核兵器・核実験モニター バックナンバー

【日誌】核・ミサイル/沖縄(16年1月6日~1月20日)

公開日:2017.07.24

ACSA=物品役務相互提供協定/CTBTO=包括的核実験禁止条約機関/DPRK=朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)/EEZ=排他的経済水域/GCC=湾岸協力会議/MD=ミサイル防衛/TTP=パキスタン・タリバーン運動/2+2=外務・防衛閣僚会合


●1月6日 DPRKが4度目の核実験。初の水爆実験であり自衛的措置と主張。(本号参照)
●1月6日 DPRK核実験で国連安保理が緊急会合。報道声明で核実験を過去の安保理決議への明白な違反とし強く非難。
●1月7日 韓国与党セヌリ党幹部が「韓国も自衛レベルの平和的な核を持つ時」と主張。
●1月7日 安倍首相、参院本会議の代表質問への答弁で、DPRK核実験に対し日本独自の制裁強化も検討と発言。
●1月7日 米韓の防衛、外務閣僚がそれぞれDPRK核実験につき電話会談。
●1月7日 CTBTO(本部ウィーン)準備委が署名国の緊急会合。DPRK核実験を非難し条約の早期発効を訴える議長声明を発表。
●1月7日 日印両政府が東京で外務次官対話。日印原子力協定締結に向け協議。
●1月8日 中韓の外相、日韓の国防相がそれぞれ電話でDPRK核実験への対応協議。
●1月8日 都内で日英2+2。DPRK核実験で安保理決議へ連携確認。自衛隊・英軍間のACSA早期締結など盛り込んだ共同声明採択。
●1月8日 衆参両院が本会議でDPRK核実験への抗議決議を全会一致で採択。(本号参照)
●1月10日 DPRK核実験受け、米太平洋軍が核兵器搭載可能な戦略爆撃機B52を韓国に派遣、ソウル近郊を低空飛行。
●1月11日 アフガン政府とタリバーンの和平交渉を再開させるため、イスラマバードでアフガン、パキスタン、米、中が初の協議。
●1月12日 高村自民党副総裁がモスクワでラブロフ露外相と会談。DPRK核実験巡り安保理決議採択へ連携。ラブロフ氏は米が日韓で強化を計画するMDを批判。
●1月12日 米軍の比国での「再駐留」を可能にする米比軍事協定につき比最高裁が合憲判断。比憲法は外国軍駐留を禁じる。
●1月12日 米下院本会議、DPRKへの米独自の金融制裁法案を圧倒的多数で可決。核・ミサイル開発のための外貨獲得阻止図る。
●1月13日 DPRK核問題6者協議の日米韓首席代表がソウルで会談。より厳しい新手段の制裁必要、中国の役割が重要、で一致。
●1月14日 DPRK核問題6者協議の中韓首席代表が北京で会談。韓国側は厳しい制裁求め、中国側も制裁に前向きな姿勢を示す。
●1月15日 韓国世論調査結果が発表。DPRK核実験受け54%が核保有賛成、38%が反対。
●1月15日 ブルキナファソ首都ワガドゥグで高級ホテルが襲撃される。アルカイダ系武装勢力が犯行声明。宿泊客ら29人死亡。
●1月16日 DPRK核実験巡り日米韓外務次官が都内で会談。強力な安保理制裁決議の採択へ連携し中国に全面協力求めると確認。
●1月16日 イランの核開発問題に対する欧米などの制裁解除が発表。総額500億ドルの凍結資産の支払開始。
●1月19日付 イラン制裁解除に合わせ、イスラエルが米国に対し軍事援助の大幅増を要望していると判明。
●1月19日付 プーチン露大統領、イランの脅威を理由に米国が配備を進めてきた欧州MDにつき強く中止求める考え。
●1月19日 習中国国家主席、リヤドでサルマン・サウジ国王と会談。原子力や宇宙分野の協力強化、テロ対策の連携などで合意。
●1月19日 安保法制に反対する憲法学者、SEALDsメンバー、弁護士ら約200人の「立憲主義を取り戻す国民運動委員会」が発足。
●1月20日 パキスタン北西部の公立大学で武装集団が銃乱射、少なくも20人死亡。反政府勢力TTPが犯行声明。

