅威の多様化という状況を招来している。
▼前川
実質的には安全保障条約でカバーしきれない部分について今度のガイドラインでカバーをする、つまりトータルでものを考えた場合には実質的には安全保障条約の改定というふうに考えていいのではないか。
▼高村
今般の修正協議において日米安保条約の効果的な運用に寄与するとの文言が法案に盛り込まれましたが、この修正はわが国の平和及び安全に着目した本法案がこのような日米安保条約の目的の枠内であることをより明確にしたものと考えており、法案が日米安保条約を実質的に改定するといったものではない。
▼前川
基本計画全体を国会承認にするのが筋ではないか。
▼野呂田芳成防衛庁長官
基本計画については先ほどの三つの理由(1.この法案に基づく措置がいずれも武力の行使を含むものではないこと、2.国民の権利義務に直接関係するものでないこと、3.それから迅速な決定を行う必要なものであるということ)から国会報告にさせていただいたが、今後新たに認められる二つの活動、後方地域支援及び地域捜索救助活動の実施については国民の理解を得ることが望ましいことにかんがみ、国会承認の枠組みをもうけることにした。
▼前川
この法案が国民の権利義務に直接関係するものではないか。
▼野呂田
この法律にはいっさいこの協力を強制する規定はない。これを正当な理由に基づいて拒否しても何ら罰則もない。
▼前川
アメリカの場合には議会に対してもそれなりの権限が与えられている。日本の場合にそのことに重きをおかなかったのか。
▼野呂田
アメリカの例と同列に議論するには適切でない
▼緒方靖夫議員(共産)
この法案が日本が戦争に参加する法案だとは思われませんか。
▼野中広務内閣官房長官
日本が戦争に参加する法案とは考えておりません。
▼緒方
日本が戦争に参加する法案という考えは、共産党だけではない。連立をくんでいる自由党の小沢党首も述べていることです。「正論」6月号で「今度のガイドラインは、ごくおおざっぱにいうと戦争に参加する話なんです。」と述べている。現に連立をくんでいる自由党党首が戦争参加の法案だと言っている。いったいどっちが本当なのか。食い違いをどう説明されるか。
▼野中
私は戦争に参加するものではなく戦争に巻き込まれるものでもないと申し上げている。
▼緒方
小沢党首が述べていることを否定されるのか。肯定されるのか。
▼野田毅自治大臣
もう少しきちんと丁寧な言い方をしていれば違った表現になっていたろうし、真意を誤解されるような表現にはならなかった。
▼緒方
テレビで「後方支援をする場合でも、あるいは物資の供給そのこと自体が相手からみればそれは一体なんですよ」と述べているが、小沢さんの主張とまさに一緒だと思うが違うんですか。
▼野田
私はこのガイドライン法案が成立すれば、日本が戦争に巻き込まれるという表現はしないし、そのように考えていない。小沢さんもそうだと思います。おおざっぱに言い過ぎたので誤解を生じる表現になった。
▼緒方
小沢党首は「軍隊を動かすのは政治の究極的手段その究極の手段を無原則でノンルールでやっちゃいけないと」主張しているが、アメリカが言うから仕方がない、すべてなし崩し的に曖昧にしながら進められている、と批判しているが、こういう見解についてどう思うか。
▼野田
今の部分に関しては同感です。
そういう意味で平時において、みんなが冷静な意識状況にあるなかできちんとした体制を作っておくべきではないか。それから、基本的にこの法案はそれに先立つガイドラインがありますが、そのガイドラインそのものは日本国憲法及び日米安保条約の枠内でやるんだということははっきりしている。
▼緒方
仮に日本周辺のある国内で著しい人権侵害が行われて、そこに武力行使がおこなわれる。国連憲章の51条でもない42条も満たさない、こういう行為がアメリカによって行われた場合、日本は周辺事態法を発動してアメリカに協力するのか。
▼高村正彦外務大臣
ある事態が周辺事態に該当するか否かはあくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断する。したがって仮定の設問に答えるのは困難である。
▼福島瑞穂議員(社民)
なぜ「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力行使に至るおそれのある事態等」をいれたのか。
▼東祥三議員(衆議院修正案提出者・自由)
定義それ自体は変わっていないが、一つの例示的なものであるが、それがまさに周辺事態であることを明確にすることができたのではないか。周辺事態の定義をより明確にはっきりと国民にわかっていただくためにこれを挿入した。
▼福島
「重要な影響を与える事態」というのと「おそれのある事態」というのは厳密な意味で違うと思いますが、このおそれというものはどのように定義させられているのか。
▼大野功統議員(衆議院修正案提出者・自民)
一番問題になるのは自衛隊法17条の「おそれ」との比較ですが意志表示とその能力、簡単にいうとそれが明白である場合には「おそれ」76条の「おそれ」、全くもういつ攻めてくるかもわからない、こういう状態であります。
▼福島
