<新企画> 脱軍備・平和情報モニター

2026.03.22

脱軍備・平和情報モニターについて

趣旨:ピースデポ「長期ビジョン」で示された具体的活動の一つ、「デジタル技術を駆使し、一次情報に基づく国内外への情報発信」の一つとして、2026年度より企画された事業である。ピースデポ発行の「ピース・アルマナック」に掲載されている、テーマごとの一次情報とその「ガイド」を、ウエブサイトに定期的に公開し、信頼できる情報源として、市民社会や政策コミュニティの事業活動に貢献することを目的とする。

2026年3月
プロジェクトメンバー
鈴木達治郎、網崎百花、矢尾板大道、役重善洋、渡辺洋介

〈イスラエル・米国 vs イラン〉戦争 緊急特設ページ

2026年2月28日、イスラエルと米国によるイランに対する奇襲攻撃に対し、イランは最高指導者ハメネイ師や革命防衛隊司令官などを殺害されながらも、イスラエルおよび中東各地の米軍基地に対する全面的な報復攻撃を開始しました。まもなく、レバノンやイラクの親イラン組織も攻撃に加わり、中東全域に紛争が拡大しています。この緊急事態に際し、ピースデポでは、政策担当者ならびに平和運動関係者などの情報整理・分析に役立てることを目的とし、本ページを特設し、関係する重要文書を紹介していくこととしました。


 出典:Tehran Times

2月28日~3月13日の重要文書
日付は現地時間

2026年2月28(土)
【米国】トランプ大統領による対イラン作戦開始宣言
【イスラエル】ネタニヤフ首相の声明
【イラン】米・イスラエルによるイラン攻撃に対するイラン外務省声明
【EU】欧州理事会議長・欧州委員会委員長によるイラン情勢に対する共同声明
【国連】国連事務総長による、中東情勢に関する安全保障理事会における発言

2026年3月1日(日)
【EU】中東情勢に関するEU上級代表による欧州連合を代表した声明
【日本】日本のイラン情勢に対する立場

2026年3月2日(月)
【米国】マルコ・ルビオ国務長官の記者団への発言
【中国】外務省報道官の毛寧が定例記者会見を実施
【IAEA】マリアーノ・グロッシ 国際原子力機関事務局長:IAEA理事会における発言
【日本】イラン攻撃の国際法上の解釈をめぐる高市首相らの国会答弁

2026年3月4日(水)
【米国】対イラン軍事作戦「Operation Epic Fury」に関する米国防総省記者会見

2026年3月5日(木)
【NATO】NATOは弾道ミサイルの脅威から同盟国国民を守る態勢にある

2026年3月9日(月)
【米国】イランの核兵器取得阻止に関する米国大統領発言
【日本】報道発表:日・イラン外相電話会談

2026年3月11日(水)
【EU】3月19日〜20日の欧州理事会に向けて、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長による欧州議会本会議でのイランに対する米・イスラエルによる軍事作戦、軍事作戦の影響、並びにイラン国民への支援の必要性についての演説
【国連安全保障理事会】イランの湾岸諸国への攻撃に関する決議
【WHO】ニュースリリース:中東の紛争が地域の健康危機をさらに悪化させている

2026年3月13日(金)
【イラン】イラン最高指導者モジュタバ・ハメネイ師の就任後最初のメッセージ
【ASEAN】中東情勢に関するASEAN特別外相会議の成果についてのASEAN議長声明

 

2026年2月28(土)—————————————————————————————–

【米国】トランプ大統領による対イラン作戦開始宣言(2月28日)
原文:Donald J. Trump (@realDonaldTrump)

(ガイド)
 2026年2月28日、米国とイスラエルによる共同軍事作戦「オペレーション・エピック・フューリー(Epic Fury)」の開始直後にドナルド・トランプ大統領はTruth Socialを通じてビデオ声明を発表した。本演説は単なる軍事打撃の通告に留まらず、イラン軍への降伏勧告と免責の提示、さらには最高指導者不在の混乱に乗じたイラン国民へのレジームチェンジの煽動を主眼としている。47年にわたる対立の最終決着を呼びかける極めて異例かつ過激な最後通牒としての性質を持つ。

(本文抄訳)
 米国はイラン政権による差し迫った脅威を排除し米国民および同盟国を守るため、大規模な軍事作戦を開始したと表明した。(略) イランは 47年にわたり「アメリカに死を」と叫び続け、米国人や同盟国を標的とした攻撃を行ってきたとされる。(略) 1979年の米大使館人質事件、1983年のベイルート米軍兵舎爆破、2000年の米艦コール号攻撃などに関与し、さらにイラクでも米軍将兵を殺害・負傷させたと指摘している。(略) 近年においても中東に駐留する米軍部隊や米海軍艦艇、商船に対する攻撃を繰り返していると非難する。(略)

 また、レバノンからイエメン、シリア、イラクに至るまで、代理勢力に対して武器供与や資金提供、訓練を行ってきたとし地域の不安定化を招いてきたと述べる。(略) イスラエルに対する大規模攻撃を実行したハマスもイランの代理組織であり、多数の民間人や米国人が殺害され、人質が取られたとしている。(略)

 米国はイランをテロ支援国家と位置づけ、核兵器を絶対に保有させない方針を強調する。(略) これまでに核施設への攻撃や交渉を試みたもののイランは合意を拒否し続け、現在も核開発および長距離ミサイル開発を進めていると主張する。(略)

 こうした状況を受け、米国はミサイル能力の破壊、軍事産業や海軍の壊滅、さらに代理勢力の無力化を目的とする作戦を展開するとしている。(略) また、イラン軍や警察に対しては武器を捨てれば免責を与える一方、従わなければ死を免れないと警告した。(略) さらにイラン国民に対しては屋内に留まるよう求めるとともに、作戦終了後には自ら政府を掌握するよう呼びかけた。(略)

 米国はこの行動を将来の安全のための使命と位置づけ、軍事力による最終的な勝利への確信を示している。(略)

 