沖縄

●1月6日 MV-22オスプレイ、クラスA事故率が倍増。普天間配備時に10万飛行時間あたり1.93件から15年12月時には3.69件に。
●1月7日 県、嘉手納町を悪臭防止法に基づく規制地域に指定する方針。嘉手納基地からの悪臭原因解明へ。
●1月7日 第2次普天間爆音訴訟、現地進行協議。裁判長らが飛行場周辺を視察。さつき保育園で70.4dbの騒音を観測。
●1月7日 県、ジュゴンの実態調査実施へ。2016年度から2年計画。辺野古沖・金武湾・古宇利島近海など沖縄本島周辺4海域で。
●1月8日 辺野古代執行訴訟、第2回口頭弁論。多見谷裁判長、国へ行政不服審査に加え代執行訴訟を提起した理由の説明求める。
●1月8日 石垣市陸自配備計画。候補地に隣接する開南地区が配備反対決議。
●1月8日 中国海警局の船2隻、尖閣諸島周辺の日本領海に侵入。喜屋武岬南東のEEZでは、中国の海洋調査船の活動を確認。
●1月10日付 アフガニスタン配備の米海兵隊MV-22オスプレイ90.4時間に1件の事故。同国配備航空機の事故割合の約40倍。
●1月10日 本部町島ぐるみ会議、「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」に参加。
●1月12日 普天間飛行場の基地負担分散へ全国組織を立ち上げ。岩国市議長が提案。「5年以内運用停止」に向けた協力を模索。
●1月13日 防衛省、先島諸島に陸自ヘリ部隊配備を検討。衆院安保委で答弁。
●1月14日付 笹川平和財団米国ブレア会長ら、沖縄の基地問題に関する報告書を発表。在沖海兵隊のグアム移転促進など提言。
●1月15日付 宮古島陸自配備計画。昨年12月、沖縄防衛局が市に対し水源地への影響審査のため「協議書」を提出。
●1月15日 沖縄防衛局、辺野古新基地建設現場の大浦湾で音波探査開始か。埋立て予定海域の地層状況把握へ。
●1月15日 石垣市陸自配備計画。候補地に近接する開南・嵩田・於茂登、3区共同で防衛省へ抗議文。同省との意見交換会も拒否。
●1月17日 宜野湾市長選告示。現職・佐喜真氏と新人・志村氏の一騎打ち。
●1月18日付 嘉手納町、比謝川などから国内で原則使用禁止の化学物質PFOS検出。嘉手納基地から流入か。県企業局が調査へ。
●1月19日 県、辺野古埋立承認取消に関し審査申し出を却下した国地方係争処理委の判断を受け、国との新訴訟提起を表明。

くわしく

【資料紹介】世界の軍事マップ

公開日:2017.07.24

 2014年9月21日、世界平和デーに合わせて始まった「戦争を超えた世界を」(World Beyond War)キャンペーンは、ウェブサイトに“Mapping Military Madness”(直訳:軍事の愚行を地図にする)という軍事地図を掲載し、毎年データを更新している。そこでは、「戦争」「兵器(武器輸出)」「兵器Ⅱ(武器移転協定)」「米兵器の輸入」「軍事費」「核兵器」「生物化学兵器」「世界の米軍基地」「空爆」「法律」「平和安全の促進」の11項目にわたり、世界の動向を示す具体的データを世界地図の形に視覚的に表示している。地図は、知りたい国にポインターを合わせたりクリックすると、その国の色が変わり、数値が表示されたり、グラフと連動したりと、いわゆる双方向型となっている。是非ともサイトを訪れてみていただきたい。
 以下では、その中から①軍事費、②アフガニスタン派兵の兵員数(「戦争」の下部項目)、の2項目を選び、上記サイト掲載のデータをもとにピースデポが図表に整理し直したものを紹介する。(編集部)

1 本誌459号(2014年11月1日)に呼びかけ文全訳。
2 URLは以下。 http://worldbeyondwar.org/mapping-military-madness-2015-update/

くわしく

<資料4> 衆参両議院の抗議決議

公開日:2017.07.24

衆議院

北朝鮮による四度目の核実験に対する抗議決議
(第一九〇回国会、決議第一号)
 去る一月六日、北朝鮮は、水素爆弾の実験を実施した旨発表した。これは、国連安保理決議二〇八七号、二〇九四号などの一連の決議や六カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反し、実に四回目となる核実験である。
 今般の核実験は、これらの国際社会の声を無視して強行されたものであり、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であるばかりでなく、唯一の被爆国のわが国として断じて容認できない暴挙であり、厳重に抗議し、断固として非難する。
 本院は日本国民を代表して、今般の核実験に対し重ねて厳重に抗議するとともに、北朝鮮が、これまでの諸合意に従って速やかに全ての核を放棄し、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むことを強く要求する。
 さらに、国連安保理決議などを踏まえ、国際社会が結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。そして政府は、国連安保理非常任理事国として、国連安保理における議論を主導するとともに、国際社会が結束して北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題の早急な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。
 右決議する。
(河村建夫君外十五名発議)

