核兵器・核実験モニター バックナンバー

【日誌】核・ミサイル/沖縄(17年2月21日~3月5日)

公開日:2017.07.14

CTBTO=包括的核実験禁止条約機関/DPRK=朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)/IAEA=国際原子力機関/PFOS=パーフルオロクタンスルホン酸/WMD=大量破壊兵器/WSJ=ウォールストリートジャーナル


●2月23日 トランプ米大統領、ロイター通信インタビューで、米国が核能力で他国に劣ることはないと核能力増強を示唆。
●2月23日 日本政府、核実験監視体制強化のため、CTBTO準備委に観測施設などの費用として約2億9千万円の拠出を通達。
●2月23日 陸自、3月6~17日に群馬県相馬原駐屯地と新潟県関山演習場で行われる日米共同訓練に米オスプレイ6機の参加を発表。
●2月23日 九電川内原発2号機が再稼働。
●2月24日付 韓国防衛事業庁、DPRKの核とミサイルに対応する兵器開発のため約596億円を投ずることを明らかに。
●2月24日付 米国務省がDPRK外務省幹部へのビザ発給を認めず、3月初め予定の米当局者との会議が流れたとWSJが報じる。
●2月24日付 米国土安全保障省が報告書で「大統領令で入国を禁止した7か国出身者のテロの脅威がとりわけ高いわけではない」。
●2月24日 国連安保理DPRK制裁委員会専門家パネル、エジプト政府が拿捕した貨物船からDPRK製携行式ロケット弾3万発を押収と発表。
●2月24日 IAEA、イランが核合意を順守していると報告。
●2月27日 ワシントンDCでDPRK核問題に関する6か国協議の日米韓首席代表会合。国際的圧力が必要との声明を発出。
●2月27日 トランプ米大統領、18会計年度予算案に約1割増となる約6兆円増の歴史的な国防費増の方針を表明。
●2月28日 23日のトランプ発言を受け、長崎の被爆者5団体が抗議文を在日米大使館に送付。
●2月28日 シリアの化学兵器使用に対する国連安保理の非難・制裁決議案、ロ・中が拒否権を行使し廃案に。
●2月28日 民進党常任幹事会、3月12日の党大会で採決する17年度活動方針に「2030年に原発ゼロ」を盛り込まないことを了承。
●3月1日付 福島第1原発の廃炉をはじめ原発の後始末の費用は最低約40兆円、国民1人当たり負担32万円。東京新聞試算。
●3月1日 米韓両軍が半島有事に備えた合同軍事演習を開始。米原子力空母カール・ビンソンやイージス艦も参加。
●3月1日 王・中国外相が北京で李DPRK外務次官と会談。非核化の実現と平和メカニズムの構築への新たな努力を要望。
●3月1日 原子力規制委、1月に関電高浜原発でのクレーン転倒事故について保安規定違反があったと判断し事故防止を要求。
●3月1日 米ホワイトハウス当局者、外国情報監視法に基づくインターネット監視プログラムが国家安全保障に必要であり法改正を望まぬとロイターに語る。
●3月3日付 米韓両軍、2月にDPRKの核・ミサイルなどWMD施設捜索・破壊訓練を実施したことが明らかに。

沖縄

●2月20日付 最高裁、沖縄平和運動センター山城議長の保釈認めず。
●2月20日 県収用委、普天間飛行場土地強制使用に関する公開審理。環境調査団体など地権者以外の第三者による初の意見陳述も。
●2月21日付 県、2月より普天間飛行場の離発着データを24時間態勢で調査。3月30日まで。来年度以降の態勢は今後検討。
●2月21日 沖縄平和運動センター山城議長らの即時釈放を求め、支援団体が発足。基地建設抗議に対する「政治的弾圧」と批判。
●2月21日 環境省、「やんばる国立公園」に隣接する米軍北部訓練場一部返還区域で環境調査実施へ。公園計画へも反映。
●2月22日 米空軍、うるま市津堅島沖でパラシュート降下訓練実施。
●2月23日 謝花・知事公室長、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票は「意義がある」と実施に前向きな姿勢示す。
●2月23日 第3次嘉手納爆音訴訟判決。飛行差止め棄却・過去分の損害賠償302億円の支払いのみ命じる。原告は2万2,048名。
●2月24日 嘉手納爆音訴訟原告団、沖縄防衛局にコンター見直し作業中止を求める。健康被害調査・騒音環境基準改正も要請。
●2月24日 NGO「新外交イニシアティブ」、第31海兵隊遠征部隊の県外移転や日米共同人道支援等の新たな安保政策を提言。
●2月25日付 防衛省、空自の緊急発進を4機態勢へ。尖閣諸島周辺の領空侵犯をけん制。
●2月25日付 米国調査団、昨年11月に北谷浄水場視察。県のPFOS対策を確認か。調査団体が県へ情報開示請求し資料を入手。
●2月25日 外務省沖縄事務所設立20周年。
●2月26日 翁長知事、県庁にて岸田外相と会談。普天間県外移設・5年以内運用停止、日米地位協定改定等求める要望書を提出。
●2月27日 東京MXテレビ、「ニュース女子」の反基地運動取材内容などに「捏造・虚偽はない」との見解をホームページ上で発表。
●3月1日付 北部訓練場ヘリパッド総工事費、当初契約額から4倍増の25億1,627万円に。資材空輸などで複数回契約変更。
●3月4日 伊江島基地機能強化反対集会に約120人。CV22オスプレイ配備・F35Bステルス戦闘機の訓練撤回など5項目を決議。
●3月5日 共産党・志位委員長来沖。翁長知事と会談。前日には稲嶺名護市長とも会談、辺野古新基地建設阻止に向け連帯を確認。

