<資料2> 核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)「議会議員と北朝鮮核実験」(全訳)

公開日:2017.07.24

2016年1月10日

 1月6日、北朝鮮は核実験を実施したと発表し、それは水素爆弾――以前に実験した原子爆弾よりもはるかに大きな威力を持つ核融合兵器――であったと主張した。しかし、証拠は今回も原爆実験であったことを示している。中国の牡丹江(ムダンジャン)にあるグローバル地震観測網の観測点で収集されたデータは3〜7キロトンの爆発を示しており、これは水爆にしてはあまりに小さすぎる。
 いずれにせよ、この核実験は日本や韓国といった隣国にはその安全保障を脅かすものと受け止められ、世界中の国々には核実験に反対するグローバルな規範を侵犯する挑発的で無責任なものと受け止められた。
 韓国と日本の議会は、今回の実験を非難し北朝鮮に対する追加的な制裁を求める決議を採択した。
 「北朝鮮はいまだに核実験を行っている最後で唯一の国だ」と、PNND共同代表で元ニュージーランド軍縮・軍備管理大臣であるフィル・ゴフ名誉議員は述べている。「包括的核実験禁止条約(CTBT)の交渉は、永遠に核実験を終わらせるべきであった。」
 今回の核実験は、北東アジア地域が今も核保有国(中国、ロシア、米国、北朝鮮)と拡大核抑止を受ける関係の下にある国々(日本と韓国)の間にある一連の対立を経験しているということを思い起こさせる。そうした諸対立は、事故や判断ミスあるいは故意による核攻撃の応酬が起きる可能性を高めている。
 「文明はもはやこれ以上の大量破壊兵器の実験を許容することはできない」とPNND共同代表でコスタリカ議会外交委員会委員長のナタリア・ディアズ・キンタナ議員は述べている。「このような実験は核戦争の脅威を増大させる。国連のような国際機関は、この問題が我々の惑星を破壊する本格的な危機に発展することのないよう阻止しなければならない。」
外交、協調的安全保障及び軍縮
 PNNDの指導者たちは、北朝鮮の核実験を非難する一方で、最も重要な対応として外交、協調的安全保障及び軍縮を要求した。
 「北朝鮮の核実験は、それが成功したか否かに関わらず、また、水爆実験であったのか否かにも関わらず、核兵器がもたらす危険性の高まりを我々に思い出させるものである」と、PNND共同代表で列国議会同盟議長のサベル・チョードリー議員は述べている。「我々に必要なのは、生物兵器や地雷、クラスター爆弾を禁止したのと同じように、核兵器を禁止するための、言葉ではなく行動の拡大である。核兵器を禁止する法的拘束力ある手段を確立することである」。
 日本の議会も北朝鮮との対立を解決するための外交努力を要求し、この文脈で日朝平壌宣言(2002年に日本の小泉首相と北朝鮮の金正日総書記によって採択された)を強調した。平壌宣言は、「双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした」ことを確認した。
北東アジア非核兵器地帯
 北朝鮮に対して一方的に核兵器を廃絶せよと要求し、そうするまでは制裁を科し続けるというやり方は、北朝鮮が米国や隣国である日本と韓国からの核脅威もしくは攻撃の脅威があると受け止めている限り、成功する見込みはない。
 それゆえPNND日本とPNND韓国は、地域のすべての関係国から脅威を減じ、安全保障を増大させる提案を探求し続けてきている。3+3北東アジア非核兵器地帯は、そうした提案の一つである。
 この提案は、韓国、北朝鮮及び日本という地域の3か国すべてに対して、核兵器の使用によって他国を脅かさないこと(例えば拡大核抑止の関係を通じて)とともに、核兵器の保有及び自国領内への核兵器の配備を禁止することに同意するよう求めている。それはまた、米国、中国及びロシアに対し、この非核兵器地帯を認め、どの地帯内国家に向けても核兵器の使用の威嚇を行わないことを要求している。
 「北朝鮮に対処するための解は、武力による威嚇を認めることではなく、それを理解し、北朝鮮が抱いている安全保障上の懸念と、北朝鮮によって脅かされている諸国の懸念とのいずれにも対処するアプローチを見つけ出すことである」と、PNNDグローバル・コーディネーターのアラン・ウェアは述べている。「北東アジア非核兵器地帯の提案は、この地域のすべての諸国の安全保障を高めるウィン・ウィン・ウィン・ウィンのアプローチを提供するものである。」
 この提案はすでに、日本と韓国の議会で超党派の高い支持を得ており、加えて研究者、政策アナリスト、400を超える日本の自治体首長からも支持を受けている。それはまた、2006年の北朝鮮の最初の核実験を受けて出されたPNND共同議会声明の中でも強調されていた。

(訳:ピースデポ)
原文出典:www.pnnd.org/article