参議院

北朝鮮による四度目の核実験に対する抗議決議
平成28年1月8日 参議院本会議
 去る一月六日、北朝鮮は、四回目の核実験を行った。これは、一連の国連安保理決議や六者会合共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反するものであり、断固抗議するものである。
 国際社会は、累次にわたる北朝鮮の挑発行動を受けて、国連安保理において、北朝鮮に対し、すべての核兵器・核計画放棄を求め、更なる弾道ミサイル発射や核実験の場合には安保理が重要な行動や措置をとる決意を表明すること等を内容とする決議二〇八七号、二〇九四号等を採択するなど、懸念を表明していた。
 今般の核実験は、これらの国際社会の声を無視して強行されたものであり、度重なる核実験は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であるばかりでなく、唯一の被爆国の我が国として断じて容認できない暴挙であり、厳重に抗議し、断固として非難する。
 本院は日本国民を代表して、今般の核実験に対し重ねて厳重に抗議するとともに、北朝鮮が、これまでの諸合意に従って速やかに全ての核を放棄し、IAEAの査察を受け入れ、朝鮮半島の非核化に取り組むことを強く要求する。
 また、北朝鮮による核・弾道ミサイルの開発は、北東アジアのみならず国際社会全体の平和と安定を脅かすものであり、政府は米国、韓国をはじめ、中国、ロシアなど国際社会と連携し、我が国の安全を確保し、国民の不安を払拭すべく万全の措置を講ずるべきである。
 さらに、一連の国連安保理決議を踏まえ、国際社会が結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。そして政府は、国連安保理非常任理事国として、国連安保理における議論を主導するとともに、新たな制裁措置を含む安保理決議が具体化されるよう努力すべきである。北朝鮮に対する制裁の徹底及び追加的制裁など断固たる措置を引き続き実施することを通じて、北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題の早急かつ包括的な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。
 右決議する。
(松山政司君外十四名発議)

くわしく

<資料3> 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会声明

公開日:2017.07.24

【資料3】
2016年1月6日朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による核実験に関する世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会声明
 公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は、北朝鮮によるこの度の核実験に対し深く憂慮し強く反対を表明する。さらに世界の平和と安全のために、すべての核兵器が廃絶されることを改めて訴えるものである。
 北朝鮮は過去3度、 2006年10月9日、2009年5月25日、 2013年2月12日に核実験を強行してきた。これらの核実験に対し、WCRP日本委員会は国際法及び国連安全保障理事会 決議に対する明確な違反であること、 そして北東アジアのみならず広く国際社会に深刻な脅威を生起させ、国際 的な緊張をさらに高めるものとして その都度、遺憾の意を表明し、国連をはじめ関係諸国に対して適切な措置や対話による事態解決を要望してきた。
 2016年1月6日に北朝鮮が実施した核実験は、これまで国際社会が懸命に築いてきた核軍縮・不拡散体制に対する挑戦とも言うべきものであって、北東アジアの国々に不信を増長させ、不要な対立を生み出すものであるだけでなく一層深刻化させるものである。さらには二度と原爆・水爆の誤りを犯してはならないと悲惨かつ非人道的な被爆体験を語り続けている被爆者の平和への願いを踏みにじるだけでなく、核廃絶を願う世界の多くの人々の良心を裏切る行為である。
 一方、今回の核実験は、北朝鮮自身の国際的孤立化をさらに深めさせ、ひいては国の経済に重大な損失をもたらし、自国国民に対し死活的な困難とさらなる犠牲を強いるものであり、私達は宗教者として深い危惧を禁じ得ない。
 さらに倫理、人道に反し存在が悪とも言える核兵器を所有しながら北朝鮮の核実験を非難している核保有国 に対しても、改めてその矛盾した姿勢を改めるよう指摘するものである。これを契機に核保有国こそ本当に平和を願うなら一日も早い自らの保有する核兵器も含めて廃絶への行動を起こすべきことを強く要請する。
 さらにまた北朝鮮を取り巻く国々が、自国の利益を優先する立場から、北朝鮮の核開発の進展を看過してきた危険性にも言及したい。関係国は 自国の利害を超えて真の北東アジアの平和に寄与する方策は何か、新たな外交関係の構築に努力されんことを希望する。
 ここにWCRP日本委員会は、この度の北朝鮮による核実験に対し、以下の通り、重ねて私達の願いを強く訴えるものである。
1.この度の核実験は、「他者と共に生きる歓び」を信条として平和な世界 の実現を目指すWCRP関係者のみならず宗教者の立場から到底、容認し得ないものであり、国連はじめ、関係諸国は互いに協調を重視しつつ、可及的速やかに適切な措置を講ずること。
2.世界の各国政府は、この度の北朝鮮の核実験の強行に対し過剰な反応に走ることなく、対話による事態打開に向け、冷静かつ忍耐強くさらなる努力を続けること。
3.北東アジアの非核化を目指す6カ国協議ならびに核不拡散条約(NPT)の対話の場に北朝鮮が復帰するように促すこと。
4.世界のメディアは、事態に対する冷静な判断と報道に努め、世界の市民間に憎悪と対立が助長されることを抑止すべきであること。
5.世界の各国政府は、今回の核実験を傍観することなく、核兵器の例外なき廃絶の実現に向けて、核兵器禁止条約の早期締結に尽力し、世界の非核化の実現に努めること。
 私たち日本の宗教者は、世界90ヶ国をつなぐWCRP国際ネットワーク と連帯し、国連諸機関及び平和を希求する世界のNGO団体と協力し、平和に対する深い祈りと粘り強い対話を通じて事態の解決に努めることを誓い、あわせて私たちの願いを国際世論に強く訴えるものである。
2016年1月9日

公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
理事長 杉谷義純

くわしく

<資料2> 核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)「議会議員と北朝鮮核実験」(全訳)