自衛隊法3条は自衛隊が防衛出動できる場合について、法律は明確に直接または間接侵略と述べております。自衛隊が出動できるのは、「おそれ」というものはないんですね。これとの不整合性がでてくると思うがいかがか。
▼大野
3条の方は本来業務であり、それから周辺事態についての自衛隊の活動というのはこれは本来業務でなく付随業務と言うことで従って、明確な区分ができる。
▼福島
条約の改定の案を一緒につくったにも関わらず、国内法のことについてアメリカ側の同意をとること自身が変なわけですから、アメリカ側の同意をとらないで修正案をつくったことで定義がずれる、アメリカ側が自分たちACSA改定案の定義と周辺事態法の定義が異なるという可能性だってあるのではないか。
▼高村正彦外務大臣
結論だけいうとそういうことはない。
▼福島
わが国周辺で、コソボのような事態が発生しアメリカが人道上と称して軍事介入をした場合、これを周辺事態というのか。
▼高村
具体的に起こった時点で事態の規模、態様その他を総合的に判断して決めるべきものであるから、一概にはいえない。その場でケースバイケースで判断する。
▼福島
運用面における日米協力、警戒監視、機雷除去、海・空域調整それから米軍施設・区域従業員の一時増員等、なぜ日米新ガイドラインに載っていて周辺事態法に入っていないのか。
▼佐藤謙防衛庁防衛局長
これらの活動は現行法で行動する根拠がある。従って新たな法的措置をとっていない。
▼入澤肇議員(自由)
基本計画は具体的にどんなことが書かれるのか。
▼佐藤謙防衛庁防衛局長
最初の「対抗措置に関する基本方針」、後方地域支援を実施する場合の基本的事項、その種類内容というのがございます。
▼入澤
地域の概念ですけど、これは抽象的に書くのか、あるいは緯度または経度をもって明示するのか。
▼佐藤
具体的な実施要項の段階で区域を指定する場合に、防衛庁長官が具体的に指定する場合には、これは緯度、経度等を示して、それを結んだ地域を具体的に確定するということになる。
▼入澤
防衛庁長官は第五条の第二項等で内閣総理大臣の承認を受けなくちゃいけないとなっています。この承認も、要式行為なのか、文書でやるのか、口頭でやるのか、電話でやるのか。
▼佐藤
内閣総理大臣の承認の形式ですけど、これは手続きの明確性からそういったことを担保にするためには文書によるということが原則と考えられるが、その緊急性の観点からは口頭による承認ということも必ずしも排除されない。
▼入澤
第四条の第一項第二号、「関係行政機関が後方地域支援として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの」これはなにを示すのか。
▼伊藤康成内閣安全保障・危機管理室長
例えば、物品の提供、役務の提供あるいは電波関係、周波数の割り当てといったようなことの基本的な考え方を示すということになる。
▼山崎力議員(参院)
いわゆる国連決議のない平時においてどこまで任意の船舶検査ができるのか。その場合旗国が承認しても当該船舶が拒否したらどこまで強制力をもつのか。
▼大野功統議員(衆議院修正案提出者・自民)
船舶検査の基本は旗国の承認である、したがって、国連決議があろうとなかろうと、実際上、差はございません。ただし、国連決議があった場合には旗国の承認があったものとみなせる、これは受忍義務、国連憲章二五条の問題でございます。
どこまでやれるのか。第一段階として国連決議、第二段階として船長の同意。もし船長が同意しなかった場合は追跡したりということまで書いてございます。日本の場合には、船舶検査についての自衛隊の活動についての根拠法がないので、これがないと船舶検査はなにもできない。
▼島袋宗康議員(二連)
第九条一項の「必要な協力」の内容は具体的にどのようなものか。
▼伊藤康成内閣安全保障・危機管理室長
この内容につきましては事態ごとに異なるもので、あらかじめ具体的に確定される性格のものではない。例えば、地方公共団体の管理する港湾施設の使用とか、空港施設の使用、また建物、設備等の安全等を確保するための許認可ということが考えられる。
▼島袋議員
九条二項の必要な協力の内容について、これはどのような業種に協力を依頼するのか。
▼伊藤
典型例として輸送関係がある。また廃棄物の処理あるいは医療機関、病院、診療所等というものがある。そのほか物品とか施設の貸与とかそういったものが考えられる。
▼島袋
協力するのが常識だと答弁されているが、もし常識に反して協力しない自治体やあるいは民間人に対してどういう対処の仕方をするつもりなのか。
▼野呂田芳成防衛庁長官
あくまで協力を求めるということであって強制するものではない。権限について定められた個別の法令に照らして正当な理由がある場合には地方公共団体の長はこれを拒むことができる、また協力を拒んだ場合において本法案に基づき制裁的な措置をとることはない。
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<資料5>参院議特別委中央公聴会審議採録(5月18日)
−公述人に対する質疑(抜粋)−
▼加藤時男議員(自民)
「集団的自衛権は国際法上存在するが、憲法上行使できない」という政府の憲法解釈は国際的誤解を受けるのではないか?
