【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年7月24日~8月8日)

2026.08.13

今回は2026年7月24日から8月8日までに発表された国際安全保障と地域情勢に関する重要文書(一次資料)を紹介します。

上海協力機構の外相声明をはじめ、原爆投下81周年を迎えた広島での内外要人の発信、中東の集団防衛を強化するメッカ共同防衛協定声明、ホルムズ海峡をめぐるイランの公式声明などを取り上げています。

文章執筆の際に参照する一次資料として、ぜひご活用ください。

写真出典 左:上海協力機構 右:国連広報センター

2026年7月24日~8月8日の重要文書

2026年7月24日(金)
【上海協力機構】上海協力機構加盟国外相理事会声明
2026年8月6日(木)
日本】広島市長による「広島宣言」
【日本】広島平和記念式典における高市首相の挨拶
【日本】広島平和記念式典における広島県知事の挨拶
【国連】広島平和記念式典における国連事務総長挨拶
【中国】中国外務省報道官の広島原爆投下81周年に際してのコメント
2026年8月7日(金)
【トルコ・サウジアラビア・パキスタン】メッカ共同防衛協定署名に際しての共同声明
2026年8月8日(土)
【イラン】ホルムズ海峡開放のための条件に関する国家安全保障最高評議会事務局長声明

 

バックナンバー
【脱軍備・平和情報モニター】〈イスラエル・米国 vs イラン〉戦争 緊急特設ページ(2026年2月28日~3月13日)
【脱軍備・平和情報モニター】〈イスラエル・米国 vs イラン〉戦争 緊急特設ページ(2026年3月14日~3月27日)
【脱軍備・平和情報モニター】〈イスラエル・米国 vs イラン〉戦争 緊急特設ページ(2026年3月28日~4月17日)
【脱軍備・平和情報モニター】【特集】第11回NPT再検討会議:各国の一般演説・国別報告書(2026年3月2日~5月8日)
【脱軍備・平和情報モニター】【特集】第11回NPT再検討会議:ワーキングペーパーおよび最終文書案(2026年3月3日~5月24日)
【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年5月20日~6月17日)
【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年6月17日~6月26日)
【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年6月22日~7月10日)
【脱軍備・平和情報モニター】核兵器問題・中東情勢に関する重要一次資料(2026年7月1日~7月23日)

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2026年7月24日(金)——————————————————————————————
【上海協力機構】上海協力機構加盟国外相理事会声明(7月24日)
出典:上海合作组织成员国外交部长理事会声明

(ガイド)
2026年7月24日、上海協力機構(SCO)加盟国の外相がキルギスで会合を開き、国際・地域情勢や協力強化を協議した。声明は、イランへの軍事攻撃を非難し、国連憲章と国際法の遵守、核軍縮・不拡散、宇宙の平和利用などを強調した。なお、同機構は、創設時の中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6か国から、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシが加わり、現在の加盟国は10か国となっている。

(本文抄訳)
上海協力機構(以下「上海協力機構」または「機構」という)の加盟国の外相は、2026年7月24日、キルギス共和国のチョルポン・アタにおいて会合を開催し、政治、安全、経済および人的・文化的分野における協力の深化ならびに現在の国際・地域の焦点となっている問題について討議した。そして、上海協力機構が、他の国家および組織を対象とせず、主権、独立、領土保全を相互に尊重し、内政に干渉せず、国際問題において武力を行使せず、また武力による威嚇を行わないという原則を堅固に堅持することを再確認し、以下のとおり声明する。(略)

世界および地域の安全保障上の脅威が継続的に増大している背景の下、われわれは中東およびイラン・イスラム共和国周辺の情勢の発展に深い懸念を表明するとともに、2025年9月1日の『上海協力機構加盟国首脳理事会天津宣言』における、イランに対する軍事攻撃を非難することについての原則的立場を再確認する。このような侵略行為は、『国際連合憲章』および国際法の原則と規範に著しく違反するものと考える。われわれは改めて共同で、イラン最高指導者ハメネイ師の不幸な死去について、イラン政府と人民およびその遺族に心からの哀悼の意を表する。

われわれは、『国際連合憲章』および国際法の規範を厳格に遵守し、政治的・外交的手段を通じて国際的な紛争を解決することを断固として主張する。このような背景の下、われわれは、イランおよび地域の情勢を緩和するためになされるあらゆる努力を歓迎する。

