【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年6月17日~6月26日)

2026.07.02

2026年6月24日、自由民主党と日本維新の会は、それぞれの安全保障調査会による提言を高市首相に手交しました。これらの提言は、同年末に予定されている「安保三文書」の改訂を念頭に置いたものとみられます。

一方、中東情勢に目を移すと、6月17日に締結された米・イラン間の「イスラマバード覚書」に基づく和平交渉が進むなか、その最大の障害とされていたレバノン情勢の行方に注目が集まっていました。そうしたなか、6月26日には米国の仲介によってレバノン・イスラエル間で「三者枠組み」が合意されました。

以下では、6月17日から26日までに各国政府や国際機関が公表した、核兵器問題、核不拡散、および中東情勢に関する重要な一次資料を紹介します。

写真出典 左:首相官邸HP 右:米国務省HP

2026年6月17日~6月26日の重要文書

2026年6月17日(水)
【日本】日本維新の会、「提言:『危機の30年』時代の国家安全保障戦略」発表
<参考>【日本】自民党、安全保障調査会「新たな国家安全保障戦略などの策定に向けた提言」を発表(6月9日)
2026年6月18日(木)
【北朝鮮】金与正党部長、G7の非核化要求を拒絶する談話を発表
2026年6月24日(水)
【フランス・ドイツ・イタリア・ポーランド・英国】E5首脳声明
2026年6月26日(金)
【米国・イスラエル・レバノン】アメリカ合衆国、イスラエル国、レバノン共和国間の三者枠組み

バックナンバー
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【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年5月20日~6月17日)

 

2026年6月17日(水)——————————————————————————————
【日本】日本維新の会、「提言:『危機の30年』時代の国家安全保障戦略」発表(6月17日)
出典:https://o-ishin.jp/news/2026/images/0937ba3b98091a8db9536c6b98d3b6ba4af89fce.pdf
<参考>【日本】自民党、安全保障調査会「新たな国家安全保障戦略などの策定に向けた提言」を発表(6月9日)

(ガイド)
日本維新の会は、安保三文書の見直しに合わせ、今後30年を見通した、国家安全保障戦略を発表。中には憲法9条の改正、原子力潜水艦の導入、拡大核抑止の強化(非核三原則の「持ち込ませず」の現実的検討、核共有の制度的検討開始)などが含まれている。

(本文抜粋)
Executive Summary

1.提言の基本認識

我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な局⾯を迎えている。(略)同時に、戦争の様相そのものも変化している。ウクライナ戦争が⽰したハイブリッド戦争、認知戦、ドローン戦争に加え、2026年の⽶国による対イラン軍事⾏動は、AI、ネットワーク、センサー及び精密打撃を統合した「アルゴリズム戦争」の到来を⽰した。 冷戦後の国際秩序は終焉を迎えつつあり、我々は「危機の30年」の時代に直⾯している。本提⾔は、この現実を直視し、我が国の国家安全保障戦略を抜本的に再構築することを⽬的とする。 

2.国家安全保障戦略の基本理念

(略)(1)我が国の戦略的自律性の向上(略)(2)日米同盟の戦略的不可欠性の向上(略)

3.DIMEによる統合的な安全保障戦略

本提⾔は、国家安全保障を「DIME(Diplomacy, Information, Military, Economy)」の統合的な枠組みで捉える。(略)

 

第1部 現状認識(略)

第2部 外交政策(D)

 第1章 同盟構想

第1節 日米同盟への新たな要請(略)

第2節 新たな同盟構想の必要性(略)
これらを達成するためには、現在の政府解釈である「集団的⾃衛権⾏使の限定容認」では不⼗分であり、「集団的⾃衛権⾏使の全⾯容認」が不可⽋である。 我が国が集団的⾃衛権を全⾯的に⾏使可能とするためには、既に時代遅れとなった憲法9条2項の削除が不可⽋であり、現下の国際情勢に鑑み、早急に実現を図るべき課題である。(略)

 第2章 外交⼒の強化(略)

第3部 インテリジェンス政策(I)(略)

第4部 防衛政策(M)

 第1章 戦略概念の転換(略)

 第2章 海洋戦略の転換

第1節 原子力潜水艦の導入
(略)政府は、早急に原⼦⼒潜⽔艦を導⼊すべきである。そのため、次世代の動⼒としての「原⼦⼒推進」(Nuclear Propulsion)の研究開発に対して必要な投資を⾏い推進すると同時に、原⼦⼒潜⽔艦の具体的な配備計画の企画及び⽴案に、直ちに着⼿すべきである。その際、必要に応じて、原⼦⼒基本法を改正する。 政府は、原⼦⼒潜⽔艦の導⼊にあたり解決すべき課題への対応策の企画及び⽴案についても、早急に着⼿すべきである。 また、我が国の「次世代潜⽔艦隊」について、動⼒源に関するポートフォリオ(通常動⼒潜⽔艦と原⼦⼒潜⽔艦の組み合わせ等)をゼロベースで検討すべきである