【イスラエル】ネタニヤフ首相の声明(2月28日)
原文:Statement by Prime Minister Netanyahu

(ガイド)
 2024年の4月と10月、2025年6月と、イスラエルはイランを奇襲攻撃し、ミサイル攻撃による応戦を含めた限定的戦闘を行ってきたが、明確に政権打倒を目的に掲げた作戦は今回が初めてである。また、これまでの作戦においても米軍の協力は見られたものの全面的な共同作戦は初めてである。声明では、イラン軍は敵ではないとして軍の離反を促しているが、その可能性がどこまであるのかが注目される。イスラエル外務省HPに掲載されている声明は実際に放映された演説よりもかなり短く要約されているので、「Times of Israel」紙掲載の声明全文(英語訳)を参照した。

(本文抄訳)
 兄弟姉妹の皆さん、イスラエル国民の皆さん、少し前に、イスラエルと米国は共同作戦「咆哮する獅子作戦」を開始しました。この作戦の目的は、イランにおけるアーヤトッラー政権の脅威に終止符を打つことです。(略)ここ数ヶ月、イランの独裁者たちは核兵器とミサイル能力を再構築し、我々の攻撃が不可能な地下に隠そうと企ててきました。今、我々が彼らを阻止しなければ、彼らは攻撃から逃れられるようになるでしょう。

 時間を稼ぐため、彼らの代表者たちはアメリカの友人たちと、無益で欺瞞的な交渉を続けてきました。しかし、イランの暴君たちは重大な過ちを犯しました。アメリカは彼らの嘘を信じません。そして、破滅の影が我々の上に迫り来るのを黙って見ているつもりはありません。(略)

 イスラエル国民よ、「立ち上がる獅子」(注:2025年6月のイラン攻撃)の時も、「獅子の咆哮」の時も、私たちは皆、忍耐と内面の強さを示すことが求められるでしょう。代償は伴うでしょう。おそらくは大きな代償となるでしょう。(略)しかし、行動を起こさないことのリスクの方がはるかに大きいのです。(略)

 ここからは、イラン国民の皆様に申し上げます。イラン国民の皆様、そして名誉あるイラン軍は、私たちの敵ではありません。私たちも皆様の敵ではありません。私たちには共通の敵がいます。革命防衛隊とバシジの圧制的な力によって皆様を支配下に置いた、アヤトラの残忍な一団です。

 彼らこそが、皆さんの素晴らしい国をどん底に引きずり込んだ張本人です。皆さん、そして皆さんの民衆に銃撃を加えた張本人です。(略)

 イラン国民の皆さん、ペルシャ人、クルド人、アゼルバイジャン人、バローチ人、アフワーズ人、そしてこの偉大な国を構成するすべての国民の皆さん、今こそ、新しく自由なイランを築くチャンスです。自らの運命を自らの手で掴み取りましょう。(略)

 

【イラン】米・イスラエルによるイラン攻撃に対するイラン外務省声明(2月28日)
原文:Statement on the military aggression by the Zionist regime and the US against Iran

 (ガイド)
 米・イスラエルの奇襲攻撃直後に出されたイラン外務省の声明。理論整然とした内容で、攻撃前からある程度準備されていた文章であることを伺わせる。2月28日以降、イラン政府関係のウェブサイトの多くはアクセスが困難であり、唯一外務省HPのみが比較的安定してアクセスでき、かつ更新され続けている。

(本文抄訳)
(略)今朝早く、ノウルーズ(注:イラン歴の元旦)前夜、聖ラマダン月の10日目に、米国とシオニスト政権は、イラン全土のさまざまな都市の多数の防衛施設、インフラ施設、民間施設への攻撃を開始し、イランの領土保全と国家主権を著しく侵害しました。

 米国とシオニスト政権による今回の新たな軍事侵略は、イランと米国が外交交渉の真っ最中にあったまさにその最中に発生しました。米国とシオニスト政権が新たな軍事侵略行為を実行しようとしていることを十分に認識していたにもかかわらず、私たちは国際社会と世界のすべての国々に疑いの余地を残さないために、また、イラン国民の大義の正当性を示し、いかなる侵略の口実も根拠がなく不当であることを暴くために、再び交渉を開始しました。

 今日、イラン国民は戦争を阻止するために必要なあらゆることを行い、誇りをもって立ち上がっています。今こそ祖国を守り、敵の軍事攻撃に立ち向かう時です。交渉への準備ができていたのと同様に、自国を守る準備もこれまで以上に万全です。(略)

 シオニスト政権と米国によるイランに対する空爆は、国連憲章第2条第4項に違反するものであり、イラン・イスラム共和国に対する明白な武力侵略行為に相当します。

 この侵略に対処することは、国連憲章第51条に基づくイランの合法的かつ正当な権利であり、イラン・イスラム共和国軍は、この犯罪的侵略に対抗し、敵を撃退するためにあらゆる能力と資源を活用します。

 イラン・イスラム共和国は、米国とシオニスト政権によるイランへの露骨な軍事侵略によってもたらされた国際平和と安全の侵害に対し、国連と安全保障理事会が直ちに行動を起こす重大な責任を有することを強調します。私たちは、国連事務総長、安全保障理事会議長、そして理事会理事国に対し、遅滞なくその責務を遂行するよう求めます。(略)

 

【EU】欧州理事会議長・欧州委員会委員長によるイラン情勢に対する共同声明(2月28日)
原文:Joint Statement by President Costa and President von der Leyen on development in Iran

(ガイド) 
 アントニオ・コスタ欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長によるイラン情勢に関する共同声明(発表は2月28日)。共同声明の中で、コスタ議長及びフォン・デア・ライエン委員長は、イラン情勢について「極めて憂慮すべき事態」であるとし、今般の事態に関する全ての当事者に対して、最大限の自制心、民間人の保護、並びに国際法の完全なる尊重を求めた。

