核兵器・核実験モニター バックナンバー

【日誌】核・ミサイル/沖縄(16年11月6日~11月20日)

公開日:2017.04.13

DPRK=朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)/GSOMIA=軍事情報包括保護協定/IAEA=国際原子力機関/IS=「イスラム国」/Lden=時間帯補正等価騒音レベル/PKO=国連平和維持活動

●11月8日 平和首長会議、千葉県佐倉市での国内加盟都市総会で核禁止交渉開始決議への日本の反対に遺憾の意。
●11月8日 榊原経団連会長、2030年までに温室効果ガスを13年比26%削減する公約を果たすために原発再稼働が必要と主張。
●11月9日付 ベトナム政府、日ロ企業による原発計画を廃止する協議を開始の予定と判明。
●11月9日 日米韓の自衛隊及び海軍、日本近海で弾道ミサイル情報共有訓練を実施。
●11月9日 ソウルで日韓GSOMIA締結のための第2回実務協議。
●11月9日 ナザルバエフ・カザフスタン大統領が広島を訪問。
●11月10日 朝鮮中央通信、トランプ次期米大統領を念頭に対DPRK制裁政策からの転換を促す。
●11月11日 来日中のモディ印首相と安倍首相が日印原子力協定に調印。核実験実施の場合の協力停止は別文書に。
●11月11日 経産省、福島第1原発事故賠償金増加分を新電力を含む利用者に負担させる案を有識者会議に示す。
●11月12日 パキスタン南西部のイスラム教施設で自爆テロがあり、43名死亡、100名以上が負傷。ISが犯行声明。
●11月15日 安倍内閣、南スーダンPKOに派遣の陸自部隊に「駆けつけ警護」などを盛り込んだ実施計画を閣議決定。
●11月15日 国連総会第3委(人権)、DPRKが核・ミサイル開発に資源を投入し国民の人道状況に影響を与えていることに重大な懸念を表明する決議を採択。
●11月16日 参院憲法審査会が9か月ぶりに審議再開。自民党中川議員が9条改正の必要性に言及。
●11月16日 原子力規制委、運転開始から40年の福井県美浜原発3号機の運転期間20年延長を認める。
●11月16日 米山新新潟県知事、福島第1原発事故の徹底的な検証がされぬ限り柏崎刈羽原発再稼働の議論を開始せずと所信表明。
●11月17日 トランプ次期米大統領、国家安全保障担当大統領補佐官にマイケル・フリン元国防情報局長を指名。
●11月17日 米国連大使、6か国核合意で定めた重水貯蔵量をイランが厳守するよう求める声明をIAEA理事会で発出。
●11月18日付 仏の国際熱核融合実験炉の建設費が建設遅延により6千億円増加、日本の負担6百億円増加が明らかに。
●11月18日 防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度の研究成果は特定秘密保護法上の特定秘密にならないと表明。
●11月20日 駆けつけ警護任務が付与された陸自派遣部隊の先発隊約130人が、青森空港から南スーダンの首都ジュバへ出発。
●11月20日 新潟県柏崎市長選で柏崎刈羽原発再稼働容認派の桜井氏が当選。
●11月20日 自由党(小沢共同代表)、次期衆院選に向け、脱原発と安保関連法廃止を柱とした重点政策を発表。