第2節~第5節(略)

 第3章 核戦略

  第1節~第2節(略)

  第3節 我が国が取るべき核戦略

(1)核抑止を国家戦略の中心に据える(略)

(2)日米拡大抑止の実効化
(略)⽇⽶の「拡⼤抑⽌に関するガイドライン」を⼟台として、⽇⽶拡⼤抑⽌協議(EDD: Extended Deterrence Dialogue)の運⽤をさらに深化させるべきである。具体的には、スタンド・オフ防衛能⼒、ミサイル防衛、宇宙・サイバー・電⼦戦能⼒等の通常戦⼒と核抑⽌⼒を⼀体的に計画・運⽤する「核・⾮核統合」(NCI: Nuclear-Conventional Integration)を進め、危機時の協議、共同計画及び核運⽤に関する意思疎通を、平素からの常設的なプロセスとして具体化する必要がある。(略)

(3)非核三原則について
第⼀に、核政策に関する現在の政府⾒解(いわゆる岡⽥外相答弁)は、国⺠の⽣命及び国家の命運に責任を有する政府として、意思決定を先送りにしているとも⾔え、より責任ある対応が求められる。

第⼆に、現状変更を試みる核保有国に囲まれる我が国にとり、核の脅威が確実に⾼まっていることは、明⽩である。 

第三に、2032年以降に配備予定のSLCM-Nは、インド太平洋における戦域核抑⽌の中⼼的役割を担う可能性が⾼い。(略)我が国としては、SLCM-N配備後を⾒据え、⽶攻撃型原⼦⼒潜⽔艦の円滑な寄港、補給及び維持整備体制を整備することが、⽶国の我が国に対する拡⼤抑⽌⼒の強化に繋がる。そのためにも、2032年までに、我が国としての核抑⽌⼒強化策を定め、⽶国との調整を進める必要がある(いわゆる「2032年問題」)。 

第四に、加速度的に変化する国際情勢を踏まえ、今般改定する国家安全保障戦略及び国家防衛戦略の対象期間を約5〜10年間とすべき点(2027年〜2036年頃までの戦略を描く点)に鑑み、2032年までの核抑⽌⼒強化策は、今般改定する国家安全保障戦略及び国家防衛戦略で明らかにせねばならない。即ち、今般の改定こそ、我が国の核抑⽌⼒強化のモメンタムに他ならない。今般の改定で我が国の核抑⽌⼒強化を定めなければ、間に合わないのである。

第五に、我が党の安全保障に対する基本姿勢は、「リアリズム・国際標準」である。したがって、現実的な核戦略を提⾔する。(略)そのためにも、2032年問題を念頭に、まずは我が国の核戦略に対する意思として、「⾮核三原則」については、『持たず』『作らず』は維持しつつ、『持ち込ませず』については現実的検討を⾏うべきである。これは、「核不拡散条約体制(NPT体制)の堅持」と同義であり、核戦略の国際標準である。その上で、政府は、⽶国による拡⼤核抑⽌の実効性を⾼めるため、⽶国とも協議の上、必要な措置を講ずるべきである。

(4)核共有について
(略)我が国において直ちに核共有を導⼊する必要はないが、予断を以て排除する必要もないことから、政府は、我が国における核共有の制度的課題、法的課題及び運⽤構想等について、検討を開始すべきである。特に、⼤陸国家群である⻄欧諸国を中⼼としたNATO型の核共有とは異なり、海洋国家である我が国にとり、海上戦⼒を基盤とした⽇本型の核抑⽌協⼒について、中⻑期的な研究を⾏うべきである。 

(5)戦略的再保証の強化
我が国に対する「再保証」(Reassurance)を強化し、⽶国の拡⼤核抑⽌に対する我が国の信頼を維持する必要がある。例えば、他国では、⽶戦略原⼦⼒潜⽔艦の寄港99や共同演習等を通じ、抑⽌の可視化を進めている事例がある。 

 第4章~第16章(略)

第5部 エネルギー政策および経済安全保障政策(E)(略)

第6部 個別提言一覧(略)

 