公開日:2017.07.24

2016年1月10日

 1月6日、北朝鮮は核実験を実施したと発表し、それは水素爆弾――以前に実験した原子爆弾よりもはるかに大きな威力を持つ核融合兵器――であったと主張した。しかし、証拠は今回も原爆実験であったことを示している。中国の牡丹江(ムダンジャン)にあるグローバル地震観測網の観測点で収集されたデータは3〜7キロトンの爆発を示しており、これは水爆にしてはあまりに小さすぎる。
 いずれにせよ、この核実験は日本や韓国といった隣国にはその安全保障を脅かすものと受け止められ、世界中の国々には核実験に反対するグローバルな規範を侵犯する挑発的で無責任なものと受け止められた。
 韓国と日本の議会は、今回の実験を非難し北朝鮮に対する追加的な制裁を求める決議を採択した。
 「北朝鮮はいまだに核実験を行っている最後で唯一の国だ」と、PNND共同代表で元ニュージーランド軍縮・軍備管理大臣であるフィル・ゴフ名誉議員は述べている。「包括的核実験禁止条約(CTBT)の交渉は、永遠に核実験を終わらせるべきであった。」
 今回の核実験は、北東アジア地域が今も核保有国(中国、ロシア、米国、北朝鮮)と拡大核抑止を受ける関係の下にある国々(日本と韓国)の間にある一連の対立を経験しているということを思い起こさせる。そうした諸対立は、事故や判断ミスあるいは故意による核攻撃の応酬が起きる可能性を高めている。
 「文明はもはやこれ以上の大量破壊兵器の実験を許容することはできない」とPNND共同代表でコスタリカ議会外交委員会委員長のナタリア・ディアズ・キンタナ議員は述べている。「このような実験は核戦争の脅威を増大させる。国連のような国際機関は、この問題が我々の惑星を破壊する本格的な危機に発展することのないよう阻止しなければならない。」
外交、協調的安全保障及び軍縮
 PNNDの指導者たちは、北朝鮮の核実験を非難する一方で、最も重要な対応として外交、協調的安全保障及び軍縮を要求した。
 「北朝鮮の核実験は、それが成功したか否かに関わらず、また、水爆実験であったのか否かにも関わらず、核兵器がもたらす危険性の高まりを我々に思い出させるものである」と、PNND共同代表で列国議会同盟議長のサベル・チョードリー議員は述べている。「我々に必要なのは、生物兵器や地雷、クラスター爆弾を禁止したのと同じように、核兵器を禁止するための、言葉ではなく行動の拡大である。核兵器を禁止する法的拘束力ある手段を確立することである」。
 日本の議会も北朝鮮との対立を解決するための外交努力を要求し、この文脈で日朝平壌宣言(2002年に日本の小泉首相と北朝鮮の金正日総書記によって採択された)を強調した。平壌宣言は、「双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした」ことを確認した。
北東アジア非核兵器地帯
 北朝鮮に対して一方的に核兵器を廃絶せよと要求し、そうするまでは制裁を科し続けるというやり方は、北朝鮮が米国や隣国である日本と韓国からの核脅威もしくは攻撃の脅威があると受け止めている限り、成功する見込みはない。
 それゆえPNND日本とPNND韓国は、地域のすべての関係国から脅威を減じ、安全保障を増大させる提案を探求し続けてきている。3+3北東アジア非核兵器地帯は、そうした提案の一つである。
 この提案は、韓国、北朝鮮及び日本という地域の3か国すべてに対して、核兵器の使用によって他国を脅かさないこと(例えば拡大核抑止の関係を通じて)とともに、核兵器の保有及び自国領内への核兵器の配備を禁止することに同意するよう求めている。それはまた、米国、中国及びロシアに対し、この非核兵器地帯を認め、どの地帯内国家に向けても核兵器の使用の威嚇を行わないことを要求している。
 「北朝鮮に対処するための解は、武力による威嚇を認めることではなく、それを理解し、北朝鮮が抱いている安全保障上の懸念と、北朝鮮によって脅かされている諸国の懸念とのいずれにも対処するアプローチを見つけ出すことである」と、PNNDグローバル・コーディネーターのアラン・ウェアは述べている。「北東アジア非核兵器地帯の提案は、この地域のすべての諸国の安全保障を高めるウィン・ウィン・ウィン・ウィンのアプローチを提供するものである。」
 この提案はすでに、日本と韓国の議会で超党派の高い支持を得ており、加えて研究者、政策アナリスト、400を超える日本の自治体首長からも支持を受けている。それはまた、2006年の北朝鮮の最初の核実験を受けて出されたPNND共同議会声明の中でも強調されていた。

(訳:ピースデポ)
原文出典:www.pnnd.org/article

くわしく

<資料1> 北朝鮮政府声明「水爆実験に成功したことを証す」(英語版より全訳)

