今こそ非核兵器地帯による北東アジアの持続的な平和を

 ありがとうございます。議長、代表団の皆様、市民社会の仲間たち。  

 2017 年5 月に政権に就いて以来、韓国の文在寅大統領は朝鮮民主主義人民共和国( 北朝鮮) のトップである金正恩氏に対し、7 月に初めてベルリンで、9月に再度ニューヨークで呼びかけました。文氏は2018 年冬季オリンピックへの参加と、南北首脳会談を含む南北対話の再開を北朝鮮に要請しました。金氏は2018 年の新年の辞で肯定的に応えました。以来、朝鮮半島の状況は劇的に進展しました。文氏と金氏はそれぞれの特使団をお互いの首都に派遣しました。金氏の突然の歴史的な訪中と習近平国家主席との会談がそれに続きました。これは金氏の外国での外交官としてのデビューとなりました。そして、明後日には南北首脳会談が、また6月初旬までには歴史的な米朝首脳会談が行われようとしています。国際社会は歴史的な困難を乗り越え、北東アジアに持続的な平和を構築するためにこの絶好機を活かすべきです。  

 「北朝鮮の非核化」という言葉は我々が解決しなければならない懸案を表現するのに適切でありません。韓国政府は金正恩氏の特使と会見後の3 月6 日の公式声明でこう述べています。「北側は朝鮮半島の非核化の約束を明確に確認し、もし体制の安全が保証され、北朝鮮に対する軍事的脅威が取り除かれるならば、核兵器を保有する理由がないと述べた。」これは問題は単に「北朝鮮の非核化」ではなく、少なくとも、例えば韓国の拡大核抑止政策や関係する核兵器国による消極的安全保証といった幅広い問題と関係のある「朝鮮半島の非核化」であるということを意味しています。また、軍事的脅威の問題は朝鮮戦争の停戦協定という現在の壊れやすい状態と直接的に関連しており、韓国と日本における相当量の米軍の存在とも関連しています。  

 私たちは、非核朝鮮半島は日本にまで拡張され、北東アジア非核兵器地帯が設立されればより持続的なものになると考えます。日本の核武装の可能性は地域国家の長期にわたる懸念であり続けてきました。とりわけ日本の説明できない大量のプルトニウム備蓄と核抑止への一貫した固執のためです。日本も南北朝鮮も北東アジア非核兵器地帯ができれば想定される核をもつ敵国からの法的拘束力のある安全の保証を得ることができます。 

 ノーチラス研究所と長崎大学核兵器廃絶研究センターを含む多くの学者、研究者が北東アジア非核兵器地帯を設立するための包括的アプローチを提案してきました。そのアプローチでは、いくつかの懸案事項は相互に密接に関連しているため同時に解決される必要が あります。そのような問題には朝鮮戦争の終結、敵対しない意図の相互宣言、北東アジア非核兵器地帯の設立、検証機能を備えた地域的な安全保障協議体の創設、その他の安全保障イニシアチブが含まれます。この地域における現在の外交的な好機を考えると、これらの提案にかつてない関心が寄せられるべきであると私たちは考えます。  核兵器のない北東アジアを築くための何十年にもわたる国際的な努力の歴史から、私たちは多くを学んできました。現在の良好な外交的気運を最大限に活用するために、私たちはすべての関係国に対して過去の失敗を他の国のせいにするのではなく、平和のための革新的で実際的な手段を通じて相互不信を乗り越えるための根気強い努力を求めます。

 ありがとうございます。(原文は英語)

(原文) peacedepot.org/wp-content/uploads/2018/05/25April_PeaceDepot.pdf