<第3議案>

 

2007年度事業計画(案)   

          

§1.基本方針

(1)今こそ「東北アジア非核兵器地帯」促進の声を

ピースデポは、発足以来、核廃絶世論形成に向けた取り組みを重点課題の一つとして取り組み、特に東北アジア非核兵器地帯の設立のために様々な活動をしてきた。今、それを具体的なものにしていくべき機会に直面している。朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の核実験やミサイル発射を利用して危機感をあおり、一気にミサイル防衛体制を構築し、防衛庁を防衛省に格上げするような動きが強まっている。このような時であればこそ、地域の緊張を除去する解決策として東北アジア非核兵器地帯化を求める声を強めていかねばならない。2007年は、これまでの蓄積を活かしながら、東北アジア非核兵器地帯化への具体的方向を提示する。

2010年NPT再検討会議に向けて4月末からウィーンで開かれる第1回準備委員会では、北朝鮮の核問題に強い関心が寄せられることは確実であり、東北アジア非核兵器地帯設立に向けて世界のNGOの支援を具体化する絶好の機会として活かしたい。日本国内においても、広島、長崎、首都圏のNGOを中心とした地域レベルから国内世論を喚起するとり組みを強める必要がある。ピースデポはこれら国際・国内の動きに対し、情報資料の提供、運動の連絡調整の両面において独自の貢献を強化する。

 

(2)自治体の力を引き出す取組み

米軍再編の議論の過程で、政府は、「防衛・外交は国の専管事項」という考え方を盾に、自治体・住民の意思を無視して突き進もうとしてきたが、実際は、自治体と市民が連携しながら「防衛・外交といえども主人公は市民である」という主張を貫く動きが沖縄・岩国・神奈川をはじめ全国各地で起こっている。ここには平和運動が系統的に取り組むべき情報的、理論的側面の課題がある。このような問題意識に沿って、地域活動をしている団体との協力関係を作りながら、地域社会と米軍基地、自治体と東北アジア非核兵器地帯などの問題に中期的課題として取り組む。

      

(3)設立10周年に向け世代交代への準備を進める

 ピースデポは、1998月に正式に発足した。来年には10周年を迎える。人的体制などいろいろな意味で、世代交代を進めていかねばならない時期に差しかかっており、それを意識した事業・組織体制を作っていく必要がある。

 財政状況の極端な悪化を受け、2006年度事業は緊縮財政のなかで常勤スタッフ1人体制に移行するなどして事業・組織体制の抜本的な見直しを行い、一定の成果をあげた。この成果の上に研究スタッフ2人体制へと移行する。また、引き続いて慎重に財政基盤を維持、発展させるために、2006年にはじめた「運営委員会」、「将来計画委員会」を本年も継続していく。

 その上で、2007年度は調査・研究・情報NGOとしてのピースデポに求められるクオリティを維持、発展させる世代交代の準備に取り組む。「運営委員会」、「将来計画委員会」にそれを推進する役割を持たせる。

 

(4)人的ネットワークの活用

 ピースデポ最大の財産はこれまでの活動を通じて築き上げられた貴重な人的ネットワークであり、とりわけ会員との協働体制は一層かけがえのないものである。2005年度に種がまかれ、2006年度に引き継がれた「ひとつの力」キャンペーンの流れを今年度も引き継ぐ。しかし、これまでの経験を活かして重点的、効率的な努力をする。また、「コミュニケーション・データベース」および「スキルバンク」を拡充するとともに最大限活用する。

 

§2.事業プログラム

 

(1)核廃絶世論形成、特に「東北アジア非核兵器地帯」促進に向けた取り組みの強化

 国内・国外での自治体・NGOのイニシアティブを情報・リソース面およびコーディネーション面から支援し、核廃絶に向けて日本政府に核政策の転換を迫る市民の主張を創りあげていくプロセスに積極的に参画していく。特に北朝鮮の核実験を受けて、「ブックレット」作成、イアブック、モニターなどを通じて「東北アジア非核兵器地帯」促進の声を具体化していく。また、2006年6月の世界平和フォーラムを機に始めた東北アジア非核地帯化を求める国際電子署名を推進する。

2005年10月末をもって3年間のプロジェクトを終了したトヨタ財団助成研究「市民社会が構想する北東アジア地域安全保障の枠組み」の成果発表の助成金をこのような情勢の中で活用できるように努力する。また、同様に北東アジア非核地帯構想の普及活動のために3年間の活動助成を受けた庭野平和財団の助成が今年度も継続されるよう努力する。

 

(2)「自治体と平和」を考える調査研究

 基本方針(2)に関わって、自治体の平和政策、非核自治体、防衛予算と人間の安全保障に必要な予算、などに関する調査研究に取り組む。可能ならば、委託研究を受けることも含め、地域活動をしている団体との協力関係を通じて推進する。具体的には、神奈川を手がかりとして「地域における国際的平和文化の形成」を大テーマとして、生活から見た米軍基地、基地と自治体などの分析・研究を進め、ピースデポの基幹的事業の一つとして位置づける。

 

(3)核兵器・核実験モニターの発行

 ピースデポの基軸事業として継続し、昨年と同じ発行回数、年間18号とする。編集方針は現状を維持するが、世代交代を意識した編集体制、執筆体制をとる。そのために編集会議に電話会議体制を確立する。