公開日:2017.07.24

 2016年1月6日 平壌

 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)政府は水曜日に以下の声明を発表した。

 DPRKのすべての軍人と人民が長足の前進を遂げ、朝鮮労働党の戦闘的アピールに応え、主体(チュチェ)の革命的大義の最終的な勝利を早めるための総突撃戦に一つになって日々目覚ましい奇跡と偉業を成し遂げている胸躍る今、5千年に及ぶ民族の歴史に特記されるべき、世界を揺るがす出来事が起こった。
 朝鮮労働党の戦略的決断に従い、主体(チュチェ)105年(2016年)の水曜日10時にDPRKで初の水爆実験が成功裏に行われた。
 我々が生来持つ叡智、技術及び努力によって実施されたこの実験を通じて、DPRKは新たに開発された実験用水爆の技術仕様が正確であることを完全に立証し、より小型の水爆の威力を科学的に証明した。
 安全かつ完璧な方法で行われた今回の水爆実験は周囲の生態学的環境にいかなる悪影響も与えなかったことが確認された。
 今回の実験は、DPRKの核戦力の発展におけるより高次の段階を意味する。
 歴史に特筆されるべき最も完璧な方法で実行された今回の水爆実験の成功によって、DPRKは水爆まで保有した核兵器国の高次の序列に堂々と加わり、朝鮮人民は最強の核抑止力を備えた威厳ある民族の気概を示すことになった。
 この実験は、日増しに強まる米国主導の敵対勢力による核脅威と脅迫から国家の主権と民族の生存に関わる権利を断固として守り、朝鮮半島の平和と地域の安全を確保するためにDPRKがとった自衛的措置である。
 世界に敵意という言葉が現れて以来、米国がDPRKに向けてきた敵視政策ほど根深く、過酷で執拗なものは前例がない。
 米国は、単に異なる思想と社会制度を持っており、自らが持つ侵略への野望に屈服することを拒絶しているという理由で、憎むべき前代未聞の政治的孤立、経済封鎖及び軍事的圧力を加えるだけでは飽き足らず、DPRKに核の惨禍すらもたらそうと奔走する冷酷な強盗集団である。
 原子力空母打撃団や核戦略飛行隊を含む米帝国主義侵略軍のあらゆる核攻撃手段が絶え間なく投入されているため、朝鮮半島とその周辺は、核戦争が勃発するかもしれない世界最大の紛争地帯となっている。
 米国は、敵対勢力を動員してDPRKに対しあらゆる形態の経済制裁と謀略的な「人権」騒ぎを引き起こして、強盛国家の建設と人民の生活水準の向上を阻止し、「その社会体制を崩壊させ」ようと死に物狂いになっている。
 様々な種類の膨大な核兵器によって我が国を攻撃する機会を虎視眈々と狙っている侵略の首謀者たる米国に立ち向かうDPRKが正義の水爆を保有したのは、主権国家の自衛のための正当な権利であり、誰も中傷することのできない、まったく正しい措置である。
 真の平和と安全保障は、交渉のテーブルにおける屈辱的な懇願や妥協を通じて成し遂げることはできない。
 今日の厳しい現実は、自分の運命は自力で守らなければならないという普遍の真理を再度明白に証明している。
 獰猛なオオカミの群れの前で猟銃を手放すことほど愚かなことはない。
 今回の水爆実験でDPRKが収めた目覚ましい成功は、民族の永遠の未来をしっかりと保証する歴史の偉大な功績であり、民族にとって重大な歴史的事件である。
 DPRKは、朝鮮半島の平和と地域の安全保障を米国の凶悪な核戦争シナリオから守るために、あらゆる努力を尽くしている真の平和愛好国家である。
 責任ある核兵器国であるDPRKは、侵略を企図する敵対勢力が我々の主権を侵害しない限り、すでに宣言したとおり、核兵器を先行使用することもないし、いかなる状況下でも関連手段や技術を移転することはない。
 米国が我が国に対する卑劣な敵視政策を撤回しない限り、核開発の停止や核の解体をDPRKの側から行うことはあり得ない。
 DPRKの軍隊と人民は、主体(チュチェ)の革命的大義の未来をいつの時代にもしっかりと保証するため、正義の核抑止力を質量ともに着実に強化していく。
 主体(チュチェ)朝鮮は、偉大な朝鮮労働党の並進路線を堅持して永遠に繁栄するであろう。
(訳:ピースデポ。出典:「朝鮮中央通信」(英語版)。)

くわしく

<年表> 北朝鮮の核・ミサイルに関する主な動き(2013年1月~15年12月)

