【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年9月29日~10月10日)
2026.10.15
2026年9月29日(火)
【ロシア】ロシア大使館、カリーニングラード封鎖なら核兵器使用も辞さないと警告
2026年9月30日(水)
【中国】中国外務省報道官、日本の核兵器政策を批判
【NGO】核兵器の全面的廃絶のための国際デー(9月26日)によせた国際赤十字(ICRC)・赤新月社連盟(IFRC)の合同声明
2026年10月1日(木)
【ロシア】プーチン大統領、カリーニングラードへの攻撃に対するロシアの対応について発言
2026年10月10日(土)
【日英独仏など8か国】米国のICC制裁に反対する外相共同声明
第81回国連総会などに関する重要一次資料(2026年9月14日~10月10日)もくじへ
2026年9月29日(火)——————————————————————————————
【ロシア】ロシア大使館、カリーニングラード封鎖なら核兵器使用も辞さないと警告(9月29日)
出典:Statement by the Embassy of Russia in Ireland (September 29, 2026)
(ガイド)
在アイルランド・ロシア大使館は、NATOによるカリーニングラード州の空・海上封鎖が準備されているとの情報に言及し、同州をロシア本土から孤立させる動きがあれば、核兵器を含むあらゆる兵器を使用して防衛すると警告した。また、紛争初期にNATO諸国の意思決定中枢への先制攻撃を行う可能性にも言及した。
(本文全訳)
欧州の政治界では最近、ロシアが何らかの形で欧州への軍事侵攻を計画している、欧州諸国に対するいわゆるハイブリッド作戦を激化させようとしている、あるいはその両方を行おうとしている、という言説が数多く聞かれる。西側メディアでは、「ロシアの脅威」というスローガンが毎日のように繰り返されている。その目的は明らかである。すなわち、防衛費の増額、欧州全体の軍事化、さらには「ロシアの侵略に対する防波堤」と描かれているキーウ政権への財政的・軍事的・政治的支援のさらなる拡大を正当化することである。
欧州の現政権は、自分たちがロシアのいわゆる敵対行為の被害者、あるいは差し迫った「ロシアの侵攻」の対象であると、誰もが信じるように仕向けたいのである。しかし、そのような主張を裏付けるものは何もない。欧州の安全保障情勢に関するモスクワの立場は一貫しており、9月25日にはプーチン大統領によって改めて確認された。ロシアには、欧州との情勢を悪化させる計画も理由もなく、そして何よりも、そのようなことをする現実的な動機がない。
これは、西側からロシアの国家安全保障に対する現実の脅威が高まっていること、また、ロシアの西部国境全域に沿ってNATOとEUの軍事活動が顕著かつ大幅に増加していることを踏まえれば、ロシア側の自制と忍耐の表れとして受け止められるべきである。2026年6月から9月までのわずか数か月間だけでも、ポーランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、フィンランド、およびバルト海において、反ロシアのシナリオを想定したNATOの軍事演習がほぼ絶え間なく行われてきた。フィンランドとバルト諸国は、NATO加盟国として同盟の核計画に組み込まれていることに加え、フランスのマクロン大統領が提唱する、いわゆる「前方抑止」の構想に参加したか、参加を計画している。この構想は、フランスの核兵器をそれらの国々の領土に配備することを想定している(つまり、ロシアのすぐ目の前に配備するということである)。こうした動きの中でも、リトアニア、ポーランド、フランスによる合同軍事演習「ギャラント・ボア2026」は、バルト海沿岸にあるロシアの飛び地、カリーニングラードを特に標的としたものとして際立っている。NATOがカリーニングラードおよびカリーニングラード州の空・海上封鎖を準備しているとの情報もある。
これは作り話ではなく、ロシアにとって深刻な懸念事項である。無責任で近視眼的な欧州の政治エリートは、危険な駆け引きをしている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が最近述べたように、西側がロシアを攻撃すれば、ロシアは反撃する。その場合、それはまったく異なる戦争となり、非常に短期間で終わる戦争になるだろう。誤解があってはならない。NATO諸国がカリーニングラード州をロシアの他の地域から孤立させようとするならば、ロシアは自国領土を防衛するため、核兵器を含むあらゆる兵器を使用する用意がある。そのような事態になれば、武力衝突の危険性は高く、紛争の初期段階から、ロシアがNATO諸国の意思決定中枢に対する先制攻撃を行う可能性もある。
