核軍縮:日本の成績表 非核地帯 日米安保 核兵器・核軍縮
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<脱軍備>で平和と安全を
――報告「市民社会が構想する北東アジア安全保障の枠組み」

2005年10月
プロジェクト:「ピースデポ 北東アジア安保フォーラム

 本報告は、同じタイトルの包括的な報告書の要約部分を読みやすい形に編集したものである。
(報告書全文はこちら。)
 タイトルにある「脱軍備」という言葉は聞きなれない言葉かもしれない。軍事力において優位に立つことが人々の財産と生命を守る究極の保証であるという考え方から、現在、ほとんどの国の安全保障政策は軍事力に強く依存している。私たちは、この現状から脱することによってこそ、公正が支配する本当の平和と安全がもたらされると考える。そのようなプロセスを「脱軍備」という言葉で表した。東北アジアの現実から出発して、脱軍備の道筋を探ろうとするのがこの報告の試みである。研究プロジェクトの成果を踏まえて、梅林宏道が執筆した。

もくじ
はじめに 市民の関心と不安の高まり

第1章 4つの手がかり
 1.東北アジア非核兵器地帯
 2.専守防衛地位とその地域化
 3.東北アジア・ミサイル制限体制
 4.アセアン地域フォーラムの活用

第2章 テーマをほぐす
 1.東北アジア非核兵器地帯
  (1)スリ・プラス・スリー構想の利点
  (2)非核朝鮮半島では不十分
  (3)モデル条約の作成
  (4)残された課題
 2.専守防衛地位とその地域化
  (1)日本の現状
  (2)概念の明確化
  (3)実現への手順
 3.東北アジア・ミサイル制限制度
  (1)ミサイルの脅威とは
  (2)多様性と公平性への配慮
  (3)初期信頼醸成措置

第3章 アプローチの提案
 1.第1ステップ
 2.第2ステップ
 3.第3ステップ



はじめに 市民の関心と不安の高まり

 3年毎に行われる内閣府の世論調査によれば、日本の市民の安全保障や平和に対する関心は増え続けている。その中で、98年の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によるテポドン発射事件が国会を騒然とさせたように、日本自身が武力紛争の当事国になるという想定が一般化し始めている。01年には米国にブッシュ政権が登場し、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、北朝鮮の弾道ミサイル・核兵器開発問題を重要な国際問題として焦点化した。一方、01年9月、米国において9.11事件が発生し、米国は世界的な対テロ戦争を宣言した。そしてアフガン戦争(01年〜)とイラク戦争(03年〜)と続いた。このような流れを重ね合わせて、日本の市民の多くは「戦争」のことを以前よりも身近かに感じるようになった。

 日本の政治も、国際的な「対テロ戦争」を言外に北朝鮮問題と関連づけながら、国家安全保障の現実的な担保は軍事力であると公然と述べる方向に舵を切った。小泉首相が、「国連は日本を守ってくれないがアメリカは守ってくれる」(04年1月)と国会で述べたことが、このような変化を象徴している。日本政府は弾道ミサイル防衛に関する日米技術研究協力を開始し(98年)、テロ特措法(01年)、イラク支援特措法(03年)と立法措置を講じ、海上自衛隊のインド洋・アラビア海への派遣(01年〜)、続いて陸上自衛隊、航空自衛隊のイラク派遣(04年〜)を行い、一気に国際的な軍事的関与を進めた。

 しかし、戦後60年にわたって平和憲法下で形成されてきた日本の市民の平和意識は、一部で言われるほど未だ大きく瓦解してはいない。市民は日本の安全保障への関心を高めつつも、軍事的関与に関しては複雑な反応を示している。たとえば内閣府の世論調査において、9.11を挟んだ2000年1月と03年1月を比較すると、防衛費増加を望む声と縮小を望む声が同じように増えている。
 市民の中において、戦争を放棄し、交戦権を否認した憲法9条への確信が揺らいでいることは事実であろう。その大きな原因の一つは、9条によっていかにして平和が守られるのか、具体的なイメージを抱くことができないことにあると思われる。それは、憲法9条を基礎にした安保・外交政策の形として、平和機構の構想、とくに東北アジア地域の安全保障機構について現実的な議論が精力的に行われてこなかったことに起因しているであろう。したがって、平和的手段による国際問題への関与の有効性について、理論的、例示的な議論が積極的になされるならば、それに共感し、政策選択に至る素地が、日本の市民の中に今も十分に存在すると考えられる。

 本報告ではこのような観点からの貢献として、いくつかの可能性を具体的に検討し、段階的アプローチを提案する。


第1章 4つの手がかり

 まず、本報告で取り上げる4つの手がかりとなるテーマについて、その意義を考察する。4つとは以下のものである。

(1)東北アジア非核兵器地帯
(2)専守防衛地位とその地域化
(3)東北アジア・ミサイル管理体制
(4)アセアン地域フォーラム(ARF)の活用

 これらのテーマは、国際的な平和運動と接しながら調査・分析に携わってきたNPO法人ピースデポが、近年関心を抱いてきた地域的テーマである。とりわけ(1)、(2)、(3)は、以下の各項の説明に述べるように、日本における市民社会の抱いている関心や戦後日本における安保議論の蓄積に合致するものであり、東北アジア地域の協調的安全保障の枠組み形成につながる可能性のあるテーマとして、私たちは着目した。

