【脱軍備・平和情報モニター】国連総会に関する重要一次資料(2026年9月22日~9月26日)
2026.10.01
第81回国連総会に関する重要文書(2026年9月22日~9月26日)
2026年9月22日(火)
【国連】2026年国連総会における国連事務総長の演説
【日本】国連総会における高市早苗首相の一般討論演説
【米国】国連総会における米国トランプ大統領の一般討論演説
【韓国】国連総会における韓国李在明大統領の一般討論演説
【日本】国連総会出席の際、ニューヨークで行われた日米首脳会談
【日豪蘭など70か国】CTBTに関する共同閣僚声明
2026年9月26日(土)
【ロシア】国連総会におけるロシア・ラブロフ外相の一般討論演説
第81回国連総会などに関する重要一次資料(2026年8月17日~9月26日)もくじへ
2026年9月22日(火)——————————————————————————————
【国連】2026年国連総会における国連事務総長の演説 (9月22日)
出典:The Secretary General Address to the General Assembly
(ガイド)
事務総長として最後の国連総会における演説で、グテーレス事務総長は、戦争、不平等、気候変動、AIを世界が直面する4つの課題としてとりあげ、「力による支配ではなく、法の力が勝るべき」と訴えた。
(本文抄訳)
私たちの世界における亀裂は広がり続けています。 ひび割れは峡谷へと変貌しました。 過去10年間、壊滅的な結果をもたらす戦争が勃発し、卑劣な残虐性を伴って長期化しました。民間人が標的とされました。 人権は踏みにじられました。 飢餓が武器として利用されました。 人道支援者が殺害されました。 国際法は無視されました。地政学的な分断は深まりました。 不平等は激化しました。 信頼はほころび始めました。気候危機は、遠い将来の警告から日々の現実へと変わりました。(略)
私たちは明らかに多極化の世界へと向かっています。そして、その動きは不可逆的なものです。しかし、多極化がどのような形をとるかはさまざまです。一つの可能性として、分断と取引主義が横行する世界が挙げられます。(略)
しかし、別の道もあります。それは、「ネットワーク化された多極化」へと向かう道である。相互依存の上に築かれ、経済的、政治的、社会的、技術的なつながりの緻密な網によって支えられた世界。国際法と共通のルールという共通の枠組みの中で、複数の影響力の中心が共存する世界。そのような世界は、覇権主義的な傾向や、私が「大分裂」と呼んできたものを回避するのに役立つでしょう。(略)
軍事力だけでは平和を確保することはできません。経済力だけでは安定を保つことはできません。そして、技術力だけでは安全を保証することはできません。ネットワーク化された多極的な世界は、より均衡のとれた、かつ代表性のあるグローバルな問題解決のための条件を生み出すことができます。しかし、そのためには、国連を中心とし、均衡のとれた、かつ代表性のある多国間体制が必要です。(略)
私たちにはすでに、拘束力のある基盤があります。それは『国連憲章』です。そして、それに命を吹き込む原則があります。国際法の優位性。人間の尊厳の擁護。そして、あらゆる側面における正義の追求です。(略)
今後、私たちの未来は、4つの大きな「力の試練」にどう対処するかによって形作られていくでしょう。それは、戦争と平和を左右する力。 富を集中させ、不平等を助長する力。気候の混乱や自然に対する破壊を煽る力。そして、人工知能によって解き放たれた力です。(略)
21世紀における最初の「試金石」は、平和と安全保障です。平和とは、単に紛争がない状態にとどまりません。それは、法によって権力が抑制されている状態です。また、国連憲章に明記されているように、誰の生命、権利、未来が重要であるかを決定する最終的な裁定者として、武力を用いることはできないという認識でもあります。今日、その原則は深刻な試練にさらされています。(略)
もうこれ以上は許されません。 私はこの議場の指導者たちに、緊張緩和と対話のために、このハイレベル会合の週を最大限に活用するよう訴えます。 皆で力を合わせ、この議場から明確なメッセージを発信しましょう。戦闘は止めなければなりません。 人道支援は確実に届けられなければなりません。(略)