(本文全訳)
 イラン情勢の展開は極めて憂慮すべきものである。我々は、同地域のパートナー諸国と緊密に連絡を取り合っている。 

 我々は、地域の安全と安定を守るという揺るぎない決意を改めて表明する。

  核の安全を確保し、緊張をさらに高めたり、世界的な核不拡散体制を損なうおそれのあるいかなる行動も防止することは、極めて重要である。

  欧州連合(EU)は、イランの残虐な政権および革命防衛隊の行動に対し、広範な制裁措置を採択するとともに、交渉による解決を通じて核・弾道ミサイル計画に対処することを目的とした外交的努力を一貫して推進してきた。

  EU加盟国と緊密に連携し、同地域にいるEU市民が我々の全面的な支援を確実に受けられるよう、必要なあらゆる措置を講じていく。 

 我々は、すべての当事者に対し、最大限の自制を尽くし、民間人を保護し、国際法を完全に尊重するよう求める。

 

【国連】国連事務総長による、中東情勢に関する安全保障理事会における発言(2月28日)
原文:Secretary-General’s remarks to the Security Council meeting on the situation in the Middle East [as delivered]

(ガイド)
 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2026年2月28日、イスラエルと米国のイランに帯する軍事行動に関して、国連安全保障理事会で、両国の軍事行動は国際法、国際人道違反だとして厳しく非難し、この軍事行動が湾岸地域、ひいては世界に拡大しないよう、関連諸国に軍事行動の抑制と敵対的行動の中止を訴えた。

(本文抄訳)
(略)本日は三つの点について直接お話しします。原則、事実、そして解決策です。

まず、原則について。
国連憲章は国際の平和及び安全の維持の基盤を定めています。
憲章第2条は明確に以下のように規定しています:「すべての加盟国は、国際関係において、いかなる国家の領土保全又は政治的独立に対しても、武力による威嚇又は武力の行使を控えるものとする」。国際法及び国際人道法は常に尊重されねばなりません。 (略)
明確に申し上げます:国際紛争の平和的解決に代わる現実的な選択肢は存在しません。
真の対話と交渉を含む平和的手段によってのみ、永続的な平和は達成され得ます。(略)

第二に、事実関係について。
現地の状況は極めて流動的です。未確認の情報が多数流れています。(略)
軍事行動は地域全体に急速に拡大し、状況はますます不安定かつ予測不能となり、誤算のリスクが高まっています。イランは米・イスラエルの空爆への報復として、同地域内の米軍資産を標的としたと発表しました。(略)

第三に、この地域と世界は今こそ打開策を必要としています。
緊張緩和と即時停戦を求めます。さもなければ、民間人と地域の安定に深刻な影響を及ぼす大規模な紛争に発展する恐れがあります。特にイラン核問題をめぐり、全ての当事者が直ちに交渉の席に戻るよう強く促します。(略)
事態のさらなる悪化を防ぐため、あらゆる手段を講じる必要があります。この目的のため、私は全ての加盟国に対し、国際法(国連憲章を含む)に基づく義務を厳格に遵守し、国際人道法に従って民間人を尊重・保護し、核の安全を確保するよう求めます。
責任を持って、そして一致団結して行動し、この地域と私たちの世界を危機の淵から引き戻しましょう。

 

2026年3月1日(日)—————————————————————————————-

【EU】中東情勢に関するEU上級代表による欧州連合を代表した声明(3月1日)
原文:Statement by the High Representative on behalf of the European Union on developments in the Middle East

(ガイド)
 EUのカラス外交安全保障上級代表は、欧州連合を代表してイラン情勢に関する声明を発表。EUは、イラン及び中東情勢について極めて深刻な懸念を持って注視しているとし、従来よりイランの核計画・弾道ミサイル計画の抑制、地域不安定化活動の停止、自国民への暴力・弾圧の停止を一貫して求めてきたと改めて表明。全ての当事者に対して、最大限の自制、民間人の保護、並びに国連憲章の原則含む国際法の完全な尊重を求めた。

(本文抄訳)
 欧州連合(EU)は、イランおよび中東情勢の推移を極めて強い懸念を持って注視している。EUは、イラン当局によるイラン国民に対する残虐な弾圧や人権侵害、あるいはイランの弾道ミサイル・核開発計画や中東の武装勢力への支援を通じた地域および欧州・国際的な安全保障への脅威といった行動に対し、広範な制裁措置を採択してきた。我々は、追加制裁を含む措置を通じて、EUの安全保障と利益を引き続き守っていく。(略) 

 我々は、最大限の自制、民間人の保護、そして国連憲章の原則や国際人道法を含む国際法の完全な尊重を求める。中東は、いかなる長期化する戦争からも甚大な損失を被ることになる。イランによる攻撃や、地域内の多くの国の主権侵害は、決して許されるものではない。イランは、無差別な軍事攻撃を控えるべきである。(略)

  我々は、緊張緩和に寄与するため、地域のパートナーと緊密に連絡を取り合っており、地域の安全保障と安定を守るという欧州連合(EU)およびその加盟国の揺るぎない決意を再確認する。欧州連合は、緊張を緩和し、イランによる核兵器取得を阻止するための恒久的な解決策をもたらすあらゆる外交的努力に引き続き貢献する。(略) 

 イランで展開している事態が、中東、欧州、さらにはその先を脅かし、経済分野においても予測不可能な結果をもたらすような事態の悪化につながってはならない。ホルムズ海峡のような重要な水路の遮断は、いかなる形でも回避されなければならない。 (略)

 アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モルドバ共和国、モンテネグロ、北マケドニア、ノルウェー、セルビア、ウクライナは、本声明に賛同する。

 

【日本】日本のイラン情勢に対する立場(3月1日)
原文:イラン情勢について(外務大臣談話)

(ガイド)
 日本政府は、米国とイスラエルによるイラン攻撃の国際法上の是非には言及を避ける一方「イラン攻撃の国際法上の解釈をめぐる高市首相らの国会答弁(3月2日)」参照)、双方の武力応酬と地域情勢の悪化に対し深刻な懸念を表明した。自由や法の支配といった基本的価値を強調しつつ、イランに核開発や地域不安化行動の中止を求めるという従来からの立場を再確認した。米国とイスラエルの攻撃は非難せずに、イランによる湾岸諸国への攻撃やホルムズ海峡封鎖については明確に非難の意を示した「報道発表:日・イラン外相電話会談(3月9日)」参照)。