1.東北アジア非核兵器地帯
 現在、北朝鮮の核兵器問題がこの地域の安全保障に関する重大な関心事の一つであることに端的に示されているように、地域的緊張の根底に核兵器に起因する相互の脅威感がある。日本では、多くのマスメディアの一面的な報道によって、北朝鮮の「不当な」行為がこの緊張を生みだしている根本原因のように見られがちであるが、問題ははるかに複雑で歴史的なものである。

 日本による朝鮮の苛酷な植民地支配と侵略戦争、日本の敗戦、米ロによる南北朝鮮の分断、それに続く朝鮮戦争という東北アジアの戦争と不信の歴史が、厚い層となってこの地域の安全保障問題の下地を作った。続く米ソ冷戦の数10年、米ソの軍事力がこの地域を支配し、この不信と分断をいっそう強化した。その頂点に核兵器による睨み合いがあったことは言うまでもない。事実、米国は90年代初頭まで、韓国領土に実際に使用することを前提とした戦術核兵器を配備していた。冷戦後には、唯一の超大国となった米国の軍事力が、地域的安全保障の圧倒的な決定因子として居座ることになった。米国の核抑止力が、今も米韓、米日安保関係の核心部分を形成している。

 日本に関して言うならば、約40年前の1964年10月、中国が最初の核実験を行ったとき、日本は米国に対して核兵器による日本防衛の確約を取り付け、国内的には非核三原則を採択した。そのとき、被爆体験と強い反核世論に救われて、日本自身の核兵器保有オプションが採択されなかったことは幸いであった。しかし、この政治選択は、核兵器を非人道兵器として否定し、脅威除去のために東北アジア非核兵器地帯を形成する方向に努力するのではなく、核大国に頼ってグローバルな恐怖のバランスの中に東北アジアを置くことになった。この形が今日まで地域安全保障の基本的枠組みをなしている。

 一方、朝鮮半島においては、平和憲法がありながらも世界有数の近代軍事力を保有するに至った日本に対して、核兵器保有へといつでも転換できる能力を意図的に維持しているとの警戒心が絶えない。また、自分たちの独立を保証する究極兵器として核兵器保有を主張する「核主権」論が根強く存在する。韓国「中央日報」の世論調査によると、核武装のオプションを捨てるべきでないと考える韓国民が82.3%(99年2月調査)、81.9%(96年9月調査)と圧倒的多数であり、後者の調査では、「南北朝鮮が統一されたとき、アジアの大国への警戒のために韓国は核兵器を持つべきですか」という問いに、82.6%が「はい」と答えている。「アジアの大国」が日本を意識していることは想像に難くない。

 このように、地域の各国が核兵器に関する潜在的脅威を感じ合っている複雑な状況において、東北アジア非核兵器地帯を設置することは、地域的な核兵器開発競争を予防し、地域の軍事的緊張を緩和し、相互信頼に基づく地域安全保障の枠組みを確保する上で、極めて重要な意味を持っている。

 しかも、非核兵器地帯はすでに地球上の4地域において国際条約によって設立されており、その基本概念と有効性への一定の評価が定着している。1970年の核不拡散条約(NPT)においても支持され(第7条)、その後のNPT再検討会議において繰り返し拡大・強化が呼びかけられてきた。
 
 非核兵器地帯が地域の信頼醸成と安全保障に役立ってきたのは、次の3つの要件が備わっているからである。

  @核兵器の不存在、禁止 核兵器の開発、実験、製造、配備などが禁止される。
  A消極的な安全の保証 地帯に対して核保有国による核攻撃や攻撃の威嚇が禁止される。
  B条約遵守機構の設置 条約遵守のための検証、協議の機関が設置される。

 さらに、人類史上唯一の核戦争を体験し、広島・長崎の被爆者がいまなお日本と朝鮮半島に数多く生存するこの地域が非核兵器地帯設立に動くことは、地域の市民にとって分かりやすい課題であるとともに、国際的にも理解されやすい目標である。


2.専守防衛地位とその地域化
 日本においては、「専守防衛」という言葉は、憲法9条の下における日本の自衛力を定義する一つのキーワードとして人口に膾炙している。平成15年版防衛白書は、この概念を「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その様態も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」と説明している。専守防衛概念は、日本のみならず各国の軍事力を制限し、地球を武力支配の世界から法の支配の市民社会に転換するときの過渡期の概念として広く用いられている概念である。たとえば、冷戦後、この概念を活用して軍縮を進めることを目的に、国連軍縮局は「防衛的安全保障の概念と政策に関する研究」と題する研究報告書を作成した(93年)。また、1999年に市民社会が主催した国際会議「ハーグ平和アピール1999」で発足したNGO「戦争防止地球行動(GAP)」は、戦争防止のための5段階行動計画を発表し、その第5段階を「国家の軍隊の役割を狭い範囲の国土防衛に限定する」とした。つまり「専守防衛」状態を目標としたのである。