今、私たちに課せられている試練は、権力が法の範囲内で行使されるのか、それともそれを超えて行使されるのかという点にあります。私たちは、この試練を乗り越えなければなりません。二重基準を用いることなく国連憲章を守り、例外なく民間人を保護し、妨害されることなく人道支援へのアクセスを確保し、人道支援要員を確実に守り抜かなければなりません。また、遅滞なく核不拡散と軍縮を推進し、恐れや偏りなく説明責任を求めなければならりません。また、安全保障理事会を改革し、今日の世界を反映させるとともに、現代の課題が求める正当性と実効性を備えるようにしなければなりません。(略)
権力の第二の試金石は、不平等です。不平等はしばしば経済問題として捉えられがちですが、実は権力の問題なのです。機会、資源、発言権に対する権力の問題です。人類がこれほど多くの富、知識、技術力を手に入れたことはかつてありませんでした。それにもかかわらず、何十億人もの人々にとって、進歩は依然として手の届かないものとなっています。(略)
3つ目の大きな権力の試練は、気候危機です。多くの点で、これはあらゆる世代間の権力の不均衡の中でも最も深刻なものです。ある世代が、次の世代の未来を食い尽くしているのです。ある集団が利益を得る一方で、その責任が最も少ない人々が真っ先に、そして最も深刻な被害を被っているのです。(略)
4つ目の権力の試金石は技術、とりわけ人工知能(AI)です。何世紀にもわたり、権力の源泉は領土でした。その後、産業となり、さらに金融となりました。今日、権力はますますデータ、計算能力、そしてアルゴリズムから生まれるようになっています。この新たな権力は極めて集中しています。それは驚異的なスピードで進展しており、その全容を理解する私たちの能力をはるかに凌駕して突き進んでいます。(略)
AIはまさにゲームチェンジャーであり、医療の進歩、科学的発見の加速、機会の拡大、そして生活の質の向上に計り知れない可能性を秘めています。誤解のないように。危険なのは技術そのものではありません。危険なのは、説明責任を欠いた技術、すなわち、監督のない能力、透明性のない意思決定なのです。(略)
これら4つの試練すべてにおいて、決定的な課題は「力」でです。武力、資金、エネルギー、技術、ルール、そして未来に対する力です。だからこそ、国連憲章――そして国連の活動――は、かつてないほど重要になっているのです。(略)
80年以上前の世界的な大惨事という状況に直面し、国連は反抗の意思を示すものとして創設されました。それは、未来を恐怖に明け渡すことを拒む人々の反抗でした。 「力こそが正義」という自滅的な考えに対する反抗でした。 私たちの未来が互いに結びついていることを知る国々の反抗でした。 希望の反抗でした。 私は、残りの在任期間100日間、その決意と断固たる精神を持ち続けていきます。(略)
1月1日、私がもはや事務総長でなくなったとしても、このことを確信してください。私がどこにいようとも、何をしていようとも――私は「平和は実現可能である」という信念を擁護し続けます。人間の尊厳は普遍的であるということ。法の力が、力の法則に打ち勝たなければならないということ。 そして、私たちの共通の未来は、戦う価値があるということです。私は引き続き、国連憲章の価値観を擁護し続けます。そして、決して……決して諦めることはありません。ありがとうございました。
【日本】国連総会における高市早苗首相の一般討論演説(9月22日)
出典:第81回国連総会における 高市早苗内閣総理大臣の一般討論演説
(ガイド)
国連総会における一般討論演説で、高市首相は「進化した自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を発表。「核兵器のない世界」にむけた取り組み、紛争の解決において法の支配を重視してきたこと、国連改革への貢献などを述べた。
(本文抜粋)
1.総論
国際秩序に、大きな揺らぎが生じています。私達がこれまで培ってきた法の支配に基づく自由で開かれた秩序が、幾多の方向から厳しい挑戦を受けています。パワー・バランスが変化し、地政学的競争が激化する中、世界各地では、日々、無辜の市民が命を失っています。 「冷戦後の安定した時代」は既に過去のものとなりました。(略)
2.国際情勢の緊迫化から見る国際社会の課題
今年5月、私は、「進化したFOIP」を発表しました。自らの運命を自らの手で決めるために必要な「自律性」と「強靱性」と、これを経済・社会・安全保障という全ての面で各国が身につけていくことが不可欠であると訴えたのです。
この理念を具体化するものとして、日本が特に注力している3つの柱をお話します。一つ目の柱として、日本は、エネルギー・重要物資のサプライチェーンの強靱化に取り組んでいます。(略)