2026年6月18日(木)——————————————————————————————
【北朝鮮】金与正党部長、G7の非核化要求を拒絶する談話を発表(6月18日)
金與正党部長が談話発表
出典:http://www.kcna.kp/jp/article/detail/be4e44585e3411c7d2ab416cd6a2fde2(日本語版)http://www.kcna.kp/en/article/detail/be4e44585e3411c7d2ab416cd6a2fde2(英語版)

(ガイド)
金与正は、G7サミット共同声明が求めた北朝鮮の「非核化」を時代錯誤と一蹴し、核保有は自衛のための核心的利益であり「不退の線」であると主張。G7に北朝鮮の主権や核保有を批判する資格はないと反論した。

(本文抜粋—日本語版より)
(略)
フランスで行われたG7(先進7カ国)サミットで米国をはじめとする西側諸国は、朝鮮民主主義人民共和国に対する根拠のない政治的非難の修辞を乱発し、時代錯誤の「非核化」主張をまたもや繰り返した。

世界の平和と安全、国際核拡散防止体制を破壊する主犯であるG7は、朝鮮民主主義人民共和国の主権的選択を論じる資格も、逆らう権利もない。

私は、わが国家憲法に対する直接的侵害となるG7の越権行為に強い不満と遺憾を表するとともに、それを最も明白な語調で断固糾弾、排撃する。

最終的に終結した事案である「非核化」がいつになっても実現しないということを彼らが知らないはずがなく、実際に知らないのなら政治的判別力の欠如、現実感覚の不足だけをさらけ出すだけである。(略)

敵から恒常的かつ持続的な核脅威を受けてきたわれわれが自らを守るために獲得した核こそ、われわれを害しようとする敵以外には誰も憂慮の念を抱かないということ、まさにこれに焦点を置いてわれわれの「核脅威」主張の非論理性を考察すべきである。(略)

核保有は必ず固守すべきわれわれの核心利益であり、「非核化」は絶対に越えられない不退の線である。(略)

 

2026年6月24日(水)——————————————————————————————
【フランス・ドイツ・イタリア・ポーランド・英国】E5首脳声明(6月24日)

E5 Leaders’ Statement: 24 June 2026
出典:E5 Leaders’ Statement: 24 June 2026 – GOV.UK

(ガイド)
欧州5か国首脳は、①欧州の防衛負担拡大、②ロシアとテロへの抑止・防衛強化、③防空・AI・長距離打撃能力などを含む防衛産業協力、④ウクライナ支援とNATO連携強化、⑤米・イラン覚書の履行支援とイランの核兵器保有阻止およびホルムズ海峡の航行の自由確保の5分野で協力を進めることで一致した。

(本文抄訳)
(略)
首脳らは、以下の5つの具体的分野で前進することを決定した。

1.欧州の主導的役割と負担分担:首脳らは、米国と緊密に調整しつつ、欧州が共通の大西洋横断的安全保障に対してより大きな責任を担うことにより、NATO内における欧州の役割を強化することを約束した。首脳らは、加盟国がハーグ防衛投資誓約の実施に向けて達成した著しい進展を歓迎するとともに、NATOの能力への欧州の貢献を強化するための方策を共同で策定することに合意した。

2.集団安全保障:首脳らは、ロシアからの最も重大かつ直接的な脅威、および欧州・大西洋の安全保障に対する最も直接的な非対称的脅威であるテロリズムに対応し、これを抑止するため、360度アプローチに沿って、同盟の抑止・防衛態勢を積極的に強化するとともに、NATOの抑止活動への貢献を拡大することに合意した。首脳らは、欧州・大西洋地域の安全保障に対する基本的なコミットメントと決意を改めて確認するとともに、それが脅かされた場合には適時に共同で行動する決意を再確認した。

3.防衛産業協力:首脳らは、抑止と防衛に不可欠なNATOの能力、戦闘遂行態勢およびレジリエンスを、必要とされる速度、規模および費用対効果で実現するためには、防衛産業協力をより緊密に進めることが重要であるとの認識を示した。首脳らは、防空、無人システム、人工知能、ならびに長距離打撃能力を含むその他の能力に重点を置き、防衛産業協力をさらに強化する。さらに、欧州による共同開発および縦深精密打撃能力の共同調達への取組を加速することに合意した。

欧州の産業基盤強化に加え、首脳らは、資本と投資を呼び込むための金融メカニズムを基盤として、新興技術を積極的に活用することの重要性を強調した。これには、重要な能力上の不足を解消し、相互運用性を高めるため、既存の制度・枠組みを拡充することが含まれる。