われわれは、中央アジアが上海協力機構の中核地域であることを再確認し、中央アジア諸国が自国および地域の平和と安全を維持するために行っている努力を支持し、上海協力機構が同地域の安定をさらに強固にし、その経済・社会発展を促進する上で積極的な役割を果たすことを主張する。(略)

われわれは、積極的な協力を展開し、核軍縮の進展を促進し、大量破壊兵器の不拡散メカニズムを強固にし、生物安全分野における協力を強化し、国際連合の枠組みの下で、自発的な原則に基づき、インターネットの利用を含む、普遍的な拘束力を有する情報セキュリティの国際行動規範を策定すべきであることを再確認する。

われわれは、各国の技術主権を尊重することを基礎として、開放的、公平な、包摂的、平等で、差別のないデジタル発展環境を構築することを主張する。

われわれは、他国の安全を犠牲にすることを代償として自国の安全を追求することは受け入れられないと考える。

われわれは、宇宙空間は完全に平和目的のために利用されるべきであることを強調し、各方面に対し、同分野の現行の法体系を厳格に遵守するよう呼びかける。(略)

われわれは、終始変わることなく各国人民の友好と相互理解を深化させることは、上海協力機構の際立った特徴であることを強調する。加盟国の文化・文明の多様性、歴史的伝統および自国の国情を尊重することは、各国が建設的対話を行い、互恵協力を展開するための堅固な基礎であり、また国際の平和と安全を維持し、持続可能な発展を促進することにも資する。

われわれは、上海協力機構加盟国が異文化間、異文明間の対話を促進するために行っている努力を支持する。この点に関して、われわれは、以下の活動が成功裏に開催されたことに留意する。すなわち、第8回世界・伝統宗教指導者会議(2025年9月17日~18日、アスタナ)、偉大な作家チンギス・アイトマトフを記念し、「文明の転換期における平和:手を携えて未来を共に創造する」をテーマとするイシク・クル国際フォーラム(2026年6月18日~19日、チョルポン・アタ)、第1回上海協力機構加盟国異文化間対話フォーラム(2026年6月23日~25日、ナマンガン)である。(略)

2026年7月24日、チョルポン・アタにて

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2026年8月6日(木)——————————————————————————————
日本】広島市長による「広島宣言」(8月6日)
出典:令和8年(2026年)平和宣言

(ガイド)
令和8年(2026年)広島市平和記念式典における広島市長による「広島宣言」は、「軍事侵攻や国際法をないがしろにする大国の横暴な振る舞い」の指摘から始まり、核兵器のもたらす惨禍、核抑止力に依存し続ける状況に対して、国連創設時の核兵器廃絶の決意を学び直す必要性を訴えた。また、「平和の文化」をつたえる「ヒロシマの心」を世界に訴え続ける決意を述べた上で、日本政府に対して「日本国憲法が掲げる崇高な理想を自覚」し、「核兵器禁止条約に一刻も早く締約になってほしい」と述べた。

(本文全文)
被爆から81年が経過した今、私たちが暮らすこの地球上では、核を脅しの道具に使った軍事侵攻や国際法をないがしろにする大国の横暴な振る舞いが繰り返されています。また、今年開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議では、過去2回に続き成果文書が不採択となりました。その原因は、他国に責任を転嫁し自国の行動を正当化する為政者の言動にあります。また、こうした為政者の言動は、NPTが定める義務を無視するに等しく、世界の平和と安定を根底から揺るがすものです。

このままでは世界中で不信の連鎖が進み、欲望がむき出しになっていた第二次世界大戦の時代に回帰してしまいます。核兵器の非人道性を軽視し、自国の繁栄のための武力行使を認めることは、暴力を伴う報復の連鎖を許容し、第三のヒロシマ・ナガサキを作り出すことになりかねません。

皆さん、ここで再度、あの惨禍を生き抜いた被爆者の体験に耳を傾けてください。当時16歳だった女性は優しかった姉のことを振り返ります。まるで骸骨のように皮膚が崩れてなくなり、唇のない口から歯がむき出しになっていた姉の顔は、悪夢のようで信じられなかった。また、3歳で被爆した後に次々と病に襲われ、55歳で白血病を発症し原爆症と診断された女性は、いつも次にどんな病気がくるのかという恐怖と隣り合わせの日々だったといいます。また、別の当時9歳だった男性は、多くの一般人が犠牲になっているロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、争いが起きない世界を創るため、自分の中の争いの心を乗り越え、相手の考えを受け入れる気持ちを持ってほしい、とりわけ若い世代には、そのために身近なことから考えてほしいと訴えます。