(本文)
 日本時間2月28日、米国及びイスラエルは、イランに対する攻撃を実施したと発表しました。政府として、関係国と緊密に連携して情報収集を含めた対応に努めています。また、(1)イラン周辺国を含む地域全体の邦人保護、及び、(2)海路・空路の状況把握と関係者への情報提供に、引き続き万全を期していきます。

 国際的な核不拡散体制の維持のためにも、イランによる核兵器開発は決して許されません。また、我が国としては、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。その上で、我が国として、これまで関係国等とも連携しつつ、イランの核問題の解決に向けた外交努力を行ってきました。そして、米・イラン間の協議は、イランの核問題の解決のために極めて重要であり、我が国として、これを強く支持してきました。イランは、核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべきです。

 エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定、そして国際的な核不拡散体制の維持は、我が国にとっても極めて重要であり、事態の早期沈静化に向けて、国際社会とも連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行っていきます。

 

2026年3月2日(月)—————————————————————————————

【米国】マルコ・ルビオ国務長官の記者団への発言(3月2日)
原文:Secretary of State Marco Rubio Remarks to Press

(ガイド)
 本資料は2026年3月2日に実施された米軍によるイランへの軍事作戦を受け、マルコ・ルビオ国務長官が記者団に対して行った公式発言の記録である。会見ではイランの弾道ミサイルおよび海軍能力を標的とした先制攻撃の戦略的背景、イスラエルの行動に伴う米軍への被害予測、および作戦の法的正当性が説明された。

(本文抄訳)
 米国はイランの短距離弾道ミサイル能力および海軍による脅威を排除するという極めて明確な目的のもと今回の作戦を実施しました。作戦は順調に進展しており、詳細な戦術については国防総省に委ねます。

 「なぜ今なのか」という問いに対し、理由は二つあります。第一に、イランが米国や同盟国から攻撃を受けた際、即座に米国へ矛先を向けることは明白であり、既に現場の部隊に発射命令が下達されていたためです。第二に、敵の攻撃を待てば米側に多大な犠牲が出るという予測があったため、大統領はより多くの死者を防ぐべく防御的な先制攻撃という賢明な決断を下しました。

 本来の目的はイランが通常兵器の盾を構築し、その陰で核開発を進める免責の状態を作り出すのを阻止することにあります。月100発以上のミサイル生産能力を持つイランに対し、我々の迎撃能力には限界があり、1年後には制御不能なリスクとなるため今行動する必要がありました。現政権は地政学的判断ではなく終末論的な神学に基づく過激派によって率いられており、その脅威を深刻に受け止めねばなりません。

 議会への通知に関しては法に基づきギャング・オブ・エイトや指導部へ事前説明を行っており、憲法上の義務を完全に遵守しています。また、民間施設への攻撃という報道については米国が意図的に学校を標的にすることはないと否定し、むしろイランこそが大使館や空港を攻撃していると指摘しました。

 原油価格の高騰については想定内であり、エネルギー省・財務省による緩和プログラムを即座に展開します。本作戦の核心は、誰がイランを統治しようとも、二度と弾道ミサイルやドローンで世界を人質に取らせないことにあります。米軍による最大の打撃はこれからであり、目標を達成するまで作戦は継続されます。

 

【中国】外務省報道官の毛寧が定例記者会見を実施(3月2日)
原文:2026年3月2日外交部言人毛宁主持例行者会

(ガイド)
 中国は、米国とイスラエルによるイラン攻撃を明確に国際法違反であると断じた。一方で、イランによる湾岸諸国への攻撃についても間接的に非難を表明している。そのうえで、湾岸協力会議が対話と外交を通じた解決を模索している姿勢を高く評価した。以下のコメントは新華社記者の質問に対して行われたものである。

(本文抄訳)
(略)アメリカとイスラエルが国連安全保障理事会の授権を受けずにイランに対して軍事攻撃を行ったことは国際法に違反します。中国は、戦闘が拡大し周辺国に波及していることに深い懸念を表明します。中国は、湾岸諸国の主権、安全および領土保全も十分に尊重されるべきと考えます。我々は各方面に対し、軍事行動を停止し、戦火がさらなる拡大防止を求めます。

 中国は、湾岸協力会議の特別外相会合が、対話と外交が現在の危機を克服し地域の安全を維持する唯一の道であると強調したことを評価します。現在、地域情勢は複雑で敏感な状況にあります。中国は、地域諸国が善隣友好の精神に基づき、意思疎通と調整を強化し、共に地域の平和と安定のために尽力することを支持します。(略)

 

【IAEA】マリアーノ・グロッシ 国際原子力機関事務局長:IAEA理事会における発言(3月2日)
原文:IAEA Director General’s Introductory Statement to the Special Session of the Board of Governors

 (ガイド)
 国際原子力機関(IAEA)の主な使命は、イランの核施設の安全性確保、イランの核プログラムが軍事転用されていないことを保証する査察活動をおこなうことである。ウクライナの原発に対するロシアの軍事攻撃、昨年6月の米・イスラエルのイラン核施設への軍事攻撃に続き、今回の攻撃直後にIAEA事務総長が核施設攻撃に対する批判とイラン核施設の現状をIAEA理事会に報告した。

(本文抄訳)
 我々は皆、イスラム共和国イラン及び中東における軍事攻撃を懸念をもって注視してきました。当機関は、その任務に基づき、軍事作戦に起因する可能性のある放射線緊急事態に焦点を当てて、直ちに対応しました。(略)

 イランの核施設の状況について、現時点では、ブシェール原子力発電所、テヘラン研究炉、その他の核燃料サイクル施設を含むいかなる核施設も損傷を受けたり攻撃されたりした兆候は確認されていません。(略)

 イランが核兵器を入手しないという長期的な保証を達成し、世界的な核不拡散体制の持続的な有効性を維持するためには、我々は外交と交渉の道に戻らなければなりません。(略)

