【特集】第11回NPT再検討会議:各国の一般演説・国別報告書(2026年3月2日~5月8日)
2026.05.19
第11回核不拡散条約(NPT)再検討会議が、2026年4月27日〜5月22日にニューヨークの国連本部で開催されています。2015年、2022年に続き、今回も最終文書が不採択となれば「3回連続の決裂」となり、NPT体制の実効性と信頼性は大きく揺らぎかねません。何としても合意形成が必要な局面です。
しかし、国際社会の分断は深刻を極めています。ウクライナ侵攻やガザ攻撃が泥沼化する中、米国とイスラエルは、2025年6月のイラン核施設攻撃に続き、2026年2月から再度イランに軍事攻撃を仕掛けました。4月8日からの停戦後も緊張は続いており、世界の分裂はかつてないほど深まっています。
こうした危機的状況だからこそ、本会議を通じて各国が核不拡散・核軍縮の基本合意を再確認することには大きな意義があります。当ウェブサイトでは、議論の趨勢を捉えるため、各国の一般演説や国別報告書の抜粋を訳出して紹介します。
2026年3月2日~5月8日の重要文書
NPT再検討会議 冒頭発言・一般演説
●2026年4月27日(月)
【国連】国連事務総長による核不拡散条約(NPT)再検討会議 冒頭発言
【フランス】大臣による声明
【韓国】大韓民国戦略・情報担当次官ヨンドゥ・チョン閣下による国別声明
【日本】国光文乃外務副大臣による、核不拡散条約(NPT)再検討会議における一般演説
【英国】NPT再検討会議についての国連総会会合における、英国欧州・北米・海外領土担当大臣スティーブン・ドーティ議員の声明
【パレスチナ】NPT再検討会議一般討論におけるリヤード・マンスール・パレスチナ代表の声明
●2026年4月29日(水)
【中国】中華人民共和国外務省軍備管理司長・孫暁波による、核不拡散条約第11回再検討会議一般討論における発言
【ロシア】ロシア連邦代表団長、アンドレイ・ベロウソフ特命大使による、核不拡散条約第11回再検討会議一般討論における発言
【米国】アメリカ合衆国によるNPT再検討会議における発言 米国務省軍備管理・不拡散局クリストファー・ヨー次官補による発言
【イラン】NPT再検討会議一般討論におけるイラン代表の声明
NPT再検討会議 国別報告書
●2026年3月2日(月)ロシア
●2026年3月3日(火) 日本
●2026年3月16日(月)英国
●2026年3月18日(水)イラン:NPT第6条の履行
●2026年3月18日(水)イラン:中東非核兵器地帯の設立
●2026年4月17日(金)中国
●2026年4月21日(土)フランス
●2026年4月24日(金)米国
●2026年4月28日(火)韓国
NPT再検討会議 冒頭発言・一般演説
- 2026年4月27日(月)——————————————————————————————
【国連】国連事務総長による核不拡散条約(NPT)再検討会議 冒頭発言(4月27日)
THE SECRETARY-GENERAL — REMARKS TO THE ELEVENTH REVIEW CONFERENCE OF THE PARTIES TO THE TREATY ON THE NON-PROLIFERATION OF NUCLEAR WEAPONS (NPT)
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260427100000000/IbIYlUabyPSE/RBokh_nA_nyc_en.pdf
(ガイド)
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、4月26日から5月22日までニューヨーク国連本部似て開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議の冒頭で、危機的な核情勢とNPTの重要性について、発言を行った。事務総長は、加盟国に対し「NPTにおける義務を遵守すること」「会議での議論がNPTの進化に必要な基盤となること」を要請した。
(本文抄訳)
ご来賓の皆様、そしてご列席の皆様、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。本会議は、私たちが団結し、核による絶滅という重大な脅威から人類を守るための、まさに時宜を得た機会となっています。
核兵器を廃絶するという世界的な目標は、1946年の国連総会における最初の決議にまで遡ります。しかし残念ながら、人々の記憶は短いものです。(略)
今日、社会全体が記憶喪失に陥っています。核の威嚇が再び高まっています。不信感が蔓延しています。苦労の末に築き上げた規範が侵食されつつあります。
軍備管理は死にかけています。昨年の世界の軍事費は2.7兆ドルに急増しました――これは世界全体の開発援助総額の13倍に相当し、アフリカの国内総生産(GDP)全体に匹敵する額です。
数十年ぶりに、核弾頭の数は増加傾向にある。核実験が再び検討されています。世界が奈落の底に転落しなかった唯一の理由は、指導者たちが団結し、「もう十分だ」と声を上げたからだったということを、私たちは忘れてしまったのでしょうか?一部の政府は、この恐ろしい兵器の取得を公然と検討しています。
核戦争に勝つことはできず、決して起こしてはならないということを、私たちは忘れてしまったのでしょうか?核兵器は誰の安全も守らないということを、私たちは忘れてしまったのでしょうか?
数十年にわたり、私たちは核兵器の使用、拡散、実験を防止し、その完全廃絶を実現するための枠組みを構築してきました。「核兵器不拡散条約」は、こうした取り組みの礎です。各国が共通の安全保障を強化するための場であり、多国間主義が実践されている好例でもあります。しかし、長きにわたり、この条約は弱体化の一途をたどってきました。約束は未だ果たされていません。信頼と信用は薄れつつあります。核拡散の要因は加速しています。私たちは、この条約に再び息吹を吹き込む必要があります。(略)
本日、審議を開始されるにあたり、私は皆様に2つの重要な点に焦点を当てるよう強く求めます。第一に――各国は、条約に基づく約束を遵守しなければなりません。例外なく。条件をつけずに。遅滞なく。言い訳をせずに。今こそ、平和への唯一の真の道として、軍縮と不拡散への取り組みを再確認すべき時です。核実験を禁じる規範を強化することで。保障措置制度とIAEAの監視機能を強化することで。そして、核戦争を防ぐために必要な措置に合意することで。
第二に――皆様の議論は、条約が進化するための土台を築くものでなければなりません。
今日、核の脅威は、人工知能や量子コンピューティングといった急速に進化する技術から生じる新たな危険によって、さらに深刻化しています。この条約は、琥珀に閉じ込められた過去の遺物ではありません。核兵器と新技術の相互関係に真剣に向き合わなければなりません。核兵器が廃絶されるまで、人類がその使用に関する支配権を決して手放さないよう、確実にしなければなりません。そして、持続可能な開発のために、原子力科学技術の恩恵へのアクセスを拡大する一助とならなければなりません。この条約の強さは、各国が条約に対して示すコミットメントの度合いにかかっています。(略)
本日、この議場の外では、広島と長崎の原爆投下を生き延びた勇敢な被爆者たちが、指導者たちにその責任を自覚させるべく、心を揺さぶる展示会を開催しています。しかし、これは単なる展示会ではありません。これは、核戦争がもたらす代償を私たちに思い起こさせる警鐘なのです。
2024年、彼らの組織「日本被団協」は、そのたゆまぬ活動と道徳的リーダーシップが評価され、ノーベル平和賞を受賞しました。 彼らは人類の最悪の一面を生き延び、その最良の一面を私たちに示してくれました。 年々、彼らの数は減り続けています。 しかし、彼らが世界に向けて発信するメッセージは、今ほど時宜にかなった、切実なものではないでしょう。
軍縮は、平和への報酬ではありません。 軍縮こそが、平和の礎なのです。 ですから、手遅れになる前に: 核兵器をめぐる集団的忘却を打ち破りましょう。 私たちが団結した時に成し遂げられることへの信頼を、新たにしましょう。 人類の上に垂れ込めるこの暗雲を払拭するため、緊急に行動を起こしましょう。
ありがとうございました。
【フランス】大臣による声明(4月27日)
Statement by the Minister
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260427100000000/IbIYlUabyPSE/YnxP_dFSGRlRd_nyc_en.pdf
(ガイド)
フランスは、核軍縮を含むNPTの三本柱を擁護し、核なき世界を目指すと言いつつも、自国の核戦力を増強し、欧州諸国に対する拡大核抑止(前方抑止)を提供する意向を示した。一方で、イランには核保有を断固として認めず、北朝鮮には核・ミサイル放棄を求めた。
(本文抄訳)
(略)フランスは、この条約を全面的に遵守すること以外に、可能でも望ましくもある代替策は存在しないとの確信のもと、三つの柱を擁護していく考えです。
これらについて、一つずつ述べます。
第一の柱は、軍縮です。 (略)
フランスは、核抑止へのコミットメントを改めて確認します。そして、戦略環境の悪化を踏まえ、フランス共和国大統領は2026年3月2日、フランスおよび欧州にとって二つの重要な展開を発表しました。
– 第一に、厳格に防御的な性格を有し、かつフランスの抑止力の作戦上の有効性に厳密に即した形での、フランス核戦力の強化です。
– 第二に、フランスの死活的利益の欧州的側面を実際に具体化するものである「前方抑止」の導入です。これはNPTに完全に適合します。
これらの展開は、フランスの抑止力が、過去数十年にわたりそうしてきたように、欧州大陸の平和と安全保障に貢献し続けるために必要なものでした。
それにもかかわらず、私たちの目標は、完全な核軍縮に向けた道を前進し続けることにあります。
そのため、フランスは今夏、P5プロセスの議長国を務めるにあたり、以下を支持します。
– 戦略的リスク低減措置
– 核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアム
– 包括的核実験禁止条約の発効
– 核能力も考慮対象に含む、将来の新たな安全保障枠組みの構築を視野に入れた戦略的安定性に関する議論の開始。ただし、こうした議論は公平な基盤の上で行われなければなりません。なぜなら、フランスや英国のような国々は、不均衡に大規模な核戦力を保有する他の核兵器国とは根本的に異なる状況に置かれているからです。
– そして、本条約締約国によって提出される国家報告書に関する透明性の強化です。(略)
イランは、10年前に設定されたあらゆるレッドラインを越えました。イランは、核兵器保有を恒久的に放棄し、包括的保障措置協定を遵守するとともに、自国の核計画が専ら平和的性格を有するものであることを証明しなければなりません。いかなる軍事的解決も永続的な保証をもたらすことはできません。したがって、イランは厳格な監視および包括的で立ち入りを伴う検証体制に従う必要があります。
一方、北朝鮮は、国際安全保障を脅かす違法な計画を追求し続けています。北朝鮮は、国連安全保障理事会決議に従い、核・弾道ミサイル計画を完全かつ検証可能で不可逆的な形で放棄しなければなりません。(略)
【韓国】大韓民国戦略・情報担当次官ヨンドゥ・チョン閣下による国別声明(4月27日)
National Statement by H.E. Yeondoo Jeong, Vice Minister for Strategy and Intelligence of the Republic of Korea
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260427100000000/IbIYlUabyPSE/RTTMfSqFx_nyc_en.pdf
(ガイド)