 このように、専守防衛は正しく発展させるならば、現在においてもなお有効な安全保障概念である。

 しかし、今日、国連憲章のもとでは、個別的自衛権、集団的自衛権の行使のためにのみ各国の武力行使が許される。だとすれば、当然のように、すべての国の軍備は「専守防衛」ではないのか、という疑問が発せられる。事実、近隣アジア諸国は、日本政府が掲げる「専守防衛」は「うわべの言葉」であると考え、ほとんど信頼に値するメッセージとは受け取っていない。それどころか、真意を隠すための「隠れ蓑」であると警戒し、日本の軍事大国化に対して繰り返し懸念を表明している。

 その最大の理由は、現在の「専守防衛」政策が国際公約となるための要件を満たしていないこと、また国際公約とする努力が皆無であったことに起因していると言えるであろう。

 実際には、「専守防衛」政策のお陰で、日本の自衛力は不十分ながらも一見他国にはない特徴を備えている。たとえば、自衛のためには不必要であるとして、自衛隊機や自衛艦は基本的に都市や地上軍事目標を攻撃するための対地攻撃能力を装備していない。遠征攻撃可能な空母を持っていない。しかし、これらの自制は決して地域の緊張緩和と軍縮には貢献してこなかった。それはこの自制が平和憲法の理念から生まれたものではなくて、日米防衛分担によって自衛隊は専守防衛の形を維持するという、いわば「擬態」に過ぎなかったからである。自衛隊は盾(防衛)、米軍は槍(攻撃)という防衛分担のありようが変わると日本は槍を持たざるを得ない形に、考え方も体制も築かれている。

 このような状況では、当然にも、米軍が縮小されれば自衛隊が出てくるという懸念が生まれ、アジアの国の多くは日本軍より米軍の方が安心であると考える。

 このような状況を踏まえたうえで、本報告は日本における「専守防衛」概念を救い出し発展させる方法を検討したい。現実的には、まず真の専守防衛・日本の再構築が課題となるが、この課題は単に日本の国内政策としては完結しないであろう。日本の専守防衛概念を国際的な地位として提示できる形に明確化する必要がある。また、近隣諸国との対話と協議を重ねながら「専守防衛」政策の具体化を探求しなければならない。そうすることによって、現在の擬態から本物の専守防衛へと移行するプロセスを描くことができる。


3.東北アジア・ミサイル制限体制
 東北アジアにおいて、核兵器と並んでミサイルの脅威が人々の関心を集め、この地域の軍事的緊張の一要因となっている。具体的には、@前述した北朝鮮による無通告テポドン発射(1998年)やその後のミサイル開発、及びA米国・日本によるミサイル防衛システムの開発・配備が、その直接的原因となっている。

 ミサイル問題に関心が集まる遠因には、先に核兵器に関して述べたと同様の東北アジアにおける根深い不信の歴史があることは言うまでもない。しかし、それを考慮したとしても、ミサイル問題には冷静さを欠いた、脅威感覚のみを肥大化させるような議論の混乱がある点を指摘しなければならない。北朝鮮が、事前通告なしに日本上空を飛ぶミサイル発射を行ったことは強く非難され、再発防止のためのルール作りを急がなければならないことは当然である。しかし、このレベルの問題と北朝鮮に長射程弾道ミサイルの開発の放棄を要求することとはまったく別次元の問題である。

 したがって、本報告では東北アジアという地域において、なぜミサイルが脅威なのか、ミサイルの現状はどうなっているのか、といった基本的な考察から始めたいと思う。そこから、地域におけるミサイル管理の入口を見出す必要がある。

 その際、地域的に解きやすい問題と、グローバルに解かなければならない問題との区別も明確にされなければならないであろう。核兵器の場合にも同様な問題が存在する。核兵器の場合、米国、ロシア、中国の戦略兵器としての核兵器の削減や世界的規模での核兵器廃絶のためには、NPT再検討会議やジュネーブ軍縮会議(CD)といった場におけるグローバルな軍縮交渉に待たなければならない。しかし、それとは切り離して、地域的な非核化、つまり非核兵器地帯の形成を探る道があり、そのことに積極的な意味があるというのが、本報告書の重要な立脚点である。

 ミサイル管理の場合、問題はもう少し複雑になる。その理由として、関係国が保有するミサイルの多様性、ミサイル管理の必要性に関する国際的な共通基盤の未成熟、歴史的な先例の不足などがあげられるであろう。大きく言えば、包括的なミサイル管理・規制は国際社会にとって未開拓分野なのである。本報告では、東北アジアにおいてミサイル問題が地域的緊張の原因となっている問題から出発して、地域的に進めるべき処方を具体的に検討し、提案することを第一の課題とする。その過程において、グローバルなミサイル制限についても、必然的に平行して考察される。