くわしく

【戦争を欲する「軍産学複合体」を作らせない】 武器開発と輸出に市民の監視を 武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)代表 杉原浩司

公開日:2017.07.14

 これは確信を持って言えるのだが、現在日本は「軍産学複合体」形成のとば口に立っている。その2つの柱が、武器輸出と軍学共同研究だ。ここで踏みとどまることが出来なければ、日本は「戦争できる国」から「戦争を欲する国」へとさらに変質するだろう。私たちは今、歴史的な分岐点に立っている。
 2014年4月1日、安倍政権は「国是」とされた武器輸出三原則を国会審議を経ない閣議決定のみで撤廃し、「防衛装備移転三原則」を策定した。それ以降、各国の軍幹部や軍需企業の日本詣でが相次ぎ、日本は国際武器見本市への参加と国内開催を解禁した。防衛装備移転三原則により、最初に、米国向けのPAC2ミサイルの輸出と英国との空対空ミサイルの共同技術研究が認可された。ともに、第三国への武器拡散につながる案件だ。

難航する武器本体の輸出

 しかし、武器輸出の解禁から3年近く経つのに、武器本体の輸出はうまくいっていない。英国へのP1哨戒機輸出の失敗、豪州への潜水艦輸出商戦での敗北に加えて、有望と見られていたインドへの軍用救難飛行艇US2の輸出も難航している。こうした状況に、森本敏・元防衛大臣は昨年10月に開催された国際航空宇宙展で「アジアにそっくり装備品を移転するのは難しいのではないか」「日仏、日米などで共同開発した武器の供与を考えるべきだ」と述べた。新たに浮上したニュージーランドへの川崎重工製のP1哨戒機、C2輸送機の輸出案件も、米国や欧州の軍需企業との一騎打ちが予想され、輸出はそう簡単ではないだろう。
 一方で、共同研究や共同開発は着実な進展を見せている。武器輸出の「先がけ」とも言うべき日米の「ミサイル防衛」共同開発は、イージス艦から発射するSM3ブロック2Aの海上での迎撃試験「成功」(17年2月3日(ハワイ時間))を受けて、生産段階へと移行しつつある。日本は21年度から調達する予定となっており、能力改修型のあたご型イージス艦への搭載が想定されている。また、三菱電機が参画している日英の空対空ミサイル共同研究は、17年度中に共同研究が終了する見込みと報じられており、開発に進むことは必至と見られる。日本も導入を始めているF35戦闘機などへの搭載が見込まれている。さらに、17年1月5日の日仏防衛相会談で、機雷探知技術を共同研究することも決まった。

日米武器開発の一体化が加速

 武器本体の輸出が難航する中で、この間明確になってきたのは、日本の得意とする民生技術(デュアルユース技術)を、自衛隊のみならず米軍をはじめとする他国の武器開発に提供しようとする動きだ。それが、日本版「軍産学複合体」の形成を実質的に促進するものとして作用している。
 昨年8月31日、防衛装備庁は20年先を見すえた武器開発に関わる3つの文書を公表した。「防衛技術戦略」1は米国防総省による武器開発計画に日本を組み込もうとするもので、日米新ガイドラインの「装備・技術協力」に基づいて民間企業や大学・研究機関を丸ごと動員し、日米による武器開発の一体化を図ろうとしている。
 同戦略の付属文書である「平成28(2016)年度中長期技術見積もり」2では、今後優先すべき武器開発分野として、無人化(ロボット化)、スマート化(人工知能)、高出力エネルギー技術(レールガン)などをあげている。これらは「第3の相殺(オフセット)戦略」(民間技術の取り込みで武器を革新することで軍事的優位を確保)を掲げる米軍が、まさに重視している分野に重なる。
 そして、同時に公表された「将来無人装備に関する研究開発ビジョン」3では、初めて「戦闘型無人機」の開発に踏み込み、中長期技術見積もりでは、それをアフリカなどの紛争地域で運用することさえ構想している。これらの文書のキーワードである「技術的優越」は米軍の戦略文書のコピーである。