4.ウクライナ支援:首脳らは、ロシアの侵略に対するウクライナの防衛を、対ロシア制裁および経済的圧力、ならびにウクライナのエネルギー部門の強靱性への支援を含め、今後も大幅に支援していくことを約束した。また、NATO首脳会合における軍事支援の誓約、およびJATECやNSATUを含むNATOの各種イニシアティブを通じたウクライナとの協力強化を支持した。

首脳らは、ウクライナとのNATOパートナーシップをさらに深化させ、ウクライナを同盟へより近づけること、そしてウクライナが欧州・大西洋の安全保障に果たしている極めて重要な貢献を認識することへのコミットメントを改めて表明した。

首脳らは、公正かつ永続的な平和の条件について認識を共有するとともに、米国および欧州の積極的な関与の下で、ウクライナとロシアとの直接対話に向けた提案を支持した。

5.イランに関する結束:首脳らは、トランプ大統領の指導力と仲介国の支援の下で成立した米国・イラン覚書を歓迎し、これを地域の安定を回復し、世界経済を安定化させる好機であるとの認識で一致した。

首脳らは、永続的な平和を実現するための緊急かつ包括的なフォローアップの一環として、この覚書の実施を支援することへのコミットメントを改めて表明した。

首脳らは、イランは決して核兵器を保有してはならないことを強調した。

首脳らは、ホルムズ海峡における無条件かつ制限のない航行の自由の重要性を改めて確認した。また、状況が許し、それぞれの憲法上の要件に従うことを前提として、英国とフランスが主導する多国籍軍事ミッションに参加することへのコミットメントを確認した。このミッションは、機雷除去の検証などを通じて海運業界に安心感を与え、ホルムズ海峡の再開通を実現するうえで重要な役割を果たし得る。

 

2026年6月26日(金)——————————————————————————————
【米国・イスラエル・レバノン】アメリカ合衆国、イスラエル国、レバノン共和国間の三者枠組み(6月26日)
Trilateral Framework Between the United States of America, the State of Israel, and the Republic of Lebanon
出典:Trilateral Framework Between the United States of America, the State of Israel, and the Republic of Lebanon

 (ガイド)
米・イスラエルのイラン攻撃によるハメネイ師殺害に対する報復としてレバノンの抵抗勢力ヒズボッラーは2026年3月2日にイスラエルへの攻撃を行い、両者間の本格的紛争がイラン戦争と連動するかたちで再燃した。米・イラン間のイスラマバード覚書(6月17日)に基づく和平交渉の最大の障害としてレバノン情勢の行方が注目される中、米国の仲介によりレバノン・イスラエル間で「三者枠組み」が合意された。この枠組みにおいて紛争当事者であるヒズブッラーは排除され、その武装解除がイスラエルのレバノン撤退の前提条件とされるなど、イスラエル側の主張を大きく取り入れた内容となっている。ヒズブッラーのカーシム書記長はただちにこの合意について、レバノンの主権を放棄するものであり無効であるとの声明を発出した。6月27日以降も、イスラエルとヒズブッラー双方のレバノン南部における戦闘は継続しており、この枠組みの実効性が疑問視される状況が続いている。

(本文抄訳)
イスラエル政府とレバノン政府は、ドナルド・J・トランプ大統領率いる米国の全面的な支援を受け、永続的な平和と安全の実現という共通の目標を改めて表明する。この三国間枠組み(以下「枠組み」という)および将来の合意に反映されているように、両国は、両国間の紛争を終結させ、両国の主権と安全を確保し、平和的な近隣関係を確立するという抱負を表明する。

 1.イスラエルとレバノンは、それぞれの国家が平和に共存する権利、そして隣国として安全に暮らすという相互の意思を確認する。(略)

 2.イスラエル政府とレバノン政府は、明確な条件の下、相互的かつ段階的なプロセスに合意する。このプロセスにより、レバノン軍は、非国家武装集団の武装解除と関連インフラの解体が検証されることを条件として、レバノン全土に対する主権を回復し、そのことによって、イスラエル国防軍(IDF)がレバノン領土から段階的に撤退できるようにする。このプロセスの構成要素は、米国が全面的に支援して作成する安全保障付属文書に詳細に記載され、この枠組みを補完する。(略)