沖縄

●11月6日 東村高江区代議員会、政府の財政支援受入れを全会一致で決議。ヘリパッド反対決議も同時に可決。
●11月8日 警察庁、警察法施行令改正による米軍犯罪再発防止策として沖縄県警を100人増員へ。11月中に県議会へ条例改正案提出。
●11月8日 政府、機動隊員による「土人」発言は「違法」とする答弁書を閣議決定。鶴保沖縄担当相は「断定できない」との見解。
●11月9日 自民・茂木政調会長、米軍犯罪防止策に関する日米共同文書について年内にも「補足協定」締結を目指す考え示す。
●11月10日付 普天間飛行場周辺、10月の米軍機騒音平均85db。10月19日には上大謝名公民館で116.7db(Lden)を記録。
●11月10日 「土人」発言問題で沖縄県警・公安委に県議団が抗議文を手交。
●11月11日 県・国頭村・東村、政府へMV22オスプレイ配備撤回及び米軍北部訓練場の環境影響評価再実施要求で合意。
●11月11日 沖縄平和運動センター山城議長及び男性1人を傷害・公務執行妨害の罪で起訴。弁護士は「運動弾圧」と批判。
●11月12日 東村高江「N4地区」ヘリパッド、運用開始後騒音被害拡大。小中学校では夜間騒音による睡眠不足で欠席する事例も。
●11月12日付 嘉手納基地周辺の悪臭問題。騒音時に「黒色粒子」増、臭気レベルにも連動。町と北大グループが初調査。
●11月14日 北部訓練場ヘリパッド建設で民間ヘリが資材空輸。9月13日以来3度目。
●11月16日 県、防衛局へ北部訓練場ヘリパッド運用前の環境影響評価、県内枯れ葉剤使用概況調査など33項目の意見書提出。
●11月17日 第2次普天間爆音訴訟判決。国へ総額24億5800万円の損害賠償支払い命じる。「飛行差し止め」は認めず。
●11月17日 北部訓練場、12月22日に部分返還へ。沖縄復帰後最大級の返還面積約4千ha。日米両政府による記念式典も開催。
●11月18日付 沖縄防衛局、北部訓練場ヘリパッド建設に対する抗議行動を「悪質で違法」などとする資料を作成・対外的に使用。
●11月18日 政府、鹿児島県馬毛島買収へ。オスプレイ訓練移転先としての活用も検討。
●11月19日 米軍属女性暴行殺人事件、遺体発見から半年。政府の抜本対策進まず。