ITが主導する「戦場の革命」

 米国防総省傘下のDARPA(国防高等研究計画局)のアラティ・プラバカール長官は、「最新の民間技術にアクセスし、それを国防総省の持つ秘密資源にしっかり統合すれば、驚異的な戦闘能力の向上が実現するはずだ」と述べている4。IT産業が新たな「戦場の革命」を主導する構図であり、そこに日本の民間企業や学術の現場が組み込まれつつあるのだ。この動向は、軍備増強を掲げるトランプ新政権の登場により、さらに加速するだろう。安倍・トランプ会談後の日米共同声明(2月10日)には「防衛イノベーションに関する2国間の技術協力を強化する」と明記された。
 そして、それを裏づけるような露骨な動きも発覚した。昨年11月下旬、米国防総省関係者が日本の民間技術を米軍の武器に採用できるかどうかを調べるために、経済産業省の仲介で、日本企業を対象とした秘密説明会(約60社が参加)を開催、12月上旬には個別面談(18社が参加)さえ行った(1月9日、共同通信)。

学術界に及ぶ軍事化の波

 学術界に関しては、2015年度に防衛省が創設した「安全保障技術研究推進制度」5の拡充が図られている。研究費不足に悩む大学・研究機関の弱みにつけ込む形で、税金を投入して軍事研究へと誘導しようという制度である。15年度3億円、16年度6億円から、17年度政府予算案では、なんと18倍の110億円が満額で認められた。1件あたり5年で数億から数十億円もの大規模研究課題の採択が狙われている。
 こうした軍事研究推進制度に対してどう向き合うかという日本学術会議の議論も大詰めに差しかかっている。3月7日に「安全保障と学術に関する検討委員会」の声明案がまとまった。過去の軍事研究禁止声明を「継承」し、防衛省の制度への応募を強く抑止する内容になっている。4月13日からの総会で、声明が確定することになるだろう。今後、大学や研究機関に対して、応募しないよう働きかけることが必要だ。
 さらに、日本の科学技術政策の軍事化の動きも著しい。日本の科学技術政策の「司令塔」とされる「総合科学技術・イノベーション会議」に、昨年9月から稲田防衛相が臨時議員として参加し、3月には軍民両用技術の開発を推進するための研究会さえ設置される。宇宙政策においても、1月に海外派兵を支援するための防衛省初の軍用通信衛星が打ち上げられた。また、今国会に、中古武器を無償または安価で輸出するための防衛省設置法改悪案も提出されている。
 安倍政権が前のめりに推進する「軍産学複合体」の本格的な形成=「死の商人国家」への変質を食い止めるには、企業が消費者に「死の商人」と見られることで企業イメージがダウンすることを恐れる「レピュテーションリスク」を最大化することが必要だ。消費者としての市民一人ひとりの意思表示こそが力になるだろう。


1 www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/senryaku.pdf
2 www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/mitsumori.pdf
3 www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/vision.html
4 『Newsweek日本版』、16年12月13日号。
5 www.mod.go.jp/atla/funding.html

くわしく

【私たちはどこにいるのか】 3つの視点から「禁止条約交渉」開始の画期をとらえる 主筆 梅林宏道

公開日:2017.07.14

 核兵器禁止のプロセスが始まる。歴史的な瞬間である。この画期の意味を3つの視点から考える。1)核兵器廃絶運動からの視点、2)米国の政治からの視点、そして私たちの最大の関心である、3)日本の核兵器廃絶政策からの視点である。