▼富澤暉(元陸上幕僚長)
憲法九条は1928年の不戦条約と内容は基本的に同じ、当然集団的自衛権も個別的自衛権も持っているし、集団的安全保障には責務として参加しなければならない、自衛権は権利だから自制できるが、集団的安全保障は自制せずやるべきだ。
▼栗山尚一
(早稲田大学法学部客員教授、前駐米大使)
米国民で自衛権の意味をきちんと理解している人はほとんどいない。重要なのは、同盟国のために血を流さねばならない時、同盟国がどこまで助けてくれるかくれるかだ。そこで常識的な支援が行えないなら、「それはおかしい」という米国民の反応がでるのは間違いない。
▼加藤
戦闘行為が行われないと考えられている公海で仮にそういう状態が変わった場合、自衛隊は撤退することになるが、「危険だから下がる」という日本側の行動に対して、第三者はどう見るか、日米関係への影響はどうか。
▼富澤
「PKF」に参加しない日本の自衛隊も諸外国軍ら不思議に思われている。任務遂行のための武器使用は領域警備や部隊警備に近いものであり、戦争行為とは違うので、諸外国並にすべきだ。
▼栗山尚一
質問の点は私も最も心配している。アメリカ国民が大変怒るのは間違いない。その点で政府の憲法解釈は常識的に合致していない。
▼齋藤勁議員(民主)
有事法制の検討状況はどうか。
▼富澤
全てではないが相当準備されてきたものは一部あり、それらは早くとりかかり法制化されることを望む。
▼齋藤
後方地域は安全かという議論がある。政府の「後方地域は存在する」という議論をどう思うか。
▼栗山
洋上での後方支援が一旦実行された上で、中止、引き上げとなったら、日米同盟はその日限りでおしまいだろう。
▼風間昶議員(公明)
例えば先制攻撃や領空領海での行動も法解釈上は可能と思うが、今回の関連法案以外にも法律が必要ではないか。
▼栗山
周辺事態発生時にはわが国領域の防衛をきちんとやらなければならない。武器使用を含めた国内体制を整備すべきだ。
▼富澤
日本が第一にすべきなのは基地提供だが、武力行使も含めてやる場合には、世界に冠たる日本の掃海能力の提供からやっていくべきだ。
▼風間
憲法29条に財産権の保証が記してあるが、民間協力によって不測の事態が起きた際の補償についてどう考えるか。
▼平山誠一(全日本海員組合教宣部長)
「一億出すから行け」と言われてもどうするか分からないし、組合人に「一億円出すから行ってくれ」とは言えない。
▼宮本岳志議員(共産)
政府は「後方地域支援は公海上に設定される」と言っているが、海の上で米軍輸送物資ぼの受け渡しは可能か。
▼平山
大型の船が公海上から先に行かないことはあり得ない。相手の船への積みかえは物理的に不可能だ。
▼宮本
周辺事態法案9条2項に規定されている民間協力について、政府は「断っても罰せられない」と言っているが、企業の現場で「戦争の手伝いはしたくない」という理由で拒否することは実際に可能と考えるか。
▼平山
今まで個人の拒否権は最大限確保してきたが、アメリカの「実効性高いものに」という要請が法案にある以上、拒否の場合に運航に支障が及び、何らかの強制が考えられることを懸念する。
▼山本正和議員(社民)
法案は明らかに集団的自衛権にかかるもの堂々と憲法改正を訴え国民合意を得てやるのが筋ではないか。
▼栗山
憲法に基づく日本の立場は内外に懸命に説明してきているつもりだ。私は改憲論者ではなく、九条は堅持することが望ましい。一国平和主義でなく国際協調の中でやることが大切だ。
▼田村秀昭議員(自由)
台湾有事の際、日本の航路に影響は。
▼平山
台湾海峡から南シナ海、マラッカ海峡は「オイルロード」の締めくくりであり、「有事」にはオイルロードは危険な状況になる。当事国として日本が関与すると格好の標的になると懸念する。
▼山崎力議員(参議院の会)
