〈コラム〉北朝鮮の核・ミサイルをめぐる動き(17年1月1日~4月23日)

公開日:2017.08.01

●北朝鮮、■米・日・韓、◎中国、○国連

●1月1日 金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が新年の辞。「自力自強」による社会主義建設を強調。開発の最終段階を迎えた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む核戦力を中核とする防衛力強化を明言。米には「時代錯誤的な敵視政策」の撤回を要求。
1月11日 16年韓国国防白書、北朝鮮は核兵器10発分のプルトニウムを保有と推定。
1月20日 ドナルド・トランプ米新大統領就任。
●2月12日 弾道ミサイル「プッククソン(北極星)2」の発射実験に成功と発表。高角度発射により高高度(ロフテッド)軌道を飛行。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「プッククソン」を原型とする固体燃料ミサイル。
●2月13日 金正恩委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏、マレーシアで殺害。
○2月24日 国連安保理制裁委員会・専門家パネル、エジプト政府が拿捕した貨物船から北朝鮮製携行式ロケット弾3万発を押収と発表。
2月27日 ワシントンDCで6か国協議日米韓主席代表会合。国際的圧力強化の声明を発出。
3月1日付 米「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙、トランプ政権が北朝鮮の核・ミサイルに対して、オバマ前政権の「戦略的忍耐」方針を見直し、軍事攻撃や体制変更を含めた「あらゆる選択肢」を検討していると報道。
3月1日 米韓合同演習「フォールイーグル2017」開始。米韓あわせて推定30万人以上が参加する四軍実動演習(なお、フォール(foal)は仔馬、イーグル(eagle)は鷲を意味するが通した定訳はない。韓国では「トクスリ(鷲)演習」と呼ばれることが多い)。
◎3月1日 王毅(ワン・イ)中国外相が北京で李吉成(イ・キルソン)北朝鮮外務次官と会談、非核化の実現と平和メカニズム構築への努力を要望。
●3月2日 朝鮮人民軍統合参謀部報道官、「フォールイーグル」で北朝鮮に砲弾が一発でも打ち込まれたら、容赦なく反撃と警告。
3月3日付 米韓両軍が2月に北朝鮮の大量破壊兵器捜索・破壊訓練を行ったことが明らかに。
●3月6日 北西部の東倉里(トンチャンリ)から弾道ミサイル4基を発射、1,000kmを飛行。うち3基は日本の排他的経済水域に着水。
●3月7日 6日の弾道ミサイル発射は、在日米軍基地攻撃の訓練と明言。
3月7日 トランプ米大統領、北朝鮮の弾道ミサイル発射は「きわめて恐ろしい結末を招く」と警告。
◎3月7日 王毅中国外相、米韓合同演習の中止と引きかえに北朝鮮がミサイル発射を凍結する事態打開案を提案。
3月8日 米国務省トナー報道官代行、中国の米韓合同演習中止提案を拒否すると表明。
3月13日 米韓合同演習「キーリゾルブ2017」開始。「フォールイーグル」と連動する指揮所演習。3月24日まで。
●3月13日 朝鮮中央通信、米が先制攻撃の動きを見せれば「核攻撃で侵略と挑発の本拠地を焦土化する」とけん制。
3月16日 米国務省トナー報道官代行、6か国協議は成果がなかったとして、今後の開催に懐疑的な見方を示す。
3月18日 ティラーソン米国務長官、米ウェブニュースのインタビューで北朝鮮の核開発の展開によっては韓日の核武装容認を考慮すると示唆。
●3月19日 東倉里で弾道ミサイル用新型大出力エンジンの燃焼実験に成功と発表。
●3月22日 東海岸からムスダンとみられる中距離弾道ミサイル1発を発射するも数秒後に空中分解し失敗。
3月30日 自民党検討チーム、敵地反撃能力保有の検討開始などを政府に提言。(3ページ資料)
3月31日 米下院外交委員会、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう国務省に求める法案を可決。
3月31日 米財務省、国外で金融取引に携わる朝鮮籍の11人を制裁対象に。
4月2日付 トランプ大統領、英「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューで、北朝鮮問題を中国が解決しないなら、米が単独で解決すると述べる。
●4月5日 東海岸の新浦(シンポ)から弾道ミサイル1発を発射、日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に着水。
●4月6日 北朝鮮外務省が長文の「覚書」を発表。米国の軍事的・経済的圧力を朝鮮戦争休戦協定や関連国際法への違反と非難。米国が先制攻撃をした場合には国連憲章第51条に基づき反撃するが、攻撃対象は米軍などの攻撃拠点に限定し戦時人道法を遵守すると述べる。
◎4月6~7日 米フロリダで米中首脳会談。北朝鮮核問題で「相互協力の深化」を確認。
4月9日 米海軍・カールビンソン空母打撃群が朝鮮半島沖に向かっていると報道。
●4月11日 労働新聞、「米国がもし我々を先制攻撃しようとするわずかな動きでも見せれば、核攻撃で侵略と挑発の本拠地をことごとく焦土にする」と警告。
◎4月14日 王毅・中国外相、米朝関係の極度の緊張に、「対話こそが唯一の道であることは歴史が証明」と軍事力行使を排除しない米国に再度自制を求める。
●4月14日 朝鮮人民軍総参謀部報道官、米原子力空母カールビンソンの朝鮮半島近海への急派などの「挑発策動」は「超強硬対応」で徹底的に粉砕すると警告。
●4月15日 平壌(ピョンヤン)で故金日成(キム・イルソン)主席生誕105年を祝う軍事パレード。新型のICBMと推定されるミサイルやSLBMなど展示。崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長が「米国のどんな選択にも対応できる態勢がある」と演説。
●4月16日 新浦(シンポ)から弾道ミサイルを発射するもすぐに空中爆発し失敗。
●4月17日 キム・インリョン国連次席大使が国連本部で記者会見。朝鮮半島では核戦争がいつ起きてもおかしくないと警告したうえで、ミサイルや核攻撃には同じ手段で反撃すると明言。
4月17日 韓国訪問中のペンス米副大統領と韓国の黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行兼首相、北朝鮮が軍事挑発の場合は「強力な報復措置」をとることで一致。
○4月20日 国連安保理、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する報道声明発表。「対話を通じた平和的解決を目指す」との一節がロシアの主張で入れられる。
●4月21日 北朝鮮アジア太平洋平和委員会・報道官声明。「われわれの首脳部を狙う敵対勢力は、南が灰となり、日本列島が沈没し、アメリカ本土に核が降り注いだとしても、後悔してはならない」と警告。
4月23日 海上自衛隊の護衛艦「あしがら」と「さみだれ」、空母カールビンソンと合流し共同訓練開始。
(まとめ:編集部)