韓国は、核兵器国に対し、誠実な核軍縮交渉の実施と「核戦争に勝者はない」ことの再確認を要求した。また、不拡散への最大の脅威である北朝鮮に条約復帰を求め、ロシアには国連安保理決議に反する北朝鮮との軍事協力をやめるよう訴えた。
(本文抄訳)
(略)
現時点で、NPT第6条に沿って、核軍縮および核軍拡競争の停止に関する誠実な交渉を追求するという特別な責任を改めて核兵器国に想起させる必要があります。私たちは、すべての核兵器国に対し、「核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならない」という2022年のP5コミットメントを再確認するよう求めなければなりません。核兵器国間の継続的な対話の文脈において、私たちは、多国間戦略的安定対話の追求に関する米国の提案を含め、新たな枠組みを模索する取り組みを歓迎します。(略)
私は、朝鮮民主主義人民共和国の核・弾道ミサイル計画に改めて注意を喚起しなければなりません。DPRKは、NPT体制の恩恵を受けながら脱退を宣言し、公然と核兵器開発を継続した唯一の事例であり、現在も不拡散体制に対する最も差し迫った課題であり続けています。
NPT体制の維持を求めるすべての国は、国際社会のこの統一された立場に適切に歩調を合わせ、条約への復帰のみが安全保障と繁栄を確保し得るという明確なメッセージを発するべきです。私たちはまた、ロシア連邦に対し、国連安全保障理事会決議に違反するDPRKとの違法な軍事協力を停止し、世界の不拡散体制を守る責任を果たすよう求めます。
大韓民国は今後も、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和に向け、国際社会と緊密に連携して取り組んでいきます。(略)
【日本】国光文乃外務副大臣による、核不拡散条約(NPT)再検討会議における一般演説(4月27日)
Eleventh Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT) NPT Review Conference, General Debate
Statement by Japan: H.E. Dr. KUNIMITSU Ayano, State Ministers for Foreign Affairs
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260427150000000/YzgaFGpGEuFE/tzfuuzgd_nyc_en.pdf
(ガイド)
2026年4月27日、開催中の核不拡散条約(NPT)再検討会議の一般演説において、日本の国光文乃外務副大臣が、演説を行った。高市首相からのメッセージを伝えるとともに、日本政府の核廃絶へのコミット、NPT体制の維持・支援を強く訴えた。
(本文抜粋)
まず初めに、2026年NPT再検討会議の議長に就任されたことに対し、心よりお祝いを申し上げます。日本代表団は、本会議の成功に向けた議長のご尽力に対し、あらゆる努力を惜しまず支援してまいります。
広島と長崎の両方で青春時代を過ごした者として、かつて長崎の被爆者である故・山口仙治氏がいわゆる「もう二度と広島や長崎を」と訴えたこの演壇で、高市首相からのメッセージを伝えることは、私にとってこの上ない光栄です。日本がNPTに批准してから50周年を迎える今年、この機会に恵まれたことを光栄に存じます。
それでは、高市首相からのメッセージを読み上げさせていただきます。
(高市首相のメッセージ)
今回のNPT再検討会議は、国際社会にとって極めて重要な局面において開催されています。私たちは、ますます深刻化する国際安全保障情勢、不透明かつ急速な核兵器の増強、そして核兵器がもたらす核リスクや脅威の増大に直面しています。
核兵器のない世界を目指す私たちの願いの根底には、被爆者たちの切実な訴え、すなわち、核兵器による壊滅的な結果を二度と繰り返してはならないという思いがあります。私たちは、核兵器不使用という長年の実績をさらに拡大し、NPTに対する私たちの集団的コミットメントを強化せざるを得ません。この再検討会議を、この悪循環を断ち切るための対話に向けた第一歩とすべきです。私たちは、広い視野と強い決意を持って、この第一歩を踏み出さなければなりません。
広島・長崎への原爆投下から80年以上が経過しました。今、私たちは、国際協力の不可欠な枠組みであるNPTを維持・強化し、それによって、より強固な形で将来の世代へと引き継ぐことを確保するという、差し迫った責務に直面しています。日本代表団は、議長および本会議に出席されている皆様と協力し、この重要な会議の成功に向けて全力を尽くしてまいります。
高市早苗
日本国首相
話を続ける前に、日本の和歌を一つ引用させてください。
「皆様のお顔とご功績を思うと、言葉も出ず、ただ涙するばかりです」
広島に原爆が投下された際、私の母校である高校から344名の生徒が
犠牲となりました。先ほど引用した和歌は、当時の校長が、その生徒たちを偲んで詠んだものです。この歌は、核兵器による死と苦しみを、今を生きる人々、私たちの子供たち、
そしてこれから生まれてくる世代の、たった一人たりとも、決して世界の人々に味わわせてはならないということを、私たちに思い出させてくれます。多くの被爆者が、この切実かつ深い信念を胸に、本会議の行方を見守っています。
(略)
わが国代表団は、すべての締約国に対し、以下の3点について訴えたいと思います。
第一に、本会議の最優先の目的は、NPTに対する我々のコミットメントを再確認することです。今こそ、我々が世界に対し、力強いコミットメントを示す時です。そのために、日本は、本会議がすべての締約国にとって真に包括的なプロセスとなることを求めます。
第二に、本会議において、透明性に関するより深く実質的な議論が行われることが不可欠です。透明性こそが国家間の対話を促進し、信頼醸成とリスク低減の基盤となるものです。日本としても、こうした取り組みに積極的に関与してまいります。第三に、我々が第二次世界大戦終結以来最も重大な構造的変化を経験している中、日本は核兵器保有国に対し、核軍縮と軍備管理への道を開くイニシアチブを推進するよう強く要請します。特に、核戦力の急速な拡大への対処は、差し迫った最優先課題です。多くの被爆者が、本会議の行方を見守っています。
(略)
わずか20年後には、人類が原子の力を解き放ってから丸1世紀が経過することになります。この「原子力の時代」の核心にあるのは、かつてこの議場で響き渡った故・山口氏の訴え、被爆者たちの変わらぬ思い、そして犠牲となった方々の尊い記憶です。わが国は、この
現実を深く心に刻んでいます。NPTの守護者として、日本は皆様と共に、この共同の歩みを続けていくことを誓います。
議長、ありがとうございました。
【英国】NPT再検討会議についての国連総会会合における、英国欧州・北米・海外領土担当大臣スティーブン・ドーティ議員の声明(4月27日)
Statement by Steven Doughty MP, Minister of State for Europe, North America, and the Overseas Territories, at the UN General Assembly meeting on the Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT)
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260427150000000/YzgaFGpGEuFE/SFJCEuvqpVRjU_nyc_en.pdf
(ガイド)
英国は、ロシアのウクライナ侵略、中国の核軍拡など、安全保障環境の悪化を踏まえて、自国とNATOの安全保障のため最小限の核抑止力を維持する方針を示した。一方で、イランには核兵器開発の放棄、北朝鮮には完全な非核化を要求。同時に、P5議長国として核リスクの低減を主導し、核実験の禁止や非核兵器地帯への支持を改めて表明した。
(本文抄訳)
(略)
前回この会議が開催されて以降、ロシアは新型核システムを開発し、正当な理由のない違法なウクライナ侵略を継続してきました。(略)
イランは保障措置義務を遵守しておらず、またDPRKは核兵器開発を継続しています。
さらに、中国は核兵器を急速にかつ透明性のないままに拡大しており、実効的な透明性措置やリスク低減措置にも十分に関わっていません。
こうした状況を踏まえ、英国の立場は明確です。
第一に、英国は、IAEAおよび世界各国と協力し、とりわけイランおよびDPRKの計画をはじめとする主要な核不拡散上の課題への対処を支援していきます。
英国は、イランの核計画がもたらす脅威に対する唯一の長期的解決策は交渉による解決であることを一貫して明確にしてきました。
また英国は、朝鮮半島における紛争回避へのコミットメントを維持しています。
英国は、DPRKに対し、核・弾道ミサイル計画を廃棄し、意味のある対話に再び関与するとともに、NPTの完全な遵守へ復帰するよう求めています。
第二に、核抑止は引き続き英国の安全保障およびNATOへのコミットメントの基盤であります。
英国は、NPTの目的および義務を常に念頭に置きつつ、抑止力を維持するために必要な措置をこれまでも講じており、今後も講じていきます。
同時に英国は、安全保障環境が許す場合、核軍縮を支える条件を整えるための取り組みも継続しています。(略)
英国は実践的な取り組みに重点を置いています。
これには、ジュネーブ軍縮会議における核分裂性物質生産禁止条約交渉開始への継続的支持、核爆発実験実施に関する自主的モラトリアムの維持、ならびに包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)への支持が含まれます。
英国はP5プロセスに全面的にコミットしており、本年は議長国としての役割を真剣に受け止め、議長国として開催した会合を通じて、核兵器国間の積極的関与とリスク低減のための実践的措置を促進してきました。
英国はまた、多国間戦略的安定対話の提案を含め、P5間の戦略的安定性に関する議論を強化しようとする米国の取り組みを強く支持します。
さらに英国は、非核兵器地帯の原則と実践を強く支持しています。(略)
【パレスチナ】NPT再検討会議一般討論におけるリヤード・マンスール・パレスチナ代表の声明(4月27日)
Statement by H.E. Dr. Riyad Mansour, Minister and Permanent Representative of the State of Palestine to the United Nations before the Eleventh Review Conference of the Parties of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons 出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260429100000000/Vvxwfwsp/WtBmzhprRc_nyc_en.pdf
(ガイド)
演説後半の抄訳。核抑止論によって核兵器の存在が容認されている問題と、イスラエルが中東で唯一の核保有国・NPT非加盟国であるという問題を、中東非核兵器地帯の実現を通じた完全な核軍縮というNPT再検討会議で示されてきた道筋に照らし合わせ、一体的に論じている。
(本文抄訳)
(略)議長、条約の無期限延長は、核兵器の存在を無期限に容認し、完全かつ不可逆的で検証可能な核軍縮を無期限に遅らせることを意図したものでは決してなく、またそのような意味を持つこともありません。(略)
核抑止は矛盾した概念です。確実な相互破壊の脅威によって平和と安定がもたらされることはありません。核抑止は、健全で安全かつ持続可能なモデルではありません。(略)
議長、核兵器に与えられた例外的な地位に正当化の余地がないのと同様に、この地域におけるイスラエルの例外主義にも正当化の余地はありません。
私たちは、この地域における核兵器の存在を拒否します。私たちの地域は、核兵器のない状態であるべきです。この危険な前例は、依然としてこの地域の未来に暗い影を落としています。