これは極めて重大な問題であり、欧州はそのようなものとして受け止めるべきである。
2026年9月30日(水)——————————————————————————————
【中国】中国外務省報道官、日本の核兵器政策を批判(9月30日)
出典:2026年9月30日外交部发言人郭嘉昆主持例行记者会
(ガイド)
2026年9月30日、中国外務省は記者会見を行った。その中で郭嘉昆報道官は、香港のフェニックステレビの質問に答え、小泉防衛相の核兵器保有をめぐる議論の提起を批判し、日本に非核三原則の堅持と核不拡散義務の履行を求めた。
(本文全訳)
フェニックステレビ記者: 報道によると、28日、日本の小泉進次郎防衛大臣は、「安保三文書」の改定に際して、核兵器および原子力潜水艦の保有に関する議論を排除すべきではないと述べ、タブーを設けず、結論をあらかじめ決めることなく議論すべきだと主張しました。また、「議論することさえ許されないのであれば、それは私の危機感といささかずれている」と述べました。これについて、中国側はどのように論評しますか。
郭嘉昆: まず、核兵器を保有するかどうかは、日本側が議論したいかどうかという問題ではありません。日本は「核不拡散条約」の非核兵器国である締約国です。核兵器を受け入れず、製造せず、保有せず、拡散させないことは、日本が負う、回避することのできない国際法上の義務であり、交渉の余地はありません。高市早苗は今年2月、「非核三原則」を堅持することを改めて表明し、5月の「核不拡散条約」再検討会議に出席した日本代表も、「非核三原則」を変更しないことを繰り返し確認しました。その言葉は、まだ記憶に新しいところです。
日本の現職の防衛部門責任者が、「タブーを設けず、核兵器と原子力潜水艦について議論する」という暴言を放ったことは、「核不拡散条約」と第二次世界大戦後の国際秩序に対する重大な挑発であり、公然と踏みにじる行為です。これは、日本が掲げると称している「非核三原則」に著しく背くものであり、日本の右翼勢力が核兵器を保有しようとする企てを、改めて露呈させました。近年、日本は「再軍事化」の過程を絶えず加速させ、「非核三原則」を捨て去ることを企て、いわゆる「拡大抑止」の枠組みを強化し、日本への核兵器配備を追求し、段階的に核兵器に関する制約を緩和することをもくろみ、国際社会の一線に絶えず挑戦しています。
今年は東京裁判の開廷から80周年に当たります。歴史は、日本の軍国主義がアジアの人々、さらには世界の人々にもたらした深刻な災難を忘れたことはなく、今後も忘れることはありません。日本の右翼勢力は、第二次世界大戦後の国際秩序と国際的な核不拡散体制に絶えず挑戦し、誤った道をますます遠くまで進んでいます。国際社会は、日本に対し、「非核三原則」を厳守し、「核不拡散条約」上の義務を厳格に履行し、「再軍事化」と核兵器保有の企てを完全に放棄し、国際社会の重大な懸念に真摯に応えるよう促すべきです。
【NGO】核兵器の全面的廃絶のための国際デー(9月26日)によせた国際赤十字(ICRC)・赤新月社連盟(IFRC)の合同声明(9月30日)
出典:ICRC-IFRC joint statement on the occasion of the International Day for the Total Elimination of Nuclear Weapons
(ガイド)
核兵器廃絶国際デーにおいて、ICRC/IFRCを代表して、ニューヨーク在住のICRC代表団長エリーゼ・モスキーニ氏が合同声明を発表した。内容は全ての国家が核兵器禁止条約に参加すること、核兵器国こそが核兵器廃絶への責任を有することを訴え、具体的なステップとして、1)継続的に核兵器使用の人道的影響について明らかにしていくこと、2)核兵器使用または威嚇、核のタブーをおろそかにするような核兵器に関する言説を全て非難すること、3)国際人道法(IHL)の遵守を常に確保するとともに、核保有国の現行の核戦略および核態勢について、国際人道法との整合性評価を行うこと、を提案した。
(本文抄訳)
(略)
1946年1月、核兵器による広島・長崎への凄惨な破壊と14万人以上の犠牲者が出た事件から6カ月も経たないうちに、国連総会は最初の措置として核軍縮に取り組みました。
総会は合意に基づき、「原子エネルギーが平和的目的のみに利用されることを確保するために必要な範囲で、その管理を行うこと」、および「国家の軍備から原子兵器および大量破壊に利用可能なその他すべての主要兵器を排除すること」に向けた具体的な提案を行うことを任務とする委員会を設置しました。