二つ目の柱として、日本は、平和と安定に向けた連携の強化に取り組みます。
「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組を主導することは、唯一の戦争被爆国である我が国の使命であり、核兵器国と非核兵器国の双方が参加する「核兵器不拡散条約(NPT)体制」の維持・強化に向けて、国際社会の連帯を強く呼びかけます。また、日本としても、核戦力の透明性向上や被爆の実相の理解促進といった、現実的かつ実践的な取組を粘り強く前に進めていきます。(略)
3つ目の柱として、日本は、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の維持・発展に貢献します。力また威圧による一方的な現状変更の試みは、国連憲章に掲げられた原則に反するものであり、世界のどこであっても認めることはできません。
その最たる例が、ロシアによるウクライナ侵略です。国際社会の平和と安全に特別な責任を有するはずの安全保障理事会の常任理事国が、他国を侵略し、その自国の行為に係る決議に拒否権を行使するような状況が起きています。このような現状では、安全保障理事会は、国際社会の平和のために機能していないと言わざるを得ません。(略)
3.日本の国連・多国間主義へのコミットメント
(略)技術革新から生じている課題もあります。AIの進歩は、人類に飛躍的な機会をもたらす一方、安全保障上の挑戦にもなっており、事実に基づかない情報やプロパガンダの拡散への対策も急務です。日本は、「広島AIプロセス」を立ち上げ、生成AIを規律する初の国際規範を策定すると同時に、同志国やグローバルサウス諸国と「安全、安心で信頼できるAI」エコシステムを共に創ろうとしており、高性能AIのリスクに対応するため、安全性に関する協力も強化してまいります。これらの取組を加速すべく、AIサミットを早期に日本で開催したいと考えています。(略)
しかし、これらの課題解決は1か国だけでは実現できません。今こそ、国連の旗を高く掲げ、その下で加盟国が力を結集して、ルールを練り上げ、協力の枠組みを築くことが必要です。地球規模でその舵を取ることができる唯一の存在が国連だと、私は確信しています。
そのためにも、国連の改革が不可欠です。国連は一つの「器」であって、その中身を決める責任は、私達、加盟国にあります。国連の制度疲労を嘆くのではなく、加盟国が心を一つにして、国連改革を力強く進め、より強靱かつ実効的な国連に変革していくべきです。グテーレス事務総長の成果を礎として、歩みを進めましょう。
同時に、81年を経た国連憲章も、見直されなければなりません。「旧敵国条項」について、2005年には、全加盟国首脳の決意として、国連憲章から「敵国」への言及を削除するとの国連総会決議が採択されています。この決議に従い、同条項は早急に削除されるべきです。70年間に渡り、国連の取組に大きく貢献してきた日本の誇りと名誉にかけて、強く申し上げておきます。(略)
4.結語
日本は、国連加盟以来70年間、専守防衛の考え方の下、平和国家として、国際社会の平和と繁栄に一貫して貢献してきました。また、ルール・制度づくりと現場の支援の両輪で、国連と歩みを重ねてきました。そして、この方針は、今後も一切変わりません。この歴史を踏まえ、日本は、国連の理念という希望の灯を守り、その光を未来につないでいく責任を感じています。
そのため、国連と多国間主義へのコミットメントを新たに、これからも着実に行動していきます。国連自身も、世界が揺らぐ今こそ、より強靱かつ実効的な国連に生まれ変わり、信頼を取り戻さなければなりません。日本は、そのような「国連と共に、インド太平洋を、そして国際社会を、より強靱に豊かにして、平和と繁栄を創る」決意です。
【米国】国連総会における米国トランプ大統領の一般討論演説(9月22日)
出典:UN General Assembly General Debate: United States of America, His Excellency Donald Trump, President
(ガイド)
国連総会における一般討論演説で、トランプ米大統領は主にイランとの戦争について時間を割き、和平交渉を進めるか、イランを再攻撃するか、の重大な決断に直面していると述べた。また国連の活動への批判、AI開発規制への反対、ICC(国際刑事裁判所)への批判などについて述べた。
