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核軍縮:日本の成績表 非核地帯 日米安保 核兵器・核軍縮
ASEAN地域フォーラム 有事法制 核軍縮・議員ネットワーク 「テーマ別」の目次


■有事法制
第1便【有事法制の定義】
第1便(その2)【有事法制研究の沿革】

第2便【有事法制の本質:3つのキーワード】
第3便【法案要綱への視点】
第3便(その2)【有事法制議論の第2戦線を考えよう】
第4便【輪郭を現した「体系」】

第5便【6月地方議会が重要】
第6便【海外軍事行動への展開】
第7便【国会関与と文民統制】
第8便【継続審議、今後の課題】
 

有事法制・マエダ便 〜第1便〜

前田哲男


【有事とは何か? 定義のいろいろ】 

法律用語ではない 
 〈有事〉は法律上の概念ないし用語ではない。さまざまに使われてきた“自衛隊言い換え用語”、たとえば戦力⇒自衛力、歩兵⇒普通科、駆逐艦⇒護衛艦、戦術爆撃機⇒支援戦闘機…などと同様、本質をあいまいにさせる用語使用例の一つである。〈戦時〉、〈戦時法制〉と読み直すのが正しい。
 大日本帝国憲法下における国家緊急法令、たとえば国家総動員法(1938年4月1日施行)の下で施行・公布された100近い法律や勅令においては、おおむね〈戦時〉もしくは〈戦時又ハ事変〉と表記され、まれに〈非常時〉(非常時ニ於ケル電話連絡ノ件 逓令第14号、1943年)が使われていた。これら用語の法的根拠は、天皇の非常大権、戒厳、緊急勅令、財政緊急処分など憲法に規定された権限に発していた。これに対し日本国憲法に国家非常事態や国家緊急権の規定はなく、緊急の文字は、第54条〈参議院の緊急集会〉に見るのみである。戦時や戦時法制を受け入れる憲法上の基盤は存在しない。そこで“有事”なる用語が導入され意味をぼかす操作が行われることになった。

狭義と広義
 防衛庁の説明によれば、その定義は以下であるとされる。これは“狭義の有事”概念である。
 「〈有事〉は法令上の用語でないためその意味は必ずしも一義的ではないが、防衛庁が昭和52年(1977年)に着手した〈有事法制研究〉は、自衛隊法第76条の規定により防衛出動を命ぜられるという事態において、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の問題点の整理を目的としており、この意味では、〈有事法制研究〉における〈有事〉とは、防衛出動が命ぜられるという事態ということになる」とされる(平成14年度予算案審議に関する政府回答文書)。
 ちなみに、有事と類似した法律用語を既存法に求めると以下のような例がある。
  
  〈非常事態〉
   ―〈天災その他の非常事態〉。電気事業法第58条、電気通信事業法第8条。
  〈緊急事態〉
   ―〈外国における災害、争乱その他の緊急事態〉⇒在留邦人等の輸送(自衛隊法第100条の8第1項)。
   ―〈間接侵略その他の緊急事態〉⇒治安出動(同78条第1項)。

 したがって、上記法と有事概念を結びつけて〈周辺事態対処〉、〈領域警備〉、〈テロ・ゲリラ・不審船対策〉、〈米軍支援〉などを含んだ“広義の有事”概念が導きだされる余地もある。
 また、統合幕僚会議が第2次朝鮮戦争を想定・作成した秘密作戦計画として知られる〈三矢研究〉(正式名称「昭和38年度統合防衛図上研究」1963年)においては、狭義・広義併せた概念として〈非常事態措置諸法令〉,〈戦時諸法令〉の名称が充てられ、人的動員、物的動員などに必要な法律として77〜87件の新規立法が想定されていた事実も確認しておくべきだろう。
 
本質は「戦時」
 以上のことから、〈有事〉とは、広義・狭義どちらを採るにせよ、すなわち〈戦時〉と理解できる。〈有事法制〉とは、そのような非常事態を想定し、それに対応する国内体制確立へ向けた法律(群)=戦時法制をあらかじめ制定しておこうというものである。憲法の想定しない権力行為を下位法に規定し実行する意味で、内容以前の問題として、それじたい“法のクーデタ”であり、同時に、実施されれば、社会活動や国民生活が全分野にわたりさまざまな規制、制約を受けることは避けられない。


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