それから80年が経過した今、世界は核軍縮という目標から遠ざかり、後退しているように見えます。国際的・地域的な緊張が高まる中、核兵器の使用を明示的・暗示的にほのめかす脅威を含め、核に関する過激な発言が驚くほど増えています。我々は、こうした事態の進展と、国際社会に求められる緊急かつ的確な集団的対応が欠如していることの双方に強い懸念を抱いています。(略)
日本赤十字社は、広島と長崎への原爆投下当時も現場に駆けつけ、今日に至るまでその影響への対応を続けています。私たちの運動は、核兵器の恐ろしい現実と、それがもたらす許しがたい人道的苦痛を身をもって知っています。
いかなる核兵器の使用も招く壊滅的な人道的影響に焦点を当てることは、今日、かつてないほど重要となっています。人道的影響こそが、国連総会による最初の決議採択につながったものであり、また、国際赤十字・赤新月運動が核兵器の禁止と廃絶を一貫して訴え続ける原動力となっています。
大量破壊兵器を包括的に禁止する国際法体制を完成させる「核兵器禁止条約(TPNW)」は、現在101カ国によって署名または批准されています。同条約による核兵器の禁止は、核軍拡競争の停止と核軍縮を支援する必要かつ効果的な措置であり、それによってNPT第6条の実施を推進するものです。
したがって、我々はすべての国に対し、これ以上遅滞なく「核兵器禁止条約(TPNW)」に加盟するよう改めて呼びかけます。この条約への加盟は、高まる核の脅威に対処するために、いかなる国も講じることができる現実的かつ効果的な措置です。
これは、過去の核兵器の使用や実験によって生じた被害に対処し、その被害者を支援するための現実的かつ効果的な措置です。また、NPTの究極の目標、すなわち核兵器のない世界の実現に向けた現実的かつ効果的な措置でもあります。
核兵器保有国は、自国の核兵器を完全に廃絶するための具体的かつ透明性があり、かつ不可逆的な措置を講じるという特別な責任を負っており、一方、その同盟国は、安全保障戦略における核抑止への依存度を低減すべきです。(略)
我々は、すべての国に対し、核兵器が使用されるリスクを低減するための実践的な措置を講じるよう求めます。第一に、いかなる核兵器の使用も招く壊滅的な人道的影響を、一貫してかつ明確に強調すること。第二に、核兵器の使用をほのめかすいかなる脅威や、その使用に対するタブーを損なうその他の言説を非難すること;および第三に、国際人道法(IHL)の遵守を常に確保し、核保有国の現行の核戦略および態勢について、国際人道法との整合性評価を実施すること。
私たちは、すべての国に対し、国際赤十字・赤新月運動および市民社会と連携して、これらの措置を講じるよう強く要請します。
2026年10月1日(木)——————————————————————————————
【ロシア】プーチン大統領、カリーニングラードへの攻撃に対するロシアの対応について発言(10月1日)
出典:Vladimir Putin Meets with Members of the Valdai Discussion Club. Transcript of the Plenary Session of the 23rd Annual Meeting
(ガイド)
プーチン大統領は2026年10月1日、モスクワ近郊で開催されたバルダイ・クラブ第23回年次会合の最終日に登壇した。大統領は、バルダイ・クラブ研究ディレクター・ルキヤノフの質問に答え、カリーニングラード州に対する封鎖や攻撃の動きをロシアへの直接的な脅威と指摘した。核兵器の使用についての明確な言及は避けたものの、自国防衛のためにはあらゆる兵力や手段の行使を検討せざるを得ないと警告した。
(本文抄訳)
(略)
フョードル・ルキヤノフ: あなたがおっしゃったような軌跡をたどり、私たちは今、興味深い局面に到達しています。バルト海ではNATOの演習が行われ、カリーニングラードに向けた非常に厳しい声明や脅しが伴っています。一方、ロシア側は、必要が生じた場合、具体的にはカリーニングラードを封鎖しようとする動きがあった場合、核兵器を含め、利用可能なあらゆる手段を用いると約束しました。これは本当のエスカレーションなのでしょうか。私たちは戦争の瀬戸際にいるのでしょうか。それとも、単に互いに脅し合おうとしているだけなのでしょうか。
ウラジーミル・プーチン: 私たちは誰かを脅そうとしているのではありません。あなたが今言及したもの、つまり外務省の声明と、外務省がいくつかの国に送った書簡は、威嚇ではありません。私たちを威嚇しようとする動きに対する対応です。
