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◆NPT再検討会議・NGOセッション
北東アジアNGOチームによる意見発表 (2005年5月11日、ニューヨーク)


東北アジア非核地帯に向かって進め 


 議長、各国代表、友人の皆さん。

 前回の2000年NPT再検討会議以来、東北アジアの平和と安全保障環境はますます悪化の一途を辿っています。その理由は明らかです。米国と朝鮮民主主義人民共和国(DPRK、北朝鮮)との敵対関係の再燃です。このことは、NPTプロセスという文脈のなかで、どのような意味をもっているのでしょうか。

 2000年6月、NPT再検討会議が終わって間もない頃のことです。平壌で歴史的な南北首脳会談が開催されました。韓国、北朝鮮の両首脳は、両国が率先し、多岐にわたる平和的協力を通じて国家の統一を達成することを誓約した「共同宣言」を表明しました。また、同年10月には、米国と北朝鮮が「新しい方向性を持った両国関係を築く」ことで合意に至りました。そのときに出された「共同コミュニケ」は、「両政府はいずれの側も相手に敵意を抱かないことを表明し、両政府は、過去の敵対関係を清算して新しい関係を築くために今後全力を尽くすことを誓約する」と述べています。2002年9月には、日本と北朝鮮によるもう一つの歴史的な首脳会談が平壌で行われ、地域にとってのさらなる前進となりました。「平壌宣言」は、両国が「早期の国交正常化に向けてあらゆる努力を行う」とし、「この地域の関連各国の間に、相互の信頼に基づく協力的関係が構築されることの重要性を確認した」と述べています。

 しかし、このような前向きな進展は、2001年の米政権交代をきっかけに崩れ始めました。ブッシュ政権は、クリントン政権時代に誓約した新しい米朝関係を一方的に凍結し破棄しました。ブッシュ大統領は、2002年の一般教書演説で北朝鮮を「悪の枢軸」国の一つと名指しし、以後、両国の関係は悪化していきました。2002年10月、米国は北朝鮮が1994年合意枠組みに違反しているとして非難し、同国への重油の供給を停止しました。他方、北朝鮮は米国の非難を否定し、「わが民族の自主権と国家の安全が著しく損害される危険な情勢が生じた」として、2003年1月にNPTからの脱退を宣言しました。今年2月、北朝鮮はついに「自衛のための抑止力」として「核兵器を製造した」ことを公式に表明しました。

 近年の米国と北朝鮮によるこのような否定的な動きに対し、私たちは非常に心を痛めています。なぜならこれらがNPT体制を著しく損なうものであるからです。現在の北東アジアにおける拡散の危機に対して、両国は全面的な責任を負っています。特に、過去4年にわたり北朝鮮に対する強硬・敵視政策をとり続けているブッシュ政権は、現状に対して極めて大きな責任を負っています。北朝鮮の市民は、存在しない大量破壊兵器の廃棄の名において米国が近年行った違法なイラク侵攻を目の当たりにし、自国への攻撃が行われるかもしれないという真の恐怖を覚えたに違いありません。私たちは、朝鮮半島における現在の緊張関係を緩和しようと努めている中国および他の外交関係者の努力に感謝します。そして、すべての国連加盟国および国連当局に対し、酸鼻を極める朝鮮戦争の再来を防ぐために最大限の努力を払うよう要請します。戦争は、東北アジアにおける新たな核のホロコーストへと繋がりうるものです。

 朝鮮半島における核の脅威に関しては、いずれの国がもたらしたものであろうと私たちはそれらを強く遺憾に思います。米国が、半世紀以上もの間、北朝鮮を「核の脅し」の対象としている一方で、北朝鮮の核の脅しを非難することは、米国の二枚舌にほかなりません。最近では、2002年の米「核態勢の見直し(NPR)」のなかで、北朝鮮は米国が将来的な紛争において核攻撃の対象国として列挙した7か国の一つに数えられていたのみならず、「慢性的な軍事的懸念」として名指しされた2つの国の一つとして挙げられていました。それが明らかになってまもなく、2つのうちのもう片方の国であるイラクは、「体制転換」をもたらすためとして、米国とその同盟国により攻撃を受けました。したがって、北朝鮮が持っている強い不信と恐怖を取り除くために、何らかの信頼醸成措置をとることの義務を米国は負っているのです。