(本文抄訳)
事務総長、米国大統領夫人、ご来賓の皆様、各大使、そして各国の指導者の皆様。
輝かしい自由と独立の250周年を祝うこの機会に、世界各国の方々をアメリカにお迎えできることを、大変光栄に存じます。自由の大義がこの大陸に根を下ろしてから2世紀半が経ちましたが、私は誇りを持って皆様に申し上げます。アメリカは復活しました。そして、わが国はかつてないほど強くなっています。わが国の経済は世界から羨望の的となっています。わが国の軍隊は地球上で最も強力です。わが国の技術は他に類を見ず、事実上あらゆる分野で世界をリードしています。わが国のエネルギーは地球を動かしています。アメリカは台頭しつつあります。(略)
歴史上最も非凡な国の大統領として、私は危険が一日でも増大するのを放置するつもりは毛頭ありません。問題を放置して悪化させるようなことは、私はしません。
そうすれば、解決はますます困難になるだけです。他者がただ語っている間、私は行動してきました。他者が平和を説いている間、他者が脅威を無視している間、私は平和を築いてきました。他者が勇気を説いている間、私は脅威に立ち向かってきました。
他者が強さを約束している間、アメリカはそれを実証してきました。(略)
51年にわたり、狂信的なイラン政権は流血と大量殺戮によって支配を続け、中東全域およびその先へと死と虐殺、そして混乱を広めてきました。
彼らはかつて中東の「いじめっ子」でしたが、もはやそうではありません。
私が政界に足を踏み入れたその日から、私の姿勢は揺るぎないものでした。
私は、イランが核兵器を保有することを決して許しません。
昨年、就任するとすぐに私はイランとの交渉を開始し、核開発計画とテロ支援の停止と引き換えに、全面的な経済協力を提案しました。しかし、彼らは拒否したのです。断固として拒否したのです。それは大きな過ちでした。その後、「ミッドナイト・ハンマー作戦」において、米軍はイランの核開発計画を瓦礫の山の下に葬り去ったのです。(略)
多くの大統領やその他多くの人々は、この問題をただ無視しようとしていました。
彼らはこの問題に対して何らかの措置を講じることを望んでいませんでしたが、問題の存在は認識していました。イランに合意に至るためのあらゆる機会を与えた後、私は、米国も、そしていかなる国も、このような悪夢のような、壊滅的な問題に二度と直面することのないよう、行動を起こしました。「エピック・フューリー作戦」の結果、イラン海軍の艦艇159隻すべてが今や海底に沈んでいます。同様に、イラン空軍も消滅しました。レーダーも、対空装備も失われました。ミサイルやドローンの製造能力も、ほぼ失われました。(略)
しかし、私には重大な決断を下さなければなりません。イランと、彼らが再建し、かつてないほど強大な国を築き上げることができるような合意を結ぶべきでしょうか?おそらく中東で、あるいは世界でも有数の大国になるかもしれません。それとも、イスラム共和国を迅速に殲滅し、彼らが再び人々や国々を殺戮し破壊する機会を一切与えないべきでしょうか?彼らを、生き残る見込みも、将来の栄光や次世代への希望も全くない地獄へと追い込むべきでしょうか?しかし、私は選挙直後に合意が成立すると信じています。なぜなら、彼らにとって合意しないことには何の意味もないからです。(略)
大きな変化は起こり得るものであり、しかも急速に起こるものです。1年前、私がこの会場で偉大な指導者たちに演説したとき、ガザでの戦争は依然として凄まじい勢いで続いていました。人質たちは依然としてハマスのトンネルの奥深くに閉じ込められており、終結の兆しは全く見えませんでした。この問題は決して解決されることはないと思われていました。
しかし、ここ国連総会の場外で、私たちは最初の一歩を踏み出しました。それがすべてを変えたのです。その数週間後、私たちはガザでの戦争を終結させ、数え切れないほどの命を救いました。(略)
我々はロシアとウクライナの指導者たちと非常に緊密に連携しており、この問題を必ず解決するつもりです。人々が思っているよりも、もっと早く事態は収束するでしょう。彼らは……毎月2万5000人の若者、その大半が兵士だが、毎月2万5000人が命を落としている。
そして、私はあの戦場の写真を見るたびに、もう二度と見たくないと思います。(略)