 IAEAの定款に明記された目的と一致して、さらなる事態の悪化を避けるため、全ての関係者に最大限の自制を呼びかけることを改めて表明します。

 核施設に対する武力攻撃は決してあってはならず、攻撃を受けた国家の境界内外において深刻な結果をもたらす放射性物質の放出を引き起こす可能性があるとする過去の総会決議を、改めて想起したいと思います。(略)

 この長年にわたる不和の恒久的な解決策は外交の場で実現されると、私は確信しています。IAEAは、要請があればいつでもどこでも、その不可欠な役割を果たす準備を整えています。(略)

 外交は困難ですが、決して不可能ではありません。核外交はさらに困難ですが、決して不可能ではありません。再び外交のテーブルに着くのは「もし」の問題ではなく「いつ」の問題です――ただ、できるだけ早くそうしなければなりません。(略)

 今日の状況が極めて憂慮すべきものであることを強調しておきます。深刻な結果を招く可能性のある放射性物質の放出を排除できず、主要都市と同等かそれ以上の広範囲にわたる避難が必要となる事態も想定されます。私が確約できるのは、IAEAが現地に駐在し、加盟国と連携しながら国際社会に情報を提供し、原子力安全上の問題が発生した場合には即座に対応する態勢を整えているということです。

 

【日本】イラン攻撃の国際法上の解釈をめぐる高市首相らの国会答弁(3月2日)
出典:https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56088&media_type=

(ガイド)
 3月2日の衆議院予算委員会において、田村智子議員は、米国・イスラエルによるイラン攻撃が安保理決議も国連憲章第51条の自衛権要件も満たさない国際法上違法な武力行使であると指摘したが、政府側(高市首相・茂木外相)は「法的評価を差し控える」との答弁を繰り返し、見解の表明を避ける姿勢に終始した。

(本文)
茂木敏充外務大臣:国連憲章51条に対するですね、解釈については田村委員のおっしゃるとおりでありますけれど、今回の事態がどうであったか、それにつきましてはですね、我が国としてすべての情報をですね、把握する立場にないわけでありまして、その法的評価についてはですね、答弁を控えさせていただきたいと思います。

高市早苗総理大臣:あの、これが自衛のための措置なのかどうかも含めてですね、詳細な情報を持ち合わせているわけではございません。 今、外務大臣の答弁したとおり、我が国としてその法的評価をすることは差し控えさせていただきます。

 

2026年3月4日(水)—————————————————————————————

【米国】対イラン軍事作戦「Operation Epic Fury」に関する米国防総省記者会見(3月4日)
原文:Secretary of War Pete Hegseth and Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Dan Caine Hold a Press Briefing

(ガイド)
 本資料は2026年3月4日に行われた米国防長官ピート・ヘグセスとダン・ケイン統合参謀本部議長による記者会見の記録です。作戦開始から100時間が経過した時点での対イラン軍事作戦「エピック・フューリー」の進捗と戦略目標が述べられています。会見では空域の掌握に伴う攻撃フェーズの移行、海軍戦力の無力化、弾道ミサイル発射能力の減少といった軍事的状況が報告されました。また、核兵器保有の阻止を最終目標とする政権の方針、周辺諸国との防空連携、および米軍側の殉職者についても公表されています。

(本文抄訳)
  2026年3月4日、ヘグセス国防長官とケイン統合参謀本部議長は対イラン軍事作戦「エピック・フューリー」の開始から4日が経過した現状を報告しました。米軍はイスラエル軍と連携し、イラン全土の制空権を掌握しました。作戦規模は2003年のイラク戦争時の2倍、過去の対イラン作戦の7倍に達しており、現在は遠距離攻撃から精密誘導爆弾による近接破壊フェーズへと移行し、防衛基盤の解体を継続しています。

 軍事面ではイラン海軍がペルシャ湾で壊滅し、艦艇ソレイマニが撃沈されました。米潜水艦が魚雷で敵艦を撃沈したのは1945年以来の記録となります。イランの弾道ミサイル発射能力は開始時より86%、ドローンは73%減少し、最高指導部や革命防衛隊(IRGC)の指揮統制系統はマヒ状態にあります。

 作戦目標はイランの核兵器保有の阻止、ミサイル生産施設および安全保障インフラの殲滅です。ヨルダン、サウジアラビア、UAEなどの地域パートナー諸国も防空システムによる迎撃に参加しています。ヘグセス長官は過去の交渉路線を否定し、武力によるアメリカ第一主義の完遂を宣言しました。

 イランの反撃により、米陸軍予備役兵士6名が殉職したことも公表されました。長官は遺族への謝意を述べるとともに、作戦の期限は設定せず、勝利を確実にするまで攻撃を加速させる方針を明確にしました。

 

2026年3月5日(木)—————————————————————————————

【NATO】NATOは弾道ミサイルの脅威から同盟国国民を守る態勢にある(3月5日)
原文:NATO is well postured to defend Allied population against ballistic threats

(ガイド)
 イランがトルコに向けて弾道ミサイルを発射した翌日、北大西洋理事会の緊急会合を受けてNATOが発表した公式声明。イランによるトルコへの攻撃を強く非難するとともに、アンカラへの完全な連帯を表明した。NATOのルッテ事務総長は、欧州連合軍最高司令官(SACEUR)及び関係人員がイランの弾道ミサイルを早期に探知・追尾し、東地中海上空で迎撃・無力化した対応を高く対応し、NATOの抑止・防衛態勢は全ての作戦領域において引き続き堅固であると強調した。

(本文全訳)
 本日(2026年3月5日)、北大西洋理事会は大使形式で会合を開き、イランによる中東およびそれ以外の地域における継続的な無差別攻撃を踏まえ、安全保障環境に関する最新情報について協議した。NATO事務総長マルク・ルッテ氏が議長を務めた。NATO加盟国は昨日、イランによるトルコへの攻撃を強く非難し、アンカラへの全面的な連帯を表明した。

