■ ASEAN地域フォーラム



資料:PCDSからARF(アセアン地域フォーラム)への申し入れ

2000年4月24日


ASEAN事務総長ロドルフォ・C・セヴェリノ・Jr閣下
ASEAN地域フォーラム参加国外務大臣閣下



第7回ARF(2000.7.27、タイ・バンコク)について

 私たちは、太平洋軍備撤廃運動(PCDS)を代表して手紙を書いております。(略)
 これまでの私たちとのやりとりから明らかなように、PCDSはARFの成り行きを注意深く見守り、ARFについての多くの報告書を、コミュニティ・レベルでのかかわりが深い、地域的な幅広い平和ネットワークの視点から、発行してきました。ここには、昨年のARFについての報告書「役立たずにならないために措置が必要−−第6回ASEAN地域フォーラム(1999年、シンガポール)」を同封します。私たちのARFの業務への関心は依然として強いものです。それは、ARFが大きく変化するこの地域における、ただ一つの政治的な協議機関であるからです。私たちの意見をARFに先だって考慮していただけるように、私たちは、5月中旬に開かれるARFの再検討・高級事務レベル協議の前にこの手紙を送ろうとしています。私たちは、あなたがたに下記の項目について注意を促し、今年のARFでの討議事項に含め、そうすることによって、ARFが地域の安全問題について確実な前進をすることができるように望みます。

■核軍縮の促進
 1999年の「議長声明」は、「核兵器国が核軍縮のために体系的かつ前進的な努力をすることの重要性について述べ、かつ、核兵器の廃絶という究極的目的のためにさらなる努力を行うよう要求した」。私たちは、ARFがこの目的を達するための努力を次のような方法によって支援することを提案します。つまり閉会期間に核軍縮と不拡散のための支援グループ会議を主催し、大量殺戮兵器を廃棄するための世界的なキャンペーン(地域安全のための前提)へのARFの貢献の一部とすることです。さらに、コフィ・アナン国連事務総長は、彼の「ミレニアム・レポート」(2000年4月3日)において、核兵器の危険をなくすための手段を明らかにするための、大規模な国際会議を開催することを考慮することを提案しました。私たちは、ARFがこの提案を支持することを求めます。

■東南アジア非核地帯(SEANWFZ)への加盟とその他の非核地帯構想へのとり組み
 私たちは、昨年のARFにおいて、中国がSEANWFZの議定書へ加盟する意思を示唆したと理解しているのですが、中国もその他の核兵器国もこれを実行しておりません。私たちは過去3年にわたって要求しているように、ARFが加盟国である全ての核兵器国に対し、東南アジア非核地帯の議定書に遅滞なく署名するように強く求めることを要求します。核兵器国の議定書の遵守は核軍縮に対する彼らの真剣な意図を確実に示し、また、インド、パキスタン、あるいはその他核兵器国になりたいと考えている国家に対する「誠実さ(注:NPT第6条)」の証しとなるものです。

 私たちは、ARFが地域の安全保障環境を改善するために、SEANWFZの有効性を増すような方策について検討することを提案します。例えば、バングラデシュやスリランカとの議論を促進し、SEANWFZをこれらの諸国を含むべく西方向に「拡張する」可能性について検討するべきです。SEANWFZの「周辺を薄める」こと、つまり、NWFZの外側ではあるが境界線に近いところに配備されている核兵器を撤退させ、そうすることで、近隣の核兵器国による戦術核兵器の使用や使用の威嚇がないことへの信頼性を高めることも考慮するべきであると考えます。SEANWFZの場合、こうした仕組みは北側の境界線に適用できるかもしれません。

 私たちは、ARFが新しいNWFZをアジア太平洋地域に設立することを推奨するよう提案します。例えば、北東アジアのNWFZを設置して、地域の非核国、なかでも韓国(ROK)や朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)や日本が中心的な構成員となれば、地域の信頼醸成と予防外交に貢献するであろうし、そのような目的はARFの使命の中に含まれているのです。そうしたNWFZができれば、周辺の諸国家にある核兵器の存在そのものや、これら三つの国、あるいは、日本と統一された朝鮮の間において潜在的にある核開発競争が生み出す緊張を解くための前進となるでしょう。加えて、条約が周辺の核兵器国に関連する議定書を含むでしょうから、核兵器国を条約加盟国により深く関与させることになるでしょう。