ここ国連では、マイケル・ウォルツ大使の主導のもと、この会場におられる多くの国々と協力し、史上最も抜本的な国連改革を実施してきました。私たちは、史上初めて国連予算を削減し、2026年には15%の削減を実現するとともに、国連の官僚機構から4000以上のポストを削減しました。国連には、計り知れないほどの大きな可能性が秘められています。私は長年にわたりそう述べてきましたが、国連は、誰も選出したことのないグローバリスト官僚たちの極左的なアジェンダを押し付けることを止めなければなりません。昨年、私の政権は、あまり知られていない国連機関である国際海事機関(IMO)が、史上初となる世界的な炭素税――国際海運コストを10~20%押し上げる非常に高額な税――を密かに導入しようとするのを阻止するため、介入を余儀なくされました。(略)
米国は、国際刑事裁判所(ICC)という、制御不能な機関に対しても同様に反対しています。我々は、米国に対して管轄権を持たない反米的な裁判所や、悪意に満ちた集団によって、米国の軍人をはじめとするいかなる者も捜査の対象とされたり、見せしめ的な裁判にかけられたりすることを決して許しません。私は、ICCの加盟国すべてに対し、この無法な機関から直ちに正式に脱退するよう求めます。(略)
超知能。あらゆる主要な新技術には課題が伴うものであり、超知能も例外ではありません。
しかし、地球温暖化のせいで「12年後には人類は全滅する」と主張していたのは、まさに同じ人々です。その後、地球は温暖化ではなく寒冷化していたため、その呼称は「気候変動」へと改められたが、結局誰も死んではいませんでした。今、AIが人類を全滅させるとか、ロボットが人類を襲うとか、すべてが完全な大惨事になるとか言っているのも、まさにその同じ人々です。 (略)
しかし、我々は超知能の発展を後押しするだけです。我々はそれを抑制するのではなく、後押しするつもりです。司法省を通じて、その動向を注意深く見守っていくつもりです。米国は超知能の分野で世界をリードしており、今後も安全かつ責任ある形でその地位を維持し続けていきます。アメリカ国民は、その挑戦がいかに大きく、いかに困難であろうとも、未開拓の分野から退いたり、挑戦を恐れたりすることのない国民です。
【韓国】国連総会における韓国李在明大統領の一般討論演説(9月22日)
出典:Address by His Excellency Lee Jae Myung President of the Republic of Korea (Unofficial Translation)
(ガイド)
李在明大統領は、国連総会一般討論で演説し、国連改革や多国間協力を訴えるとともに、朝鮮半島の「平和共存」に向けた三つの構想を提示しました。相互尊重、危機管理と意思疎通、北東アジアの協力を柱に、米朝対話の早期再開と恒久的な平和体制の構築を呼びかけ、核・ミサイル能力の段階的削減にも言及しました。
(本文抄訳)
(略)朝鮮半島の平和について言えば、大韓民国は、国際連合がもたらした変化を身をもって知っています。
35年前、まさにこの場で、南北両朝鮮は国連加盟国として認められました。それは、平和共存の基礎を築き、分断に続いてきた絶え間ない対立と対峙からわれわれを解放する、決定的な転換点でした。
1年前、私はこの場から、大韓民国は「朝鮮半島における平和共存と共同成長」に向けた新たな旅を始めると述べました。
今日、われわれがこの新たな旅に出発するにあたり、私は国際社会に対して、朝鮮半島における平和共存への道筋について、3つの青写真を提示したいと思います。
第一は、相互尊重に基づく包摂的な平和共存です。それぞれの体制を尊重し、われわれの相違を認めることを基礎として、われわれは協力を通じた共同成長の方法を模索します。
われわれは、国際舞台において北朝鮮を引き続き尊重し、可能な限りあらゆるところで協力を求めていきます。われわれは、公衆衛生、災害対応、気候危機などの分野で、国際社会においてわれわれがともに取り組む機会が生まれることを期待します。
第二は、紛争を不要にする安定した平和共存です。われわれは、危機を防止し、紛争を管理するための仕組みを設けるよう取り組みます。
基本的な意思疎通の経路を再構築し、信頼を築くことが、安定した平和共存に向けた第一歩となります。
第三は、世界平和に貢献する責任ある平和共存です。
われわれは、戦争と核兵器のない朝鮮半島を築くことを超えて、北東アジアの安定と協力を促進するとともに、戦争と紛争のない世界を築くための国際的な努力に積極的に貢献していきます。
最も重要な課題は、朝鮮半島におけるこの数十年にわたる戦争を終結させ、恒久的な平和体制を確立することです。