 NATO事務総長は、イランの弾道ミサイルを特定、追跡、迎撃することに成功した共同の努力に対し、欧州連合軍最高司令官(SACEUR)および関係するすべての同盟国職員を称賛した。これは、弾道ミサイルによる脅威を含むあらゆる脅威から国民を守る同盟の能力を具体的に示すものである。

 NATOの抑止力と防衛態勢は、あらゆる作戦領域において依然として強固である。各国軍は警戒を怠らず、SACEUR(欧州連合軍最高司令官)は、すべての同盟国の安全保障を確保するため、必要に応じてNATOの戦力態勢を調整してきたし、今後も調整を続ける。

 NATOは引き続き状況を綿密に監視している。NATO事務総長は、同盟国の首脳陣および地域全体のNATO加盟国の首脳陣と定期的に連絡を取り合っている。

 

2026年3月9日(月)—————————————————————————————

【米国】イランの核兵器取得阻止に関する米国大統領発言(3月9日)
出典:I Will Stop Iran From Getting Nuclear Weapons

(ガイド)
 「核保有は絶対に許さない」――3月9日にホワイトハウスから発信された、トランプ大統領の緊迫したショートメッセージです。テロ政権による石油市場への脅迫に対し、二度と立ち上がれないほどの壊滅的な打撃を与えると警告する、作戦遂行への圧倒的な自信と覚悟が語られている。

(本文全訳)
 2015年に初めてエスカレーターを降りたその日、私はこう言いました。「私はイランが核兵器を手に入れるのを阻止する」と。そして今、私がやっていることは、ただその約束を果たしているに過ぎません。考えてみてください。それは2015年のことでした。当時も脅威だと言いましたが、今はさらに大きな脅威となっています。しかし、もはや脅威ではありません。少なくとも当分の間は。我々は「エピック・フューリー作戦」を継続する中で、この状態を維持したいと考えている。また、世界へのエネルギーと石油の供給を維持することにも注力している。そして、私はテロリスト政権が世界を人質に取り、世界の石油供給を止めようとすることを許さない。もしイランがそのようなことをすれば、はるかに、はるかに厳しい報いを受けることになるだろう。先ほど言及した、攻撃しやすい標的については、私が排除する。我々はそれらを瞬く間に排除し、二度と回復できないようにする。もし彼らがそのようなゲームをしようとするなら、絶対に手を出さない方がいい。

 

【日本】報道発表:日・イラン外相電話会談(3月9日)
原文:日・イラン外相電話会談|外務省

(ガイド)
 日本政府は、米国とイスラエルによるイラン攻撃の国際法上の是非には言及を避ける一方「イラン攻撃の国際法上の解釈をめぐる高市首相らの国会答弁(3月2日)」参照)、双方の武力応酬と地域情勢の悪化に対し深刻な懸念を表明した。自由や法の支配といった基本的価値を強調しつつ、イランに核開発や地域不安化行動の中止を求めるという従来からの立場を再確認した「日本のイラン情勢に対する立場(3月1日)」参照)。米国とイスラエルの攻撃は非難せずに、イランによる湾岸諸国への攻撃やホルムズ海峡封鎖については明確に非難の意を示した。

(本文)
 3月9日、午後7時25分から約25分間、茂木敏充外務大臣は、セイエド・アッバス・アラグチ・イラン・イスラム共和国外務大臣(H.E. Dr. Seyyed Abbas ARAGHCHI, Minister of Foreign Affairs of the Islamic Republic of Iran)と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1.冒頭、茂木大臣から、中東地域において、攻撃の応酬が継続し、地域情勢が悪化していることを深刻に懸念している旨述べ、事態の早期沈静化を強く働きかけました。

2.また、茂木大臣から、イランによる湾岸諸国における民間施設等への攻撃、さらにホルムズ海峡における航行の自由及び安全を脅かす行為について、これを非難するとともに、直ちに停止するよう強く求めました。さらに、イランによる核兵器開発は決して許されないとの我が国の立場を改めて伝えつつ、核問題を含むイランをめぐる課題解決に向け、日本として国際社会とも連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行っていくと述べました。(略)

 

2026年3月11日(水)————————————————————————————–

【EU】3月19日〜20日の欧州理事会に向けて、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長による欧州議会本会議でのイランに対する米・イスラエルによる軍事作戦、軍事作戦の影響、並びにイラン国民への支援の必要性についての演説(3月11日)
原文:Speech by President von der Leyen at the European Parliament plenary debate in preparation of the European Council meeting of 19-20 March 2026 and on the US-Israel military operations against the Iranian regime, its consequences and the need to support the people of Iran

(ガイド)
 フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長による欧州理事会に向けた欧州議会本会議での演説。イランに対する米・イスラエルによる軍事作戦とその影響、またイラン国民への支援の必要性について演説を行った。

(本文抄訳)
 まず、中東の現状についてお話しさせていただきます。数十年にわたり、ハメネイ師は抑圧、暴力、そして恐怖によって支配してきました。彼の統治下で、イラン国民は異議を封じ込め、基本的な自由を抑圧する体制の下で生活していました。(略)

 彼らは残忍な弾圧に遭いました。政権が権力にしがみつく中、1万7000人以上が殺害されました。しかし、この政権の犯罪は何十年も前から続いています。自国民を投獄し、拷問しました。地域全体、さらにはヨーロッパの地でテロを支援しました。そして、ロシアによるウクライナへの残忍な戦争に決定的な支援を提供しました。(略)

 中東情勢がエネルギーに及ぼす影響は既に現れ始めています。近年の取り組みのおかげで、欧州は化石燃料輸入への依存度を大幅に減らすことができました。エネルギー源の多様化に向けた努力が実を結びつつあります。しかし、だからといって価格変動の影響を受けないわけではありません。(略)

(略)例えば、紛争開始以来、ガス価格は50%、原油価格は27%上昇しました。これをユーロに換算すると、わずか10日間の戦争で、ヨーロッパの納税者は化石燃料の輸入に30億ユーロもの追加費用を負担することになったのです。これが、私たちが依存していることの代償です。