 

(4)イアブック「核軍縮・平和」の発行と販路の拡大

 引き続き、発売元契約による商業出版でイアブックを発行する。ボランティアの協力を得ながら、さらなる質の向上を図り、編集・レイアウト等の工夫を重ねていく。新聞などで扱ってもらうなどタイムリーな宣伝・広報を心がける。販路の拡大に関しては、昨年に取り組むことができなかった図書館、個人デポの開拓に系統的に取り組む。昨年度の販売実績を踏まえ、2000冊を完売し、基幹事業としての定着を目指す。

 

(5)「ピースデポ・ブックレット」、「ワーキング・ペーパー」の作成

 モニター掲載の記事・資料を再編集し、トピックを扱う「ブックレット」としてタイムリーに出版する。具体的には、基本方針(1)にも関わって、東北アジア非核地帯に関するツインブックレットを緊急に作成し、後半でミサイル防衛の動向を分析したブックレットを作成する。適時に、最小限部数の「ワーキング・ペーパー」を発行する。

 

 

(6)米軍の動向調査

 米軍活動、日米安保体制の運用実態などについての調査、研究活動を継続する。可能ならば調査委託を受ける。米軍再編、沖縄の米軍、原子力空母問題、ミサイル防衛などがテーマとなる。米国、日本の情報公開制度を活用する。結果は、必要に応じてワーキング・ペーパーにまとめる。

 

(7)海外活動への派遣

 「将来を担う平和活動家/研究者」の海外派遣を継続する。そのための募金活動に取り組む。4月末からのNPT再検討準備会議(ウイーン)などが派遣の機会として考えられる。時期、場所の決定と人選を理事会に任せる。スタッフや理事の海外出張は、この派遣プロジェクトとは別枠である。

 

(8)ウェブサイトの充実

 ピースデポの特色ある既存資料のウェブ上での利用に便利なように改善を図る。また、北朝鮮の核保有や東北アジアの非核化が国際的関心を呼んでいる中で、海外発信の力を高めるために、英文ウェブの充実・改善をはかる。ボランティアの協力体制づくりに努力する。

 

(9)継続する活動

NGO活動に関心を持つ次世代の研究者・活動家の育成をめざす奨励研究員の制度(募集時期は資金の有無をみて決める)。核軍縮議員ネットワーク(PNND)支援。執筆、講演、出演、取材協力。平和フロンティア講座を含む適宜の公開講演会やセミナーの開催。

 

(10)その他、必要な事業

 @総会で提案、採択される事業

  総会において会員から提案され、議論され、2007年度事業として採択された事業に取り組む。

 A必要に応じた緊急プロジェクト

  年度途中で必要性の生じた緊急の取り組みを、理事会の承認を得て行う。

 

§3.組織体制の整備

 

(1)スタッフ新体制

 緊縮財政に伴い、2006年3月から始めた常勤スタッフ1人体制(実質的には1.2人)を常勤研究スタッフ2人体制とする。スタッフは、調査・研究活動、渉外活動、資金調達、運営・財政の事務、などオールラウンドに分担して取り組む。事務局長が事務業務全体の統括を行うが、可能な場合は担当理事(次項参照)が責任を明確にした上で直接統括する。

 

(2)運営委員会と将来計画委員会の継続と新任務

 昨年に引き続いて、事業計画と予算の進捗について年間を通じてフォローし点検する作業を行うための、担当理事を委員長とする「運営委員会」を適宜開催し、必要ならば計画の見直しを行っていく。運営委員会は、2006年と同じ理事運営委員と2人の常勤スタッフで構成する。

 また、組織体制(下記(6)の助成金獲得を含む)の将来的なビジョンに関する検討を行うための「将来計画委員会」も継続する。委員会は2006年と同じ構成とする。

 その上に、運営委員会、将来計画委員会は、新しい任務として、基本方針(3)の世代交代の準備の具体化を協議し、提案し、適切な場合は実行を決定する。

 

(3)会員、モニター購読者の拡大:数値目標の設定

 「ひとつの力」キャンペーンを通じ、これまで積み重ねてきた会員・購読者拡大に向けた取り組みを更に継続していく。ただしこれまでの経験の上に立って、具体的な目標設定を行いながら、メリハリをつけた取り組みにする。新規会員・購読者の正味40名増を目指す。ここ数年の退会者の実績をふまえると、約90名の新規増が必要である。

 

(4)人的ネットワークの拡充・活性化に向けた施策

 同報体制を使いやすくして活用し、会員・活動サポーターとのコミュニケーションの拡充を図る。「スキルバンク」への登録を常時呼びかけ、登録者の参画の機会を意識的に拡大していく。学生ボランティア、インターン募集の告知を広める。

 

(5)ニューズレターの発行

 本会の活動、運営状況を伝えるための会報として、年度内に日本語版2回、英語版1回を発行する。会員交流の場としての性格も加味する。

 

(6)助成金・調査委託の開拓

 基本方針(3)の世代交代の準備とも関連して、助成金の継続と新規の獲得や新しい調査委託の可能性に向けた努力を、研究分野の開拓においても、財団・助成源の開拓の面においても、最優先課題の一つとして取り組む。「運営委員会」「将来計画委員会」が具体化のための協議を行う。

 

                        ――以上。