■国土ミサイル防衛(NMD)と戦域ミサイル防衛(TMD)開発への異議
 私たちは、地域におけるいくつかの国家が行っているミサイル防衛システムの開発は、地域、ひいては世界にあらたな軍拡を招き、さらには核軍縮の努力を阻害するものであると信じています。私たちは、ARFがこうした不安定をもたらすような進展に対して、可能な限りの強い言葉で異議を申し立てることを要求します。

■ARFにおける国家の参加の促進と拡大
 私たちは、ARFのとり組みによって影響を被るあらゆる当事者がその会合に参加するべきであるという原則を支持し、ARFがこうした原則を適用することを提案します。昨年のコソボにおける悲劇は、ARFのような紛争予防機構の重要性を示しています。残念ながら、重大な紛争が起こる潜在的な可能性が最も高い場所との関連、すなわち朝鮮半島との関連において、ARFは非効率的でかつ弱弱しいものでした。私たちは、ARFが発足当時から北朝鮮を含めなかったのは、先見の明がなかったものであると信じています。

 私たちは、最近では2000年4月6日に北朝鮮(DPRK)がARFに参加したいとの希望について示唆したと理解しています。私たちは、ARFの構成員となるためには「新たに参加する国は、参加が承認される以前になされた過去のあらゆる決定や宣言を受け入れるべきである」とする正式の条件が、北朝鮮の参加の妨げになっているのではないかと心配しています。これは、昨年の「議長声明」の第12節も含め、北朝鮮に関する宣言がこれまで行われてきており、それを北朝鮮が受け入れることはきわめて困難であると考えられるからです。ARFを普遍的で、かつ多国間の安全保障のフォーラムにするためには、私たちは、ARFが北朝鮮に過去のいくつかのARFの決定や宣言の受け入れを留保することを許し、その代わりに、加入の条件としては、ARFの基本的な原則に賛成することを条件とすることを提案します。私たちは、今年のARFの会合への北朝鮮の加入を促進するために、北朝鮮を関与させる通常以上の努力がなされることを求めます。

 私たちは、新たに独立した東チモールがASEANに、さらには、ARFに参加することを検討していると理解しています。私たちは、東チモールがもしそのように参加することを選択するのであれば、ASEANとARFは、そうした参加を容易にし、促進するようなあらゆる援助を提供することを求めます。

■時代遅れの安全保障概念への挑戦
 PCDSは、米比訪問軍協定という形での新たな軍事協力に懸念を抱き続けています。また、日米防衛協力のための新ガイドライン、軍事活動を拡張する日本の新たな立法、そしてTMDの共同開発にも懸念しています。こうした最近の進展は、伝統的で、今はもう時代遅れとなった、大国の軍事力を基礎とした安全保障体制を補強するものであり、ARFにとって関心となるべきことです。このような安全保障への伝統的なアプローチは、軍事的な緊張を緩和することもできなかったし、軍の存在がもたらす容赦のない影響に苦しみ、それに挑戦してきた沖縄の人々が証明しているように、地域の人々に平和的な生活を保証することもできなかったのです。こうした体制は、理性的な対話に誇りをもち、紛争予防と解決のために非軍事的な安全保障の代替案を提示するARFの全体的な精神に反するものです。安全保障とは、そのもっとも基礎的な意味において、平和と安全のうちに住みたいという人々の願いであり、人々が中心であり、民主的であり、かつ協力的なものです。したがって、私たちは、ARFがこうした軍事的な体制に挑戦することを要求するものです。