公開日:2017.07.24

2013年

●1月22日 国連安保理、12年12月12日の北朝鮮の衛星発射に対する非難決議採択(決議2087)。
●1月24日 北朝鮮国防委員会、核実験とミサイル発射の再実施を声明。
●2月12日 北朝鮮が3回目の核実験。「以前より小型で軽量、より威力の強い原爆」(北朝鮮)。
●3月1日  米韓合同軍事演習「フォウル・イーグル」開始(4月30日まで)。
●3月5日 北朝鮮人民軍、「3月11日のキー・リゾルブ開始日に53年休戦協定の白紙化と南北不可侵合意を破棄」と宣言。
●3月7日  国連安保理が核実験非難決議(決議2094)。
●3月9日  北朝鮮外務省報道官声明、決議2094は米国に操られた策動と非難。
●3月11日 米韓合同演習「キー・リゾルブ」開始(3月21日まで)。
●3月28日 米ステルス爆撃機B2が朝鮮半島で初の爆撃訓練。
●3月30日 北朝鮮、準戦時状況を宣言。
●4月1日  北朝鮮が「核兵器国地位確立法」を制定・公布。核兵器は「米国の敵視政策と核脅威に対する止むを得ざる正当な防衛手段」とし、非核国への消極的安全保証、先制不使用などを規定。
●4月7日  日本政府、北朝鮮ミサイルに破壊措置命令。北朝鮮による発射予告はなし。
●4月23日 包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会の2つの放射性核種監視観測所(日本、ロシア)が大気からキセノンを検出。2月12日の核実験によって放出されたと結論。
●5月7日 中国銀行が朝鮮貿易銀行との取引停止。
●6月16日 北朝鮮国防委員会、緊張緩和のための米朝ハイレベル協議を提案。
●7月27日 北朝鮮で朝鮮戦争「戦勝記念日」の軍事パレード。
●9月20日 IAEA年次総会、北朝鮮にNPTと IAEA保障措置協定の全面遵守を求める決議を採択。
●10月7日 北朝鮮、国連総会で、2月の核実験は「自主権を守るための完全な主権行使」と演説。
●10月8日 韓国国防情報院、国会委員会で寧辺(ヨンビョン)核施設の黒鉛減速炉が再稼働していることを公式に認定。
●12月12日 北朝鮮、張成沢(チャン・ソンテク)前・国防委員会副委員長を「国家転覆陰謀行為」で処刑。

2014年

●2月24日  米韓、合同軍事演習「キー・リソルブ」(3月6日まで)及び「フォウル・イーグル」(4月18日まで)を開始。
●3月26日  北朝鮮、中距離弾道ミサイル「ノドン」2発を日本海に向けて発射。
●3月30日  北朝鮮外務省、「新たな形態の核実験」実施を示唆。
●3月31日  韓国国防省、北朝鮮が北方限界線(NLL)付近で約500発の砲撃訓練を行い、うち約100発が韓国側に落下したと発表。
●3月30、31日 日本と北朝鮮、北京で外務省局長級協議、今後の協議継続で合意。
●4月23日  中国、北朝鮮に4回目の核実験を自制するよう要求。
●6月30日  北朝鮮国防委員会、韓国に対して、1972年の「7.4共同声明」を想起して7月4日以降は互いに軍事的敵対行為や誹謗中傷を行わないことを提案。
●8月18日  米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン」開始(8月29日まで)。
●9月27日  北朝鮮外相、15年ぶりに国連総会で演説。「米国が敵視政策が完全に止め、我々の自主権と生存権に対する脅威が除去されれば、核問題は解決する」。
●11月5日  韓国当局者、北朝鮮が寧辺で高濃縮ウラン新工場を稼働と述べる。
●11月28日  北朝鮮祖国平和統一委員会、金第1書記を揶揄した米映画「ザ・インタビュー」を「極悪な挑発行為」と非難。
●12月17日  米捜査当局、「ザ・インタビュー」製作会社への11月のサイバー攻撃は北朝鮮によるものと断定。
●12月25日  「ザ・インタビュー」、米国内の劇場で公開。
●12月29日  日米韓が北朝鮮の核・ミサイルに関する秘密情報の共有の合意文書に署名。日韓に軍事情報包括保護協定(GSOMIA)がないため米国を介して署名。