パレスチナ国は、今回の見直しにおいて、核兵器およびその他の大量破壊兵器のない中東地帯の設立に関する1995年の決議の履行をさらに進める必要があることを強調します。この決議は、条約の無期限延長につながった包括的な合意の不可欠な部分であり、その目的はいまだ達成されていません。(略)
私たちは、1995年の決議の共同提案国3カ国に対し、その義務を履行するよう求めます。これは、地域および国際社会の平和と安全、そしてこの地域における核不拡散を求める彼らの呼びかけの信頼性にとって不可欠です。(略)
核兵器が全人類にもたらす脅威に対する唯一の効果的な解決策は、世界からこれらの兵器を根絶することです。核拡散に対する唯一の効果的な解決策は、完全な核軍縮です。
広島と長崎で起きた出来事は、残念ながら核兵器開発競争を止めるどころか、かえってそれを加速させてしまいました。犠牲者たちの記憶と被爆者の苦しみが、私たちをそのような惨劇から遠ざけ、より賢明な道へと導いてくれることを願います。ありがとうございました。
- 2026年4月29日(水)——————————————————————————————
【中国】中華人民共和国外務省軍備管理司長・孫暁波による、核不拡散条約第11回再検討会議一般討論における発言(4月29日)
中国外交部军控司司长孙晓波在《不扩散核武器条约》第十一次审议大会一般性辩论上的发言
出典:https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-Preparatory_Committee_for_the_Eleventh_Review_ConferenceSecond_session_(2024)/China_General_Debate_CH.pdf
(ガイド)
中国は、覇権主義や核同盟強化を批判し、核兵器の相互先行不使用条約の締結や、最大の核保有国が率先して軍縮する責任があることを主張した。また、米英豪の原子力潜水艦協力に反対し、日本の防衛力強化や核物質の不均衡を警戒。核保有の阻止を求めたほか、NATOの核共有廃止を訴えた。
(本文抄訳)
(略)
覇権主義、強権政治および一国主義は、現在の核不拡散条約が直面する真の脅威と挑戦です。特定の大国は絶対的な戦略的優位を追求し、軍備管理分野における多国間・二国間協定を恣意的に破棄するとともに、自国の私益を国際軍備管理上の共通認識および各国共通の安全保障利益の上位に置いています。
また、特定の大国は「核同盟」を強化し、他の核兵器国を標的として、その近隣に核兵器や中距離ミサイルなどの戦略攻撃戦力を配備するとともに、「ゴールデン・ドーム」ミサイル防衛システムなどを構築しています。これにより軍拡競争のリスクが高まり、世界の戦略的均衡と安定が著しく損なわれ、多国間軍備管理プロセスの政治化、陣営化、断片化が進行しています。
(略)中国は団結と協力の精神に基づき、建設的に条約再検討プロセスに参加しており、今回の再検討会議が、条約の権威、有効性および普遍性を維持するという目標を実現することを期待しています。中国は次のように主張します。
第一に、当面の急務は、共同して核戦争を防止し、世界の戦略的安定を維持することです。(略)5核兵器国は引き続き『核戦争の防止と軍拡競争の回避に関する5核兵器国首脳共同声明』を履行し、核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならないことを改めて確認するとともに、他国を対象とした核抑止政策を策定せず、いかなる国も核攻撃の対象にしてはなりません。中国は、核兵器国が政治的勇気を示し、できるだけ早期に『核兵器の相互先行不使用条約』を交渉・締結するか、または政治声明を発表するよう呼びかけます。(略)
第二に、国際的な核軍縮に関する共通認識を維持し、公正かつ合理的で秩序ある形を確保することです。すべての核兵器国は、核兵器を永久に保有し続けることを追求しないと約束すべきです。(略)最大の核兵器を有する国が率先して核軍縮を行うべきことは、国連総会決議および過去の再検討会議の成果文書にも明記されています。(略)一部の国は、いわゆる「多国間核軍備管理・戦略的安定対話」を提起していますが、その真の目的は、核兵器を最も多く有する国が核軍縮に関する特別かつ優先的責任を回避することにあります。(略)
中国は、関係国がロシアの提案を積極的に検討し、新戦略兵器削減条約(新START)の期限切れ・失効後の後続措置を責任ある形で処理すべきであると主張します。(略)
第三に、中国は、対話と交渉を通じて核不拡散上の懸案の課題を平和的に解決することを堅持すべきだと主張します。国連安全保障理事会の授権なしに、国際原子力機関の保障措置下にある他国の核施設を軍事攻撃することは、国際法の重大な違反です。その本質は、不拡散を名目として他国の主権を踏みにじり、体制転換を図り、地政学的私利を追求することにあります。このような行為は、核拡散リスクを大幅に高めるものです。(略)各国は、米英豪による原子力潜水艦協力がもたらす核拡散リスクに高度の警戒を払うべきであり、このような二重基準を適用し、世界の戦略的安定を損なう行為に共同して反対すべきです。(略)
第四に、特定の国による核保有追求の動きを高度に警戒し、これを断固として抑止すべきです。一部の国の政府高官が公然と核兵器保有の追求を唱えていることは、核不拡散条約の権威と信頼性に深刻な衝撃を与えるものです。第二次世界大戦の敗戦国である日本がこの歴史的立場を認めず、平和憲法の改正や「非核三原則」の見直しを推進し、長距離打撃能力を拡充し、同盟国による日本への核兵器配備を模索していることについて、国際社会は高度の警戒を維持すべきです。日本に対する核関連物質の監視・査察を強化し、その敏感な核物質の生産能力と消費量との間に存在する深刻な不均衡問題を厳格に扱い、日本の核武装化を断固として抑止すべきです。
中国は、いかなる地域の安全保障構造も核拡散の上に築かれるべきではないと考えます。中国は、NATOの「核共有」および「拡大抑止」体制の廃止を主張しており、国際社会は新たないかなる「核共有」にも断固として反対すべきです。(略)
【ロシア】ロシア連邦代表団長、アンドレイ・ベロウソフ特命大使による、核不拡散条約第11回再検討会議一般討論における発言(4月29日)
STATEMENT by the Head of the Delegation of the Russian Federation, Ambassador-at-Large Andrey Belousov at the 11th Review Conference of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons General Debate
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260429150000000/BtNTuNCK/LouUTYszPz_nyc_en.pdf
(ガイド)
ロシアはNPTの厳格な遵守と原子力の平和的利用の権利を主張する一方、米英仏ら西側諸国が軍事目的でNPTを政治利用していると批判。イランの原子力施設への攻撃や、米国の核近代化、NATOの「核共有」「拡大核抑止」の拡大をNPT体制を損なうものとして非難した。
(本文抄訳)
本発言に入る前に、ウラジーミル・プーチン・ロシア連邦大統領の指示を遂行し、本会議の参加者および来賓に対する大統領のメッセージを伝えさせていただきます。(略)
「本条約に規定された不拡散、軍縮および原子力の平和的利用に関する義務は、国際安全保障にとって原則的に重要であり、核兵器国および非核兵器国の双方の利益に完全に資するものです。
わが国は、NPTの責任ある締約国であり、かつ寄託国として、同条約の文言および精神を厳格に遵守しています。(略)
我々の立場は、条約上の義務を誠実に履行しているすべての国は、いかなる制限も受けることなく、原子力の平和的利用の利益を享受する不可侵の権利を有するというものです。また、ロシアは原子力の平和的利用の分野における先導国として、この分野に関心を有するすべてのNPT締約国と建設的な協力を今後も発展させていく用意があることをここに確認します。(略)
皆様の実りある協議と成功を心よりお祈り申し上げます。」
(略)NPTを、本条約の趣旨とは無関係な自国本位の政治目的のために手段化する傾向は、イスラエルおよびアメリカ合衆国によるイランに対する挑発されていない、不当かつ違法な侵略行為において、再び表れています。この攻撃では、IAEAの保障措置下にある民生用原子力施設が複数回にわたり攻撃を受けています。現在のイラン情勢がNPTにもたらす悲劇は、軍事核計画に関する虚偽の主張を口実として、条約を公然と無視する国家と、その利益のために行動する寄託国が、条約を誠実に履行する締約国に対して共同で攻撃を行った点にあります。
また、一部の西側諸国およびその同盟国がNPTを短期的な政治的利益のために利用する傾向が長年にわたり存在していることにも留意します。近年では、そのような行為はますます頻繁かつ一層露骨になっています。(略)
米国は、新STARTの遺産を自主的な自制措置によって維持しようとするロシア連邦の提案を全面的に拒否しました。さらに米国は、条約の上限を超えて自国の核兵器をいつでも増強する用意があると宣言するとともに、核実験の再開にも言及しています。
ここ数年、英国は戦略核能力の強化を進めてきました。また同国は、自国領土への米国の核兵器の再配備を行い、さらにNATOのいわゆる「核共有」体制のさらなる拡大への参加を表明しています。これは極めて不安定化を招く慣行であり、長年にわたりNPT体制を損なってきたものです。
また、再検討会議の前夜に核能力の増強計画を発表したフランスは、欧州の非核兵器国を、アジア太平洋地域における米国の慣行であるいわゆる「拡大核抑止」の枠組みに類似した体制へと積極的に取り込んでいます。これは欧州に対する米国の「核の傘」を強化することを意図したものです。
(略)さらに、ロンドンおよびパリの一部の関係者が、ウクライナへの核兵器の構成要素の移転という、極めて不当かつ到底受け入れられない考えを真剣に検討していたとの情報が明らかになっています。これはNPTの中核的規定を直接損なう行為であり、明白に一線を越えるものです。(略)
米国が、ポスト新STARTの枠組みに関する我々の実務的提案に関与しない場合、我々はこの分野における方針を、西側核兵器国の軍事政策および全体的な戦略環境についての徹底的な分析に基づき、引き続き形成していくことになります。(略)
我々は、核兵器国に対し、効果的な代替的安全保障メカニズムを構築することなく、核兵器および核抑止の概念を即時かつ無条件に放棄することを求める試みには同意できません。(略)
我々は、IAEAの保障措置制度を、各国の不拡散義務の遵守を検証するための信頼できる手段であると考えています。我々は、同機関の検証メカニズムを維持・強化するための継続的な努力へのコミットメントを改めて表明します。
我々の見解では、無罪推定の原則および国家主権の尊重は、同機関の保障措置活動の基盤であり続けるべきです。いかなる改革においても、同機関の検証メカニズムは、客観的であり、非政治化され、技術的に健全であり、かつ国家と同機関との間で締結された保障措置協定と完全に整合していなければなりません。(略)
ロシア連邦は、これまでに署名したすべての非核兵器地帯条約の議定書を批准しており、その結果として、100を超える国々に対して法的拘束力を有する消極的安全保証(NSAs)を提供しています。ロシアによるこれら議定書への留保は、内容の明確化を目的とするものであり、非核兵器地帯条約上の義務を誠実に履行している国々の利益に影響を与えるものではありません。
この文脈において、NPT上は非核兵器国とされるものの、国家間の軍事協力枠組みを通じて「核共有」や「拡大核抑止」に関与している国々に対して、消極的安全保証を付与する十分な根拠があるか否かについて、真剣に検討する必要があります。(略)