核兵器廃絶運動からの視点

 このプロセスが出てきた背景にはNPT再検討プロセスの行き詰まりがある。核軍縮があまりにも遅い、核兵器の90%以上を占有している米ロの軍縮交渉の先が見えない。むしろ核保有国は核兵器の近代化に勤しんでいる。NPT再検討プロセスでの政治的誓約の言葉は少しずつ前進するのだが、その誓約は実行されそうにない。一方、NPTプロセスは、条約交渉は国連の唯一の多国間交渉の場であるジュネーブ軍縮会議(CD)に委ねるという基本構造だが、そのCDが機能しない。このような苛立たしい状況が募って新しいプロセスの必要性が認識されるに至った。
 新しいプロセスへの動きは2011年に始まった。オーストリア、メキシコ、ノルウェーが国連総会に「多国間軍縮交渉を前進させる」という決議案を提出した。総会のイニシャチブでCD懸案のテーマを前進させる作業部会を設立する案であった。しかし、CDを差しおいて交渉の場を別に作ることへの反対論が根強く、採決前に決議案はとり下げられた。そこで、12年に「多国間核軍縮交渉を前進させる」と「核軍縮」にフォーカスした決議案が提出され採択された。今回の禁止条約の交渉会議を決定した決議「71/258」も同じタイトルであることが、そのルーツを示している。一方で2010年NPT再検討会議以来、核兵器の非人道性を再焦点化する努力が始まった。12年にスイスなど16か国による共同声明発表がされる。この声明で始まる「人道イニシャチブ」は、3回の国際会議などを通して着実に支持を広げた。これらの流れが決議「71/258」に合流した。
 このプロセスの今後を担う国家主体はどのようなものになるだろうか。96年7月のICJ勧告的意見を主導したのは非同盟運動(NAM)であった。ICJは「多国間」と呼ぶに相応しい普遍性を持つ場であり、それがゆえに核兵器保有国の影響力も働いた。その結果、ICJ勧告は核兵器使用の違法性について抜け穴を残した。
 包括的核実験禁止条約(CTBT)の締結は、NAMが主導したが広範な市民運動と米政権の決断があり、核兵器国も巻き込んだ多国間交渉の勝利だった。それでも米国は批准していない。
 禁止条約交渉の今回のプロセスが、禁止の先の核兵器の全面廃棄へとつながるためには、NAM対西側諸国という構図を超えた国家主体の登場が不可欠である。1998年に新アジェンダ連合(NAC)が生まれた時の志は、そのような国家グループを目指すことであった。その意味では今回の決議主導国のなかのオーストリアやアイルランドの役割は大きいが、それだけでは不十分と思われる。日本、オランダ、スウェーデンといった国の交渉参加の意味がここにある。

米国の政治からの視点

 オバマ政権は「核兵器の役割を低減する」という範囲においては、相当努力をし、成果を挙げた。だがそのオバマ氏は、プラハ演説(09年4月)で「核兵器が存在する限り、米国はいかなる敵をも抑止できる核兵器の保有を継続する」と言わざるをえなかった。新STARTの批准は巨額の核兵器近代化予算との取引になってしまった。13年6月のベルリン演説では「正義を伴う平和」というキーワードでその限界を超えることが目指され、オバマ氏は「核兵器が存在する限り我々は真に平和ではない」と語った。しかし、同じ日に発表された米国の「核使用戦略」には冷戦時代に作られた「核の聖域」が温存されている。米国内の政治的土壌は変わっていない。
 トランプ政権がどのような路線を取るのかはまだわからないが、17年1月27日の「大統領覚書」で、国防長官に新しい核態勢の見直し(NPR)と弾道ミサイル防衛の見直し(BMDR)を指示した。NPRの目的は米国の抑止力が「近代化され、強力で、柔軟で、回復力と即応性があり、21世紀の脅威を抑止して同盟国に安心を与えるように適切に調整されたものになること」とされた。想起されるのがブッシュ-ラムズフェルドのNPR(01年)である。彼らのNPRもまた「21世紀の脅威を抑止する」と言った。それはバンカーバスターや移動標的を捉える能力など「使える核兵器」を意味した。これは結局実行されなかったが、トランプのNPRも「戦場使用できる核兵器」に傾斜する危険がある。
 私たちはアメリカ社会という大きな壁に向き合い続けることになる。

日本の核兵器政策からの視点

 94年、日本政府が提出したICJへの陳述書の要約は、「核兵器の使用は、[純粋に法的観点から言えば今日までの諸国の国家慣行や国際法学者の学説等を客観的に判断した場合、今日の実定国際法に違反するとまでは言えないが、]その絶大な破壊力、殺傷力の故に国際法の思想的基盤である人道主義の精神に合致しないものであるといえる」というものであった。陳述はつづいて核兵器が二度と使用されるようなことがあってはならない、非核三原則を堅持する、核兵器の究極的廃絶に向けて努力すると述べた。[ ]で囲った「純粋に法的観点から云々」の部分は国内での批判が沸騰したため取り下げられたとはいえ、これが日本政府の基本的見解であり、今日でも変わらない。
 94年の見解は、もう1つの基本政策である「核の傘」については述べていないが、最近のトランプ・安倍共同声明(17年2月10日)を見れば明らかだ。「核及び通常戦力の双方による、あらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」とする。
 一方、北朝鮮の核問題解決の道は、北東アジア地域における「みんなの安全保障」という観点による以外にはない。日本自身が「核兵器は必要だ」と言っている限り説得力を持ち得ない。北朝鮮に対する説得力だけではない。北朝鮮はNAMの一員である。北朝鮮だけがなぜ、核をもってはいけないのか、ミサイルを撃ってはいけないのかという、小さな国々の疑問を背に北朝鮮は挑戦をつづけているという側面があることを忘れてはならない。
 我々が触れる北朝鮮情報が相当歪曲されていることも見落としてはならない。「安保理決議」は「弾道ミサイル技術を使った発射」をイランに始まって北朝鮮にも禁止している。しかし今年2月12日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した前後に、米国は2月8日にミニットマンミサイルを発射し、14日にはトライデント弾道ミサイルを発射している。このことは日本ではほとんど報道されない。
 公正な立場から北朝鮮に非核化を求めようと思えば、このような歪曲を正しつつ、日本自身の核の傘も論じられなければならないのは理の当然である。核兵器の法的禁止への日本の貢献は、核兵器依存から脱するという日本の安全保障政策の変革と並行して初めて可能になる。(2月25日の講演をもとに要約した。)