ガイドラインよりむしろ非常事態法整備が先ではないか。
▼富澤
早く国内の有事法制を、と願ってきた。優先順位の判断は政府がしていることだが、さっそくに日本有事の問題をやってほしい。
▼島袋宗康(二院)
海員と沖縄の置かれた状況はひじょうに共通点がある。戦争の際最前線に置かれること、戦争被害を真っ先に受けることなどだ。沖縄の状況をどう考えるか
▼栗山
沖縄県民の状況に胸が痛む。負担を減らす政府の努力と、日本全体で負担を分け合うことを。
▼富澤
沖縄の負担軽減の努力が必要だ。全て内地分散とはいかないが、一つでも二つでも努力すべき。
▼橋本聖子議員(自民)
ガイドライン法案は長い時間審議したが、国民の理解がまだなされていない。反対の意見もその反映と受け止める。スポーツ選手として、湾岸戦争、ユーゴ内戦などを身近に受け止める機会があった。戦争の怖さと平和のありがたさを感じる。法案は極めて有意義なもの。ポイントを説明してほしい。
▼猪口邦子(上智大学法学部教授)
日本の平和は経済発展にいそしみ、世界に存在感を実現してきたからだ。国の国際的地位の高さが最大の安全保障で他国は介入しにくい。
アメリカの「犠牲最小化」への協力は、国家安全保障というより人間の安全保障、ヒューマン・セキュリティのためだ。今回ガイドラインに「平素から」と明記されたのには透明性確保の精神がある。
▼岡本行夫(岡本アソシエイツ代表取締役、元外務省北米第一課長)
日本は独力で守ることを憲法九条で放棄しており、歴史的にも賢明ではない。日本の「周辺事態」を安定化するための米軍の努力は、侵略を思いとどまらせる抑止だ。世界各国では報告すら要請されない便宜供与が平和主義の逸脱とは思えない。
▼藤井治夫(軍事評論家)
北朝鮮の行動にどう対処するかは冷静に議論すべきで、ケンカをはじめようとするかの動きは愚かだ。「不審船」は警察権で十分対処できる。関係を正常化して対応していけばよく、際限なく争うのは悪循環だ。
▼石田美栄議員(民主)
「周辺事態」の「周辺」ははっきりさせない方がいいのか。地域を限定しないと世界規模になるという意見をどう考えるか。
▼猪口
二国間取り決めは対象を具体的にするわけがない。英語の原典に立ち返って議論するしかないと思うが、そんなに遠くまで考えることは常識的に無いだろう。
▼岡本
「周辺事態」はややわかりにくかったが、だいぶ明確になってきた。あくまで安保条約の枠内の話で、「極東」概念も元々明確な線引きはなく、例示が一人歩きしているだけだ。その時々に米・日が判断するもので変わり得るもの、ただどこまでも広がってはいけない。
▼畑野君枝議員(共産)
「沖縄が巻き込まれる」という野呂田防衛庁長官の発言があったが、同様に基地県の神奈川県はどうか。
▼藤井
ベトナム戦争中や冷戦が激化した頃は被害が拡大した。「有事」になれば同様だろう。第7艦隊の存在は大きく、「有事」と密接に関係している。神奈川は後方支援の役割が大きく、向こうが撃ち込んでくることもあり得る。
▼畑野
ユーゴ空爆は無差別化してきている。ガイドライン法案との関連は。
▼猪口
無差別殺りくの手段としてではなく、あらゆる意味での戦死最小化のための空爆だ。パイロット生還の極大化のためにあらゆることをしたいために飛行場の自由な発進・利用の許可という日本への要求もある。そのような目的にすら協力しないでいいのか、国民の議論を尽くし、人間の安全保障の観点から考え対応すべきだ。
▼畑野
法案は対米支援のものと言えるか。
▼岡本
その通りだ。それにより日本の安全を計るものだ。自治体は現行法での協力のみで最小限のことだ。それすら選択しないとすれば、憲法改正、空母保持、軍備拡大の道になるがそれでいいのか。今の世論は法案を理解する。
▼田英夫議員(社民)
ソ連崩壊後に日米基軸外交を以前として変えないことに問題がある。「日米中トライアングル」についてどう考えるか。