NPT第4条は、すべての締約国に対し、原子力の平和的利用に関する不可侵の権利を保障しています。ロシア連邦は、この権利を自ら積極的に行使するとともに、他国によるその行使を支援しています。(略)
我々は、国連安全保障理事会の枠組み外で国家の原子力エネルギー分野に制限を課すことや、この分野におけるその他の不公正な競争措置は、NPT第4条への違反であると考えます。同様に、IAEAの保障措置体制の下で過度に侵入的な査察を導入しようとする試みや、不拡散を口実として平和的核技術へのアクセスに不当な制限を課す手段としてNPTを利用することも受け入れられません。(略)
【米国】アメリカ合衆国によるNPT再検討会議における発言
米国務省軍備管理・不拡散局クリストファー・ヨー次官補による発言(4月29日)
Statement by the United States to the NPT Review Conference
Statement by Assistant Secretary Dr. Christopher Yeaw, U.S. Department of State, Bureau of Arms Control and Nonproliferation
出典:https://www.state.gov/wp-content/uploads/2026/04/U.S.-national-statement-final-for-posting-.pdf
(ガイド)
米国は、中国の不透明な核戦力増強や、ロシアによる新STARTの義務停止、北朝鮮との連携などを批判するとともに、イランによる高濃縮ウランの生産やIAEA保障措置協定の不遵守に深刻な懸念を表明した。
(本文抄訳)
(略)中国の不透明で事態の見えない、さらには無謀とも言える核戦力の拡大は、この10年半ほどの間にその核兵器を数倍に増大させてきました。この憂慮すべき傾向は、北京が軍拡競争を誘発しようとしているものと解釈され得ます。中国は、核爆発を伴う核実験さえ実施しています。
一方、ロシアは、いわゆる新STARTの義務を不法に停止すると一方的に主張し、新型核兵器を開発し、さらに朝鮮民主主義人民共和国との関係を深めています。同国は国連安全保障理事会決議に違反しつつ、大量破壊兵器および弾道ミサイル計画を追求し続けています。
また当然ながら、前回の再検討会議以降、イランは高濃縮ウランの生産を加速させ、民生利用として合理的・想定可能な正当性を欠くレベルまで濃縮された備蓄を蓄積しています。さらにイランは、この物質の状況に関する重要な情報やIAEAへのアクセスをほぼ1年間にわたり提供していません。(略)
トランプ大統領が極めて明確に述べてきたように、核兵器の破壊力はあまりにも巨大であり、その使用に伴う代償はあまりにも大きいものです。同大統領は、核兵器の削減された世界を実現し、将来的な世界規模での核兵器廃絶という目標にさらに前進したいという意思を繰り返し表明しています。(略)
我々はロシアおよび中国、ならびにP5に対し、透明性、リスク低減、核実験に関するものを含む初期段階の可能な措置について、詳細な提案を提示しました。楽観的かつ前向きな点として、ロシアおよび中国の関係者がこれらの課題について一定の関与を示す意思を見せていることを我々は歓迎しています。(略)
同時に我々は、一部の締約国が条約上の義務を遵守していないことに深刻な懸念を抱いています。イランによるNPT第3条の明白な違反もその一例です。イランはIAEAから、NPTに基づく保障措置協定への不遵守を2度にわたり認定されており、20年の間に2つの別個の認定がなされています。(略)
すべての締約国に対し、本会議の機会を活用してこの条約および保障措置体制を守るよう強く求めます。今こそ行動すべき時であり、その必要性は極めて緊急です。(略)
【イラン】NPT再検討会議一般討論におけるイラン代表の声明(4月29日)
Statement by H.E. Mr. Reza Najafi Ambassador and Permanent Representatives of the Islamic Republic of Iran To the United Nations Office and Other International Organizations in Vienna At the 11th Session of the Review Conference of the Parties to the Treaty on The Non-Proliferation of Nuclear Weapons Under Agenda Item 15: “General Debate”
出典:https://estatements.un.org/estatements/14.0447/20260429100000000/Vvxwfwsp/rUvKGn-ENdf_nyc_en.pdf
(ガイド)
イランの声明は、これまで様々な場で展開してきた原則的主張、すなわち、「IAEAとその保障措置制度の道具化」を批判し、是正を求めるということを改めて強調するものであった。イランは6つの作業文書を提出しているという点でも際立っており、再検討会議の場を極めて重要視していることが分かる。
(本文抄訳)
私たちの民間インフラ、学校、大学、病院、橋、住宅、モスク、教会、シナゴーグ、史跡などに対する大規模な攻撃は、醜い真実を露呈させました。(略)
こうした残忍な攻撃に対し、国連安全保障理事会、IAEAの理事会および事務局長は、簡単な口頭での非難さえも行いませんでした。(略)
核軍縮について:世界の核兵器保有量は拡大しており、数千発の核弾頭が警戒態勢にあり、いつでも使用可能です。米国、英国、フランスは新たな核軍拡競争と核兵器近代化競争を開始しました。(略)
核不拡散について:NATOの核共有協定は、依然として直接的な核拡散メカニズムとして機能しており、ベルギー、ドイツ、オランダを含む5つの非核兵器国が約100発の米国製核兵器を保有し、これらの国のパイロットは核攻撃任務のための訓練を受けています。さらに、ドイツ当局は厚かましくも公然と核兵器の取得を提唱しており、フランスは欧州諸国との核同盟を発表し、オーストラリアは米国、英国とともにAUKUSの下で新たな核拡散協定に参加しています。(略)
同様に、核不拡散条約の無期限延長の重要な要素である1995年の中東に関する決議は、31年以上も履行されていません。(略)
原子力の平和利用について:(略)
私たちはこうした厳しい現実を無視することはできません。(略)条約の適用を非政治化し、IAEAとその保障措置制度の道具化を阻止する必要があります。
そのため、イランは作業文書を通じて、主に4つの主要分野に焦点を当てた具体的な提案を行いました。すなわち、保障措置下の核施設に対するいかなる武力攻撃も絶対的に禁止することの明確な再確認、すべての核兵器の完全廃絶に向けた具体的な期限付き計画、イスラエル政権に核兵器保有の放棄と核不拡散条約(NPT)への加盟を強制することによる中東問題に関する断固たる決定、そして最後に、完全な国内核燃料サイクルに対する固有の権利を含む、あらゆる側面における平和目的での原子力エネルギー利用の不可侵の権利の再確認です。(略)
NPT再検討会議 国別報告書
- 2026年3月2日(月)——————————————————————————————
【ロシア】2026年NPT再検討会議に対するロシア連邦の国別報告書(3月2日)
Национальный доклад Российской Федерации к Конференции по рассмотрению действия ДНЯО 2026 года
出典:NPT/CONF.2026/14
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_14_-_14._ADVANCE_National_Report_-_Russia.pdf
(ガイド)
ロシア連邦は第11回NPT再検討会議に先立ち、自国の核政策の立場と実績をまとめた最新の国別報告書を国連に提出した。ロシア側は加盟国に対し、「条約の目的とは関係のない政治的課題のためにNPTや再検討プロセスを利用しないこと」を強く求めた上で自国の核抑止ドクトリンや新たなBRICS原子力プラットフォームの設立について言及し、国際的な不拡散体制の適切な機能が国際平和と安全の確保における最優先課題であることを要請した。
(本文抄訳)
ロシア連邦は、NPTに基づく自国の義務を完全に履行しており、軍縮、核兵器不拡散、および原子力の平和的利用の分野における共通の目標に対して一貫してコミットしている。我が国は、非核兵器国、そして特に核兵器国の双方を含む、すべてのNPT締約国が条約に基づく自国の義務を遵守することを、不可欠な義務とみなしている。同時に、条約の目的とは無関係な政治的課題を解決するために、NPTおよびその再検討プロセスを利用することは容認できないと考えている。
2023年3月31日に承認された「ロシア連邦外交政策概念」は、戦略的安定性を確保する目的において、我が国が以下の側面に最優先で取り組む意向であることを規定している:
- 戦略的抑止、ならびに核兵器やその他の大量破壊兵器の使用を誘発しかねないレベルへの国家間関係の悪化および軍事衝突の防止(略)
- 軍軍拡競争の防止およびその新たな領域への拡大の阻止、ならびに戦略的安定に影響を及ぼすすべての要因を考慮した上での、核能力のさらなる段階的削減のための条件整備(略)
第1節 軍縮に関する国内措置
1. 核兵器に関する安全保障政策・ドクトリン
ロシア連邦の「軍事ドクトリン」は、我が国の軍事政策の基盤として、他のあらゆる軍事衝突と同様に「核軍事衝突の阻止」を掲げていることを規定している。「核抑止の分野におけるロシア連邦の国家政策の指針」の更新版は、2024年11月19日に承認された。
同国家政策指針においては、ロシア連邦は核兵器をあくまで抑止の手段としてみなしており、その使用は極限かつやむを得ない措置であるという点が強調されている。新版に基づくと、核抑止は、ロシア連邦を潜在的な敵とみなし、核兵器を保有している個別の国家および軍事連合に対して実施される。
ロシア連邦またはベラルーシ共和国の主権、あるいは領土の一体性に対して致命的な脅威をもたらす通常兵器を用いた侵略を撃退するために、我が国による核兵器の使用が容認される。
(略)
2. 核兵器、核軍備管理および検証
ロシア連邦は、条約締結から数十年間にわたり、国際条約に基づく措置および国内的な措置の実施を通じて、核軍縮のプロセスに対して真に多大な貢献を果たしてきた。
2010年4月8日に署名され、2011年2月5日に発効したのは、戦略的攻撃兵器のさらなる削減および制限のための措置に関するロシア・米国間条約(新START)である。
しかし、深刻な問題の致命的な蓄積を考慮し、2023年2月にロシアは同条約(新START)の効力を停止することを余儀なくされた。
それにもかかわらず、戦略攻撃兵器の分野における十分な予測可能性と安定性を維持する目的から、ロシアは、同協定が想定する中心的な数量制限をそのライフサイクルの範囲内で遵守し続ける意向を表明することを妥当とみなした。
本国内報告書を提示した現時点において、ロシア連邦の対応する兵器庫の数量的指標は依然として効力を停止した新STARTが定めた上限レベルを超えていない。
核軍縮への実質的な歩みに対する本質的な貢献となったのは、中短距離ミサイルの廃棄に関するソ連と米国との間の条約(INF条約)に基づく我が国の義務の完全な履行であった。
2025年8月4日のロシア外務省の声明においては、形成された諸情勢(米国およびその同盟国の行動を考慮)に鑑み、ロシア連邦は(地上配備型中短距離ミサイルの展開に関するモラトリアムという)以前に採択した自己制限に自らがもはや拘束されているとはみなさないことが指摘された。
(略)
ロシア連邦は包括的核実験禁止条約(CTBT)の重要性を強調している。同時に、2023年にロシアが下したCTBTの批准撤回というやむを得ない措置は、米国の行動に対する鏡裏の(対抗的な)回答となった。