 米国によって火を付けられた本格的なミサイル防衛システムの配備は、世界規模の新しい軍備競争を引き起こす可能性のある問題であり、本質的にはグローバルな軍備管理・軍縮交渉の課題である。しかし、米国と日本の関与によって、伝えられる中国の核兵器近代化努力や北朝鮮の警戒・対抗の先鋭化など、ミサイル防衛は東北アジア地域において新たな緊張を生み出している。したがって、本報告では、攻撃的ミサイルの問題と同様にミサイル防衛問題を視野に入れる必要がある。


4.アセアン地域フォーラム(ARF)の活用
 これまでの3テーマが協調的地域安全保障の枠組み形成のための手がかりであったのに対して、ここで考察するのは、枠組み形成のプロセスに関するものである。非核兵器地帯、専守防衛地位、ミサイル制限体制のいずれについても、それらの概念の伝搬と理解の拡大・深化、政府における政治意志の形成、そして交渉というプロセス無しには実現に向かわない。

 ピースデポは、アジア太平洋の平和運動活動家・研究者のネットワークである太平洋軍備撤廃運動(PCDS)と長く協力関係にある。そのPCDSが、94年にアセアン(ASEAN=東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)が設立されて以来、ARFの動向を監視し、意見表明を続けてきた。ARFは、アジア太平洋地域で安全保障問題をテーマとした唯一の外相級多国間会議である。アセアン諸国が主導する会議であり、フォーラムそのものは1年に1日の会議日しかない限界もあることも確かである。しかし、フォーラムの中間には、テーマ別のさまざまな政府間会議やいわゆるトラック2の会議(専門家や政府高官が個人資格で協議する会議)が開催されてフォーラムを補っている。また、第7回ARF(2000年7月)に、北朝鮮が初めて加盟して以来、それは東北アジアの主要国すべてが参加する普遍的な会議となった。カナダ、ニュージーランドなど軍縮に熱心な国が参加しているという利点もある。また、ARFは第1回会議以来、朝鮮半島問題を中心に東北アジアの問題に継続して関心を示してきたという経過がある。

 そこで本報告では、これまで述べてきた諸課題を政府間会議の話題とするために、ARFを活用する可能性とその有効性について検討することとした。これまで、ARFが示してきた東北アジア問題への関心のあり方、ARFの会議運営システム、非政府機関との協力体制などを調査し、検討した。また、PCDSがこれまでARFに働きかけてきた経験も貴重な検討材料となる。

 一方で03年8月以来、北朝鮮の核開発問題を巡る6か国協議が開始され、05年8月までに4回の会議を重ねている。第4回会議では、困難な課題を残しながらも、初めての共同声明が採択された。これまでの協議の過程で、6か国協議を東北アジア地域の安保問題全体を話し合う恒常的機関に発展させるべきであるという意見も聞かれるようになった。本論では、6か国協議を活用する可能性についても検討した。



第2章 テーマをほぐす

 この章では、第1章で述べた4つの手がかりについて、具体的な検討結果を要約する。

1.東北アジア非核兵器地帯
(1)スリー・プラス・スリー構想の利点
 冷戦後、単なるスローガンではなく、東北アジア非核兵器地帯を設立するための具体的提案がいくつか現れた。そんな中で、私たちは「スリー・プラス・スリー」構想の利点を強調したい。「スリー・プラス・スリー」構想とは、この地域の非核兵器国である日本、韓国、北朝鮮の3か国の領域を地理的にカバーする非核兵器地帯を設定し、米国、ロシア、中国というこの地域に強い利害をもつ核保有3か国を支援国家として関与させるものである。核兵器国に課せられる最も重要な義務は、前述した「非核地帯に対して核攻撃をしない」という安全の保証である。東北アジアの現状を考えたとき、この構想は、諸提案の中でもっとも基本的な国家構成をもっており、その意味で現実にそった提案であると考える。関係する6か国は、現在の6か国協議のメンバーと重なるが、それは決して偶然の結果ではない。

 この構想においては、3つの非核国家が現在もっている公的な政策を基盤とすることができる。すなわち、韓国と北朝鮮は92年に発効した「朝鮮半島の非核化に関する南北共同宣言」に基礎を置くことができる。日本は「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則と原子力の軍事利用を禁止した原子力基本法(55年)の延長上に非核兵器地帯を構想することができる。

 もちろん、北朝鮮には核兵器開発の疑惑がる。05年2月には、北朝鮮外務省声明において「自衛のためにニュークを製造した」と述べた。しかし、それが実際に何を意味するのかまったく不明である。重要なことは、92年の非核化共同宣言が無効になったという立場を北朝鮮も韓国もとっておらず、朝鮮半島の非核化を目指して6か国協議が続けられていることである。したがって、「スリー・プラス・スリー」構想の基盤は現在も存続していると考えてよい。


(2)非核朝鮮半島では不十分
 現在、北朝鮮の核問題に関連して、「非核朝鮮半島の実現」が国連などを含めて広く国際的な合意になっている。それはもちろん望ましい目標であり、東北アジア非核地帯を形成する前提となるかも知れない。しかし以下の議論から理解されるように、状況が進んだときに、朝鮮半島の非核化のためには日本を含めた非核化が必要だとする議論が強まる可能性も十分に考えられる。そこで、地域的安全保障の観点から考えたとき、「非核朝鮮半島」と「東北アジア非核兵器地帯」の間にどのような違いがあるのかを考えておきたい。