くわしく

<資料2>交渉会議議題一覧  

公開日:2017.07.14

核兵器を禁止し完全廃棄に導く法的拘束力のある文書を交渉する国連会議
ニューヨーク、2017年3~7月
A/CONF.229/2017/2
2017年2月22日
議題1

1.開会
2.議長の選出
3.議題の採択
4.手続き規則の採択
5.作業構成
6.その他の役職者の選出
7.会議代表者の資格審査:
(a)資格審査委員会委員の指名
(b)資格審査委員会からの報告
8. 一般的意見交換:
(a)ハイレベル・セグメント
(b)全ての事項についての一般的意見交換
9.2016年12月23日付け総会決議71/258の第8節に基づく、核兵器を禁止し全面廃棄に導く法的拘束力のある文書についての交渉
10.その他
11.会議報告書の採択
12.閉会

注1 2017年2月16日の組織会合にて、項目11の下に小項目を追加しうるとの理解のもと、会議議題が採択された。
(訳:ピースデポ)

くわしく

<資料1>交渉会議組織会合におけるアイルランドの声明(全訳)

公開日:2017.07.14

2017年2月16日
ニューヨーク国連本部

 議長、

 アイルランドはこの組織会合への出席をとても喜んでいます。始めに、諸々の準備作業をしてくださった国連軍縮局(UNODA)にお礼を申し上げます。おかげで今日の会合が実現しました。アイルランド代表団は、コスタリカがエレイン・ホワイト・ゴメス大使を指名したことを心から歓迎し、彼女がこの外交会議の議長に就任することを支持します。代表団一同、3月27日に議長が選出され、会議の諸文書が正式採択されることを期待しています。代表団は特に、この会議を設置する決議で約束されたように、これからの交渉で市民社会が果たす役割を歓迎します。市民社会のパートナーの皆さんの支持と働きかけなくしては、ここまで来られませんでした。市民社会と私たち政府との全面的、積極的な関わりを歓迎します。

 昨年10月、第1委員会開会中のまさにこの建物、この部屋で、アイルランド代表団は、パートナー国のオーストリア、ブラジル、メキシコ、ナイジェリア、南アフリカと共に、この外交会議の設置を求める国連決議を提案しました。会議のマンデートは、核兵器を禁止し完全廃棄につなげるための新たな法的文書を交渉することです。この決議が基礎にしたのは、昨年ジュネーブで開催されタイのタニ・トングファクディ大使が非常に優れた手腕で議長をお務めになった、公開作業部会(OEWG)での知見やその最終報告書でした。そのOEWGは、アイルランド、オーストリア、メキシコ、南アフリカが2015年に第1委員会に提案した決議の結果として実現したものです。そしてその決議は、オスロ、ナヤリット、近くはウィーンでの3つの「人道上の結末」会議の成果の上に成り立っています。それら会議の成果は「人道の誓約」に結実しました。同「誓約」に言及されている、法的ギャップを埋めるための選択肢は、新アジェンダ連合によってNPT再検討プロセスに提出された、いくつかの作業文書の中で示されていました。新アジェンダ連合とは1998年に設立された国家集団で、アイルランドはその創立メンバーであり現連絡調整国です。