 北朝鮮の核問題をめぐる現行の6か国協議は、この問題の平和的解決に向けて欠くことのできない交渉の場となっています。私たちは、北朝鮮にできるだけ早期の協議復帰を要請します。さらに、解決への促進を図るために、私たちは朝鮮半島における最大の敵対関係にある米朝が直接の協議の場を持つことが必要であるとも考えます。これらの協議を成功へと導くためには、ブッシュ政権が北朝鮮との平和的共存に向けた政治的意思を明確に打ち出し、対話を育む環境を作っていくことが決定的に重要です。私たちは、米国に対し、柔軟性を示し誠実に交渉に臨み、北朝鮮に現実的な提案を行うよう強く求めます。北朝鮮はすでに過去において、安全の保証と経済協力に関する公正な包括的取引が提案されれば、自国の核兵器計画を放棄するという意思を表明しています。

 議長、各国代表、友人の皆さん。

 北朝鮮の核問題は多面的であり、朝鮮半島のみならず、北東アジア、ひいては全世界に多様な影響を及ぼします。ゆえに、私たちは、「すべてにとっての平和と安全」アプローチが、この問題の平和的、持続的な解決に向けた唯一の効果的かつ合法的な措置であると確信します。私たちは北朝鮮の核問題の平和的解決を忍耐強い交渉によって追求していくという現在の韓国および日本の政策を歓迎します。しかし一方で、両国は引き続き米国の核の傘の下に留まっており、また、米国との同盟のなかで兵器システムの改良や軍事的な即応体勢の強化を通じて軍事的優位を求めていくという旧態依然の政策に固執していることから、全体的なアプローチとしてはもはや時代遅れのものとなっています。この点において、私たちはとりわけ日本が近年において米国のミサイル防衛システムへの参加を決定し、また韓国が同じ道を歩みだそうとしていることに失望の感を強めています。私たちは地域の関連各国に対して、地域における協調的安全保障システムを確立するための革新的な措置の実施に踏み切り、やがては二国間の軍事的安全保障協定を廃棄するよう強く求めます。

 もし地域のなかの一国が自国の安全保障のためには核抑止力が必要であると言うのであれば、別の一国も同じことを言うであろうという否定できない真実を私たちは出発点とするべきです。もし韓国や日本が北朝鮮に核計画を廃棄するよう説得するうえでのリーダー的役割を担おうとするのであれば、これらの二国は自らの米国への核依存の放棄に向けた、よりいっそう前進的かつ大胆な措置をとらなければなりません。両国は、東北アジアに新しい非核地帯のモデルを設置するよう進めていかなければなりません。その枠組みのなかでは、すべての非核兵器国は核依存を放棄し、同時に、今後いかなる核兵器国からも核の脅しを受けないよう保護されます。

 地域の平和と和解、そして協調という新しい時代のために、関連各国と市民社会が協力して全力で取り組めば、東北アジアへの非核地帯の設立は不可能なことではありません。昨年、地域の協調的安全保障システムに向けた第一歩として、地域のNGOと専門家が「モデル『北東アジア非核兵器地帯条約』」を作り上げました。それは地域内の3つの非核兵器国(北朝鮮、韓国、日本)が中心となり、周辺の3つの核兵器国(中国、ロシア、米国)が議定書ではなく条約本文のなかで消極的安全保証を供与するという補強的な役割を果たすという6か国条約です。モデル条約を構成する6か国は、現行の6か国協議の参加国とまさに重なります(モデル条約の全文は、http://www.peacedepot.orgを参照してください)。したがって、私たちは北京で行われる6か国協議が、今後東北アジア非核地帯に関する交渉の場にもなりうると考えています。私たちはすべての関係各国に対し、私たちの提案を真摯に受け止め検討していってくださるよう要請します。ご静聴ありがとうございました。


 東北アジアNGOチーム:
チョン・ウクシク(平和ネットワーク、韓国)、ジョン・キム(友和会(Fellowship of Reconciliation)、米国)、中村桂子、高原孝生、梅林宏道(ピースデポ、日本)


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◆「北東アジア非核地帯」についてもっと知りたい方は:
ピースデポが韓国NGOと共同で制作した最新刊、日韓ツイン・ブックレット「東北アジア非核地帯」をお読み下さい。
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