 第一に、「非核朝鮮半島」のみが実現したとしても、東北アジアにおける緊張の一つの主要な源泉である日本と中国の間の緊張は手つかずのまま残るであろう。前述のように、日本の「核の傘」政策の根本には中国の核兵器への懸念が存在している。朝鮮半島の非核化だけでは、この関係に変化は起こらない。しかし、東北アジア非核兵器地帯が実現すれば、前述したように、中国など核兵器国による消極的安全保証が法的拘束力をもつことになる。これによって、日本は脅威の一つから解放され、日中間の緊張は大きく緩和されるであろう。

 第二に、第1章で触れたような韓国、北朝鮮の市民が持っている強い対日警戒心を考えなければならない。92年の南北非核化共同宣言は、プルトニウム分離のための再処理施設やウラン濃縮施設を禁止することに合意しているが、日本はすでにこれらを保有し稼働させている。IAEAの査察下にあるとはいえ、この状況は決して安定なものではない。つまり、「非核朝鮮半島」では、朝鮮半島から見た日本に対する核問題についての不信は解消されないし、将来増幅して行く可能性を残すことになる。この問題の解決には、韓国、北朝鮮、日本が一つの相互査察のシステムに置かれることが必要である。東北アジア非核兵器地帯はそのような制度を確立する。

 第三に、「朝鮮半島の非核化」プロセスにおいては、地域で中心的役割を果たすべき韓国、北朝鮮、日本が対話を深める機会が必ずしも保証されない。6か国協議を含めて、現在進行しているプロセスでは米国の影響力が極めて強く、その状況は当面の問題が解決した後にも続くであろう。それは、地域の国際関係が、米国の単独行動主義によって翻弄される可能性を引きずることを意味する。東北アジア非核兵器地帯条約、とりわけスリー・プラス・スリー構想においては、その構成上、この地域の非核3か国が中心的なコーディネーターとなることができる。

(3)モデル条約の作成
 以上のような考察を基礎に、私たちはモデル「東北アジア非核地帯条約(案)」を作成し、提案する。これは、極めて現実的な案である。詳細は「報告書」本体にゆだねるが、次のような特徴を持っている。

 @6か国条約 「スリー・プラス・スリー」構成を持つ6か国条約とする。条約加盟国には「地帯内国家」(日本、韓国、北朝鮮)と「近隣核兵器国」(中国、米国、ロシア)の2つの範疇が存在する。

 A核兵器に依存しない義務 地帯内国家の非核義務のなかに「安全保障政策のすべての側面において、核兵器に依存することを排除する」ことを盛り込む。

 B消極的安全保証を条約本体に 既存の非核地帯条約においては、消極的安全保証の条項は議定書に含まれているが、条約本体に入れて条約の必要条項とした。

 C艦船の寄港と領海通過に事前協議義務 既存の非核兵器地帯条約では、核兵器搭載が疑われる艦船や航空機の寄港、領海・領空通過問題は、各加盟国の判断に委ねている。モデル条約では一歩前進させて、事前協議を義務づける方式を採択した。協議の結果、許可・不許可の判断は、各地帯内国家に委ねられる。

 Dエネルギー協力の義務 朝鮮半島非核化共同宣言は再処理とウラン濃縮施設の保有を禁止している。日本にも同じ禁止を盛り込むことは、条約の成立を極めて困難にすると予想される。しかし、このままでは日本と朝鮮半島との間にエネルギー確保上の明らかな不均衡が生じる。モデル条約では問題の重要性を認識し、「エネルギー確保について、地帯内国家間の誠意を持った協力を発展させる」ことを義務づけた。

 F被爆体験の継承と核軍縮教育の義務 被爆者が多い地域の地帯内国家であることを考え、核兵器が人間や社会に及ぼす被害の実態を、現在及び将来の世代に伝承することを含め、核軍縮教育の努力義務を課した。

(4)残された課題
 モデル条約は議論は今後の議論のたたき台である。条約の形にすることによって、残された重要な課題が明確になった。

 一つの大きな問題は検証システムの具体化である。IAEAの能力を活用しながら、かつ地域の国家間の信頼と協力を深めて行くことができるような検証制度を開発することが必要である。もう一つの重要な課題は、先に述べたエネルギー協力の問題について、広範囲の議論を起こして行くことであろう。ここには合意形成に時間がかかる多くの問題が含まれている。また、核兵器搭載疑惑のある艦船・航空機の扱いについて、日本と韓国の市民社会の経験交流と議論の深化が重要であることが判明した。原則的な立場はまったく一致しているが、現実的なアプローチの評価について意見の相違が残されているからである。