くわしく

特別連載エッセー「被爆地の一角から」99 「二兎を追う者は・・・」 土山 秀夫

北方領土問題の解決なくして日本の戦後は終わらず、と安倍首相は言うが。

公開日:2017.04.13

 去る11月3日、ロシアのマトビエンコ上院議長が長崎を訪れた。長崎原爆資料館、国立追悼平和祈念館の見学やロシア人墓地の参詣のためであった。それに先立つ11月1日、同議長は東京での記者会見で「北方四島におけるロシアの主権は明白で、疑問の余地はない。ロシアが実効支配している北方四島の主権を日本側に引き渡すことはできない」と強調していた。
 彼女の発言の真意について、地元のマスコミ関係者から筆者への質問があった。筆者は議長の発言がロシアの国内向けと対日本向けの2つの面からなされたのではないか、と答えた。ロシア指導部は、今年5月ソチで、9月にはウラジオストクで持たれた日ロ首脳会談を受けて、12月のプーチン大統領の訪日時に、北方領土の引き渡しに応じるのではないかという憶測が広まっていることを強く懸念している。その点を打ち消すための議長発言となったのではないか。それと同時に安倍首相の北方領土問題の解決を滲ませた矢継ぎ早な対ロ経済協力案提示など、明らかに焦りを読み取った大統領側が、12月の訪日時は領土問題を正式の議題とせず、それはあくまで平和条約締結後の話ですぞ、と日本側への厳しい姿勢を示したもの、というのが筆者の見解であった。
 日本政府が国後・択捉と歯舞・色丹の4島を、日本固有の「北方領土」だと定義したのは56年3月のことだ。同年10月18日、つまり翌日の日ソ共同宣言の調印前日、ロシアのフルシチョフ第1書記は、日本側に対して「領土問題を含む平和条約」とある表現から「領土問題を含む」という部分を削除させた。結局、宣言文には「平和条約の締結後にソ連が歯舞群島、色丹島を日本に引き渡す」と書かれているだけで時期は明示されていない。にもかかわらず日本側は、宣言の中に4島の領土問題が存在している(国後、択捉の明記はないのに!)と解釈して以後の交渉に当たるようになった。重大なズレはここに生じた。
 89年に東西冷戦が終結し、その後旧ソ連邦の崩壊とそれに続く混乱期の中で、ロシアの再建は大陸中央に集中するのが精一杯で、シベリアなど辺境地域は置き忘れられる情況にあった。むろん北方四島も例外ではなかった。当時のテレビ報道の一つに、色丹の食料品店だったかと記憶するが、ズラリと並んだ空のケースの映像と年配の店主の「この通り商売どころの話じゃねえんだ。政府は何一つしようとはしてくれない。こんな風ならいっそ日本でもどこでもいい。食べられるようにしてくれたら、その国の領地になった方がよっぽどましだよ」とぼやく場面が妙に印象に残った。
 その後は断続的に日ロの交渉が持たれたが、ロシア側は2島に限って協議する線を譲ろうとはしなかった。日本政府の中には、取りあえず2島返還の協議に応じては、と歩み寄りを見せる意見もありはした。しかし右翼を中心とした勢力からは「4島の一括返還こそ日本の国是だ」「2島返還にだまされるな」との強い圧力が掛かり、結局、ロシア側の同意を得ることはできなかった。情勢が変わってきたのはプーチン大統領の登場によってであった。彼はロシアの景気回復にらつ腕をふるい、その経済力をテコに北方四島を含む地域にまで開発を行き渡らせた。また日本側の要請に対して、大統領は日ソ共同宣言の原点に立ち返って、平和条約締結後に2島返還の話し合いを持つことを提案した。
 今年8月に色丹島住民のロシア人の声が報じられていたが、日本人と共同事業をすることは歓迎するが、戦争で犠牲を払った以上、島を日本に引き渡す必要はない、との意見が多かった。ソ連崩壊後の混乱期とは、島民の帰属意識にも変化が読み取れると理解すべきであろう。安倍首相は「北方領土問題の解決なくして日本の戦後は終わらず」というが、同じ言葉を絶叫した拉致問題が、全く進展のメドも立たない状況に在るのを何と感じているのだろうか。

くわしく

沖縄・普天間移設辺野古新基地建設に各地から土砂を搬入   

懸念される環境破壊・汚染と外来生物持ち込み

公開日:2017.04.13

埋め立てに各地から大量の土砂

 沖縄県名護市・辺野古の新基地(普天間代替施設)は、辺野古側のサンゴ礁が続く浅瀬と大浦湾側の深い入り江の約160ヘクタールを埋め立てて建設される。このために、東京ドーム16.6杯分相当の土砂を、沖縄を含む西日本各地から採取、供給することを国は計画している。
 2013年春、仲井真弘多沖縄県知事(当時)の再三にわたる公開請求により、沖縄防衛局が示した土砂の供給計画(付属図書10「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」)によれば、岩ズリ1,644万m3、山土360万m3及び海砂58万m3の計約2,062万m3の土砂が供給される。土砂の7割強は沖縄県外の香川県、鹿児島県などの西日本一帯から、山土及び海砂は沖縄本島から採取・搬入される1。ここで「岩ズリ」とは、採石の残余として発生する砂、泥及び小石の混合物で、多くは採石場に積み上げられている。

生物多様性国家戦略

 12年9月28日、「生物多様性国家戦略2012-2020(以下、「国家戦略」)」2が閣議決定された。「国家戦略」は、生物多様性条約(CBD)3及び生物多様性基本法に基づき、「生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な方針」を示したものである。
 CBDは92年6月、リオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議」(UNCDE)(地球サミット)の成果として、署名開放された。日本は92年6月に同条約に署名したのにつづいて、95年10月に第1次生物多様性国家戦略を策定し、08年6月にはCBD推進のための生物多様性基本法が施行された。さらに10年10月に名古屋で開催されたCBD第10回締約国会議(COP10)では,11年以降の新たな世界的目標として「生物多様性戦略計画2011-2020(愛知目標)」4が採択された。これらを背景として策定されたのが12年の「国家戦略」である。
 「国家戦略」には、次の4つの「生物多様性の危機」が示されている。
 第1:開発など人間活動による危機
 第2:自然に対する働きかけの縮小による危機
 第3:外来種など人間により持ち込まれたもの   による危機
 第4:地球温暖化や海洋酸性化など地球環境の   変化による危機
 辺野古埋立てでは、岩ズリや海砂などの採取が第1の危機、辺野古への土砂の持ち込みが第3の危機にあたる。懸念される問題を以下に整理する。

