2022年度 第1回「脱軍備・平和基礎講座」報告

2022.06.01

沖縄返還50年の歴史から学ぶ」講師:若林千代沖縄大学教授

2022年5月28日(土)14時から16時まで若林千代さん(沖縄大学教授)による2022年度第1回脱軍備・平和基礎講座「沖縄返還50年の歴史から学ぶ」がオンラインで実施された。講座には合計22名(通し参加者13名、単発参加者1名、スタッフ8名)が参加した。

講座は1609年の薩摩藩の琉球侵攻から現在に至るまでの沖縄の歴史をかいつまんで紹介するという内容であった。講師によると、沖縄史には4つの重要な年があるという。1609年(薩摩藩の琉球侵攻)、1879年(琉球処分:琉球王国の解体と沖縄県の設置)、1945年(沖縄戦、米軍支配の開始)、1972年(日本復帰)である。このうち、1879年の琉球処分、すなわち、日本による沖縄併合は、清王朝の華夷秩序が欧米列強によって解体される過程に日本が便乗したことで実現に至ったという。この指摘は目からウロコであった。周知の通り、琉球王国は薩摩藩に武力征服された後も清との朝貢関係を維持した独立国家であった。アヘン戦争や清仏戦争の敗北で清が弱体化し、安南(ベトナム)などの朝貢国を手放さざるを得なかった時期に、日本が清からの軍事介入はないと見越して琉球を併合したということであろう。その後も日本と清の間で国境確定の交渉が続いたが、日清戦争(1894~95年)で日本が台湾を獲得したことで、それより日本に近い先島諸島なども日本の領土となったとのことだ。

講師の話を伺って思い至ったのだが、沖縄の人びとは、琉球処分以降、日米両政府の植民地主義に苦しめられ続けてきたと言える。戦前の沖縄はいわば日本の植民地であり、1945年から1972年までは米国の植民地であった。そうした状況の中で、日本本土にあった米軍基地が沖縄に集約され、沖縄の人びとが過重な負担を強いられている。その後も日米両政府は、辺野古が唯一の解決策などと強弁し、強者の論理を沖縄の人びとに押し付けてきた。植民地主義を「自分達が上で相手が下だという発想の下で押しつける自己中心的な考え方」とするなら、沖縄返還から50年が経った現在も、沖縄の人びとは日米両政府の植民地主義に苦しめられていると言える。

沖縄返還50年を機に、改めて、沖縄の人びとの視点に立ち、植民地主義的政策の批判を続けることの大切さを感じた講義であった。

(文責:渡辺洋介)