数十年にわたり、南北両朝鮮は、米国や中国などの主要国とともに、朝鮮半島における平和体制の必要性を認識し、それを実現する方法について協議してきました。
幸いにも、最近、トランプ大統領の決意が、苦労して得られた変化の機会を生み出しました。
私は、長期間中断されている北朝鮮と米国との対話が、遅滞なく再開されることを期待します。
われわれは、これが、朝鮮半島における戦争を終結させ、平和体制へ移行することを目的とした当事国間の対話へと発展するための土台を築くと考えています。
私は、朝鮮半島における平和体制を確立するための対話が、関係当事国間の関係を正常化するためだけでなく、多国間協力を通じて共同成長を促進し、北東アジアの安定と協力を促進するための、価値ある枠組みを提供できると確信しています。
この過程において、われわれはまず、北朝鮮の核およびミサイル能力のさらなる進展を止めることから始め、続いて中期的にはそれらを削減し、長期的には核兵器のない朝鮮半島に向かって進んでいきます。
私は、35年前に朝鮮半島の平和共存のための決定的な契機をつくった国際連合と、国際社会の平和と安定を守ってきた安全保障理事会が、再び責任ある建設的な役割を果たすことを期待します。
朝鮮半島の平和の直接の当事者として、またペースメーカーとして、私の政府は、対話への道を開き、それを維持するためにあらゆる努力を尽くします。(略)
【日本】国連総会出席の際、ニューヨークで行われた日米首脳会談(9月22日)
出典:外務省日米首脳会談(2026年9月22日)
(ガイド)
高市早苗首相は、国連総会出席のためニューヨーク訪問中に、米トランプ大統領と首脳会談を行った。日米同盟のさらなる強化、インド太平洋情勢、国際刑事裁判所(ICC)について、意見交換をおこなった。
(本文全文)
現地時間9月22日、午後1時5分から約35分間、国連総会出席のためニューヨークを訪問中の高市早苗内閣総理大臣は、ドナルド・J・トランプ米国大統領と日米首脳会談を行いました。
1.両首脳は、昨年10月のトランプ大統領の訪日、また、本年3月の高市総理の訪米の成果を踏まえ、経済安全保障や経済、安全保障など幅広い分野での協力を更に強化し、日米同盟を一層強固なものにしていくことで一致しました。
(1)両首脳は、AIや半導体、重要鉱物といった分野で、技術競争に勝ち、強靱性を高めるための経済安全保障分野での協力が着実に進んでいることを確認した上で、更なる協力の強化を図ることで一致しました。
(2)両首脳は、関税に係る日米間の合意の着実な実施の重要性を改めて確認し、双方で協力を進めていくことで一致しました。
(3)両首脳は、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎である日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた取組を一層推進することを確認しました。
2.両首脳は、インド太平洋情勢について意見交換を行いました。
(1)両首脳は、来る米中首脳会談も念頭に、経済安全保障を含む中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、日米で緊密に連携していくことで一致しました。
(2)両首脳は、北朝鮮情勢についても意見交換を行い、核・ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に向けた確固たるコミットメントを改めて確認しました。また、拉致問題の即時解決について、トランプ大統領から、全 面的な支持を得ました。
(3)両首脳は、日米豪印(Quad)等の枠組みの重要性を改めて確認すると共に、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を力強く推進していくことで一致しました。
3.このほか、両首脳は、国際刑事裁判所(ICC)などについても率直なやり取りを行いました。
【日豪蘭など70か国】CTBTに関する共同閣僚声明(9月22日)
出典:2026 Joint Ministerial Statement on the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty
(ガイド)