採取地の大半は生物多様性「重要海域」

 前記「愛知目標」では、各国は20年までに、少なくとも海域の10%を海洋保護区として保全することとされている。これを受けて環境省は、16年4月22日、海洋保護区設定の基礎資料となる「生物多様性の観点から重要度の高い海域」として沿岸域270か所、沖合表層域20か所、沖合海底域31か所を抽出したと発表した5。
 これによれば、岩ズリ搬出予定地の小豆島、黒髪島、椛島(五島)、御所浦(天草)、奄美大島、徳之島、山土及び海砂搬出予定地の沖縄県の本部、国頭などが重要海域に面している。
 各地の採石場では、すでに山の半分が切り崩され、岩盤が露出している。例えば奄美市住用町の市(いち)集落では、大雨が降ると、付近の海には大量の土砂が流入し、岩盤に土砂が付着し、かつてトコブシやウニが無数に生息していた海は、生物の影を見ることがないと言われる。岩ズリ採取地ではどこも程度の差こそあれこのような環境破壊が起きているはずである。これは、土砂採取自体が、生物多様性に危機をもたらすことを示唆している。
 

辺野古への外来種持ち込みによる危機

 亜熱帯である辺野古に搬入される岩ズリの多くは、温帯域で採取されたものである。したがってそこには辺野古とは異なる生態系が展開されている。また同じ亜熱帯でも例えば沖縄本島と奄美大島では生態系は異なる。
 したがって辺野古に大量の岩ズリを持ち込めば、生態系に有害な外来種が侵入する可能性がある。事実、候補にあげられている岩ズリ採取地周辺では、アルゼンチンアリ(山口県など瀬戸内海一帯)、ハイイロゴケグモ(奄美大島)など有害な特定外来種が混入している可能性があり6、少なくとも外来種侵入防除対策が不可欠である。防衛省は「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」7の助言指導を受けつつ、土砂供給業者に調査させるなどして適切に対処するとしている8が、侵入防除対策は未だ策定されていない。この現状を憂慮した沖縄県は、15年7月10日、「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例」9を制定、15年11月1日に施行した。同条例は、事業者に外来生物の有無の調査結果を含む事前届け出を義務づけるとともに、県による立ち入り調査権を定めている。
 一方、国際自然保護連盟(IUCN)は、16年8月31日、ハワイでの第6回世界自然保護会議において辺野古埋立てに言及した「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」決議10を採択した。

 以上のように、新基地建設のための土砂の採取と搬入には、採取地、搬入地(辺野古)に著しい環境汚染・破壊と生物多様性の危機をもたらす可能性がある。少なくとも防衛省が外来種侵入防除対策を策定し、それが「国家戦略」を所掌する環境省や第三者的な専門家のチェックを受け了承されるまでは、土砂の採取・搬出入を前にすすめることは許されない。(湯浅一郎)
 