■通常兵器と軍事費の削減
 たしかに、兵器販売は1997年の東南アジア地域での経済的下落も原因となってやや減少しましたが、回復基調にあり、1999年の地域の軍事支出は6%の増加を見込んでいます。兵器貿易はひき続き活発であり、軍隊への資金の配分は依然として過大であり、より地域の安全を保障するであろう社会的なプログラムから貴重な資源を奪い取っています。軍事費の削減は、地域的な安全保障の確立にとって前提となるものです。私たちは、通常兵器の削減と軍事費の全般的な制限をARFの地域安全保障の議題とするよう、あらためて提案します。この協議では、小火器の拡散や米州機構(OAS)や欧州連合(EU)のような地域機構でとり組まれてきたように、この問題についての条約の確立も問題となるでしょう。

■柔軟関与の原則の採用
 私たちは、ARFの加盟国が他の加盟国の内政について公にコメントすることができる柔軟関与の原則をひき続き支持します。私たちは、この原則の実施をARFを含む今年のASEANの会議で前進させることを要求します。仮にそのような原則が昨年あったとすれば、ARFは東チモールの情勢について、地域安全保障機構に期待されるような効果的な役割を果たすことができたでしょう。同様に、ARFは新たな抗争や紛争を未然に防ぎ、阻止するためにより大きな役割を果たすよう強化されなければなりません。

■人間の安全保障の採択
 私たちは、地域における人権や政治的権利の侵害を議論し、検証するための手順を確立することを再度ARFに要求し、また、真に持続的な人間の安全保障のもっとも重要な要素としての民主主義の発展の重要性について確認します。私たちは、1999年の「議長声明」の中に初めて「人権」という用語が含まれたことに気づきました。しかし、皮肉なことに、それはコソボの情勢に言及するものでした。ARFは、自分の家に近いところでの人権上の緊急課題について行動しないことはいうまでもなく、言及すらしないのです。私たちは、安全保障についてのARFの実際上の理解として、「人間の安全」を包含することを求めます。同様に私たちは、時に国家が自国益を追求するための政治的な手段として、また、人々の安全というもっとも真正な意味における「人間の安全」とは一致しないような行為を正当化するために使われる、人権の詭弁を支持しないことを強調したいと思います。

■ARFの期間を延長し考察の対象を広げること
 ARFがその幼児期を過ぎ、第7回目の会議を開催するにあたって、私たちはARFをより実質的で役に立つ機関にするための手段が講じられなければならないと信じます。こうした理由から、私たちは、一日のARFを複数日のイベントにすることを提案します。さらには、ARFが現にある危機的な安全保障上の問題についての議論を選択的にとり上げることを提案します。例えば、戦域ミサイル防衛、インドネシアの不安定などです。

■ARF過程におけるNGOの参加を支持し促進すること
 これまでの手紙にひき続いて、私たちは、ARFのような国際機関におけるNGOの参加の重要性についての問題を提起します。6年が経過したいま、強い地域的な広がりとコミュニティ・レベルの関与をもった、私たちのようなNGOは、ARF過程の周辺に押しやられています。「予防外交」や、「紛争解決へのアプローチ」の意味や範囲についての合意といった根本的な課題について、ほとんどARFにおいて進展がないなかで、ARFはより広い基盤を持つNGOからのインプットによって利益を受け、こうした課題へのとり組みに対して、新たなアイデアやエネルギーを得ることができるでしょう。ARFの会期の間の作業として、「外部当事者との連絡調整」が予防外交の要素として特定されました。私たちはそうした関与は、できる限り広いものであることを求めます。ARFはトラック・ツー(TRACKU)の非政府当事者の参加を得ていますが、私たちはARFがコミュニティを基盤とした地域グループで、ARFに強い関心を持つものとの対話を始め、他の国際機関のように民衆グループがARFの過程に参加する道を探ることで、利益を得るものと信じています。私たちは、第一歩として、ARFとNGOの文書の公的な交換を行うこと、事務局を通じてNGOの文書をARF参加者とARFを取材しているメディアに配布することを再度提案します。

 私たちの関心事項に注意を払っていただければ幸いです。生産的で実質のある第7回ASEAN地域フォーラムが開かれることを期待しています。


国際コーディネーター 梅林宏道
資料コーディネーター パトリシア・ウィリス

(訳:田辺俊明)



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