市民社会は、こうした被爆者の声や被爆者の思いを伝承する活動に鼓舞され、核兵器廃絶と平和を願う行動の輪を、国境を越え世代を超えて広げてきました。しかし、多くの為政者は現実的な対応として核抑止力に依存し続け、暴力を肯定する国際社会が出現し、核兵器のない世界は遠のくばかりです。戦争の記憶が薄れることで核兵器の使用が容認されかねない時代を生きる私たちは、今改めて、国連を創設し核兵器廃絶を決意した過去の教訓を学び直す必要があります。そして、一人一人があらゆる暴力を否定し、核兵器廃絶という理想を理想で終わらせない国際社会を創り上げるための行動を起こす必要があります。

そこで、若い世代の皆さんに提案があります。価値観の異なる人々との国境を越えた交流を深めてください。そうすることで、嬉しさや楽しさ、夢や希望を共有することができます。既に世界の多くの若者が、広島を始め様々な場で被爆の実相を学び、交流を深めています。皆さんも平和のために日常生活の中でできることを実践し、自らの思いを発信することで、その行動の輪を広げていってください。こうした取組は、お互いを認め合う平和文化を世界中に根付かせ、核兵器廃絶を国際社会の常識にすることにより、為政者が核抑止力に依存することを認めない環境づくりにつながります。広島市は、平和首長会議の8,589の加盟都市と連帯し、平和文化を世界中に広め、次の世代に伝える活動を後押しするとともに、「ヒロシマの心」を世界に訴え続けます。

世界の為政者の皆さん。市民社会は一日も早い核兵器廃絶を願っています。いったい、いつまで失望させ続けるのですか。核兵器の使用が人類に壊滅的な被害をもたらすこと、そして核軍縮・不拡散は、多国間で取り組むべき課題であることを十分理解されているはずです。また、核保有国の為政者の皆さんは、核軍縮に大きな責任を有しているのですから、自ら範を示す必要があることを十分認識されているはずです。世界の為政者の皆さん。自ら被爆地を訪れ、ヒロシマ・ナガサキの悲劇と真剣に向き合い、被爆者の平和への思いを受け止めてください。私たち市民社会は、為政者の皆さんが被爆地から核兵器廃絶への決意を世界に発信し、そのための政策を実行することを心から待ち望んでいます。

日本政府には、日本国憲法が掲げる崇高な理想を深く自覚し、国際社会において名誉ある地位を占めるための歩みを止めないでいただきたい。とりわけ、各国との分断や対立が生じかねない厳しい安全保障環境にあるからこそ、国民に犠牲を強いることのないよう、したたかで粘り強い外交に徹する中で、国際社会の平和と安定に向けて貢献し続けることを表明し、実行していただきたい。そのためにも、まずは今年11月から開催される核兵器禁止条約の再検討会議にオブザーバー参加し、そして、一刻も早く締約国となっていただきたい。また、平均年齢が86歳を超えた被爆者の支援策については、今なお抱えている様々な苦しみや苦悩に寄り添い、在外被爆者を含めた被爆者援護のあり方を踏まえた上で、その充実を図ることを強く求めます。

本日、被爆81周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、力を尽くすことを誓います。そして、改めて市民社会に呼び掛けます。世界中の皆さん、被爆者の切実な思いが込められた「ヒロシマの心」を胸に、共に行動することで世界を変えていきましょう。

令和8年(2026年)8月6日
広島市長 松井一實

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【日本】広島平和記念式典における高市首相の挨拶(8月6日)
出典:広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式挨拶 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸

(ガイド)
広島平和記念式典における恒例の首相挨拶において、「我が国は『非核三原則』を堅持しており、『唯一の戦争被爆国』として、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力をたゆまず続けていく使命を担っています」とのべ、非核三原則を今後も堅持する、とまでは言明しなかった。

(本文全文)
本日、被爆から81年となる朝を迎えるに当たり、内閣総理大臣として、ここ広島の地において、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。そして、今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からのお見舞いを申し上げます。