 注
1 採取候補地は以下の9地区15か所である:瀬戸内地区(小豆島、香川県)、門司地区(黒髪島、向島(山口県)、北九州市門司(福岡県))、五島地区(椛島、長崎県)、天草地区(御所浦、熊本県)、佐多岬地区(南大隅、鹿児島県)、奄美大島地区及び徳之島地区(ともに鹿児島県)、本部町地区、国頭地区(沖縄県)
2 www.env.go.jp/press/15758.html
3 93年5月発効。15年5月現在、194か国とEU及びパレスチナが締結。米国は未締結。
4 www.biodic.go.jp/biodiversity/about/
5 www.env.go.jp/nature/biodic/kaiyo-hozen/kaiiki/index.html
6 たとえば那覇空港第2滑走路事業のために奄美から搬入された石材の採石地からは、ハイイロゴケグモが発見されている(「琉球新報」16年3月25日)。
7 www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/kankyoukansiiinkai/index.html
8 16年4月26日、第190回通常国会、衆議院・沖縄及び北方問題に関する特別委員会における答弁(質問者 近藤昭一(民進党))。
9 www.pref.okinawa.jp/site/gikai/documents/giinnteisyutu01.pdf
10 日本自然保護協会ウェブサイト。www.nacsj.or.jp/katsudo/henoko/2016/08/iucn-6.html

くわしく

<資料>日本決議(主文全訳)