 アイルランド代表団がこの問題に関わるようになって20年近くになります。実際、核軍縮は、アイルランドの政府、議会、そして国民にとって、この国際連合への加盟当初からの優先課題でした。当時の外相フランク・エイキンは1957年以来、核軍縮の緊急の必要性について国連で幾多の演説を行い、そうした努力の結果、アイルランドは求められてNPTの最初の署名国になりました。アイルランド代表団にとっては、フランク・エイキンによる署名から今日の取り組みまでが途切れることのない1本の線でつながっています。アイルランドのNPTに対する忠誠は揺るぎません。我々はNPTの普遍化のみならずその履行を望んでおり、そこには条約第VI条の完全履行も含まれます。第VI条の完全履行こそ、この外交会議の招集を実現したい、核軍縮に関する効果的な交渉の進展を確実にしたいという私たちの決意の原動力です。NPTに対するこの歴史ある忠誠は、ルールに基づいた国際秩序と、その秩序の内にある小国の重要な―さらに言えば不可欠な―指導的役割とに対する私たちの信頼の、まさに核心に通じています。よく言われるように、核軍縮は核兵器を持つ大国の課題なのかもしれません。しかし、それは核兵器を持たない小国にとっても等しく重要であり、NPTの下ではそれら小国にとっても同等の責務なのです。NPTは通常、不拡散体制の礎石と評されますが、礎石であるということは何を意味するでしょうか。それは建物全体がその上に築かれている石だということです。私たちNPT締約国は、その責任を真摯に受け止め、率先して模範を示さなければなりません。それこそが、私たち皆が今日ここで行っていることです―そう私は望んでいます。これは一歩です。これだけでは足りないでしょうが、たしかな一歩です。

 土台、礎石、柱といった石造建築に関するたとえは有効ではありますが、NPTが何か石に刻まれていたりある時点で凍結されていたりするような不変のものだと誤解してはなりません。すべての条約と同様、それは生きた文書であり、自らこれが最終的結論だと主張したことは一度もなく、VI条のうちにさらなる効果的措置と補完的な条約とを構想しています。条約の核心部分にはダイナミックな緊張関係があり、核兵器へのいかなる権利も永久に保護することはせず、その代わり軍縮プロセスが前進する限りにおいては核兵器が存在するとの現実を認める、という大取引(グランドバーゲン)が存在します。「前進する」がここでの最も重要な言葉です。というのは、NPTの多国間核軍縮の柱において目立った進展はほとんどなく、今日が20年以上前のCTBT以来、初めての核兵器に関する多国間交渉の幕開けとなるからです。そのCTBTですが、かつてないほど重要性が高まっているにもかかわらず、残念ながらいまだに発効していません。私たちはより広範な安全保障状況を無視できませんし、すべきでもありません。使用の威嚇がタブーではなくなってきているという憂うべき状況があり、違法な核実験が絶えることなく、いわゆる近代化に莫大な投資がなされ、より戦略的な核兵器、標的を絞った使い勝手の良い核兵器について語られています。現在出回っている言説の中で最も危険なものの1つは、いかなる核兵器であっても何らかの制御されたやり方であれば再び使うことができるという考えです。核兵器は、これまでに発明された中で最も強力で最も無差別な大量破壊兵器です。私たちは今や、核兵器がもたらす壊滅的な結末について、また、いかなる適切な人道上の対応も不可能だということを知っているのですから、それらが二度と使われないよう、あらゆることをしなければなりません。

 持続可能な開発目標、そして移住という大問題についての、ここ国連での取り組みを通じて、私たちは多くの国家からなるけれども1つの小さな惑星を共有しているのだということが、改めて確認されています。人類は、戦争はもう沢山だと思っており、それが私たちがこの会場にいる理由です。このことを決して忘れてはなりません。核兵器は国境を尊重することはなく、その影響は誰にも制御できません。古いことわざを引くならば、「虎に乗るものは食われることを恐れて降りるのが難しい」。しかし彼は降りねばなりません。私たちがここにいるのは、これらの毒性兵器にいまだに頼っているものたちを手助けして、彼らのそれら兵器に対する見方を私たち多数派と同じものにしてもらうためです。非人間的で、見境がなく、いかなる合法的な使用もありえないという見方に変えてもらうためです。変化が訪れるのは、現状がより居心地が悪くなり、何か新しいことをするほうが現状を維持するよりも居心地悪さの度合いが少なくなった場合だけです。昨年、100を超える国々が、今が変化の時だと決意しました。アイルランド代表団は議長と副議長団そして事務局を支える用意があります。我々は変化を起こす責任を引き受けつつ、もっと多くの国々がこの挑戦に加わることを願っています。アイルランドは、幅広い国々、とりわけ途上国や比較的小さな国々が勇気をもって今日ここに参加してくださったことを歓迎します。ジュネーブのOEWGでは、それら諸国の声、中でも多くの女性の声が、非常に力強く、また欠かせないものとしてありました。私たちは他の多くの国々が今日の会合を見守っていることを知っています。すでに心を決めている国もあるかもしれません。彼らに訴えます。変化の可能性に心を開き続けてください。私たちのここでの取り組みは全人類を、その希望のすべてを、安全のすべてを守るためであることを分かってください。3月27日、そして6月15日に、ここ国連に来て私たちに加わってください。歴史の流れに乗って、よりよい未来を築くために。