 いずれの議論においても、最低限の要件を満たす東北アジア非核兵器地帯条約であっても、その早期成立が、地域の平和と安定に大きな貢献をすることを強調しておきたい。

 最後に、東北アジア非核兵器地帯を政治日程に上らせるためのアプローチが問題となる。それについては、第3章で述べる。


2.専守防衛地位とその地域化

(1)日本の現状
 しばしば防衛的兵器という言葉が用いられるが、兵器のみによって防衛的・攻撃的を区別することは困難である。第1章で紹介した国連報告書の冒頭で、当時のブトロス・ガリ国連事務総長は「攻撃的兵器システムと防衛的兵器システムを区別することの困難さ」を指摘し、「その兵器の本来的性質と同じくらいに、用いられる文脈全体に関わってくる」と述べている。つまり、一国の防衛体制が、専守防衛であり攻撃的性格を持たないかどうかは、外交・防衛を含めた安全保障の理念と政策、軍備の能力(兵器の種類・性能など)と規模、軍事的態勢(兵力配備の状況、警戒態勢のレベルなど)、軍事ドクトリン(兵力・兵器運用の考え方など)、訓練実態などを包括して判断される。

 このような立場から考えると、第1章でも述べたように現在の日本の安全保障政策における専守防衛は「擬態」であり、真の専守防衛ではない。専守防衛であるがゆえに持てない攻撃兵器として、政府自身が航空母艦(空母)や巡航ミサイル・トマホークを国会答弁で挙げているにもかかわらず、在日米軍が横須賀にこの両方の兵器システムを常駐配備することを認めていることに、その擬態性はよく表れている。これらの兵器の海外常駐配備は、世界で横須賀にしか例を見ないものであることを考えると、それはなおさらである。日本の安全保障政策とは、自衛隊と日米安保体制を含めた全体であり、自衛隊だけではなく日米安保体制を含めた「専守防衛」化が目指されなければならないのである。

(2)概念の明確化
 では「専守防衛」概念はどのような要件を備えなければならないのだろうか。本報告では、一般論ではなく、東北アジアの現実と陸続きの国境を持たない島国・日本の持つ好条件を考慮しながら、日本の「専守防衛」概念を発展させるのが適切であると考える。検討の結果、日本が「専守防衛」の国であると主張するためには、次の要件が備わっていなければならないと考える。いわば、専守防衛であるための必要条件である。

 @安保政策が「共通の安全保障」の理念に立脚する。
 地理的条件にかかわらず、専守防衛が一国の政策として可能になるためには、地域の緊張を緩和する努力が外交政策の基本となっていなければならない。そのためには、日本の安保政策が脅威とならないことが、とりわけ近隣諸国によって認識されなければならない。これは、日本の平和を確保する手段が、隣国が安全を高める道でもあるという「共通の安全保障」を安保政策の原理とすることによって達成される。このことはまた、「専守防衛」は必然的に二国間、あるいは多国間アプローチを必要としていることを意味している。

 この理念の帰結として、核抑止力に依存した安保政策は許されない。核抑止理論は、相手に究極的破壊の脅威を与えることによって、自国の安全を得る考え方である。

 また、現状からの転換を考えるとき、日米安保条約に基づく米軍活動の「専守防衛」化は可能であると私たちは考える。米軍のプレゼンスは、徐々に縮小され、やがて不要になるであろう。

 A他国に脅威を与える軍事力投射能力を持たない。
 日本の地理的条件においては、従来通り空対地攻撃能力を持たない、射程100km以上のミサイル攻撃力持たない、などの装備に関する制約を明確にすることが可能であろう。

 B日本領域、または限定されたその周辺区域に入った敵の攻撃力に対してのみ軍事力を行使する。
 敵のミサイル発射が急迫しているときには、ミサイル発射基地の攻撃も許されるという議論は、「専守防衛」概念を崩すものである。防衛の名において攻撃を拡大することを、原理的に封じなければならない。領土・領海・領空の外周のどの範囲を軍事力行使の範囲とするかは、開かれた検討課題とする。ミサイル防衛に関しては後に触れる。

 C「脅威削減と軍縮に関する地域協議会」の設置努力をする。
 日本の周辺国との間に、相互の脅威認識と防衛力の現状について話し合う協議体を設置すること、あるいは設置を求め続けることが専守防衛政策の一部でなければならない。協議体においては、必然的に脅威削減のための軍備管理と軍縮が話題となるであろう。

(3)実現への手順
 ニュージーランドが戦闘機廃止を決定する(2000年)に至るまで、市民の脅威感覚を説得するのに時間を要した。日本においては、さらに多くの時間と強力なリーダシップが必要であろう。しかし、擬態とはいえ「専守防衛」の考え方を支持してきた日本の市民意識を考えると、それを本物にすることは十分に可能であると考える。また、当然のことながら、憲法はそのことを要求している。問題は、擬態から転換するための段階的アプローチである。

 本報告では、次の初期アプローチを提案する。

 @第1段階 
 東北アジア非核兵器地帯を提案し、設立努力を開始する。これによって地域の緊張緩和と「共通の安全保障」に向かう日本の方向性を説得的に示すことができる。