我が国は、1992年に宣言した自国の核実験モラトリアムを再確認し、これは、類似のモラトリアムが他の核保有国によって遵守されている限りにおいて継続される。
(略)
第2節 核兵器不拡散
AUKUSの主導によるオーストラリア海軍向けの原子力潜水艦の建設は、IAEA保障措置システムに対して追加的な負荷を創出している。このようなイニシアチブの実現は、ただでさえ容易ではないアジア太平洋地域の軍事政治情勢を深刻に悪化させかねない。
原子力供給国グループ(NSG)およびザンガー委員会の原則に従い、そこで策定された輸出ルールおよび管理リストをベースとしてロシアは自国の国内輸出管理システムを構築している。
(略)
第3節 原子力の平和的利用
同プラットフォームは、環境的にクリーンな電気エネルギーの供給源としての原子力エネルギー、および非エネルギー用途の先端テクノロジーを推進する上で、BRICS諸国の専門企業の協力を強化すること、原子力エネルギー分野の新規参入国に対する専門家支援を目的に能力および知識の交換を促進すること、BRICS加盟国およびパートナーのために、また企業レベルにおいてはIAEAの安全基準を適切に考慮した上で改良された原子炉設計および核燃料サイクルの導入へ共同支援を提供することを目指している。
2025年にBRICS諸国の原子力エネルギー・プラットフォームの初の基礎文書である「プラットフォーム概念」が策定・承認され、プラットフォームの機能的構造が合意・承認された。現在、BRICS結合の参加国(加盟国)のシェアは、世界で稼働中の原子力発電所における電源ユニット(発電プラント)の4分の1以上、および世界で建設中の原子力電源ユニットの3分の2以上を占めている。2030年までに、世界の原子力発電所の総増加分のうち、少なくとも3分の2がBRICS諸国によるものになると予想されている。
(略)
結び
NPTの寄託国として我が国に課された高い責任を自覚し、我々は条約からの「脱退」をめぐる問題群を重要であると考えている。この件に関するいかなる決定も、第X条の改定、NPT条文テキストの改変、あるいは国際条約から脱退する国家の主権的権利に関する根本的な原則の破壊へと導いてはならないという点を前提としている。
核兵器不拡散体制の強化は、ロシア連邦の外交政策における優先事項の一つである。我々は、NPTの再検討プロセスが可能な限り効果的に進行するよう、最大限の努力を傾ける意向である。
核兵器の国際的な不拡散体制の適切な機能を確保することは、国際平和と安全の確保という文脈における最優先の課題である。
- 2026年3月3日(火)——————————————————————————————
【日本】NTP再検討会議国別報告書(3月3日)
Implementation of the action plan agreed at the 2010 Review Conference of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons
Report submitted by Japan
出典:NPT/CONF.2026/16
https://docs.un.org/en/NPT/CONF.2026/16
(ガイド)
唯一の戦争被爆国としての立場を強調し、NPTの義務を全て遵守していること、核兵器廃絶に向けて現実的な政策を目指していることを冒頭に述べ、具体的には、国連総会への各兵器廃絶決議の提出、2023年のG7広島サミットにおける「広島核軍縮ビジョン」の採択、「各兵器のない世界に向けた国際賢人会議」の報告、包括的核実験禁止条約(CTBT)や兵器用核物質生産禁止条約(FMCT)のフレンズ会合の実施、核軍縮・不拡散教育への支援など、多くの貢献について報告をしている。
(本文抄訳)
I. 核軍縮に関する報告
1.戦争中に原子爆弾の被害を受けた唯一の国として、日本は、「核兵器不拡散条約(NPT)」体制の3つの柱すべてを強化し、核兵器のない世界の実現に向けて前進することに、引き続き強く取り組んでいく。(略)
日本は、核兵器のない世界に向けた歩みを進めるためには、核兵器の使用がもたらす人道的側面を明確に認識し、厳しい国際安全保障情勢を客観的に評価することを忘れずに、核兵器保有国と非核兵器保有国との協力に基づき、現実的かつ実践的な措置を構築することが不可欠であると考えている。
さらに、日本は、核戦力の透明性を促進すること、核兵器の完全廃絶に向けた共同行動を求める決議を国連総会に提出すること、核実験全面禁止条約の発効に向けた積極的な貢献、核兵器その他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する条約の交渉開始の推進、ならびに核軍縮の検証に関する議論への積極的な参加などを通じて、現実的かつ実践的な取り組みの進展に尽力している。(略)
2023年のG7(主要7カ国)議長国として、日本はG7加盟国と共に、5月19日に「核軍縮に関するG7首脳の広島ビジョン」を発表した。これは、核軍縮に関する初の首脳レベルでの単独コミュニケとなる。(略)
2022年、日本は「核兵器のない世界のための国際有識者グループ(IGEP)」を設立した。同グループは、日本の専門家3名と、核兵器保有国、非核兵器保有国およびその他の国々からの専門家12名の、計15名の専門家で構成されている。(略)
2024年3月18日、当時の上川外務大臣は、日本が国連安全保障理事会の議長国を務めていたことに伴い、「核軍縮・不拡散」をテーマとした国連安全保障理事会閣僚級ブリーフィングを主宰した。会合では、理事国各代表が発言を行い、核軍縮・不拡散について活発な議論を交わし、核拡散防止条約(NPT)体制の維持・強化の重要性を再確認した。本会合は、2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、核兵器保有国と非核兵器保有国間の実質的な議論を加速させる機会となった。
2.日本は、条約上の義務の履行に関連して、不可逆性、検証可能性、および透明性の原則の重要性を改めて確認する。日本は毎年、すべての国に対し、それぞれの核軍縮および不拡散の取り組みを実施するにあたり、これら3つの原則を遵守するよう求める国連総会決議を提出している。さらに、日本は、NPDI(核不拡散・軍縮イニシアティブ)の加盟国の一つとして、NPDI会合への積極的な参加を通じて提出された、透明性と説明責任に関する一連のワーキングペーパーに示されている透明性措置に関するNPDIの見解に賛同する。
(略)
9.非核兵器地帯:日本は、5つの非核兵器地帯条約およびモンゴルの非核兵器国としての地位に関する国連総会決議を支持してきた。決議80/48を含む国連総会決議において、日本は、1999年の軍縮委員会の指針に基づき、さらなる非核兵器地帯の創設の重要性を強調した。
(略)
13.CTBT:日本は、同条約の発効を促進するための国際的な取り組みを主導し、調整してきた。同国は2002年にオーストラリアおよびオランダと共に「包括的核実験禁止条約(CTBT)の友」を設立し、2015年から2017年にかけてはカザフスタンと共に同条約の第14条調整国として重要な役割を果たした。
(略)
15.FMCT: 2024年3月、日本は11カ国と共に、核兵器保有国と非核兵器保有国の双方が参加する地域横断的なグループである「FMCTフレンズ」を設立した。これは、FMCTに対する政治的関心を維持・強化し、FMCT交渉への支持拡大に寄与することを目的としている。その後2024年9月の国連総会ハイレベル・ウィークの傍らで、当時の岸田首相が「核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の友」発足ハイレベル会合を主催し、参加国は交渉の即時開始を求める共同プレスリリースを発表した
(略)
22.核軍縮・不拡散教育:戦争中に原子爆弾の被害を受けた唯一の国として、日本は、広島と長崎で起きた壊滅的な人道的被害と悲劇が決して忘れ去られることのないよう尽力している。この目的のもと、また、国連事務総長の「軍縮アジェンダ」の行動38「若者の参画のためのプラットフォームの構築」の主導国として、日本は、特に若い世代に対する軍縮・不拡散教育を極めて重要視している。これは、彼らが国際安全保障の問題について自ら考え、行動するよう促すとともに、国家、社会、個人の各レベルにおける軍縮・不拡散についても同様の姿勢を育むためである。(略)
- 2026年3月16日(月)——————————————————————————————
【英国】2026年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた、2010年核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議の行動5、20および21に基づく、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の国別報告書(3月16日)
National Report of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, pursuant to Actions 5, 20 and 21 of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons (NPT) Review Conference 2010 for the 2026 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons
出典:NPT/CONF.2026/19
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_19_-_19._MASTER_2_ADVANCE_Corr.3_UK_National_Report.pdf
(ガイド)
英国は核のない世界を目指すとしつつも、NATOと連携した最小限の核抑止力(上限260発)の維持は、NPT第6条の義務に反しないと主張する。一方で、イランや北朝鮮には、核・ミサイル計画放棄を求めている。
(本文抄訳)
(略)
第1節:軍縮に関する国内措置についての報告
(略)英国の軍縮アプローチは、安全保障環境の現実と、自国民および同盟国の安全を確保するというコミットメントを踏まえたものである。一部の国による核威圧への依存の高まりや国際法軽視は、今後数十年にわたり、英国およびNATO同盟国にとって中心的課題となるだろう。いくつかの国は、すでに大規模な核能力を近代化・拡大しており、それらは戦争の複数の段階で使用されることを想定して設計されている。これは、核抑止および戦略的安定性に求められる要件をさらに複雑なものにしている。
(略)国際環境を踏まえつつ、英国の核抑止力を信頼可能な最小限の水準に維持することは、NPT第6条に基づく英国の義務と整合している。(略)
1.1 核兵器に関連する国家安全保障政策、ドクトリンおよび活動
・2010年行動計画 行動5、8、15、17および18
核抑止政策
英国の抑止アプローチの基盤は、引き続きNATO防衛に割り当てられた、信頼できる最小限の独立核抑止力にある。英国の核兵器の目的は、平和を維持し、威圧を防止し、侵略を抑止することである。英国の核兵器は、作戦上独立している。その使用を承認できるのは首相のみであり、これにより、いかなる時も政治的統制が維持されることが確保されている。英国が核兵器の使用を検討するのは、自国防衛およびNATO同盟国防衛を含む、極限的な自衛状況に限られる。
(略)英国は、核兵器の使用を正確にどのような場合に、どのような方法で、またどの規模で検討するかについて、意図的に曖昧さを維持している。英国は、運用可能な備蓄、配備核弾頭数、あるいは配備ミサイル数を公表していない。この態勢は、潜在的な攻撃国の計算を複雑化させることによって抑止効果を高めるとともに、先制攻撃上の優位を求める側による意図的な核使用のリスクを低減するものである。英国は引き続き核弾頭総保有量の上限を公表しており、2021年以降、その上限は260発以下としている。(略)
