| アピール
被爆から60年という節目の年を迎えました。世界では「今こそ核兵器廃絶を!」の運動が湧き起こっています。私たちはその運動と連帯し、5月に開催される第7回核不拡散条約(NPT)再検討会議を前にして全国から東京に集まりました。
数十万人を焼き殺し、二つの都市を一瞬にして原子野に変えた核兵器の恐ろしさを、人類は忘れ去ろうとしているのでしょうか。「再び被爆者をつくるな」という被爆者の叫びは生かされないのでしょうか。地球上には今もなお3万個に近い核弾頭が存在しています。人類は、核兵器を禁止し廃絶する道筋を未だに描けないでいます。それどころか、私たちは新型核兵器の開発や新たな核保有国・核保有集団の出現の危機に直面しています。
NPT体制は、核兵器廃絶と不拡散を達成する国際的努力の基礎となってきました。人類の理性は、多国間協議によって公正な法の支配を強化し、武器と戦争を廃絶しようとする努力を重ねています。NPT体制は、不備な点はあっても、間違いなくそのような努力の一つでありましょう。しかし、大国がエゴを押し通し、NPT第6条にうたわれた「誠実(good faith)」を示さないとき、条約の信頼性は重大な危機に曝されるでしょう。
2000年に開催された第6回再検討会議から今日に至る5年間の経過は、この危機をまさに現実のものにしました。核保有国が2000年会議において「保有核兵器の完全廃棄を明確に約束」し、13項目の実際的措置などに合意したにもかかわらず、それらが反古にされようとしているのです。なかでも最強の核保有国であるアメリカは、戦略核兵器の半永久的保有を計画し、包括的核実験禁止条約(CTBT)を否定し、新型核兵器の研究を開始し、核実験再開の可能性を公言し、核兵器の先制使用を示唆するなど、「誠実」のかけらも示さない態度をとってきました。
NPT体制の危機は極めて深刻です。一部の国が安全保障のために核兵器が必要だと言い続けるならば、新しく核保有を目指す国が登場することを阻止することはできないでしょう。苦心の協議を積み重ねた結果得られた貴重な多国間合意がたやすく無視されるならば、拡散防止体制の強化やNPT脱退防止の制度化など新しい課題の解決も困難に直面するでしょう。
そこで私たちは、日本政府を含め第7回NPT再検討会議に次のことを要求します。
1. 再検討会議は、2000年の合意から後退してはならない。それを基礎に「体系的かつ前進的(1995年合意)」に核軍縮を進めるべきである。
2. 核兵器国が「保有核兵器の完全廃棄を明確に約束」したことを踏まえ、再検討会議は完全廃棄までの実行プログラムを協議する常設委員会を設置すべきである。ジュネーブ軍縮会議の行き詰まりに左右されない委員会の設置が必要である。
第7回再検討会議がこのような成果をあげるためには、核兵器廃絶への確固たる意志を持った政府レベルのリーダーシップが必要です。私たちは、核兵器の非人道性を経験し、強力な核兵器廃絶の世論を持つ日本政府こそ、その役割を担うべきであると考えます。しかるに日本政府は、日本の安全保障のために核兵器が必要だと考え、アメリカの「核の傘」に頼る政策をとり続けています。その論理を延長すれば、アメリカの「核の傘」に頼ることができない時は自ら核武装することを意味するでしょう。それが許されないとするならば、「核の傘」を失わないためにアメリカの戦略に従属し続けることになるでしょう。このような状態では、日本が核兵器廃絶のための強いリーダーシップをとれるはずがありません。
核兵器拡散のこの重大な危機に直面しているいま、「日本は唯一の被爆国。核兵器廃絶は日本の悲願」という日本政府の言葉が、もはや口先だけの常套句であってはなりません。今こそ、日本自身が核兵器政策の根本的転換をするべき時です。幸い、広島市、長崎市が主宰する「平和市長会議」が、「ビジョン2020」という核軍縮構想を提案しました。それは、第7回NPT再検討会議を起点として交渉を開始し、2020年までに「核兵器のない世界」を達成することを目指すものです。日本の全国市長会、全米市長会議がこれを支持するなど、国際的に支持が拡大しています。
そこで私たちは、日本政府に次のことを要求します。
1. 再検討会議において、日本政府は「ビジョン2020」への支持を表明し、NPTが核軍縮交渉のテーブルを設置するよう強力に主張すべきである。これはNPT再検討会議への私たちの前記要求を具体化するものである。
2. 日本は、厳密な検証制度を持った「東北アジア非核兵器地帯」の創設を提唱し、核兵器に依存する安保政策からの転換に踏み切るべきである。そのことによって初めて、日本は核兵器廃絶への道義的リーダーシップを回復することが可能になるであろう。
以上、本集会の名においてアピールします。
2005年2月19日 核廃絶は市民の手から
被爆60年を転換の年に!NPT市民集会
(集会の賛同者・実行委員は別紙の通りです)
|