 A第2段階
 前節で説明したような要件を含む「専守防衛」の定義とそれを裏付ける国内体制を明らかにするような「日本の専守防衛地位に関する国連総会決議」を提案する。これは、モンゴルの「非核地位に関する国連総会決議」(98年)を参考にしたアプローチである。もちろん米国をはじめ近隣諸国への事前の説明と協議が必要であろう。

B第3段階
 「専守防衛地位」の国際的認知を土台にして、「脅威削減と軍縮に関する東北アジア協議会」を設置する。このように、日本の専守防衛政策の透明性と信頼性が担保された段階において初めて、ミサイル防衛システムが「専守防衛」システムの一部として検討される条件が生まれるであろう。もちろん、そのような段階においてなお、ミサイル防衛システムに軍事的、技術的、経済的な合理性が認められるか否かは、極めて疑わしいが、ここでは詳細に立ち入らない。


3.東北アジア・ミサイル制限体制

(1)ミサイルの脅威とは
 まず、必要以上に肥大している「ミサイルの脅威」なるものについて冷静な認識を形成することが必要である。

 一般的にミサイル攻撃が恐怖感を作り出す理由は、遠距離からの都市攻撃能力、予告時間の短い奇襲性、また核・化学・生物兵器など大量破壊兵器(WMD)の搭載能力に起因している。米国が北朝鮮の弾道ミサイルを問題にするのは、米国領土に到達する能力を持ち始めたこと、現状では弾道ミサイルの飛来を検知してから15分〜30分で都市が攻撃されること、将来WMD搭載能力を持つ可能性があること、に起因する。

 このような理由からすると、地理的に比較的狭い範囲に限定された東北アジア地域におけるミサイルの脅威を議論するとき、弾道ミサイルの脅威と巡航ミサイルの脅威の間にほとんど違いはない。速度の面では、ロケット推進で宇宙を飛行する弾道ミサイルの方が、ジェット推進で大気中を飛ぶ巡航ミサイルよりも圧倒的に高速で飛行する。しかし、米国の対地攻撃巡航ミサイル・トマホークはレーダー検出が極めて困難な低空を時速約880kmで飛行する。したがって海岸線から100km以内にある都市は10分程度の予告時間で突然の攻撃を受けることになる。したがって、ミサイル制限の議論では両者を同等に議論しなければならないであろう。

 さらにまた、狭い地域範囲における脅威を議論するときには、特攻航空機をはじめミサイル以外にも奇襲可能なさまざまな運搬手段が存在する。

 したがって、ミサイル制限体制の議論の前提として、脅威の根源となるWMDそのものの撤廃や奇襲性が生む不安定性を除去するメカニズムの創設に取り組むことが重要な課題となる。

(2)多様性と公平性への配慮
 国連は02年に研究報告「すべての側面におけるミサイル問題」を作成した。そこに述べられているように、ミサイル問題は、多様な側面を持っており、ミサイル全般に関して適用される普遍的な規範や国際法制度は存在していない。

 この多様な状況は、東北アジアにおいても変わらない。本報告では、現状把握のために射程50km以上のミサイルのデータベースを作成した(「報告書」参照)が、それによると、この地域に関与する6か国と台湾の保有するミサイルは80種類を超える。それらは、各国・地域の事情に応じて、射程、発射場所(陸上、海上、空中)、推進方式、誘導方式を選んでいる。したがってミサイル制限体制を検討するとき、実状にあったバランスのよい枠組みを設定しなければならない。

 本報告では、東北アジアのミサイル小国の相互脅威を減じるという限定した課題から出発してミサイル制限の問題に挑戦する。つまり、日本、北朝鮮、韓国によるミサイル対話と制限の行程を優先させ、その進展のなかで米国、ロシア、中国が関与するグローバルな諸問題を整理した。実際には、グローバルな諸問題は東北アジアを起点として解決へと向かうとは限らないが、地域問題を解くときに否応なく関連してくるグローバルな諸問題を意識することが重要である。

 その際、限られた例であるとはいえ、これまでミサイル制限についてとり組まれた世界的な試みの蓄積を生かすべきであろう。蓄積には、大別して次の4分野があった。

 @米・ソ(露)のWMDの運搬手段としてのミサイル制限や削減(SALT、START、SORTなど)
 A多国間のWMDの運搬手段としてのミサイル制限(宇宙条約、ラテンアメリカ・カリブ非核兵器地帯条約など)
 Bミサイル及びミサイル関連技術の輸出管理など(ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、ハーグ行動規範など)
 Cミサイル発射の事前通告措置(米ソ核戦争危険減少協定、インド・パキスタンのラホール宣言など)

(3)初期信頼醸成措置
 地域的ミサイル制限制度構築についての対話の入口として、初期信頼醸成措置にまず合意すべきであろう。それは、根拠がない不安も含めて、目前の不安を解消するために必要とされている。ここでは3つの措置を提案する。