2026年9月22日に国連本部で開かれた「CTBTフレンズ」閣僚会合を受けた共同声明。CTBT採択30周年を機に、条約の早期発効と核実験禁止の国際規範の強化を確認した。未批准の発効要件国9か国(米、露、中、印、朝、エジプト、イラン、イスラエル、パキスタン)に署名・批准を求めるとともに、核実験再開への懸念、検証体制の維持・強化、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の核実験への非難を表明している。
(本文抄訳)
1.2026年9月22日に開催された「CTBTフレンズ」閣僚会合を歓迎し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効の重要性を強調する。(略)
2.CTBTの30周年を迎えるにあたり、国際の平和と安全に対する同条約の重要な貢献を強調する。CTBTの発効は、核兵器不拡散条約(NPT)の完全な履行に向けた我々の共通の決意において、なお不可欠な一歩である。最近のNPT運用検討会議でも、締約国から強い支持を得て、核軍縮・核不拡散の課題におけるCTBTの中心的役割が再確認された。我々は、「いかなる核兵器の実験的爆発またはその他の核爆発」を禁止する、法的拘束力を有し、普遍的かつ検証可能な禁止措置への全面的な支持と、条約に対するコミットメントを改めて確認する。この禁止は、核兵器の拡散、開発および質的向上を抑制し、核兵器のない世界に一歩近づくことにつながる。
3.CTBTは、これまでに188か国が署名し、179か国が批准しており[1]、普遍化に近づいている。(略)トンガ王国による批准を歓迎する。これにより、太平洋地域における条約の普遍化が完了した。我々は、まだ署名・批准していないすべての国、とりわけ9つの附属書2の国に対し[2]、これ以上遅らせることなく、また何らの前提条件も付けずに条約に署名・批准するよう、引き続き強く求める。(略)
4.いずれの国によるものであれ、核兵器の実験的爆発その他の核爆発は、国際の平和と安全に有害であり、不安定化をもたらすものである。それは、多国間軍縮の枠組みに対する信頼を損ない、新たな核軍拡競争を引き起こし、さらに加速させる危険を伴う。核兵器の実験的爆発が再開されれば、人道上および環境上の深刻な懸念も生じる。このことからも、CTBTの発効を実現することの重要性は明らかである。
5.条約が発効するまでの間、我々は、CTBTの趣旨および目的を損なういかなる行動も控えるよう、すべての国に求める。また、関係国に対し、すべての核兵器の実験的爆発その他の核爆発に対して現在実施している国家的モラトリアムを遵守するよう求める。これらのモラトリアムへの信頼を回復するため、新たな具体的措置を策定・実施することも重要である。可能な場合に関連する国内の地震データを共有することなど、自主的な透明性措置は、条約の検証体制および核実験に反対する世界的規範への信頼を高める上で重要な貢献となり得る。
6.我々は、DPRKが2006年以来実施してきた6回の核実験について、それらがCTBTの趣旨および目的を損なうものであるとして非難してきたことを想起する。そしてDPRKに対し、関連するすべての国連安全保障理事会決議を完全に遵守するとともに、核兵器、弾道ミサイルおよび関連計画の完全で、検証可能かつ不可逆的な廃棄に向け、具体的な行動をとるよう強く求める。我々は、DPRKが新たな核実験を行うことはいかなる場合にも無責任であり、受け入れられないものであると改めて表明し、DPRKに対してCTBTへの署名・批准を求める。
7.我々は、準備委員会に対し、検証体制の能力を引き続き整備・維持するとともに、各国当局を対象とする能力構築・訓練プログラムを継続して実施するよう求める。(略)
9.(略)機関が厳しい財政状況に直面していることを踏まえ、我々はすべての署名国に対し、割り当てられた分担金を全額、期限どおりに支払うことを最優先事項として求める。(略)
11.CTBTは、採択から30年にわたり、国際社会のために機能してきた。しかし、条約が発効し、批准国および加入国に対して法的拘束力を持つようになるまでは、核実験に反対する世界的な規範を当然のものとみなすことはできない。したがって、CTBTの30周年を祝うにあたり、我々は、条約の発効を一日も早く実現するとの決意を改めて確認する。
注
[1] 2026年9月22日現在。
[2] 発効に必要な批准をまだ行っていない附属書2の国は、以下の9か国である。中国、朝鮮民主主義人民共和国、エジプト、インド、イラン(イスラム共和国)、イスラエル、パキスタン、ロシア連邦、米国。
2026年9月26日(土)——————————————————————————————