2015年

●1月9日  北朝鮮、米韓が15年春に予定の合同軍事演習を中止すれば核実験を凍結するとの提案を米国に伝達。米国は応じず。
●1月22日  オバマ米大統領、インタビューで北朝鮮を「世界で最も孤立した冷酷非情な独裁国家」と呼び、新たな制裁を示唆。
●2月4日  北朝鮮国防委員会、1月22日のオバマ発言をとりあげ、敵視政策に「強力に反撃」、「米国との交渉はもう必要ない」と宣言。
●3月2日  米韓、合同軍事演習「キー・リソルブ」(3月13日まで)及び「フォウル・イーグル」を(4月24日まで)を開始。
●3月3日  李北朝鮮外相、ジュネーブ軍縮会議(CD)で「我々は米国を抑止し、必要であれば先制打撃を加えることができる」と演説。
●3月25日  米国家情報長官、下院軍事小委員会で北朝鮮は米本土攻撃可能な大陸間弾道弾(ICBM)を配備可能な状態との見解示す。
●5月9日  朝鮮中央通信、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射実験に成功と発表。実験の日付は不詳。
●5月20日  北朝鮮国防委員会、核兵器が小型化、多様化の段階に達していると声明。
●5月25日  北朝鮮、米韓合同演習を議題として扱うことを要求する書簡を、国連安保理議長に送付。
●7月15日  韓国国会国防委員長、中国は北朝鮮に核の傘を提供することを検討する見返りに、北朝鮮の核放棄を促すべきだと述べる。
●8月5日 軍事境界線の韓国側で地雷が爆発。韓国は北が設置と非難したが、後に実は韓国が設置したことが判明。
●8月16日 米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ ガーディアン」開始(8月28日まで)。
●8月20日 韓国と北朝鮮、軍事境界線を挟んで砲撃の応酬。北朝鮮は準戦時状態の最後通告。
●9月14日 北朝鮮国家宇宙開発局、近く「人工衛星」打ち上げを行うことを示唆。
●9月15日  朝鮮原子力研究院長、ウラン濃縮、黒鉛減速炉を含む寧辺のすべての施設が正常稼働しているとし、米の敵視政策が続けば、いつでも核で対処する用意があると述べる。
●10月1日  李北朝鮮外相、国連総会演説で、米国が朝鮮戦争休戦協定を平和協定に変えることに同意するならば、建設的な対話をする用意があると述べる。
●10月13日 北朝鮮代表、国連総会第1委員会で、核兵器は自衛のためであると主張、非核国や非核地帯には攻撃も威嚇もしないと表明。
●10月15日 国際宇宙航行連盟(IAF)、北朝鮮国家宇宙開発局(NADA)の加盟申請をいったん承認するも翌日に却下。
●10月16日 オバマ・朴槿恵(パク・クネ)会談。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に一致協力して対処することを確認。
●11月28日 北朝鮮、潜水艦からのSLBM発射テストを実施するも失敗。
●12月10日 金第1書記、北朝鮮は「独自の原爆と水爆を爆発させる能力をもつ核兵器国」と発言。
●12月12日 北朝鮮モランボン(牡丹峰)楽団の中国公演が突然中止に。12月10日の金第1書記の「水爆発言」に中国が不快を示し、中国に北朝鮮が反発した結果との憶測も。
●12月21日 北朝鮮、潜水艦からのSLBM発射テストを実施するも失敗。
(作成:ピースデポ)

くわしく

【北朝鮮が4回目の核実験】  
第3回実験と類似した現象、「水爆」の主張には疑問  ――事実関係と専門家の分析を整理する

公開日:2017.07.24

1月6日午前、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国、以下DPRK)が核実験を行った。最大限の非難に値する暴挙である。DPRKは、これを「水爆実験」だと呼んだが、この主張は誇張されたものであると多くの専門家は分析している。しかし、DPRKが核兵器開発を継続し、試行錯誤を重ねていること、その一局面として1月6日の実験があったことは確実と思われる。同国の核兵器開発の現段階と、そこに込められたDPRKの政治的意図の理解の助けとするために、事実関係と専門家の指摘を整理しておきたい。


地震観測結果

 16年1月7日、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会(ウィーン)1は、「1月6日の協定世界時1時36分(日本標準時10時36分)、CTBTO検証システムが、北朝鮮(DPRK)の核実験によることが確実と思われる地震を検出した」との声明を発した。
 地震を最初に観測にしたのは、CTBTOの国際監視制度(IMS)に参加する、27の地震監視観測所であった。最も震源に近い観測所はウォンジュ(原州、韓国)及びウスリスク(ロシア)であり、最も遠方の観測所はラパス(ボリビア)であった。地震規模は当初マグニチュード4.9と推定されたが、その後4.85に修正された。震源は、DPRKが過去に核実験を行った北東部の豊渓里(プンゲリ)のごく近くと推定された。地震波形は13年2月12日の核実験(この時CTBTOは地震強度をマグニチュード5.0と確定)と酷似している。1月8日のCTBTO「改訂事象報告(REB)」は次のように結論づけた。「事象は人工的爆発以外にはありえない。しかしこれが核爆発であるか否かは、空中放射能の分析を待たねばならない。」(強調筆者)
 一方、IMSには加わっていないが実験場所に最も近い中国・牡丹江(ムダンジャン)の米中共同運営の地震観測所の観測結果では、地震強度はマグニチュード5.1であった。この数値からは、核爆発は7~16キロトンに相当すると推定される2
 地震観測結果は、06年10月9日、09年5月25日、13年2月12日に次ぐ4回目の核実験が行われたことを強く示唆している。「空中放射能」は第1回(06年)の時には実験の約1週間後に検出されたが、第2回(09年)においては1度も検出されず、第3回(13年)では実験後55日後にようやく検出された。今回は1月28日現在検出されたとの発表はない。