英国は、NPTの非核兵器国締約国に対して、核兵器を使用せず、またその使用を威嚇しない。この保証は、NPT上の不拡散義務に重大な違反をしている国には適用されない。さらに、化学・生物兵器能力や、それに匹敵する影響を及ぼし得る新興技術など、将来的な大量破壊兵器の脅威により必要となった場合、英国はこの保証を見直す権利を留保する。
抑止力が潜在的敵対国による先制行動に対して脆弱とならないよう、英国は4隻の弾道ミサイル潜水艦を維持しており、少なくとも1隻が常時、継続的海上抑止哨戒に従事している。哨戒中の潜水艦は、発射までに数日を要する態勢に置かれており、また英国は1994年以来、いかなる国もミサイルの照準目標としていない。(略)
NATO、米国およびフランス
(略)NATO同盟の戦略核戦力、特にアメリカ合衆国の戦略核戦力は、NATOの安全保障に対する最高の保証である。英国およびフランスの独立した戦略核戦力は、それ自体として抑止的役割を有しており、同盟全体の安全保障に大きく貢献している。こうした独立した意思決定の中枢は、潜在的敵対国の計算を複雑化させるとともに、英国またはその同盟国の死活的利益に対する攻撃の代償が、いかなる潜在的利益をも上回ることを明確にすることによって、抑止に寄与している。
2025年、英国は、新たに12機のF-35A戦闘機を購入し、NATOの核任務に参加することを発表した。これは、効果的な抑止へのコミットメントおよびNATO同盟国とのパートナーシップをさらに強化するためのものである。
(略)英国は、核問題に関して引き続きアメリカ合衆国およびフランスと緊密に協力している。英米間の核防衛協力は、1958年相互防衛協定および1963年ポラリス売却協定によって支えられている。(略)2025年7月10日に英国首相およびフランス大統領によって発表されたノースウッド宣言は、国際的な軍備管理、軍縮および不拡散体制の維持・強化に向けたより緊密な協力を含め、核政策、能力および作戦の各分野における英仏協力の深化を英国とフランスに約束させるものである。NATO、アメリカ合衆国およびフランスとの核協力は、NPTに基づく英国の義務と整合している。(略)
第2節:不拡散に関する国内措置についての報告
(略)
2.5 遵守およびその他の関連問題・懸念事項
・2010年行動計画 行動23、26および27
イラン
英国の優先課題は、引き続きイランによる核兵器取得を阻止することにある。イランは、関連するすべての国連安全保障理事会決議、NPTおよび包括的保障措置協定を含む、核関連の義務およびコミットメントを遵守しなければならない。イランは2019年以来、包括的共同行動計画(JCPOA)の下で自ら進んで約束した核計画上のほぼすべての制限を超過しており、また2021年以来、民生利用として信頼できる正当化ができない60%まで濃縮した高濃縮ウランを生産している。英国は長年にわたり、イランの核兵器開発を防止するための外交的解決の実現にコミットしてきた。これには、E3パートナーとともに、すべての当事者を合意へ復帰させるための度重なる努力も含まれていた。しかし、これらの努力に対するイランの建設的な参加の拒否、およびJCPOAの義務に対する著しい不履行から、E3は2025年に「スナップバック」手続きを発動した。
2025年9月28日に30日間のスナップバック手続きが完了したことを受け、以前終了していた6本の国連安全保障理事会決議が再び効力を持つこととなった。(略)2025年10月1日、英国は国内法令を改正し、これらの国連安全保障理事会決議に含まれる指定措置および制裁措置を再適用した。さらに英国は、イランの核計画に関連する71の個人および団体に対して制裁を科した。(略)
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)
朝鮮半島における持続的平和への唯一の道は、外交と対話である。(略)
英国は、DPRKによる無責任かつ挑発的な行動を改めて非難する。英国は、関連する国連安全保障理事会決議に従ったDPRKの完全な非核化へのコミットメントを維持する。DPRKは、NPT上、核兵器国としての地位を有することはできず、英国はDPRKに対し、核・弾道ミサイル計画を放棄するための措置を取り、対話に応じるよう求める。(略)
結論
(略)われわれは、核兵器のない世界という目標へのコミットメントを維持している。本政府の第一の責務は、英国の安全保障、すなわち国民およびNATO同盟国を、われわれが直面する現実の脅威から守ることである。核兵器国がともに軍縮できるようにするためには、脅威を低減し、安定を促進するための最も根本的な取り組みが必要である。英国はその役割を果たす用意がある。
- 2026年3月18日(水)——————————————————————————————
【イラン】NPT第6条の履行(イラン提出報告書)(3月18日)
Implementation of Article VI of the Treaty on the NonProliferation of Nuclear Weapons Report submitted by the Islamic Republic of Iran
出典:NPT/CONF.2026/24
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_24_-_24._ADVANCE_National_Report_-_Iran_Implementation_article_VI_0.pdf
(ガイド)
2010年NPT再検討会議で採択された最終文書(第1巻第1部)の中の「核軍縮」に関する行動勧告の中の「行動20」に基づく報告書。ここでは、イスラエルのNPT加盟拒否問題を述べた第4段落、イランによる核兵器保有放棄を強く言明した第5段落、イランの原子力施設に対する米・イスラエルによる攻撃の再発防止を求める第6段落を訳出した。
(本文抄訳)
II.イランの条約遵守へのコミットメント
3. (略)
4. 1974年、イラン・イスラム共和国は中東における非核兵器地帯の設立構想を提示した。それ以来、この提案は1982年以降、総会において毎年無投票で採択される決議によって支持されてきた。イランは、イスラエル政権が核不拡散条約(NPT)への加盟およびすべての核施設をIAEAの包括的保障措置下に置くことを継続的に拒否していること、そしてこうした不遵守に対する責任追及が行われていないことが、核不拡散地帯の実現を阻む主要な障害となっていることを強調する。(略)
5. イラン・イスラム共和国は、条約の完全性と普遍性を維持し、その基本的目的を達成するため、条約のすべての条項に基づく義務を履行してきた。イラン・イスラム共和国が核兵器保有を原則として放棄し、平和利用のための核施設をIAEAの包括的保障措置下に置くという政策は、条約に対するイラン・イスラム共和国の明確な意思表明である。イラン・イスラム共和国は、核兵器の取得、開発、使用、または使用の威嚇を、非人道的、非倫理的、違法であり、その基本原則に反するものとみなす。したがって、核兵器はイラン・イスラム共和国の防衛ドクトリンにおいていかなる位置づけももつことはない。
6. 米国およびイスラエル政権による、IAEAの保障措置下にあるイランの平和的原子力施設に対する最近の違法かつ一方的な軍事侵略は、国際法、国連憲章、および核不拡散条約に対する重大な違反であり、軍縮および核不拡散体制の信頼性を損ない、国際平和と安全に対する脅威となる。イラン・イスラム共和国は、すべての締約国、特に核兵器保有国が、これらの施設の不可侵性を維持し、このような行為の再発を防止し、核不拡散条約第6条の完全かつ誠実な履行を推進することが、核不拡散条約への信頼回復に不可欠な要素であるという集団的責任を強調する。(略)
【イラン】中東非核兵器地帯の設立(イラン提出報告書)(3月18日)
Establishment of a Middle East zone free of nuclear weapons
Report submitted by the Islamic Republic of Iran
出典:NPT/CONF.2026/23
https://docs.un.org/en/NPT/CONF.2026/23
(ガイド)
2010年NPT再検討会議で採択された最終文書(第1巻第1部)に含まれている「1995年中東決議」に関するセクションの中の第8段落にある「条約のすべての締約国、特に核兵器保有国及び地域諸国は、中東に関する1995年決議の実施のために講じられた措置について引き続き報告すべきである」との勧告にもとづく報告書。ここでは、第4節の冒頭および結論を訳出した。
(本文抄訳)
IV. 2010年行動計画の実施
4. 1995年の中東決議の実施に関する2010年行動計画の採択は、1995年決議をその指針として、核兵器およびその他の大量破壊兵器のない中東地帯の設立に関する会議を2012年に開催することを求めるものであり、1995年決議の履行に向けた前向きな兆候であった。イランはこの行動計画の採択以来、その迅速かつ完全な実施を全面的に支持してきた。こうした文脈において、米国とイスラエル政権による、IAEA(国際原子力機関)の保障措置下にあるイランの平和的原子力施設に対する最近の違法かつ一方的な軍事侵略は、国際法、国連憲章、およびNPTに対する重大な違反であり、このような地帯の設立の緊急かつ不可欠な必要性を改めて浮き彫りにした。(略)
結論
5. イラン・イスラム共和国は、1995年の決議および2010年の中東行動計画の実施に関する特定の内容を最終文書草案に含めることに対し、アメリカ合衆国、英国、カナダが反対したことによって、2015年再検討会議が失敗に終わったことに深い懸念を表明するとともに、この問題に関するイランの原則的な立場を改めて表明する。イラン・イスラム共和国は、国連およびその他の多国間フォーラム、特に核不拡散条約の再検討プロセスにおいて、中東非核兵器地帯の設立に向けて、断固として最大限の努力を継続する。イランは、包括的保障措置協定および核兵器禁止条約に基づく義務を完全に遵守する締約国として、脅迫や武力行使に晒されるべきではないと強く確信している。また、核兵器国および非締約国に対する責任追及の欠如は、国際法および国連憲章のさらなる違反を助長することになると考えている。イランは、このような地帯の設立には以下の要件が必要であると強調する。
・核兵器禁止条約の寄託国が説明責任を完全に果たすこと
・中東におけるNPTの普遍的適用
・イスラエル政体のすべての核施設をIAEAの包括的な保障措置下に置くこと
- 2026年4月17日(金)——————————————————————————————
【中国】NTP再検討会議国別報告書(4月17日)
Implementation of the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons in the People’s Republic of China
出典:NPT/CONF.2026/33
2026 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons ADVANCE UNEDITED VERSION
(ガイド)
中国は、核兵器の「先行不使用」政策を堅持し、核戦力の規模を必要最小限にとどめるという従来からの方針を繰り返した。一方で、原子力潜水艦をめぐる米英豪や米韓の協力を核拡散リスクとして批判し、日本の核保有論についても国際秩序への挑発だと非難した。
(本文抄訳)
(略)
I.核軍縮に関する国内措置についての報告
4.中国政府は、核兵器の全面禁止および完全廃絶を提唱するとともに、世界的な戦略的安定の維持とすべての国の安全保障が損なわれないことを原則として、段階的アプローチを通じて国際社会が核軍縮の目標を推進することを支持している。中国は、核兵器の先行不使用政策および自衛的核戦略を堅持している。また、いかなる国とも核軍拡競争を行わず、国家安全保障を損なわない範囲で最大限の核透明性を実践し、核リスク低減措置を積極的に推進するとともに、核兵器のない世界という最終目標に向けて相応の貢献を行っている。
