<第3議案>
2004年度事業計画(案)
§1. 基本方針
(1)2005年に向けた核廃絶世論形成への貢献
2004年は、ビキニ環礁における核実験被災から50年の年であり、2005年はヒロシマ・ナガサキの被爆から60年の節目を迎える。2005年にはNPT再検討会議が開かれる。このように2004年〜2005年は、核廃絶の市民の主張をいっそう高くして訴え、具体的な変革への動きを作り出す歴史的機会である。核軍縮の分野でのピースデポの蓄積を最大限に活かしてこのプロセスに貢献していく。
(2)北東アジア地域安全保障への重点的取り組み
朝鮮民主主義人民共和国の核問題を巡る緊迫した国際政治の展開、拉致事件を契機とした日本国内の排外主義的・差別的風潮の拡大、ミサイル防衛の導入本格化、「国民保護法制」や「米軍支援法制」などの有事法制の進展、そしてこれらと呼応した「防衛計画大綱」の見直し、さらには憲法改正の議論・・・これらの現実政治・外交プロセスと切り結び、「北東アジア地域の<共通の安全保障>」を市民の側から対置していくための強力な取り組みが求められている。その意味で2003年に本格化したトヨタ助成研究「市民社会が構想する北東アジアの地域安全保障の取り組み」の意義がますます高まっている。まとめの時期を迎える2004年は、同プロジェクトへの重点的取り組みをとおして地域安全保障分野での発信を一層強化していく。
(3)中期ビジョンの点検と改善=スタッフ3人体制の復元と組織体制の整備
2002年に出された「ピースデポ中期ビジョン」は、その後の組織状況の変化によって短期的に見直し(改訂)を強いられた。そのような中で、2003年には、その柱である出版活動について「核兵器・核実験モニター」の誌面刷新と編集体制の強化、そして「新版イヤブック」の構想の具体化と刊行体制の準備という基礎がつくられた。これをピースデポの財政・経営基盤の改善・確立へとつなげていくために、「中期ビジョン委員会」による進捗状況の点検と改善を絶えず図っていく。2004年を「改訂中期ビジョン」の初年度と位置づける。常勤スタッフ3人体制を早期に復元する。新スタッフは研究活動の充実を重視して人選する。また、あわせて日常的な組織運営、渉外・営業活動の面でも事務局の機能強化を図る。また会員、出版物の固定読者の拡大については数値目標を設定し実現のために努力する。
§2.事業プログラム
A.
新プログラム
(1)2005年NPT再検討会議に向けた取り組み
2005年NPT再検討会議を核兵器廃絶のための歴史的な機会として活かそうという、自治体(平和市長会議)のイニシャティブや国際的なNGO呼びかけに応えて、日本国内でもNGOの動きが始まろうとしている。ピースデポとしては、このような動きを、情報、リソース面から強力に支援し、核廃絶に向け、日本政府に核政策の転換を迫るような市民の主張を作り上げていくプロセスに積極的に参画していく。具体的には次のような活動を計画する:
@「平和市長会議」呼びかけの緊急行動を支援する日常的情報活動、支援活動。
A「核軍縮・日本の成績表」と新版イヤブック「核軍縮・平和・自治体」の市民活動の活性化のためのリソースとしての活用。
Bブリーフィング・ペーパー、一般向け啓蒙パンフレットの編集・発行と普及。
C各地でのセミナーやスピーキング・ツアーの企画と実行 等
(2)新版イヤブック「核軍縮・平和・自治体」の編纂・発行・普及
中期ビジョンの四本柱の一つであり、すでに2003年度から準備が始まっている。核廃絶を求める2005年への動きに加え、日本国内では「防衛計画の大綱」見直しやミサイル防衛など具体的な政治課題が山積している。これらの課題に対して、「共通の安全保障」、「自治体の平和力」をキーワードとした市民の政治参画をより強め、広げていくことに役立つ事実関係やデータを提供するものにしたい。A5版の親しみやすい体裁とし、近い将来は書店での販売ルートに乗せられるような仕様にする。1300部を発行し完売を目指す。
(3)日本の防衛予算に関する系統的調査・分析
日本の防衛予算に関する市民の視点からの調査・分析をピースデポの継続的活動として立ち上げる。早期に方法論を確立し、分析の視点の明確化する。調査成果は「核兵器・核実験モニター」の紙面で発表するほか、適宜、投稿、刊行物などの形で公表する。
B. 継続プログラム
(1)研究プロジェクト「市民社会が構想する北東アジア地域安全保障の枠組み」の推進
第2年次にあたる(2004年10月まで)今年は、研究成果のまとめと発表、フォローアップを見据えつつさらに精力的に活動を展開する。
■研究内容
各サブテーマの計画の概略は次のとおりである。
@
東アジア非核地帯
「モデル非核地帯条約」の作成、海洋問題に関する検討などを行う。
A北東アジア専守防衛地帯
文献に基づいて「再構築」された概念に照らして日本の防衛政策の現状批判を行うとともに、地域化の枠組みとプロセスを提案する。
Bミサイル管理