公開日:2017.04.13

A/C.1/71/L.26
2016年10月14日
(共同提案国省略)
総会は、(前文略)
1.すべての加盟国は、すべての人にとって、より平和な世界、ならびに核兵器のない平和で安全な世界を達成することをめざし、核兵器の全面的廃絶に向けて結束した行動をとるという決意を新たにする。
2.これに関連し、すべての核不拡散条約(NPT)※締約国が第6条の下で誓約している核軍縮につながるよう、保有核兵器の全面的廃絶を達成するとした、核兵器国による明確な約束を再確認する。
3.すべてのNPT締約国が、条約の全条項に基づく義務を遵守し、1995年再検討・延長会議※及び2000年※、2010年※再検討会議の最終文書で合意された諸措置を履行することを求める。
4.すべての加盟国が、再検討会議の第1回準備委員会が2017年5月にウィーンで開催されることを念頭に、2020年再検討会議の成功に向けて最善をつくすことを奨励する。
5.すべてのNPT未締約国が、その普遍化をめざして即時かつ無条件に非核兵器国として加盟するとともに、条約加盟までの間、同条約のすべての条項を遵守し、条約を支持する実際的な措置を講じることを求める。
6.すべての人にとって減じられず、強化される安全保障という原則のもと、核兵器の全面的廃絶に向けてさらなる実際的措置や効果的措置を講じることをすべての加盟国に求める。
7.核兵器国と非核兵器国が、核軍縮及び核不拡散のための実際的かつ具体的な措置を講じることを促進するような有意義な対話を一層進めることを奨励する。
8.核兵器使用による人道上の結末に対する深い懸念が、核兵器のない世界に向けたすべての国家の努力の基礎となり続けることを強調する。
9.ロシアと米国が、可能な限り早期の交渉妥結をめざし、核兵器備蓄のさらなる削減の達成に向けた交渉を早期に開始することを奨励する。
10.すべての核兵器国が、一方的、二国間的、地域的あるいは多国間的措置などを通じて、配備・非配備を問わず、あらゆる種類の核兵器を削減、究極的には全廃するためさらに努力することを求める。
11.すべての加盟国が、核軍縮及び核不拡散プロセスに関連して、不可逆性、検証可能性、透明性の原則を適用することを求める。
12.核兵器国が、核軍縮の行動の促進をめざして定期会合を継続的に開催し、これまでの透明性向上に向けた努力を一層拡大し、相互信頼を増進することを奨励する。これには、条約の締約国による2020年再検討会議に向けたNPT再検討プロセスにおける核軍縮努力の中で廃棄・削減された核兵器や運搬システムに関する、より頻度が高く詳細な報告の提出が含まれる。
13.関係する加盟国が、核兵器の役割や重要性の一層の低減のために、軍事・安全保障上の概念、ドクトリン、政策を継続的に見直していくことを求める。
14.核不拡散体制の強化につながりうる、核兵器国による明確で法的拘束力のある安全の保証を受けることにおける、非核兵器国の正統な関心を認識する。
15.核兵器国各国による一方的宣言に留意しつつ、1995年4月11日の安保理決議984(1995)を想起し、すべての核兵器国が安全の保証に関する自らの既存の誓約を全面的に尊重することを求める。
16.適切な場合には、地域の関係国の自由意志による取り決めに基づき、また、国連軍縮委員会の1999年指針に従い、さらなる非核兵器地帯を設立することを奨励する※。また、核兵器国が、消極的安全保証を含む関連議定書に署名・批准することにより、非核兵器地帯の地位に関する、また、当該条約の締約国に対し核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないという、法的拘束力のある個別の誓約を行うことを認識する。
17.核兵器を保有するすべての国が、意図されない核爆発の危険性に包括的に対処していく上で必要となるあらゆる努力に継続的に取り組むことを要請する。
18.地域内諸国の自由意志による取り決めに基づき、また1995年の中東決議に従って、中東非核兵器・非大量破壊兵器及び非運搬システム地帯の設立に向けて一層努力すること、および同地帯設立に向けた関係諸国による対話の再開を奨励する。
19.すべての加盟国、とりわけ包括的核実験禁止条約(CTBT)※付属文書2に列挙された発効要件国のうち残る8か国が、これ以上の遅滞なく、また、他国の行動を待つことなしに、条約の署名及び批准に向けた独自のイニシアチブを発揮するとともに、CTBT発効までの間、核兵器の爆発実験もしくは他のすべての核爆発に関する現行のモラトリアムの継続、および継続の政治的意志を宣言することを要請する。また、すべての加盟国に、同条約14条のプロセスおよびその他の相互補完的な取り組みを通じて、条約の発効を促進するための努力を倍加することを要請する。
20.すべての関係諸国が、2012年12月3日の決議67/53第3節が求めた政府専門家グループの報告書※を考慮しつつ、核兵器あるいは他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する条約に関する交渉を直ちに開始し、1995年3月24日のCD/1299文書及びそこに含まれる任務に基づき早期に締結するとともに、同条約発効までの間、あらゆる核兵器もしくは核爆発装置のための核分裂性物質の生産に関するモラトリアムを宣言し維持することを要請する。
21.すべての加盟国が、軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長による報告※に述べられた諸勧告を履行することによって、核兵器のない世界の達成を支援することを奨励する。
22.「ヒバクシャ」の経験を将来の世代に引き継ぐために、各国指導者や若者らが、原爆を生き延びた「ヒバクシャ」などのコミュニティや人々を訪問し交流することを含め、核兵器使用がもたらす現実に対する意識を喚起するためあらゆる努力が行われることを奨励する。
23.NPTのもとでは核兵器国の地位を獲得できない朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)による最近の核実験と弾道ミサイル技術を利用した発射を最も強い言葉で非難する。DPRKがさらなる核実験の実施を思い留まること、および現在行っているすべての核活動を完全かつ検証可能で不可逆的な方法により即時停止することを強く要請する。また、DPRKに対し、関連するすべての安保理決議を完全に遵守し、2005年9月19日の6か国協議共同声明を履行するとともに、早期に国際原子力機関(IAEA)保障措置を含む同条約の全面的遵守に復帰することを要請する。
24.すべての加盟国が、関連安保理決議の完全な履行などを通じ、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の核兵器開発およびミサイル開発計画がもたらす脅威に対処するための努力を強化することを求める。
25.また、すべての加盟国が、核兵器とそれらの運搬手段の拡散を防止し阻止する努力を倍加させるとともに、核兵器と決別するとの誓約に基づく諸義務を全面的に尊重し、遵守するよう求める。
26.さらに、すべての加盟国が、核兵器の拡散防止のため、国内での効果的な統制を確立・実施することを求めるとともに、核不拡散への取り組みにおける国際的パートナーシップおよび能力構築を促進するための、国家間の協力および技術援助を行うよう奨励する。
27.国際原子力機関(IAEA)保障措置の不可欠な役割ならびに包括的保障措置協定の普遍化の重要性を強調するとともに、追加議定書の締結が各国の主権にもとづく決定であることに留意しつつ、1997年5月15日にIAEA理事会が承認したモデル追加議定書に基づいた追加議定書を未だ締結、発行させていないすべての加盟国が、可能な限り早期にそうした行動をとることを強く奨励する。
28.決議1540(2004)の履行状況の包括的な見直しの結果に基づいて、すべての加盟国が、2004年4月28日の決議1540(2004)と2011年4月20日の決議1977(2011)を含む関連安保理決議を完全に履行することを求める。
29.すべての加盟国が、世界の核保安体制をさらに強化するため、また2016年12月にウィーンで開催予定の核保安に関する国際会議の成功に向けて協働するため、核物質と放射性物質の保安をより重視し、これを強化することを奨励する。
30.第72会期の暫定議題として、「全面的かつ完全な軍縮」と題する項目の下に「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意のもとでの結束した行動」という小項目を含めることを決定する。
(訳:ピースデポ)
訳注 ※印には原文では参照すべき文書の名称などが注記されているが、省略した。