 事実として、私たちは再生可能エネルギーと原子力という、国内で生産されたエネルギー源を持っています。これらの価格は過去10日間変わっていません。しかし、現在の危機において、長期戦略を放棄し、ロシアの化石燃料に戻るべきだと主張する人もいます。これは戦略的な誤りです。私たちはより依存的になり、より脆弱になり、より弱体化するでしょう。

(略)だからこそ、私たちは間もなく「一つのヨーロッパ、一つの市場」ロードマップを発表するのです。このロードマップでは、2027年末までに実施するための明確なタイムラインとともに、私たちが採用しなければならない主要な立法措置が示されます。測定されるものだけが実行されるのです。このロードマップには、SIU、エネルギー、質の高い雇用、AIギガファクトリー、第28次制度など、さまざまな立法パッケージが含まれています。私が言いたいのは、議会、理事会、欧州委員会の3つの機関すべてに、このロードマップへの賛同を求めているということです。(略)

 

【国連安全保障理事会】イランの湾岸諸国への攻撃に関する決議:決議2817「第10119回安全保障理事会において議決」(3月11日)
原文:Resolution 2817 (2026) Adopted by the Security Council at its 10119th meeting, on 11 March 2026

(ガイド)
 国国連安全保障理事会は、2026年3月11日、湾岸協力会議(GCC)加盟国を代表してバーレーン政府から提出された書簡を考慮し、GCC加盟国、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦に対する、イランの軍事攻撃は「国際法違反」であると非難し、その攻撃を即刻停止するよう要請する決議を採択した。なお、GCC加盟国は自国に米軍基地を擁する米国の友好国である。

(本文抄訳)
 安全保障理事会は、(略)
 中東の平和と安定の維持を促進することへの全面的なコミットメントを改めて表明し、

1.バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、およびヨルダンの領土保全、主権、政治的独立に対する強い支持を改めて表明する。

2.イラン・イスラム共和国によるバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダンの領土に対する甚だしい攻撃を最も強い言葉で非難し、このような行為は国際法違反であり、国際平和と安全に対する重大な脅威であると断定する。

3.居住地域が攻撃され、民間施設が標的とされ、攻撃によって民間人の死傷者と民間建造物の損害が生じたことをさらに非難し、これらの国々とその国民に連帯を表明する。

4.イラン・イスラム共和国によるバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダンに対するあらゆる攻撃を直ちに停止するよう要求する。

5.イラン・イスラム共和国に対し、代理勢力の使用を含め、近隣諸国に対するあらゆる挑発行為や脅迫行為を直ちに無条件で停止するよう要求する。

6.イラン・イスラム共和国に対し、国際人道法を含む国際法上の義務、特に武力紛争における民間人及び民間施設の保護に関する義務を完全に遵守するよう求める。

7.国際法に従い、商船及び商業船舶による航行の権利及び自由の行使は尊重されなければならないことを再確認する。特に重要な海上航路周辺においては、国際法に従い、加盟国が自国の船舶を攻撃及び挑発(航行の権利及び自由を損なうものを含む)から防衛する権利を有することに留意する。

8.イラン・イスラム共和国による、ホルムズ海峡を通る国際航行を閉鎖、妨害、その他何らかの形で妨害する行為、あるいはバブ・エル・マンデブ海峡における海上安全保障を脅かす行為を非難する。これらの国際水路における合法的な通過航行又は航行の自由を妨害するいかなる試みも、国際平和及び安全保障に対する重大な脅威となることを改めて表明する。イランに対し、国際法に従い、いかなる行動や脅迫も直ちに控えるよう求める。

9.本件について引き続き積極的に対応していくことを決定する。

 

【WHO】ニュースリリース:中東の紛争が地域の健康危機をさらに悪化させている(3月11日)
原文:News Release: Conflict deepens health crisis across Middle East, WHO says

(ガイド)
 中東における軍事対立の結果、地域における市民の健康危機がさらに悪化している。イランではすでに死者1300人、負傷者9000人に上り、レバノンで死者570人、負傷者1400人以上、イスラエルでも死者15人、負傷者2142人に達している。また地域全体で10万人以上のイラン人が避難を余儀なくされている。環境被害も含めWHOによる戦争被害の現状が簡潔にまとめられている。

(本文抄訳)
  中東における最新の紛争激化から10日以上が経過し、負傷者と避難民の増加、医療施設への攻撃の継続、公衆衛生リスクの高まりにより、地域全体の医療システムが逼迫しつつある。

  イランの保健当局は1300人以上の死者・9000人以上の負傷者を、レバノン当局は少なくとも570人の死者・1400人以上の負傷者を報告している。イスラエル当局は15人の死者・2142人の負傷者を報告している。

  同時に、この紛争は命を救うためのサービスそのものに影響を与えている。イランでは、2月28日以降、WHOが医療施設への18件の攻撃を確認し、医療従事者8名が死亡した。同期間のレバノンでは、医療施設への25件の攻撃により16名が死亡、29名が負傷した。(略)

 直接的な影響を超えて、紛争はより広範な公衆衛生リスクを生み出している。現在の推計では、イランでは治安悪化により10万人以上が国内の他の地域へ移住し、レバノンでは最大70万人が国内避難民となっている。(略)

 環境上の危険も懸念が高まっている。イランでは、石油火災や損傷したインフラからの煙により、近隣のコミュニティが有毒汚染物質に曝露され、呼吸器障害、眼や皮膚の炎症、水や食料源の汚染を引き起こす可能性がある。

 複数の国々で医療サービスへのアクセスがますます制限されている。レバノンでは、イスラエル軍による避難命令を受けて49のプライマリ・ヘルスケアセンターと5つの病院が閉鎖され、医療ニーズが高まる中、必須サービスの利用可能性が低下している。(略)

 この事態の悪化は、東地中海地域の人道支援ニーズが既に世界で最も高い水準にある中で発生した。同地域全体では1億1500万人が人道支援を必要としており、これは世界の支援必要人口のほぼ半分に相当する。一方で人道保健緊急支援の資金調達率は依然として70%不足している。(略)