3.安全保障付属文書に基づき、レバノン国家による武器の独占と主権的な領土支配に向けた広範な取り組みの一環として、レバノン軍(LAF)は試験区域において段階的に完全かつ効果的な治安責任を引き継ぎ、これらの区域はIDFの段階的かつ検証済みの再配置とLAFの展開のためのメカニズムとして機能する。最初の2つの区域についてはIDFとLAFの間で合意がなされており、今後の試験区域についても相互の合意に基づいて決定される。これらの区域における非国家武装集団の武装解除およびその施設の解体が成功したことが確認され次第、LAFはこれらの区域において完全かつ効果的な治安責任を引き継ぎ、国際的に支援された復興活動が開始され、レバノン国民はレバノン国家当局の排他的管理下にあるこれらの地域に安全に戻ることができるようになる。米国は、このプロセスを検証し支援するために両国と緊密に協力する意向である。

 4.レバノン政府は、その全領土に対する完全な主権の回復と行使に対する断固たる揺るぎない決意を改めて表明する。レバノン政府は、国家による武力行使の独占を再構築し、すべての非国家武装集団の完全かつ検証可能な武装解除を実現し、そのような集団がレバノン国内のいかなる場所においても軍事的または治安上の役割を担わず、いかなる武装能力も有しないことを保証する。レバノン政府は、この目標達成のため、米国主導の下、国際社会、特にアラブ諸国のパートナーの支援を要請する。

 5.イスラエル政府は、レバノンにおける軍事行動は、非国家武装集団、特にヒズボッラーによる攻撃、脅威、および敵対的意図のみに起因するものであることを強調する。イスラエル政府は、レバノン全土におけるこうした集団の武装解除と解体、そして両国間で合意される追加的な安全保障措置を通じてこの脅威を終結させれば、今後イスラエル国防軍がレバノンで軍事行動や駐留を行う必要は一切なくなることを強調する。以上のことから、イスラエル政府はレバノンにおいて領土的野心を持たないことを表明する。

 6.レバノン政府は、国連憲章に従い、その主権の行使として、レバノンの安全保障と防衛に対する責任はレバノンの治安部隊のみにあり、戦争と平和を決定する主権はレバノン政府のみにあることを改めて表明する。レバノン政府は、いかなる国家または非国家主体も、レバノン政府の明示的な許可なくレバノン政府に代わって武力を行使すると主張することを拒否し、いかなる国家または非国家主体による軍事上または安全保障上の役割を行使するとの主張も、レバノン政府の決定により違法であり、レバノンの国益に反することを改めて表明する。

 7.レバノン政府およびイスラエル政府は、本枠組みのいかなる条項も、国連憲章に認められ、適用される国際法に合致する、自衛権の行使を妨げるものではないことを確認し、いかなる第三者も両政府に代わってその権利を行使することはできないことを改めて表明する。両政府は、本枠組みの包括的な実施を確保するため、米国の支援と参加を得て、軍事調整グループを設立することを約束する。

 8.両国は、レバノンの完全な国家主権の下、安全で再建されたレバノンという目標、そして、そこでは、いかなる非国家武装集団もイスラエル、レバノン、あるいは両国の国民に脅威を与えないという目標を共有していることを確約する。さらに両国は、レバノン軍の展開による南レバノンの治安回復、民間人の安全な帰還、そしてイスラエル北部のコミュニティの安全確保が、長期的な安定と平和にとって不可欠であることを認識する。

 9.レバノン政府は、交渉の枠組みの中で合意された安全保障協定に従い、レバノン軍がレバノン国内における完全な軍事・安全保障統制を確立し、すべての非国家武装集団の武装解除を実施し、レバノン全土で実効的な権限を行使できるよう、厳格かつ成果重視型のプログラムに取り組むことを約束する。(略)

 10.これと並行して、米国は国際社会のパートナーと連携し、国の復興、インフラ修復、経済回復、そして繁栄のための機会創出においてレバノン政府を積極的に支援していく。(略)

 11.レバノンと米国は、非国家武装集団と関係のあるいかなる団体、組織、個人にも資金が流入することを阻止し、そのような団体、組織、個人の活動を禁止するために利用可能な法的措置を講じることを約束する。(略)

 12.本枠組み合意の署名後、両国は包括的な平和安全保障協定の草案作成に向けた作業部会の設置に着手する。(略)

 13.安定した平和的な関係を築くという共通の目標に沿って、イスラエルとレバノンは、国際的な政治・法的紛争解決の場におけるあらゆる敵対的ないし対抗的な行動の停止を含む、建設的意志を示す誠意ある措置を講じることを約束し、遺体の捜索と返還、および拘束者の釈放に向けて努力することを誓約する。

 14.両政府は、数十年にわたる紛争を終結させ、両国間の永続的な安定と包括的な平和を確立するための努力を支援してきた米国の役割を認め、ドナルド・J・トランプ大統領の先見性とリーダーシップに深い感謝の意を表する。