くわしく

国連総会第1委員会禁止条約交渉開始の中での「日本決議」   歴史的転換点に従来のままでは立ち行かず    

公開日:2017.04.13

国連総会第1委員会では今年も、日本の主導で提案された決議「核兵器の全面的廃絶に向けた、新たな決意のもとでの結束した行動」(以下「日本決議」)が採択された。禁止条約交渉の開始が現実のものとなる中、まず気づくのは決議が禁止の動きに結び付く要素を不自然に避けていることだ。他方、従来の核軍縮措置に関わる若干の変化もあったが、その真意は慎重に見極める必要がある。核軍縮の大きな転換点を迎え、日本決議も従来のままでは立ち行かなくなっている。

OEWGへの言及を不自然に回避

 今年の国連総会第1委員会は、核兵器禁止条約交渉を来年開始するという歴史的な決議が採択された(本誌前号参照)点で昨年以前の委員会とは大きく異なっていた。そのような中、禁止条約の早期実現に否定的な核兵器国や核兵器依存国の主張する、従来からの「段階的な核軍縮措置」を象徴する存在ともいえる日本決議がどのような内容になるかが注目された。
 この観点から見たとき、最初に目を引くのは次のような点だ(2~3ページ資料に決議主文の訳)。
 まず、決議は今年開かれた国連「核軍縮」公開作業部会(OEWG)に一切言及していない。これまでの日本決議は、過去1年の主要な核軍縮・不拡散関係の出来事に一言触れるのが常であった。今年の日本決議でも前文で、署名開放20年記念などCTBT関連会合、オバマ米大統領はじめ各国首脳の被爆地訪問や、核保安サミットには触れている。これら行事と規模や重みを比べても、OEWGはどう評価するにせよ何らかの形で触れるべき会合である。現に13年OEWGは同年の日本決議前文で「留意する」と言及されており、今年に限り無視するのは不自然だ。新アジェンダ連合(NAC)決議1が、OEWGの開催とその報告書を「歓迎」し、核軍縮の効果的な法的措置の交渉への努力を呼びかけつつ、最近の関連する取り組みをも「歓迎」しているのとは対照的である。
 次に、今年の決議では、核軍縮の効果的措置を探究する「適切な多国間協議の場」への参画を奨励する条項が消えている。「多国間協議の場」だった16年OEWGが禁止条約への動きを加速し、またL.41決議2が設置する禁止交渉会議もこの「協議の場」に該当するように読めるとの判断から、意識的に取り下げられたと考えられる。
 さらに、昨年に続き今年も、一昨年まではあった「市民社会が軍縮・不拡散に果たしている建設的な役割を称賛し奨励する」条項がなかった。市民社会の強い声が禁止の動きを形作ってきたことを意識したためではないだろうか。
 このように、今年の日本決議では禁止条約実現につながる要素への言及が避けられている。禁止条約をめぐる諸国間の分岐が鮮明になる中で、日本が追い詰められている様子がうかがえる。

禁止の動きに対抗した実績作り?