(i)核兵器に関連する国家安全保障政策、指針および活動
(略)
7.中国は、いかなる時、いかなる状況においても核兵器を先行使用しないという原則を堅持している。これは、5核兵器国の中でそのようなコミットメントを行っている唯一の国である。冷戦期において繰り返し核による威嚇や脅迫に直面した時であれ、深刻な戦略的安全保障上の脅威を伴う今日の複雑な国際安全保障環境に対処する中であれ、中国は常にその約束を守ってきた。これは、核兵器の使用に関する中国の最大限の慎重さと自制を十分に示すものである。この政策的立場は、すべての核兵器国の中で最も安定的、一貫的かつ予測可能なものであり、国際的な核軍備管理の取り組みに対する中国の重要な貢献を示している。
8.中国は、自衛的核戦略を堅持しており、その目的は、他国による中国に対する核兵器の使用または使用の威嚇を抑止し、国家の戦略的安全を維持することにある。中国は長年にわたり、外部の安全保障環境における課題を継続的に評価しつつ、核戦力を国家安全保障に必要な最小限の水準に維持してきた。また、中国は他国に核の傘を提供せず、いかなる国に対しても核兵器による威嚇を行ったことはなく、外国領土に核兵器を配備したこともない。(略)
II.核不拡散に関する国内措置
(略)
(v)遵守およびその他の関連事項
(略)
67.米国、英国およびオーストラリアが実施を決定した原子力潜水艦協力は、非核兵器国への大量の兵器級高濃縮ウランの移転を伴うものである。これは深刻な核拡散リスクをもたらし、NPTの目的および趣旨に違反するとともに、地域の平和と安定を損なうものである。中国はこれに深い懸念を抱き、断固として反対する。(略)
68.中国は、2025年11月に発表された大韓民国と米国との原子力潜水艦協力に関する動向を注視している。中国は、両国が慎重な姿勢を維持し、関連する保障措置問題を適切に処理し、国際的な核不拡散義務を効果的に履行するとともに、地域の平和と安定に資する行動をより多く取り、第三国を対象としたいかなる協力も回避することを期待する。
69.「日本は核兵器を保有すべきである」とする日本の首相官邸関係者の露骨な発言は、国際社会が堅持してきた基本原則に挑戦するものである。日本の右翼勢力は、非核三原則の見直しを公然と求めた。これらの発言は、第二次世界大戦後の国際秩序および核不拡散体制に対するあからさまな挑発であり、地域および世界の平和と安定に対する深刻な脅威である。国際社会はこうした言説に警戒し、断固として反対しなければならない。国際核不拡散体制は、戦後国際秩序の重要な構成要素である。日本の右翼勢力による核兵器保有の追求は、NPTの権威と有効性に対する重大な挑発であり、国際核不拡散体制を維持するための各国の共同努力と、第二次世界大戦以降に苦労して築き上げられた平和と繁栄を損なうことになる。NPTの非核兵器国締約国として、日本は核兵器の不受領、不製造、不保有および不拡散に関する規定を全面的に遵守しなければならない。これらは、日本が国際法上履行すべき義務である。(略)
- 2026年4月21日(土)——————————————————————————————
【フランス】NTP再検討会議国別報告書(4月21日)
Report submitted by France under actions 5, 20 and 21 of the Final Document of the 2010 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons (2022–2026) Report submitted by France
出典:NPT/CONF.2026/35
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_35_-_35._ADVANCE_France_National_Report_EN_0.pdf
(ガイド)
ロシアのウクライナ侵攻、米欧間の亀裂の深刻化といった近年の戦略環境悪化を受け、フランスは核戦力の拡大や欧州諸国に対する「前方抑止」(拡大核抑止)を表明する一方、核軍拡競争に加わることは否定した。
(本文抄訳)
(略)
3.こうした目的を念頭に、本報告書は、フランスが2026年核不拡散条約再検討会議において推進しようとする優先事項を示すものである。フランスの優先課題は、核不拡散条約の三本柱全体にわたる均衡あるアプローチを通じて、挑戦されることなく守られるべきNPTの優位性および中心的役割の再確認を確保するよう努めることである。
(i)NPT第6条および国連安全保障理事会決議1887(2009)に規定されている「すべての国の安全保障が損なわれない」という原則に基づき、段階的軍縮を引き続き推進すること。この現実的な軍縮アプローチこそが、国際的な安定と安全を強化しつつ、軍縮における具体的進展をもたらし得る唯一の方法である。したがって、フランスの抑止力は厳格に防御的性格を有するものであり、いかなる軍拡競争も拒否する。(略)
(ii)一部の国による拡散活動の継続によって生じている深刻な不安定化リスクについて、国際社会の関心と行動を喚起すること。
(iii)核不拡散条約が核技術の平和利用の分野において果たしている独自の貢献を促進すること。(略)
第I節:国内の軍縮措置
(略)
11.フランスは、核軍縮の目標は集団安全保障の目標と切り離して考えることはできないと考えている。核軍縮はそれ自体が目的ではなく、国際安全保障の改善に寄与し、その一部を成すものでなければならない。したがって、核軍縮における進展は、戦略環境を考慮した上でのみ達成可能であり、すべての国の安全保障が損なわれないこと、さらには国際的安定、平和および安全保障を保証する漸進的プロセスの一環でなければならない。
12.戦略環境は、三つの並行する動向――すなわち、一部の核保有国による不安定化行動、核拡散危機、そしてこうした憂慮すべき傾向を食い止めることができないまま、われわれの集団的安全保障構造を支える諸制度が弱体化していること――により、大国間競争における核兵器の中心的重要性が改めて高まっていることを特徴としている。フランス大統領がイル・ロングにおける演説で指摘したように、ロシアがウクライナに対して遂行している侵略戦争は、フランスおよび欧州の安全保障に対する重大なリスクをもたらしている。ロシアは修正主義的姿勢を強め、核能力の近代化を進めるとともに、新たな兵器の取得を追求している。中国もまた、核戦力を大幅に拡大し続けている。(略)
13.このような戦略環境の悪化と、自国および地域環境の安全保障に対する脅威にもかかわらず、フランスは軍拡競争に加わっておらず、そのような競争を防止し、戦略的安定性を向上させるために最大限の努力を払っている。フランスは常に、自国の核抑止力の作戦上の有効性に厳格に即して核戦力の規模を定めてきた。(略)
18.フランス核抑止の基本原則は以下のとおりである(行動5(c)、5(d)および5(g))。
(略)
(f)フランス核抑止の欧州的側面。フランス大統領は、2020年に欧州のパートナー諸国に対して提案した、欧州におけるフランスの抑止力の役割に関する対話を踏まえ、2026年3月2日の演説において、フランスの死活的利益の欧州的側面を具体化するため、「前方抑止」を段階的に実施していくことを表明した。(略)前方抑止は、核兵器使用の決定、その計画または実行、さらにはフランスの死活的利益の定義を共有することを意味するものではない。これらは引き続き、フランスが主権的に判断する事項であり、また、厳密な意味での安全の保証を意味するものでもない。(略)
(g)2025年7月10日に英国首相およびフランス共和国大統領によって署名されたノースウッド宣言。これにより、フランスおよび英国は、戦略、能力および作戦の各分野における協調を深化させることを約束した。(略)
20.(c)戦略環境の著しい悪化――「競争相手国の防衛力の進展、地域大国の台頭、敵対国間の連携の可能性、ならびに拡散リスク」――を受け、フランス大統領は2026年3月2日に発表したとおり、フランスの核戦力の拡大が不可欠であるとの結論に至った。大統領はまた、フランスは「今後、自国の核戦力に関する数値を公表しない」と述べた。ただし、この核戦力は引き続き専ら戦略的性格を有するものであり、その規模は、フランスの抑止力の作戦上の有効性と厳格に整合する水準にとどまる。大統領は2026年3月2日、フランスはいかなる形であれ軍拡競争には加わらないことも改めて表明した。(略)
- 2026年4月24日(金)——————————————————————————————
【米国】2026年NPT再検討会議に対する米国の国別報告書(4月24日)
National Report of the United States of America to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons
Report submitted by the United States of America
出典:NPT/CONF.2026/40
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_40_-_40._ADVANCE_Version_2_-National_Report_-_USA.pdf
(ガイド)
米国は、2026年4月27日から5月22日までニューヨーク国連本部にて開催されるNPT再検討会議に先立ち、自国の核政策の立場と実績をまとめた最新の国別報告書を国連に提出した。米国側は本報告書を通じて、透明性と信頼醸成を強化し、核兵器国間における誤認や誤算、意図しないエスカレーションのリスクを低減させることを強く求めた上で、自国の核抑止ドクトリンの現状や中国の核戦力を算入した多国間軍備管理への移行について言及し、NPTの3大柱を最高水準の基準のもとで履行していくことが国際平和と安全の確保における最優先課題であることを要請した。
(本文抄訳)
はじめに
米国は、これらのコミットメントを履行する行動によって示されているようにNPTの規定および目的に引き続きコミットしている。
本報告書は、核軍縮、核不拡散、および平和的目的のための原子力利用を促進するための協力という柱に沿って、アメリカ合衆国がNPTを履行するために講じた措置の概要を説明するものである。このような措置と詳細な国家報告書は透明性と信頼醸成を強化し、5つのNPT核兵器国間における誤認、誤算、意図しないエスカレーション、および多大な費用を伴う軍備競争の可能性を低減させる可能性を秘めている。(略)
I.核軍縮:軍縮に関する国内措置の報告
A. 核兵器に関連する国家安全保障政策、ドクトリンおよび活動
米国は定期的に自国の核政策を公表しており、最近では2026年の「国家防衛戦略」および2025年の「国家安全保障戦略」において言及されている。「力による平和」という全体的な方針を追求し、米国は世界的な核兵器の廃絶を志向している。(略)
米国の核政策、戦力、および警戒態勢の顕著な要素:
米国は米国並びにその同盟国およびパートナー国の死活的利益を防衛するための極端な状況においてのみ核兵器の使用を検討する。
確実な安全性、セキュリティ、および信頼性を備えた米国の核兵器により、核攻撃および戦略的攻撃を抑止する。
同盟国およびパートナー国に対する拡大抑止コミットメントの強さ、信頼性、および有効性を確保する。
核兵器の使用を開始または終了するという大統領の決定を通知し、実行するために、いかなる場合でも人間の関与を維持する。
平時において、すべての核能力を備えた爆撃機および二重能力航空機を日常の警戒態勢から外しておく慣行を継続する。
消極的安全保障: 米国は、NPTの締約国であり、かつ自国の核不拡散義務を遵守している非核兵器国に対して、核兵器を使用せず、また使用するとの脅迫を行わないことを宣言することにより、大多数の国に対して消極的安全保障を与えている。(略)