 WHOは全ての当事者に対し、民間人と医療を保護し、妨げられない持続的な人道アクセスを確保し、紛争の緩和を追求するよう要請する。これにより地域社会が復興を始め、平和へ向かう道筋が拓かれるのである。

 

2026年3月13日(金)————————————————————————————–

【イラン】イラン最高指導者モジュタバ・ハメネイ師の就任後最初のメッセージ(3月13日)
原文:First message of Ayatollah Seyyed Mojtaba Hosseini Khamenei, Leader of the Islamic Revolution, was published

(ガイド)
 イスラエルによる2月28日の空爆で殺害されたイラン最高指導者アリ・ハメネイ師の次男で、3月9日に「専門家会議」によって後継者に使命されたモジュタバ・ハメネイ師の初の声明。国営テレビでアナウンサーが読み上げるかたちで発表された。ハメネイ師は、3月28日の空爆で父親とともに母親と妻、妹夫婦などを殺害されており、自身も負傷しているとの報道があり、公の場で一切姿を見せていない。演説は、マフディ(救世主)への嘆願、イラン国民への要請、兵士への感謝、戦争の被害者へのお悔み、近隣諸国の指導者への助言、前最高指導者への誓い、各界における自身の支持者への感謝、そして最後に唯一神への祈りで構成されている。ここでは、兵士および近隣諸国の指導者へのメッセージを紹介する。

(本文抄訳)
(略)親愛なる戦闘員諸君!民衆の意思は、効果的かつ応報的な防衛の継続です。また、ホルムズ海峡の封鎖能力はこれまで通り必ず活用されなければなりません。敵が経験が浅く、極めて脆弱な他の戦線を開くための調査が行われており、戦況が継続し、かつ国益の保全に合致する場合、それらの戦線は活性化されることになります。

 私はまた、抵抗戦線の戦闘員たちに心からの感謝を捧げます。私たちは抵抗戦線諸国を最良の友とみなしており、抵抗と抵抗戦線はイスラム革命の価値観の不可分な一部です。(略)

 殉教者の血の復讐を決して諦めないことを、皆さんに保証します。(略)完全に実現するまでは、この事件は他の事件と並行して捜査を続け、特に乳幼児や子供たちの血に関しては、より一層の警戒心を持って臨みます。したがって、ミナブのシャジャレ・タイエベ小学校で敵が故意に犯した犯罪、および同様の事件は、今回の捜査において特別な意味を持つものなのです。(略)

 (略)私たちは15か国と陸路または海路で国境を接しており、これまでも、そしてこれからも、すべての国と温かく建設的な関係を築くことを望んでいます。しかし、敵は長年にわたり、この地域の支配を確固たるものにするために、これらの国々に軍事拠点と金融拠点を徐々に築いてきました。最近の侵略では、これらの軍事基地の一部が利用されましたが、当然のことながら、私たちは明確に警告していた通り、これらの国々を攻撃することなく、これらの基地のみを標的としました。私たちは、近隣諸国との友好関係の必要性を依然として信じていますが、今後はこの措置を継続せざるを得ないでしょう。これらの国々は、私たちの愛する祖国に対する侵略者と、私たちの国民を殺害した者たちに対して、自らの立場を明確にしなければなりません。私は、これらの国々がこれらの基地をできるだけ早く閉鎖することを勧めます。なぜなら、アメリカが安全保障と平和を確立するという主張が、単なる嘘であったことを、彼らは今や確実に理解しているはずだからです。(略)

 

【ASEAN】中東情勢に関するASEAN特別外相会議の成果についてのASEAN議長声明(3月13日)
原文:ASEAN CHAIR’S STATEMENT ON THE OUTCOMES OF THE SPECIAL ASEAN FOREIGN MINISTERS’ MEETING ON THE SITUATION IN THE MIDDLE EAST 13 MARCH 2026

(ガイド) 
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、議長国フィリピンの下でオンライン会合を行い、中東情勢について、以下の議長声明を発表した。声明では、イスラエル、米国、イランのいずれの国も名指しで非難せず、紛争のエスカレーションに対する深刻な懸念を表明した。そのうえで、すべての紛争当事者に対し、自制と敵対行為の停止を求めるとともに、国連憲章を含む国際法の遵守、領土保全と主権の尊重、紛争の平和的解決といった国際社会の基本原則の重要性を強調した。

(本文抄訳)
1.ASEANの外相は、2026年3月13日、テレビ会議形式で特別会合を開催し、中東情勢の展開について意見交換を行うとともに、そのASEANへの影響について協議した。

2.会合は、2026年2月28日にイスラエルおよびアメリカ合衆国がイラン・イスラム共和国に対して開始した攻撃、ならびにイスラエルによるレバノン共和国への攻撃を受けて中東における紛争がエスカレートしていること、さらにイラン・イスラム共和国が地域の複数の国に対して行った報復攻撃――すなわち、バーレーン王国、ヨルダン・ハシェミット王国、イラク共和国、クウェート国、オマーン国、カタール国、サウジアラビア王国、シリア・アラブ共和国、およびアラブ首長国連邦を含む諸国に対する攻撃――に深刻な懸念を表明した。これらの事態は中東における緊張をさらに高め続けており、民間人の生命と安全、ならびに地域および世界の平和と安定に重大な脅威をもたらしている。会合は、すべての国に対し、国際連合憲章(国連憲章)を含む国際法を尊重するよう求めた。

3.会合は、敵対行為の即時停止の重要性を強調するとともに、すべての関係当事者に対し、最大限の自制を行い、情勢をさらに悪化させるおそれのあるいかなる行為も控え、地域の平和と安定を維持するために外交および対話を通じて相違を解決するよう呼びかけた。

4.会合は、すべての国家が国連憲章を含む国際法に従い、平和的手段によって相違を解決し、すべての国家の主権および領土保全を尊重する義務を再確認した。さらに会合は、武力紛争において民間人および民間インフラを保護する義務が、国際法および関連する国連安保理決議と整合的な形で履行されるべきであることを改めて強調した。(略)