81年前の朝、一発の原子爆弾によって、広島の日常は一瞬にして断ち切られ、お一人お一人のかけがえのない命が容赦なく奪われました。

街は焼き尽くされ、多くの方々が積み重ねてきた暮らしや、将来に向けた願いの全てが、一瞬にして失われました。

一命をとりとめた方々にも、目に見える傷だけでなく、長く続く苦しみをもたらし、言葉に言い尽くせない悲しみの記憶が刻まれました。

廃墟となった街が復興を遂げた今日、広島の記憶は、人の命と尊厳がいかにもろく失われ得るかということ、そして平和の尊さを、今を生きる私たちに問い続けています。

広島及び長崎にもたらされた原子爆弾による惨禍、多くの方々の筆舌に尽くしがたい苦しみは、二度と繰り返されてはなりません。

我が国は、『非核三原則』を堅持しており、「唯一の戦争被爆国」として、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力をたゆまず続けていく使命を担っています。

今、世界の安全保障環境は一段と厳しさを増しています。

先般の『核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議』において見られたように、「核兵器のない世界」に向けた道のりは、決して平坦なものではありません。

しかし、だからこそ、我々は、その歩みを止めるわけにはいきません。

「核兵器のない世界」の実現に向けた国際社会の取組を主導すべく、『NPT体制』の維持・強化を訴えながら、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下で現実的かつ実践的な取組を続けていく決意です。

また、被爆の実相を世代や国境を越えて広く伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要です。

核兵器使用の惨禍や平和への思いを、長年にわたり語り伝えてこられた被爆者の方々、そしてその記憶や思いの継承を担われている若い世代の方々と共に、被爆の実相の理解促進に向けた努力を尽くしてまいります。

被爆者の方々に対しましては、保健、医療、福祉にわたる「総合的な援護施策」を進め、ご高齢になられた被爆者のお一人お一人に思いを致し、必要な支援が確実に届くよう、対応を重ねてまいります。

特に、「原爆症の認定」について、申請された方々の心情を思い、被爆者の方々に一日も早く結果をお知らせするため、できる限り迅速な審査を行うよう、努めてまいります。

広島の皆様は、被爆により深く傷つきながらも、そこから力強く立ち上がり、平和への思いを発信し続けてこられました。

そしてそれらは、世代を越えて、広がっています。

本日、原爆慰霊碑に奉納されました死没者名簿は、今回初めて、公募により選ばれた若い世代の方々が、被爆者の方々とともに記帳に携わられたと聞いております。

広島の記憶とともに、平和への思いが、しっかりと次の世代へ繋(つな)がれていることは、市民の皆様の不断のご努力の賜です。

その歩みに深く敬意を表するとともに、私もまた、ここ広島において、安全で安心して暮らせる社会を次世代に贈る責任を痛感しつつ、「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを、お誓い申し上げます。

結びに、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊の安寧と、ご遺族、被爆者の皆様、並びに参列者、広島市民の皆様のご平安を祈念申し上げます。

令和8年(2026年)8月6日
内閣総理大臣 高市早苗

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【日本】広島平和記念式典における広島県知事の挨拶(8月6日)
出典:広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式(令和8年)における知事あいさつについて | 広島県

(ガイド)
昨年の平和記念式典で、前湯崎知事が行った核抑止批判の挨拶が評判となったが、昨年就任した横田美香新知事の挨拶も、同様に核抑止を強く批判するものとなった。「核抑止は核兵器を使用することを前提にしない限り成り立たず、各国の不信や軍拡競争を助長し、世界を不安定化させるという根本的な矛盾をはらんでいます。核抑止力を求めること自体が新たな戦争を引き起こしている現実を直視し、核抑止から脱却すべきです。」と強く主張した。

(本文全文)
被爆81年を迎えるにあたり、原爆犠牲者の御霊(みたま)に、広島県民を代表して謹んで哀悼の誠(まこと)を捧げます。そして、今なお、苦しみの絶えない被爆者や御遺族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

水辺に囲まれた、美しい広島のまち。81年前、原爆投下による凄惨な現実がここにありました。強烈な威力は、一瞬にして多くの人々を焼き、建物や生活基盤を破壊し、太陽を遮りました。その年のうちに14万人の方が亡くなり、その後も多くの方々が命を落としました。生き延びた被爆者も、受けた傷や放射線による影響、そして心の傷を抱えながら、苦しみ続けておられます。昨年の被爆80年に、「戦争がどんなに悲惨なものか、子供たちにどうしても知ってほしい」と、初めて言葉を絞り出した被爆者。「生き残ったことも地獄」と多くの方々が、語ろうにも語れない体験をされてきました。