そもそも、2029年あるいは2030年にロシアとの戦争が必要になる、戦争が起こり得る、あるいは戦争の準備をしているといった発言をしているのは、私たちではありません。そうした発言は、西側諸国や欧州の政治家から出ているものです。私たちはそれを絶えず耳にしています。絶えずです。そして、具体的な行動もあります。バルト海で次々と演習が行われ、その後、私たちの船舶を拿捕しようとする動きが起きています。私が発言の中で述べたように、これらすべてがエスカレーションを構成しています。これらすべてがエスカレーションなのです。
その後、カリーニングラード州に関する発言を耳にするようになりました。外務省の声明と送付された書簡は、まったく正当なものでした。ロシア連邦に対する直接攻撃に至った場合、この場合はカリーニングラードですが、ほかの領土が関係する可能性もあります。そのときには、ロシアが保有するあらゆる兵器を使用するかどうかという問題が、必然的に、そして直ちに生じることになります。それは避けられません。
これは、誰がロシアの最高司令官や大統領の職に就いているかとは何の関係もありません。要点はこうです。私の理解では、NATO事務総長は欧州の3億人の人々などについて語りました。そうです。だからこそ、私たちは保有するあらゆる兵力と手段の使用を、必然的に検討せざるを得なくなるのです。
なぜでしょうか。第一に、私たちは、人口が私たちの2倍に当たる敵と対峙することになると理解しています。その敵は、巨大な経済力と軍事力を持っています。そうです。そのような脅威に対抗するために、私たちが利用できる兵力や手段は決して豊富ではありません。この闘いでは、私たちの競争上の優位性に頼らざるを得ないでしょう。では、それは何でしょうか。私たちには、自国を防衛するための手段において、そのような優位性があるということです。もちろん、フランスと英国は核保有国です。私たちはそのことを十分に理解し、はっきりと認識しています。しかし、今日のロシアが保有しているような攻撃能力を持つ国は、ほかにはありません。そして、これが私たちの競争上の優位性なのです。
では、侵略者にどのように対抗できるのでしょうか。私たちは誰も脅していません。私たちは単に、自国を防衛するための手段がそれほど多くはないと述べているだけです。ちなみに、その書簡にも外務省の声明にも、核兵器の使用については言及されていません。そこでは、私が今述べたように、わが国が利用できるあらゆる兵力と手段を投入することが述べられているのです。それが実際にどのように行われるかについては、私たち自身が決定します。(略)
2026年10月10日(土)——————————————————————————————
【日英独仏など8か国】米国のICC制裁に反対する外相共同声明(10月10日)
出典:国際刑事裁判所(ICC)に関する外相共同声明の発出
(ガイド)
本外相声明は、米国が2026年10月9日に国際刑事裁判所(ICC)本体に対する制裁を発表したことを受け、ローマ規程締約国である8か国(カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、日本、オランダ、英国)が出したものである。声明は、米国による制裁への強い反対と遺憾の意を表明するとともに、ICCへの揺るぎない支持と結束を示している。また、規程に基づく正義の追求やルールの維持に向け、国際社会で連携していく立場を再確認している。
(本文全文: 外務省仮訳)
カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、日本、オランダ、英国外相による共同声明
国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程の締約国である私たち署名国は、ICCの独立性、公平性、及び完全性に対する継続的かつ揺るぎない支持を改めて表明します。
ICCの断固たる支持者として、私たちは米国による裁判所への制裁の発表を遺憾に思い、強く反対します。
私たちは、裁判所がローマ規程に基づく任務を引き続き果たせるよう、こうした措置に備えるために裁判所が行った取組を高く評価するとともに、その実現を可能にするための揺るぎない支持を改めて強調します。
それでもなお、実施された場合、これらの制裁は、裁判所の業務、その献身的なスタッフ、およびその家族に重大な影響を及ぼすでしょう。彼らは、最も深刻な国際犯罪で訴追された者を裁きにかけ、被害者を支援するために日々尽力しています。
私たちは、ICCへの支持において一致団結し続けるとともに、2026年12月の締約国会議に向けた準備を進めるにあたり、非締約国との建設的かつ包括的な対話に取り組む姿勢を堅持します。私たちは引き続き協力し合い、裁判所の重要な活動を支援し、ルールに基づく国際秩序を守り、責任追及を推進していきます。