 ありがとうございました。
(訳:ピースデポ)
原文:
 https://www.un.org/disarmament/ptnw/statements/pdf/Ireland-Statement-16-February-2017.pdf

くわしく

核禁止交渉会議、今月末に開会へ 「持たざる小国」による「変化」への挑戦

公開日:2017.07.14

国連総会決議71/258を受けた「核兵器を禁止し完全廃棄に導く法的拘束力のある文書を交渉する国連会議」(以下「交渉会議」)が、今月27日からニューヨークの国連本部で始まる。去る2月16日、この交渉会議の運営を議論する「組織会合」が同地で開催され、議題と3月会期の議事日程、NGO参加のあり方などの輪郭が明らかになった。核廃絶へ「変化を起こす」(アイルランド)ための一歩が、いよいよ踏み出されようとしている。


 交渉会議は「3月27~31日」と「6月15日~7月7日」の2会期からなる(国連決議71/258主文10節)。2月16日の組織会合は、早期に交渉会議の運営に関する1日間の会合を持つことを規定した同決議の主文11節に基づき開催された1
 組織会合の参加国は101か国に上った(ICAN調べ2)。決議71/258の主導国の1つであるアイルランドの代表は「幅広い国々、とりわけ途上国や小さな国々が勇気をもって今日ここに参加して下さったことを歓迎します」と述べた(3~4ページの資料1)。コスタリカのジュネーブ常駐代表であるエレイン・ホワイト大使が議長を務めることが確認され、交渉会議の議題と3月会期の議事日程、会議運営のルール(手続き規則)、そしてNGO参加のあり方をめぐって討議がなされた。ホワイト大使から、議題と3月会期議事日程のそれぞれについて草案が提示され、この日の討議を経て修正され採択された。採択された「議題」と3月会期の「日程表」を、それぞれ資料2、3として4ページに掲げる。

3月に一般討議、6~7月に条約交渉

 議題と3月会期日程とを併せ眺めると、3月会期で全12項目の議題のうち8番目の「一般的意見交換」までを終え、6~7月会期は条約交渉(項目9)から始めて会議報告書の採択(項目11)を終える、という交渉会議の構成になっている。
 組織会合では議題案に関し、交渉の「結果」、すなわち条約そのものの採択についての言及がないとの指摘があった。これを受けて、「項目11(会議報告書の採択)の下に小項目を追加しうるとの理解」がなされたことが注記された。つまり、ここでの「小項目」には「条約」そのものも想定されているのであり、交渉会議で条約採択まで行う可能性も排除されないことが明らかになった。
 なお、3月会期の日程案に関しては、毎会議日の最後に15分ずつ、NGOからの発言の時間帯を設定することが議長により確認されたという。

「多数決」めぐるせめぎあい

 決議71/258は、交渉会議は「当該会議が同意したのでない限りは総会手続き規則に従」う(主文10節)としていた。組織会合では手続き規則案3が示され討議に付された。
 国連決議の審議時から議論のあった意思決定方法について、同規則案は、「会議目的が全会一致で達成されるよう最大限努力する」(規則33)としつつ、「手段を尽くしても全会一致できない場合」には、実質的事項は出席国の3分の2、手続き的事項は出席国の過半数の同意で決定する(規則35)などとしている。これらに関しては全会一致の重要性を強調する発言がある一方で投票という選択肢も保持すべきとする発言もあり、意思決定方式に関する議論は非公式協議に持ち越された模様である。本稿執筆時点では、手続き規則の最終版は交渉会議の公式サイトに掲載されていない。

NGOの参加形態はOEWGと同様

 組織会合での議論の大部分は、NGOの参加のあり方に関するものであった。NGOの参加申請を一国の政府が拒否できるかなどをめぐり意見が分かれたが、協議の末、概ね以下のように決定された4
 すなわち、国連経済社会理事会との協議資格を持つNGOは議長に申し出た上で参加できる。また、協議資格がなくても会議に関連した活動を行っているNGOは、団体の目的や活動を明らかにした上で議長に参加を申請すれば、反対する政府がないことを条件に参加が可能となる(あるNGOの参加を拒否する政府があった場合、当該政府は任意に拒否理由などを開示できる)。なお、NGOには交渉会議の公式会合への参加資格があり前述のように限定枠での発言もできるが、投票権はない。このような参加形態は、2016年OEWG(公開作業部会)などの場合とほとんど違わない5