▼猪口
日本は素早く対応する政治風土ではないがだいぶ学習してきている。アジアとの信頼醸成を活発化させ「日米基軸」のみではなくない協力関係が前提でその上にトライアングルが形成できる。
▼田
ガイドライン策定にも直接参加した駐在武官は「自衛隊が出てゆく場合は少ないのでは」と言っている。どう見るか。
▼藤井
自衛隊サイドは後方支援よりむしろ「運営面における日米協力」が明記されたことを「すばらしい」と評価している。
▼田
「包括的メカニズム」、「調整メカニズム」の問題が議論されていないが。
▼藤井
「包括的メカニズム」は全体の計画決定であり、「調整メカニズム」は自衛隊施設か横田基地に統合司令部がつくられるだろう。指揮権はNATOと同様に米軍人が最高司令官になるだろう。
▼月原茂皓議員(自由)
アジア大平洋の軍事情勢はどうなるか。
▼猪口
所与のものとしてでなく、影響力を発揮できる立場で考え働きかけていくべきだ。アジアは軍拡による浪費をしないという決意をすべきで、日本は責任ある国家としてリーダーシップを発揮すべきだ。
▼山崎力議員(参議院の会)
国家としての自衛権、武力組織のあり方とは。
▼藤井
今日までとってきた非核三原則などの政策を守り抜くことだ。
▼山崎
その事と、戦後米軍が一貫していることについては整合性が見えてこないがどうか。
▼藤井
平和主義に弱点はあった。今までほとんどやってこなかったが、平和主義に基づく協力は可能だ。戦争責任を果たすことで別の手段を築くことが可能になる。周辺事態法案は逆効果だ。
▼山崎
自衛隊が海外で活動することは、当事国に日本への敵対心を植えつけることにはならないか。
▼岡本
武力行使目的の場合のみ海外出動は禁じられている。海外での展開は我が国の安全が小脅かされたときのみのことで、他国の内戦・内乱に行くのではない。
▼猪口
それは日本の後方支援に人間への視点があるかにかかっている。自衛隊は攻撃ミッションを持たない新しいタイプの実力部隊だと世界がとらえてくれるようなものに編成していくことは大切ではないか。
▼島袋宗康議員(二院)
旧ガイドラインと新ガイドラインの違いは。
▼藤井
旧ガイドラインには「自衛隊と米軍は」という記述が多く、新ガイドラインには「日米両国政府は」という記述が多い。英語では旧が「ジョイント」、新は「バイ・ラテラル」だ。新ガイドラインは地域が限定されず、「後方支援」は敵対行為になる。
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<市民の声届く>
5月12日付で沖縄県の30代女性からピースデポ宛てに手紙が届いた。「私は、ごく普通の家庭の主婦であり、母親です。少しでも多くの人にこのことを考えてもらいたくて、お手紙をさしあげます」というくだりから始まる。
その手紙には、この法案に対する不安に対して「そこまで大げさに考えることはない、きっと大丈夫よ」と自分を慰めても慰めきれないものだということを、『ガイドライン法案の廃案をめざす(沖縄)県民大会』の報道にあった「沈黙は共犯」という言葉に気づかされ、今まで政治に無関心であった自分自身を怠慢と感じ、声をあげようと思うようになった。 後藤田正晴元副総裁がテレビで「日本の一国平和主義はおかしいという意見があるが、全部の国が一国平和主義なら世界は平和になるんだ」と話していた。私たちの国の防衛問題は私たちが選択する責任がある。
「今からでも、これから先も、国の動きを注意深く見つめ、どのような行動をとるべきか深く考えなければなりません」(抜粋)と、長い文章が綴られていた。《特に沖縄の皆さんへ》というくだりもあり、危機感つのる真剣な問いかけに満ちていた。
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