北東アジアのミサイル・データベースのアップデートを進め、北東アジア・ミサイル制限レジームの概念とそれを達成するための段階的プロセスを提案する。
CARF(アセアン地域フォーラム)の活用
最終的には、ARFの「可能性リスト」の作成をめざし、最近の動きのフォローなどを行う。
■国際会議の開催
以下の国際会議を開催する。
@ニューヨーク・ワークショップ
※テーマ:東北アジア非核地帯モデル条約
※日時:04年4月28日(水) 午後3時〜6時(予定)
※ニューヨーク国連本部会議室
※主催:ピースデポ、韓半島平和市民ネットワーク
A上海ワークショップ
※日時:04年7月16日(金)〜18(日)
※場所:復旦大学米国研究所(上海)
※主催:NPO法人ピースデポ、復旦大学米国研究所
■まとめとフォローアップ
本プロジェクトは2004年10月に終了する。11月にはトヨタ財団への義務的報告を提出する。同報告には「提言の骨子」を含める。この他、ピースデポとして以下のような自主的な活動を計画し、その準備を進める。
※提言冊子 2005年7月発行予定
※まとめのシンポジウム 2005年夏または秋。ソウルにて。
(2)核兵器・核実験モニターの月2回(1日、15日)発行
ピースデポの基軸事業とし継続する。2003年度に構築した新体制と編集方針を継承する。すなわち、核兵器・核軍縮、アジア太平洋地域安全保障(日米安保、防衛計画大綱見直し、有事法制と自衛隊の海外活動など)を中心テーマとし、資料性を重視した編集とする。レイアウトなどを工夫し親しみやすい紙面づくりを心がける。2005年に向けた核廃絶キャンペーンのための恒常的情報リソースとしての役割りを果たす。
会員・読者の拡大と団体大口購読契約の獲得を通してピースデポの財政基盤拡充の基本的ツールへと育てる。電子配信については昨年開始したPDF版を継続し、技術的改良を検討する。
(3)「核軍縮:日本の成績表−NPT(13+2)項目に関する評価」
2005年に向けた核廃絶キャンペーンを支援する活動の一つとして位置づけ、継続して取り組む。今年は、各地評価委員会の変わりに、「成績表案」をウェッブ上に公開し、意見を集めるなど経費の節減を図る。
(4)核軍縮議員ネットワーク(PNND支援)
日本ネットワークの活動が活性化するようNGOとして支援する。なお、梅林代表が国際PNNDの東アジア・コーディネータに任命されている。4月には、NPT再検討会議準備委員会に合わせて、PNNDニューヨーク会議が開催される予定である。これに向けて、日本の議員の参加を促進する活動に取り組む。この活動が、2005年に向けた国内世論の高まりと北東アジア非核地帯を目指すピースデポの努力に資することを目指す。
(5)出版物の販売努力
「核兵器撤廃への道」(かもがわ出版)、「ミサイル防衛―大いなる幻想」(高文研)は、いずれも2002年度に出版したピースデポの出版物である。その販売は2004年度も引き続き事業として重要な役割りを果たす。2003年度の現実的販売目標は、前者が80冊(ピースデポとして採算をとるための販売必要残部約600冊)、後者が300冊(同約350冊)である。後者は、米国のミサイル防衛実戦配備や日本の本格導入という事態を考えるための重要な文献であり、重点的に販売する。
(6)日本の情報公開法を活用した防衛・外交問題の調査
従来どおり継続して取り組む。
(7)調査プロジェクト「米軍」
2003年度に着手した「米軍海外基地動向調査プロジェクト」を中心に財政の許す範囲内で取り組む。
(8)執筆、講演、出演、取材への協力
従来どおり継続して取り組む。
(9)海外活動への派遣
昨年度につづいて、「将来を担う平和活動家/研究者」を海外活動のために派遣する。そのための募金活動に取り組む。2004年は、NPT再検討準備委員会(ニューヨーク)、及び「トヨタ研究プロジェクト」の一環としてその時期に開催する「ニューヨーク・ワークショップ」(4月28日)が機会として考えられる。情報を集めながら、時期、場所の決定と人選を理事会に任せる。スタッフや理事の海外出張は、この派遣プロジェクトとは別枠である。
(11)公開講演会・セミナー等の開催
総会協賛企画として、「ビキニ水爆被災50周年研究集会」を2月21日、日本平和学会関東地区研究会、環境・平和研究会との共催で開催した。トヨタ研究プロジェクトに関連して頻繁に開催されるセミナーや学習会の持ち方を工夫して、意識的な市民層とピースデポの出会いの機会を増やし、会員増への一つの窓口となるような機能を果たすよう心がける。「ミサイル防衛」に関する公開セミナーを秋に開催する。
(12)ウェッブサイトの充実
昨年に引き続き取り組む。ピースデポの特色を生かした既存資料のウェッブ上での利用が容易になるよう改善を図る。また、タイムリーな内容の更新にも努める。
C. その他、必要な事項
(1)総会で提案、採択される事業