「水爆」は誇張と専門家

 1月6日、DPRKは、「チュチェ105年3(2016年)水曜日10:00、最初の水爆実験を成功裏に実施した」との声明を発した4(4ページ・資料1。強調筆者)。声明はさらに、核抑止力は「米国主導の敵対勢力による核脅威と脅迫から国家の主権と民族の生存に関わる権利を断固として守り、朝鮮半島の平和と地域の安全を確保する」ための自衛手段であると強調した。
 各国政府と議会、広島市、長崎市をはじめとする自治体、国際NGOはただちに抗議声明を発した。国連安保理は緊急会合を開き、非難決議の検討を始めた。5ページ以降には、国際的反響の例として、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)のウェブ記事(5ページ・資料2)、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の声明(5ページ・資料3)、及び日本の国会で採択された抗議決議(6ページ・資料4)を掲載する。
 一方、「水爆実験」というDPRKの主張は強く疑問視されている。「水爆」は、原爆の爆発(第1段階)によって、重水素と3重水素の核融合反応(第2段階)を起こす「2段階熱核爆弾」であり、原爆の数百から数千倍の爆発力を持つ。地震波の観測結果などを考えればDPRKの主張は極めて疑わしいと多くの専門家が指摘している。
 牡丹江で検出された地震の強度・マグニチュード5.1とそこから推定される爆発威力は、前回核実験(13年2月)とほぼ同じであり、「水爆」とは考えられない。爆発したのが「ブースト型原爆」である可能性もあるが確証はない5。「ブースト型原爆」とは少量の核融合物質によって爆発力を増強された原爆であり、原爆の小型化には有用だといわれている。DPRKが最近試みているSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)実験との関係を指摘する専門家もいる6
 いずれにしても、DPRKが核兵器能力向上の試行錯誤を継続しており、その一局面として1月6日の実験が行われたことは確実と思われる。

13年~15年の主な経過

 3ページのコラムに、13年から15年までのDPRKの核・ミサイルを巡る日誌をまとめた。
 13年2月12日、DPRKが核実験を行ったことに対して、国連安保理は3月7日、非難・制裁強化決議を採択した。DPRKは3月9日「外務省報道官声明」で、同決議は「我々を武装解除させようとするもの」だと反発した。3月1日には米韓合同演習「フォウル・イーグル」が開始され(4月23日まで継続)、3月9日には同じく「キー・リゾルブ」(3月21日まで)が開始されるという中での応酬であった。そして、13年4月1日、DPRKは「核兵器国地位確立法」を公布する。
 14年にも2つの米韓合同演習が行われた(2月24日開始)。この期間中にDPRKは、ノドン・ミサイルを発射(3月26日)するとともに、「新たな形態における核実験」を示唆(3月30日)した。
 15年1月9日、DPRKは「米韓が合同演習を中止すれば、核実験を凍結する」と提案。この提案を米国は黙殺、米韓合同演習は前年と変わらず実施された。1月22日、オバマ米大統領が、インタビュー(14年11月の映画会社へのサイバー攻撃が主題)でDPRKを「世界で最も孤立した冷酷非情な独裁国家」と呼んだことに、北朝鮮は2月4日「米国の敵視政策に強力な反撃を行う」、「米国との交渉はもう必要ない」と非難する。
 15年8月20日には南北が軍事境界線をはさんで砲撃を応酬するという事態が発生している(伏線には8月5日の地雷爆発事件があった)。9月14日、25日には、DPRK当局者から人工衛星発射と4回目の核実験を示唆する発言がなされた。そして12月10日には、「水爆を爆発させる能力がある」との金第1書記の言葉が報じられた。
 16年には朝鮮労働党大会が36年ぶりに開催される。今回の核実験には、歴史の節目をとらえた国威発揚という側面もあると思われる。

DPRKから和解提案も

 DPRKが核実験を正当化する論理は、一連の公式声明で繰り返されたように、米韓合同演習に象徴される「米国の敵対行為」に対する「自衛行為」だというものである。一方で、北朝鮮の側からは「和解」に向けた発言や声明も、しばしばなされてきた。
 14年6月30日、DPRKは韓国に対して、「『7.4共同声明』を想起して、互いに敵対行動や誹謗中傷を止めよう」と呼びかけた。14年の国連総会では、李外相が、「米国の敵対行動が完全に止まれば、核問題は解決する」と演説した(14年9月27日)。また、15年1月9日には、前記のように米韓合同演習中止を条件に核実験凍結もありうると提案している。そして15年10月1日の国連総会で、李外相は、「米国が朝鮮戦争休戦協定を平和協定に変えることに同意すれば、建設的な対話をする用意がある」と演説した。
 全体的には、「核抑止を獲得する過程と獲得した核抑止の両方をカードにしつつ、政治体制への脅威の除去と関係の正常化を達成する」7という、DPRKの基本的外交姿勢は変わっていないと考えられる。(田巻一彦)


1 www.ctbto.org/
2 ジェフリー・パーク「北朝鮮からの地震波は2013年核実験が再現されたことを示唆」、「核技術者技報」(BoAS、電子版。英文)、16年1月7日。
3 金日成(キム・イルソン)が生まれた西暦1912年を元年とする記年法。1997年から使われている。
4 1月6日「朝鮮中央通信」(英語版)。
5 2と同じ。
6 チャールス・D・ファーガソン「北朝鮮の4回目の核実験は何を意味するのか」全米科学者連盟(FAS)「戦略安全保障ブログ」(英文)、16年1月8日。
7 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)刊「提言 北東アジア非核兵器地帯設立への包括的アプローチ」、第1章「北東アジアにおける核兵器依存の現状」。

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