被爆者の言葉、そして声にならない思いに、私達は真摯に耳を傾けなければなりません。

核兵器により全ての人を傷つけ、全てのものを破壊することに、何の意味があるのでしょうか。

核抑止力への依存が、今なお、世界の安全保障政策において大きな位置を占めていることに、悲しみと怒りを感じざるを得ません。核による脅し、先制攻撃も厭わない考え方、それによる核武装の強化が核兵器使用のリスクを高めています。核抑止は核兵器を使用することを前提にしない限り成り立たず、各国の不信や軍拡競争を助長し、世界を不安定化させるという根本的な矛盾をはらんでいます。核抑止力を求めること自体が新たな戦争を引き起こしている現実を直視し、核抑止から脱却すべきです。

人は皆、平和に安全に生きたい。その願いは人類共通のものです。私たちは対立を超えて助け合い、共に豊かになる道を歩むことはできないのでしょうか。

ある被爆者は「終戦直後、あのときほど人々の優しさ、温かさを感じたことはありません」と語っています。

原爆投下直後から、救援のために多くの人々が広島市内に入り、自ら被爆しながらも廃墟の中にあって、失われた命や九死に一生を得た人々に寄り添い支えました。人間同士が支え合う精神が信頼と希望の灯を点し、復興を前に進め、今のこの広島があります。

今、世界に求められているのも、対立や暴力ではなく、信頼と協力によって平和を築いていく、この精神です。

不信と憎悪を乗り越え、国家間だけでなく、人と人とのつながりにより、対話と協力による安全保障を実現し、誰もが人間らしく暮らしていける世界を築いていくために、世界のあらゆる叡智を集めなくてはなりません。

今年亡くなられた被爆者・森重昭さんは、「原爆の悲劇に国境はない」と訴えられました。核兵器が傷つけるのは、特定の国民ではありません。そこに生きるすべての人々、そして未来の世代までも深く傷つけます。

人類と核兵器は、共存できません。核兵器を無意味なものに変える行動を世界のリーダーに、そして世界の皆さんに求めます。

核兵器を廃絶するために、共に行動していきましょう。広島県は、これからも被爆地の声を世界に届け、核兵器のない平和な世界の実現に向けて行動し続けていく事をここにお誓い申し上げ、平和へのメッセージといたします。

令和8年(2026年)8月6日
広島県知事 横田美香 

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【国連】広島平和記念式典における国連事務総長挨拶(8月6日)
出典:広島平和記念式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(広島、2026年8月6日) | 国連広報センター

(ガイド)
国連事務総長からのメッセージを中満泉軍縮担当上級代表が日本語で代読。「81年前、この地が炎に包まれた経験から、私たちは何かを学んだのでしょうか?」と問いかけ、「核兵器こそが究極の安全保障であるというゼロサム思考を断固として拒否することによって ―― 実際、核兵器は安全保障の対極に位置するのです。」と核兵器に依存する安全保障を正面から批判。最後に「分断ではなく対話を、対立ではなく協力を、無意味な競争ではなく共通の安全保障を選びましょう」と呼びかけた。

(本文全文)
81年前の今日、広島は廃墟と化しました。

数万人の方々が一瞬にして尊い命を落とされました。

そして、世界は核戦争の恐るべき力に直面しました。

今日、私たちはこの場においてあの日の出来事を振り返り、犠牲となられた方々の魂を偲びます。

そして、被爆者の方々に敬意を表します。被爆者の方々の数は年々減っていますが、彼らの平和へのメッセージは、これまで以上に重要な意味を持っています。

この記念日は、厳粛な追悼の日であるだけではなく、私たち自らに問いかける時でもあります。81年前、この地が炎に包まれた経験から、私たちは何かを学んだのでしょうか?

人類は平和な未来を選ぶのでしょうか?

それとも、核による破滅という暗い影の下で生き続けるのでしょうか?