【ロシア】国連総会におけるロシア・ラブロフ外相の一般討論演説(9月26日)
出典:Permanent Mission of the Russian Federation to the United Nations – russiaun.ru
(ガイド)
ラブロフ外相の国連総会演説は、多極化する世界秩序の形成を強調し、グローバル・サウスと東側諸国の役割拡大を訴えた。ウクライナ問題ではロシアの立場を改めて主張し、西側諸国とNATOを批判した。また、安保理改革ではアジア・アフリカ・ラテンアメリカの代表拡大を支持し、ユーラシアの新たな安全保障枠組みの構築を提唱した。
(本文抄訳)
(略)グローバル・サウスと東側の国々は、主権を有する成長の中心として自らの存在を主張し、それぞれの地域における安全保障を確保する責任を引き受けつつあります。(略)
しかし、これは誰もが気に入るものではありません。他者の資源を搾取することによって5世紀にわたり支配してきた西側の少数派は、その特権を保持し、他のすべての者に自らの「ルール」を押し付けようとする試みを続けています。(略)
今年初め、道徳的な規範を含むあらゆる規範に違反して、米国によるベネズエラ侵攻は、ニコラス・マドゥロ大統領とその妻の拘束、そして彼らをアメリカの刑務所に裁判なしで収監するに至りました――国際法が、国家の高位の当局者の免除と不可侵性の尊重を明確に義務づけているにもかかわらずです。我々は、ベネズエラの指導者とその配偶者の即時釈放を要求し、また、このような暴挙が将来繰り返されないことを要求します。
我々は、イランの最高指導者、アヤトラ・アリー・ハメネイ師が、その家族のメンバー、ならびにイスラム共和国の軍事的・政治的指導部のメンバーとともに殺害されたことを、力の独裁の容認できない現れであるとみなしています。とりわけ憂慮すべきなのは、昨年6月に始まった米国・イスラエルによる侵略が、イランの民間インフラだけでなく、IAEAの保障措置によって保護されている平和的な核施設をも標的にしたことです。これは、同機関の信頼性、そして核不拡散体制全体に、取り返しのつかない損害をもたらしました。(略)
同じように国際法を軽視する姿勢において、キーウ政権の外部の支援者たちによる無謀な行動は、国際の平和と安全に対する重大な脅威となっています。ロシアを封じ込めるというユートピア的な目標のために、西側は自らの手で欧州の安全保障体制を破壊し、キーウにおける反ロシア的な政権を育ててきました。いまや、自らの努力が無益であることを認識した欧州は、平和的な解決を妨げ、交渉を脱線させるためにあらゆることを行っています――このことは、トランプ政権を含め、多くの者が関心を寄せているプロセスです。西側はウクライナへの武器の果てしない流入を続け、同政権がドローンやミサイルを民間人および民間インフラに向けることを支援しています。西側では、ロシアに「戦略的敗北」を与えることを夢見ています。しかし、そのような夢は、これまで何度も起きてきたように、戦争を煽る者たち自身を戦略的な行き詰まりへと導くことになります。(略)
私たちの原則的な立場は、安全保障理事会の改革によって、軍事化と復讐主義の道を歩んできた西側諸国――とりわけドイツと日本――に、追加の議席を与えることはできないというものです。私たちは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカによる代表の拡大のみを支持しており、ブラジルとインドの常任理事国への立候補を支持しています。一方で――そして、ここは強調したいのですが――アフリカ大陸の利益については、エズルウィニ・コンセンサスおよびシルテ宣言を十分に考慮して満たされなければなりません。(略)
永続的な平和を確保することができるのは、世界の主要国間の危険な対立を終わらせることによってのみです。これを達成できるのは、国連憲章と「平等かつ不可分の安全保障」という原則を厳格に遵守することによってのみです。この原則とは、一つの国家の安全保障を他の国家を犠牲にして確保することを控えることを意味するものであり、また、いかなる国も、あるいは国家のグループも、あるいは組織も、安全保障における支配を主張することは受け入れられない、ということを改めて申し上げます。これは主としてNATOに当てはまります。NATOは、その勢力範囲の地理的範囲をはるかに越えて、東南アジアや北東アジアを含め、その破壊的な影響力を広げようとしています。(略)