総会において会員から提案され、議論され、本会の2004年度事業として採択された事業に取り組む。
(2)必要に応じた緊急プロジェクト
年度途中で必要性の生じた緊急の取り組みを、理事会の承認を得て行う。人的、財政的な裏づけは、その都度工夫する。
§3 組織体制の整備
(1)中期ビジョン委員会の継続
2004年事業計画は、中期ビジョン委員会(委員長:田巻理事、委員:高原、湯浅、横山各理事)による「中期ビジョン2005中間報告」(2002年11月2日)を、組織現状に照らして点検、再検討して改訂した「改訂中期ビジョン」(添付資料2)に基づいて策定されている。「改訂中期ビジョン」の骨子は、次のとおりである:
○2003年度の収支決算は、約93万円の収支黒字となり、その結果として約488万円の次期繰り越しが可能となった。これを起点として、次の重点施策を通して、4年間で、経常黒字財政への転換を実現する。
■2004年度9月に、常勤スタッフを3人体制に復元する。
■新装「核兵器・核実験モニター」、新版イヤブック「核軍縮・平和・自治体」を主軸に、会員数増加を含めて、3年間で、対2003年度比約300万円の正味収益増を生み出す事業に育てる。
■ボランティア、インターン、臨時スタッフの拡充による活動の強化、企業・個人寄付金、活動助成金の拡大による組織強化によって、3年間で約100万円の正味収益増を実現する。
これらの目標は、ピースデポの現状に照らせば困難は決して小さくない。したがって、実行プロセスを絶えず点検し、必要な改善を理事会に提案していく中期ビジョン委員会の役割りはますます大きい。ビジョン委員会は、新役員の中から互選される専務理事を中心とする4名で構成する。しかし随時委員の合意による変更、追加がありうる。
(2)理事会とスタッフの新体制
2003年から田巻理事が専務理事(非常勤)に就任し日常運営を統括している。一年間で事務局の内の業務分担や意思決定プロセスの整理など一定の成果をあげた。しかし、日常運営を統括するには、非常勤ではおのずと限界があることもまた事実である。しかも、本事業計画を含めた財政健全化を実現するためには、研究活動と並んで営業・渉外能力をいっそう高める必要があり、そのためには常勤スタッフ三人体制の復元が急務である。
代表、専務理事に加えて、理事会で互選される人事担当理事の3人で協議体制を組んで、2004年9月を目標に、新規採用によるスタッフ三人体制の確立を目指すここととし、予算案にもそれを盛り込んだ。
新スタッフの人選にあたっては、研究活動の拡充を最優先させることとするが、理事会、事務局の任務分担の再編成を同時並行で進めて、渉外、営業機能の強化を図る。一方、理事体制についても引き続き意識的に議論していく。ピースデポとしては「良いリソース(出版物など)」を創出することに加えて、それを如何にプロモートし、収入=財政基盤の拡充へとつなげていくかがきわめて重要である。この点をたえず留意して人的体制の拡充につとめていく。
(3)会員、出版物固定読者の拡大:数値目標の設定
「2003年度事業報告」で述べたように、2003年の会員、読者数はほぼ前年と同じ水準にとどまっている。新規入会者の獲得が、退会によって相殺されるという構造がある。これを乗り越えて組織の拡大を図る必要がある。会員、出版物の固定読者の新規拡大は中期ビジョンにとってもっとも重要な位置を占める。2004年は、正会員20人の正味増(新規入会から退会者を指し引いた数字)、モニター読者30人の正味増(同)に加えて、「モニター」の団体大口購読者(年間会費10万円を想定)を3口の新規獲得を目標としテ設定し、これを予算案に反映させた。また、「新版イヤブック」については1300部を発行し、完売することを目標とし、これも予算案に反映させてある。これら数値目標の実現のために、会員各位のご協力を切にお願いする次第である。
(4)ニューズレターの発行
本会の活動、運営状況を伝えるための会報として、年度内に日本語版2回、英語版1回を発行する。会員交流の場としての性格も加味する。これと関連して、ピースデポ独自の国内外メーリングリストを整備する。
(5)ボランティア、インターンなどの活用
中期ビジョンの柱の一つである。次代を担う人材育成の観点及び活動の活性化、とりわけ市民との大衆的接点との拡大にとって、ボランティア、インターンの積極的活用拡大が望まれる。一方、これら有志の受け皿を恒常的に作るためにも、常勤スタッフの拡充が急務である。
(6)企業・個人寄付金、活動の包括的助成をする助成金の開拓
これも中期ビジョンの柱の一つである。2004年度に受給が決まっている助成金は、トヨタ研究助成(450万円)と横浜市の家賃助成(40万円)のみであり、まだ不足している。理事を中心にした外部資金導入の努力をさらに強化しなければならない。予算案には横浜市の家賃助成を含め、260万円の寄付金・助成金を計上してある。(トヨタ研究助成はプロジェクト助成で本会計とは区分している)。