私たちは今、地政学的な分断が深まり、不信感がつのり、競争が激化する時代にいます。

核による惨禍を未然に防いできた規範と方策は、今、危機に瀕しています。

数十年にわたって続いた核兵器削減の潮流が逆行しつつあります。

核実験禁止という国際規範も脅かされています。

世界の軍事費は急増し2025年には2兆9000億ドルに達しました。

力の誇示と強制のため、核兵器による恫喝も横行しています。

広島の教訓は、核兵器の恐ろしさだけではありません。核兵器の脅威が、そして使用が考えられない世界を築く必要性を教えてくれました。

平和とは恐怖と力によって得られるものではありません。

平和とは信頼によって築かれるものです。

対話、外交、国際協力への継続的な投資によって。

国際法への揺るぎないコミットメントによって。

すべての国、特に核兵器保有国が、リスクを軽減し、信頼を再構築し、完全なる軍縮に向けての行動をとることによって。

グローバルな軍縮体制を強化することによって。

そして、核兵器こそが究極の安全保障であるというゼロサム思考を断固として拒否することによって ―― 実際、核兵器は安全保障の対極に位置するのです。

国連は、世界から戦争という惨禍を根絶するために設立されました。

そして、1946年の第一回国連総会における最初の決議は、核兵器の廃絶を述べています。

その約束は未だ果たされていません。しかしそれは、決して不可能というわけではありません。広島は、不屈の精神、復活、そして希望の象徴として、私たちに力強いメッセージを伝えてくれます。

最も暗い時代を経験しても、私たちは異なる未来を選択し、築き上げることができると、広島の人々は世代を超えて、私たちに示してくれるのです。

原爆投下から81周年を迎えるにあたり、確固たる意志と信念を持って行動しましょう。

分断ではなく対話を、対立ではなく協力を、無意味な競争ではなく共通の安全保障を選びましょう。

そして、広島の悲劇が二度と繰り返されない世界へと、一歩一歩歩んでいきましょう。

2026年(令和8年)8月6日
国際連合事務総長
アントニオ・グテーレス

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【中国】中国外務省報道官の広島原爆投下81周年に際してのコメント(8月6日)
出典:2026年8月6日外交部发言人林剑答记者问

(ガイド)
中国外務省の林剣報道官は、定例記者会見で新華社記者の質問に答え、広島原爆の歴史的背景に触れながら、日本の軍拡や核共有・核保有論の動きを批判した。また、日本軍国主義による侵略の歴史を強調し、核不拡散義務の履行を日本に求める中国政府の従来の立場を改めて示した。

(コメント全訳)
新華社記者:
1945年8月6日、米国は日本の広島上空に最初の原子爆弾を投下し、第二次世界大戦終結のプロセスを加速させました。81年後の今日、日本の右翼勢力は蠢動し、軍国主義の復活を企てています。日本の政権当局は現在、軍備を拡張し武装を強化しており、「非核三原則」の改定を試み、米国との「核共有」、さらには自主的な核保有を追求しようとしています。これは、核爆発による苦難を経験した日本国民が平和を追求する長年の願いとは相反するものです。このことについて中国側はどのようにコメントしますか。

林剣(中国外交部報道官):
核兵器がもたらす災害と悲劇は二度と繰り返されてはならず、核爆発が発生した特定の背景についてはなおさら反省し、記憶に刻むべきです。日本軍国主義による侵略・拡張の教訓については、常に警鐘を鳴らし続けなければなりません。

長年にわたり、日本の右翼勢力は歴史的事実を歪曲し、「原爆投下の被害者」というレッテルを政治的に利用して国際的な同情を得ようとしてきました。その一方で、日本の侵略が周辺諸国の数千万人の人々にもたらした死傷を意図的に軽視し、侵略の責任から逃れようと企てています。

さらに皮肉なことに、日本の政権当局は最近、軍備を整え武力を拡張しようと企て、米国に日本に対する核兵器による保護強化を求め、「非核三原則」の突破を図っています。首相官邸の高官さえも自主的な核保有を求める暴言を吐き、「再軍事化」の野心を少しも隠そうとしていません。

このような二面性を持つ行動は、世界中の平和を愛する人々に対する挑発であり、歴史的正義に対する冒涜です。

今年は東京裁判開廷80周年です。歴史による審判はいまだ終わっていません。日本側は歴史に対して畏敬の念を抱き、国際社会の懸念に正面から向き合い、核不拡散に関する国際法上の義務を確実に履行すべきです。そして、再び歴史の被告席へ向かうことのないようにすべきです。

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2026年8月7日(金)———————————————————————————————-
【トルコ・サウジアラビア・パキスタン】メッカ共同防衛協定署名に際しての共同声明(8月7日)
出典:Saudi Arabia, Türkiye, and Pakistan Issue Joint Statement of the Makkah Al-Mukarramah Summit for Joint Defence