核兵器の安全性・確実性: 衝撃や熱に対して極めて鈍感であり、不慮の爆発に対して高い耐性を持つため、不慮の爆発の確率が無視できる程度である「鈍感高能爆薬(IHE)」の使用。(略)
B. 核兵器、核軍備管理および検証
ドナルド・J・トランプ大統領が第80回国際連合総会において述べた通りである:「我々は核兵器の開発を停止したいと考えている……もし我々がそれらを一度でも使用すれば、世界は文字通り終わりを迎えるかもしれない」。
核兵器、核分裂性物質、および施設の透明性と削減:
約88%の削減: 米国は、1967年のピーク時(31,255発)から2023会計年度末(3,748発)までの間に、核兵器の貯蔵量を88%以上削減した。
12,000発以上の解体: 過去30年間(1994年〜2023年)で米国は12,000発以上の弾頭を解体した。
約2,000発の退役: 米国は約2,000発の弾頭を退役させた。これらは運搬プラットフォームから取り外され、解体のための待機列にある。
米国の核分裂性物質生産モラトリアムのタイムライン:
1964年: 米国は、核兵器に使用するための高濃縮ウラン(HEU)の生産を停止した。
1989年: 米国はハンフォードおよびサバンナリバー・サイトにある14基のプルトニウム生産炉をすべて停止した。
1992年: 米国は、核兵器に使用するためのプルトニウムの生産を停止し、新たな核分裂性物質の生産に関するモラトリアムを発表した。
2026年 / 今日: 米国は、自国の兵器プログラムによって生産された米国のプルトニウムおよびHEUの総量を公表している。(略)
軍備管理協定および軍縮関連措置:
2010年にアメリカ合衆国とロシア連邦によって署名された新戦略兵器削減条約(新START)は、配備されたICBM、配備されたSLBM上の米ロの弾頭、および配備された重爆撃機にカウントされる核弾頭の数を1,550発に制限した。米ロは2021年に5年間の延長に合意した。2026年2月5日、新STARTは失効した。2023年3月現在、米国は配備されたICBM、配備されたSLBM、および配備された重爆撃機にカウントされる核弾頭を計1,419発保有していた。(略)ロシアの無効な条約履行停止の主張および長年にわたる新START違反は(略)最後の二国間核軍備管理協定を毀損した。
2026年2月、新STARTの失効を受けてトランプ大統領とルビオ国務長官は、今後の軍備管理において中国の核兵器保有量を考慮に入れるべきであることを強調し、軍備管理の近代化と拡大を求めた。
マルコ・ルビオ国務長官(2025年2月6日):「第一に、軍備管理はもはや米国とロシアの間の二国間の問題ではあり得ない。大統領が明確にしているように他国には戦略的安定の確保を支援する責任があり、中国ほどその責任がある国はない。第二に、我々は将来の協定を追求するにあたり、米国に不利益をもたらす条件や不遵守を無視するような条件は受け入れない。(略)第三に、我々は常に強者の立場から交渉に臨む。(略)」
C. 透明性と信頼醸成措置
(略)米国は、ロシアおよび中国の双方との間で直接の安全な通信システムを設置する二国間協定を結んでいる。米国の国家・核リスク低減センター(NNRRC)は、国際協定・取り決めを支援するため、24時間年中無休の直接通信を提供している。(略)
II. 核不拡散:不拡散に関する国内措置の報告
米国は、核兵器の拡散防止を最優先事項としており、保障措置、輸出管理、および核セキュリティを強化する行動と資源を投入している。(略)
A. 保障措置: 1980年に米国自発的提供協定(VOA)が効力発生、2009年には追加議定書(AP)が効力発生した。今日、米国の約300の民生用原子力施設がIAEA保障措置の対象資格を有している。米国内の19の異なる原子力施設において、970回以上のIAEA査察が行われてきた。
海軍原子力推進協力: AUKUSパートナーシップはオーストラリアによる通常兵器搭載原子力潜水艦の取得においてこのコミットメントを実証している。AUKUSの協力は、NPTを含むすべての参加国のそれぞれの国際的義務を満たしており、オーストラリアのIAEA保障措置協定の枠組み内で実施される。(略)
B. 輸出管理: 2014年から2025年までに米国原子力規制委員会は核関連の輸出に対して810件以上のライセンスを発行し、米国エネルギー省は民生用原子力技術の輸出に対して160件以上の特定の認可を発行した。(略)
C. 核セキュリティ: 2022年以降、3カ国における4基の研究炉および医療用アイソトープ製造施設をHEUからHALEU燃料またはターゲットへと転換し、累計111施設となった。5カ国と提携して100kg以上の余剰HEUおよびプルトニウムを回収または処分確認した。2022年以降、米国はIAEAの核セキュリティ基金に4,600万ドル以上の任意拠出金を提供した。2026年2月にラバトで米国とモロッコ王国が共同開催した第2回Global FTPRNT総会には54カ国から160人以上の参加者が集まった。(略)
D. 非核兵器地帯: 米国はトラテロルコ条約の2つの議定書を批准し、ペリンダバ条約、ラロトンガ条約、セミパラチンスク条約の関連議定書に署名した。またバンコク条約改定議定書への署名に向けてASEAN加盟国と協力し、大量破壊兵器のない中東という長期的な目標を支持した。(略)
E. 遵守およびその他の関連問題・懸念: 米国は、一部のNPT締約国を含むいくつかの国がNPTの規定や義務に反する活動、あるいは関連する国連安全保障理事会決議に違反する活動を継続していることを依然として懸念している。(略)米国法に基づき、国務省は締約国の義務の遵守状況に関する詳細な評価を含む報告書を作成している。
III. 平和的目的のための原子力利用の促進に関する協力
米国は平和的目的のための原子力、科学、および技術に関する国際協力に専念しており、非動力の核応用の利用機会を拡大すると同時に民生用原子力協力および原子力貿易を促進している。
A. 平和的利用の促進:
26: 米国は、50カ国、IAEA等との間で、26の二国間民生用原子力協力協定(123協定)を発効させている。
14: 2025年12月現在、米国は14の原子力協力覚書(NCMOU)に署名している(アルメニア、フィリピン、ポーランド、トルコ、ウズベキスタン等)。
50: 小型モジュール炉(SMR)の導入を支援するため、「SMR技術の責任ある利用のための基礎インフラ」を開始した。資金提供パートナーは1億ドルを表明している。
60: 2022年以降、米国は世界で少なくとも60カ国への核物質、機器、部品、または技術の輸出を承認した。
ASCENTイニシアチブによる協力の加速: 米英が700万ドル以上を投資し、用途の拡大、原子力への経路、非伝統的な関係者の動員の3つの柱にわたる自立的な核の卓越性を支援する。(略)
B. 国際原子力機関を通じた加盟国への技術支援:
米国は2010年以降、IAEAの技術協力基金(TCF)および平和的利用イニシアチブ(PUI)を支援するために、7億3,000万ドル以上の任意拠出金および現物貢献(単一で最大の貢献)を提供した。
技術協力基金(TCF): 米国は2010年以降に3億7,600万ドルを提供した。
平和的利用イニシアチブ(PUI): 2010年の設立以来1億7,100万ドル以上(2022年以降は3,800万ドル以上)を提供し、原子力発電能力に1,200万ドル以上、がん診断や水資源管理などの非動力応用に2,600万ドル以上を貢献した。
C. 民生用原子力安全および民生用原子力損害賠償責任:
米国はその「原子力安全行動計画」を含む核安全作業のためにIAEAに対して多額の正規予算外拠出金を提供し、60カ国以上のIAEA加盟国における核安全を促進した。米国はまた、核安全における技術協力に関する50以上の二国間取り決めを有している。(略)さらに、米国は「原子力安全条約」および「原子力の分野における損害賠償責任の補完的な補償に関する条約」を支持し、促進している。
- 2026年4月28日(火)——————————————————————————————
【韓国】NTP再検討会議国別報告書(4月28日)
The 11th Review Conference of the Parties to the Treaty on the NonProliferation of Nuclear Weapons
Report submitted by the Republic of Korea
出典:NPT/CONF.2026/44
https://docs-library.unoda.org/Treaty_on_the_Non-Proliferation_of_Nuclear_Weapons_-EleventhReview_Conference_(2026)/NPT_CONF.2026_44_-_44._ADVANCE_Report_-_Republic_of_Korea.pdf
(ガイド)
韓国は、NPTの遵守と普遍化の推進を求め、2006年以降6回の核実験を実施した北朝鮮を非難した。北朝鮮には核放棄とNPT復帰を、イランにはIAEAへの全面協力を求めた。
(本文抄訳)
(略)
行動計画の実施
第1の柱:核軍縮(行動1~22)
(略)
12. CTBTが発効するまでの間、すべての国は核兵器実験爆発およびその他の核爆発の実施を控えるべきであり、現在存在するすべての核兵器実験爆発モラトリアムは維持されるべきである。この点に関し、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が2006年以来6回にわたり核実験を実施してきたことは、CTBTの趣旨および目的に直接反するものであり、遺憾である。DPRKは、できるだけ早期にCTBTに参加するとともに、国連安全保障理事会決議1718、1874、2087、2094、2270、2321、2356、2371、2375および2397に従い、すべての核兵器および既存の核計画を放棄すべきである。
13. 大韓民国は、特に自国北東部のウォンジュに所在する韓国地震観測所(KSRS)を通じて国際監視制度(IMS)に参加することにより、CTBTの検証体制の発展を支持し、これに貢献している。その結果、KSRSはDPRKによる6回すべての核実験に伴う地震波信号の探知に成功し、そのデータを国際社会の専門家と共有した。韓国はまた、包括的核実験禁止条約機関準備委員会、作業部会会合、技術研修プログラム、ワークショップなど、CTBT関連の国際活動にも積極的に参加している。(略)
第2の柱:核不拡散(行動23~46)
17.NPT体制の存続可能性にとって、条約の普遍的加入は不可欠である。大韓民国は、NPT非締約国に対し、これ以上遅れることなく非核兵器国として同条約に加入するよう求める。
18.大韓民国は、不拡散に関する約束および義務について最高水準の遵守基準を自らに課しており、IAEAと全面的に協力している。(略)
21.DPRKは、NPT体制の恩恵を受けながら、その後脱退を宣言し、公然と核兵器開発を継続した唯一の事例である。国際社会がDPRKの核問題にどのように対処するかは、世界の不拡散体制の礎石としてのNPT体制の信頼性および完全性に直接影響を及ぼす。大韓民国は、対話と外交を通じて、DPRK核問題の実質的進展と朝鮮半島における恒久的平和の実現に向けた努力を継続している。韓国は、関連する国連安全保障理事会決議に明白に違反し、世界的な不拡散体制を損なうDPRKの継続的な核計画について、IAEAの懸念を共有する。韓国は、DPRKに対し、すべての関連安保理決議に従って、すべての核兵器および関連計画を完全に放棄し、NPTおよびIAEA保障措置体制に復帰し、それらを完全に遵守するよう求める。
韓国は、イランに関する未解決の保障措置問題が依然として解決されていないことを示したIAEA事務局長報告書に留意する。韓国は、イランにおけるIAEA保障措置活動の全面的再開の重要性を強調しており、イラン核問題の解決に向けた国際社会の努力を引き続き支持している。(略)


