【政府の「核兵器合憲論」を糺す】  「自衛の範囲内ならば核兵器を持てる」――政府が再び答弁書  なぜ「全面違憲論」に立てないのか

公開日:2017.07.17

 今年3月18日の参議院予算委員会で、横畠裕介内閣法制局長官は参議院議員白眞勲氏(民主)の質問に答えて、「憲法は、防衛のための必要最小限の範囲内ならば核兵器の使用も禁じていない」という趣旨の答弁を行った。これに対し、3月23日に衆議院議員鈴木貴子氏(無所属)、同日に同じく逢坂誠二氏(民主党(のちに民進党)・無所属クラブ)、そして4月7日に前出の白氏(民進党。国会質問時は民主党)が相次いで政府見解を明確にすべく質問主意書を提出、閣議決定を経た答弁書が提出された。資料1(10ページ)に鈴木氏の質問主意書と答弁書の全文を示す。答弁書は、「我が国には固有の自衛権があり、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第九条第二項によっても禁止されているわけではなく、したがって、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは、必ずしも憲法の禁止するところではないと述べた。他の2つの質問主意書への答弁書も基本的に同じ内容であった。
 核兵器の保有を「自衛の限度内であれば合憲」とする政府見解が示されたのはこれが初めてではない。資料2(10ページ)に示す、1973年の第71回国会に第2次田中内閣が提出した「答弁書」(質問者は衆議院議員永末英一氏(民社))が最初の事例であった。同答弁書は、「普通に核兵器といわれているものは、他国に脅威を与えるような攻撃的核兵器を指していると考えられるので、保有すれば憲法に違反する」という原則を示しつつ、自衛の限度内の核兵器であれば、その保有は憲法に反しないとしている。すなわち、政府の見解は、43年前も今日も変わっていないのである。
 「必要最小限度の実力」あるいは「自衛の限度内」の核兵器というとき、政府はどのような兵器を念頭に置いているのであろうか。世界の核兵器廃絶世論がそうであるように、憲法第9条は核兵器を「カテゴリーとして否定」していると言えるはずである。現内閣を含む歴代内閣はこのような憲法解釈をしても政策論としての非核三原則を越えて核保有することはないと明言している。その言葉に偽りがないならば、現状では法的拘束力のない非核三原則の法制化が少なくとも提議されてしかるべきである。(山口大輔)