(ガイド)
 2025年9月、サウジアラビアとパキスタンは戦略的相互防衛協定を締結していたが、米・イスラエルによる対イラン戦争勃発後、サウジアラビアの米軍基地や製油所などが、イランの革命防衛隊やイエメンの「フーシ派」による攻撃により被害を受けてきた。こうした状況を受け、「抑止力」をさらに高めるために新たにトルコを加えるかたちで締結された共同防衛協定だといえる。トルコのユルマズ副大統領は、この協定は特定の国を標的としたも‌のではないとしているが、西南アジア・スンニ派世界の3大強国の軍事同盟に対し、イランは反発を隠していない。3か国それぞれが異なる地域紛争を抱えており、この協定がどこまで機能するかについては疑問視する専門家も多い。

(本文全訳)
二聖モスクの守護者サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・サウード国王の丁重な招待により、トルコ共和国大統領レジェップ・タイイップ・エルドアン氏とパキスタン・イスラム共和国首相ムハンマド・シェバズ・シャリフ氏は、ヒジュラ暦1448年サファル月24日(西暦2026年8月7日)にサウジアラビア王国を訪問した。

ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・サウード皇太子兼首相は、メッカのアル・サファ宮殿において、トルコ大統領およびパキスタン・イスラム共和国首相と会談し、公式協議を行った。会談では、サウジアラビア王国、トルコ共和国、パキスタン・イスラム共和国間の卓越した関係、および相互に関心のある多くの問題について意見交換が行われた。

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・サウード皇太子兼首相、トルコ共和国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、パキスタン・イスラム共和国のムハンマド・シェバズ・シャリフ首相は、3カ国が共同安全保障をさらに強化し、地域内外の平和、安全、安定を促進し、安全で繁栄した未来を追求するという共通の決意を反映した共同防衛協定に署名した。

本協定は、いかなる侵略行為に対しても集団的抑止力を強化することを目的としており、3カ国のいずれかに対する武力攻撃は、3カ国すべてに対する攻撃とみなされることを規定している。さらに、3カ国間の防衛協力のあらゆる側面を強化することも規定している。

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2026年8月8日(土)———————————————————————————————
【イラン】ホルムズ海峡開放のための条件に関する国家安全保障最高評議会事務局長声明(8月8日)
出典:Details of six Supreme National Security Council conditions for reopening Strait of Hormuz

(ガイド)
2026年8月7日、米CNNが、米軍の弾薬が枯渇していること、また、米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長がイラン戦争からの出口戦略を模索していることなどを報じた。その翌日に出されたこの声明は、まさに米国の「逃げ道」を塞ぐ意味をもつ。今回示された6項目は、6月17日に両国首脳によって署名された「覚書」の内容と重なるものであり、「新たな条件」という表現はそぐわない。しかし、補償要求がより明確化されるなど、ハードルを上げた面があることは確かである。とりわけ、「6・17覚書」で「レバノンを含むすべての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な終結」とされていたのに対し、今回の声明では「すべての戦線」にパレスチナが含まれることが明示されたことは注目される。イランがどこまで本気で対米交渉にパレスチナ問題をリンケージさせようとしているかどうかは不明であるが、第一次湾岸戦争に際しての「リンケージ論」に比べ、政治環境が大きく変化しており、今後、より大きな構造変化につながる可能性は否定できない。

(本文抄訳)
米国が行動を改めるまで、ホルムズ海峡は再開されない。行動を改めるとは、以下のことを意味する。

1.いかなる状況下、いかなる言語においても、イランを脅迫せず、イラン国民の神聖な信仰を侮辱しないこと。

2.イランおよびレバノン、パレスチナ、イエメン、イラクにおけるイランの同盟国に対する戦争と侵略を永久に終結させること。

3.海上封鎖を解除し、イラン周辺から軍事力(海軍および空軍)を撤退させること。

4.イランに課せられた2つの侵略戦争によって生じた損害を、減額することなく完全に補償すること。

5.イラン国民に対して課せられた不当かつ違法な制裁を解除すること。

6.凍結ないし押収されたイラン国民の資産を無条件に解放すること。

 これらの要求はイラン国民のものであり、国民は160日間にわたり、現場と街頭で揺るぎない抗議活動を行い、その声を力強く表明してきた。国家安全保障最高評議会は、戦争であろうと交渉であろうと、決して屈服しない。

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