 他方、今年は前文に「軍縮会議(CD)における20年にわたる行き詰まりを克服する可能性を引き続き探る必要を強調」する段落が新設される一方で、FMCT交渉を「直ちに開始」するよう促す条項(20節)から、昨年はあった「CDで」の文言が削除された。これを裏打ちするように佐野利男・軍縮大使は「CDが長らくFMCT交渉の場と考えられてきたが(……)交渉開始を促進する他の方法を真剣に検討し始めるべき」と発言している3。日本はOEWGに提出した作業文書4などでFMCT交渉のための公開作業部会の設置を提案しており、そうしたことも念頭にあると思われる。
 もう1つ、核兵器国と非核兵器国に核軍縮・不拡散措置を促進する「有意義な対話を一層進めることを奨励する」条項(7節)が新設された。FMCTも含め「禁止条約」の動きに対抗した何らかの実績作りが企図されている可能性もある。停滞していた核軍縮の諸措置が動き出すこと自体は歓迎すべきとも思えるが、その真意について日本の行動を慎重に見極めていく必要がある。

分断を広げているのは「禁止反対派」

 日本決議の委員会投票数は賛成167・反対4・棄権17で昨年とあまり変わらなかった。他方、NAC決議は賛成141・反対24・棄権20で、昨年と比べ反対が大幅に増えてその分棄権が減った。棄権から反対に転じた17か国は東欧やバルト諸国を中心とするNATO加盟の核依存国である。原因は明らかに、同決議がOEWGや法的禁止への動きを明示的に肯定していることにあるといえよう。なお日本はNAC決議には昨年同様、棄権した。
 OEWGや禁止の動きに言及したNAC決議が反対を増やし、これらに言及しない日本決議への支持状況が変わらないのは何を意味するだろうか。核兵器国や日本を含む依存国は、禁止の動きは国家間の分断を進めるとしてこれを批判する。しかし、禁止推進諸国の大半が日本決議に賛成し続けていることを考えると、むしろ分断を作り出しているのは「禁止」を頑なに拒み続ける核兵器国・依存国ではないか。そして日本が今後、仮に禁止条約交渉の進展について今年のように無視を続けるか否定的な評価を下す場合には、禁止推進諸国からこれまで通りの支持が得られる保証はなくなり、“接着剤”だったはずの日本決議が分断を助長する事態が生まれるかもしれない。

核の役割、自ら見直しを

 日本決議とそれが表現する日本の核軍縮政策は、従来通りではもはや立ち行かなくなっている。日本が今年「禁止交渉決議」に反対したことで、米国の核の傘の確保と引き換えに「被爆国」の看板に自ら傷をつけてしまったことを思えばなおさらである。核兵器の非人道性の認識と核依存政策とは本質的に相容れない。この両方を一国レベルで抱え続けることの限界が、露呈したといえるのではないだろうか。禁止条約交渉が始まろうとしている今こそ、日本は核依存政策からの脱却に着手すべき時である。具体的には自らの決議の13節に基づき、核兵器の役割を低減させるべく自国の安全保障政策の見直しを開始すべきだ。また、16節に基づき、北東アジア非核兵器地帯の設立に向けた検討を始めるべきである。失った「被爆国」としての信頼を回復するためにも、率先して決議を履行することを求めたい。(荒井摂子)


1 「核兵器のない世界へ:核軍縮に関する誓約の履行を加速する」(A/C.1/71/L.35)。
2 「多国間核軍縮交渉を前進させる」(A/C.1/71/L.41)。本誌前号(508号、16年11月15日)に全訳。
3 16年10月17日、テーマ別討議「核兵器」にて。
4 「核兵器のない世界に向けた効果的措置」(A/AC.286/WP.22)。

くわしく