中国、インドも組織会合に出席

 組織会合に参加した101か国の大部分は決議71/258への賛成国だが、棄権国のうちNATO加盟のオランダなど8か国、また第1委員会・総会全体会のいずれの投票にも欠席した国も5か国が参加している。特に、核保有国の中国とインドが出席した点が注目される。インドは発言も行い、国連決議に自らが棄権したのは検証問題が重視されていないからだなどと述べた。中国については交渉会議への参加を検討しており、オーストリア、メキシコなど「推進派」から考えを聴取しているとの報道もある6。ピースデポが得た情報では、中国の参加は非同盟運動オブザーバー国としての位置を重視するジェスチャーの表れという日本政府筋の見方がある。
 決議反対国で組織会合に出席した所はなかった。米ロをはじめ豪州など多くの決議反対国は交渉会議についても不参加の方針を明らかにしている。日本政府が組織会合を欠席した理由について岸田外相は、交渉に参加するか未定なためと述べた7。岸田外相自身は参加したい意向を示しているが、米国をはじめ核保有国の参加の見通しが立たないことや、北朝鮮の核・ミサイル開発など「安全保障環境の悪化」を理由に、政府全体として慎重に判断するとしている8。首相官邸や内閣官房内(国家安全保障局)に反対の声があるのではとの見方もある。また、ピースデポが得た情報からすると、トランプ政権の人事が未確定なため日本政府が米国の意向判断に手間取っている可能性もある。本稿執筆時点でも日本政府はいまだ参加態度を明らかにしていない。
 日本政府に対しては被爆者団体を含む多くの反核運動団体が、交渉会議に参加して禁止条約締結に向け積極的な役割を果たすことなどを要請している。2月10日には「核兵器廃絶日本NGO連絡会」から田巻ピースデポ代表を含む17人が、同趣旨の外相宛要請書を武井外務大臣政務官に手渡し意見交換した。ピースデポも2月20日、外務省の相川軍縮不拡散・科学部長らに対し、「核軍縮枠組み条約」提案書と共に外相宛の要請書を手渡し、日本政府が交渉会議に参加してそこでの取り組みに「枠組み条約」提案書を活用するよう申し入れた9

全人類の希望と安全のため変化を起こす

 改めて資料3を見ると、「一般的意見交換」のテーマが「原則と目的、前文の要素」「中核的禁止事項」「制度的取り決め」の3つに区分されており、核兵器の禁止のみを規定した簡潔な条約が想定されているようにも思える。ピースデポとしては、本誌でも述べてきたように、「禁止」を確保しつつ、完全廃棄への道筋に少しでも多くの国々を巻き込むべきだと考えており、禁止交渉の「主導国」にもそうした努力を期待したいところである。
 現に、核保有国・依存国をいかに関与させるかという問題意識は「主導国」の間でも共有されているといえる。そのことは、これらの国々の代表部の主催で今月、①条約不参加の核保有国との関係・協力に関する条項、②核軍備撤廃条項、③核保有国の加入条項、をテーマに3回シリーズの非公式の討論会がジュネーブ国連欧州本部で開かれていることからもわかる10。こうした会合の成果が今月27日からの交渉会議での議論にどうつながっていくのかにも注目したい。
 ともあれ、アイルランド代表の言葉を借りれば「全人類」の「希望と安全」のために「変化を起こす」ための「一歩」が、いよいよ踏み出されようとしている。(荒井摂子)


1 組織会合の内容に関する本稿の記述は、主として交渉会議の公式サイト(https://www.un.org/disarmament/ptnw/index.html)、およびリーチング・クリティカル・ウィル(RCW)の報告記事(www.reachingcriticalwill.org/disarmament-fora/nuclear-weapon-ban/reports/11377-states-discuss-rules-for-nuclear-ban-negotiations)を基にしている。
2 www.icanw.org/campaign-news/negotiations/
3 RCWサイト内に掲載。www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Disarmament-fora/nuclear-weapon-ban/documents/draft-rules-of-procedure.pdf
4 A/CONF.229/2017/4、17年2月22日付。
5 交渉会議事務局は、NGOの参加申請方法を説明した文書を発出している(A/CONF.229/2017/INF/2)。団体登録申請は3月3日で締め切られた。
6 17年2月15日付「ロイター」電子版(共同通信)。
7 17年2月21日記者会見。www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000455.html#topic5
8 17年3月5日付のNHK報道。
9 ピースデポの「枠組み条約」提案の趣旨や内容は本誌513号(17年2月1日)参照。提案書は日本語版と英語版を作成し、関係各国に送付した。提案書の全文と送付先の詳細、および外相宛要請書の全文はピースデポ・ウェブサイトに掲載(www.peacedepot.org/menunew.htm)。
10 ①は3月6日にオーストリア、②は3月10日にアイルランド、③は3月22日に南アフリカの各代表部が、それぞれジュネーブ安全保障政策センター(GCSP)及びジュネーブ軍縮プラットフォーム(GDP)と共催している。www.gcsp.ch/Events/Negotiating-the-Treaty-Prohibiting-Nuclear-Weapons-Cooperation-and-Relations-Provisions

くわしく