 @日本、韓国、北朝鮮による100km以上の射程をもつミサイル発射(試験・訓練)に関する相互事前通告を協定する。
 A日本、韓国、北朝鮮は、核兵器、化学兵器(北朝鮮のみがNPT、化学兵器禁止条約に参加していない)、生物兵器に関して、安全性維持・削減・廃棄以外のすべての活動の5年間モラトリアムを協定する。核兵器にに関しては東北アジア非核兵器地帯について協議を開始する。
 B米国、ロシア、中国は、日本、韓国、北朝鮮に対する5年間の安全の保証を約束する。その場合、国連憲章の再確認はもちろん、これまでに前者と後者の2国間で結ばれ、現在も有効な武力不行使、不可侵などの協定、宣言などを、同時に再確認する。(たとえば、日中平和友好条約(1978年)、日ソ共同宣言(1956年)など。)

 このような初期信頼醸成措置を講じながら、世界的にも先駆的な地域的なミサイル制限制度を構築する行程に入ることができるであろう。詳細は「報告」にゆずるが、本研究では3段階の行程を提案している。

 第1段階 射程300km以上のミサイルの制限。ミサイル防衛システムの禁止。
 第2段階 射程180km以上のミサイルの制限
 第3段階 すべての対地攻撃ミサイルの制限



第3章 アプローチの提案

 以上のような各テーマに関する考察とアセアン地域フォーラム(ARF)に関する知見から、「東北アジア安全保障の枠組み」形成について、本報告は、市民社会の観点から次のようなアプローチを提案する。

 アプローチは相互に関連し合うマルチ・パス(道筋)をたどるものとする。掲げたステップは、それぞれのパスにおいて政府が取るべき手段であり、そこに掲げられている諸項目は、市民社会が払うべき努力である。

1.第1ステップ
パス1 「東北アジア非核兵器地帯」設立を各国の国内政治過程に載せる。日本政府は設立を目指す政治宣言を行う。

(市民社会の努力)
 ・提案したモデル条約(案)を活用する。
 ・日韓市民社会の協力を強める。
 ・日本で国会議員の超党派の動きを作る。
 ・韓国では、市民社会への普及と国会議員への働きかけを同時に追求する。
 ・世界的なNGO、専門家の関心をいっそう広く喚起する。

パス2 「日本の専守防衛地位に関する国連総会決議(案)」の提案を目指す準備をする。

(市民社会の努力)
 ・専守防衛概念のさらなる整理を進める。
 ・NGOが国連総会決議(案)をモデルとして起草し、議論を喚起する。
 ・政府、議員に働きかける。
 ・概念の国際的普及につとめる。とくに、韓国、中国、北朝鮮に対するNGOレベルの議論を活発化させる。

パス3 日本、韓国、北朝鮮による射程100kmを超えるすべてのミサイル発射の事前通告制に合意する。

(市民社会の努力)
 ・日本、韓国の市民社会が共同のロビー活動を行う。
 ・次にきたるべき「東北アジア・ミサイル制限体制」のビジョンについて、広く議論を起こす。
 ・世界的なNGO、専門家の関心をいっそう広く喚起する。

パス4 地域の緊張緩和と協調的地域安全保障の諸交渉の条件づくりとして、日本、韓国、北朝鮮は核、化学、生物兵器に関して、安全性維持・削減・廃棄以外のすべての活動の5年間モラトリアムを行う。また、日本、韓国、北朝鮮に対して米国、ロシア、中国が5年間の安全の保証を約束する。その際、国連憲章をはじめ、前者と後者の2国間で結ばれた武力不行使、不可侵などの協定や宣言を再確認する。


2.第2ステップ
パス1 東北アジア非核地帯、及びミサイル発射の事前通告制をARFトラック2セミナーの議題とする。
(注:ARFはトラック2を公式の協議の場として位置づけている。)

(市民社会の努力)
 ・ARF参加国、とりわけニュージーランド、カナダ、モンゴルなどのNGOとの共同の努力を行う。
 ・ARFトラック2の中に協力者を見つける。
 ・東北アジア非核兵器地帯条約における検証システムについて研究を深める。

パス2 東北アジア非核兵器地帯、ミサイル発射事前通告制、WMD禁止を6か国協議の議題とする。

(市民社会の努力)
 ・6か国協議の進展を注視し、これらの議題が協議される時期の適否について適切な判断をする。

パス3 「日本の専守防衛地位に関する国連総会決議」を成立させる。
(市民社会の努力)
 ・各国政府・外交官へのブリーフィングを重ねる。

3.第3ステップ
パス1 「東北アジア非核兵器地帯」条約を締結する。

パス2 原子力エネルギーに関わる規制の不均衡からくるエネルギー問題を解決するための協議を開始する。

(市民社会の努力)
 ・創意に富んだ具体的提案を開発する。
 ・原子力に依存しないエネルギー源とその開発協力について活発な議論を喚起する。

パス3 日本の専守防衛地位に伴い「脅威削減と軍縮に関する東北アジア協議会」を設置する。

(市民社会の努力)
 ・東北アジアの市民社会における議論をいっそう活発化して、東北アジア専守防衛地域の可能性を探る。

パス4 本報告の3段階行程表に従ったミサイル制限制度の交渉を開始する。その第1段階において、ミサイル防衛システムは禁止対象となる。

(市民社会の努力)
 ・行程の具体化について、国際的に広く専門家の協力を得る体制をつくる。



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