オバマ政権、核「先行不使用」を検討か―被爆国日本は支持表明を!

公開日:2016.12.22

 7月10日、米ワシントンポスト紙は、オバマ米大統領が7か月後の退任を前に、紛争時に核兵器を先に使用しない「先行不使用」政策の採用や国連安全保障理事会での核実験禁止決議、ロシアとの新START条約の5年間延長、警報即発射態勢の解除、核兵器近代化予算の削減などを含む、核政策変更を検討している、と報じた。

 「先行不使用」に関しては、10年2月、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本と民主党核軍縮促進議員連盟所属の国会議員が中心となり、米国が、先行不使用とほぼ同義の、敵国による核攻撃を抑止することを核兵器の「唯一の目的」とすることを支持する国会議員204名分の署名をオバマ大統領宛てに送った1。核態勢見直し(NPR)が進んでいる中で、米国に政策転換を促すことが目指されたが、米国は機が熟していないとして、これを見送った経緯がある。

 米国内では、7月20日、民主党上院議員10名が連名の書簡をオバマ大統領に送付した(3ページ・資料1に全訳)。書簡は、「先行不使用」などの政策オプションは「合衆国の国家安全保障を強化し、 09年にプラハで大統領が誓約した『安全保障戦略における核兵器の役割の低減』を前進させる」と訴えた。

 8月16日には核不拡散・核軍縮アジア太平洋リーダーシップ・ネットワーク(APLN)2がアジア太平洋の米同盟国に対し、「先行不使用」支持を求める声明を発表した(4ページ・資料2に全訳)。同声明の署名者には阿部信泰・日本原子力委員会委員/元国連軍縮事務次長、川口順子・元外相、鈴木達治郎・長崎大学核兵器廃絶研究センター長、湯崎英彦・広島県知事が名を連ねている。

 日本においては、広島・長崎市長、民進党岡田代表、公明党山口代表らも、米の「先行不使用」政策への転換を支持、ないしは好意的な見解を表明している。7月27日にはNGO核情報、原子力資料情報室、原水禁の呼びかけで日本政府へ「先行不使用」支持要請の書簡3が送付された。

 8月12日の米ウォールストリート・ジャーナル紙はケリー国務長官、カーター国防長官、ムニス・エネルギー庁長官ら主要閣僚が「先行不使用」に異論を唱えていることを報じている。同記事には日本を含む核の傘依存国の反対論も引用されている。

 「先行不使用」が、核軍縮における一歩の前進であることは間違いない。日本が唯一の戦争被爆国として、これを支持するべきであることは論をまたない。しかし、報復のための(第2撃)核使用や、通常戦力による抑止力強化を認めるという点で、「先行不使用」の採用は、極めて不充分な政策変更であることを忘れてはならない。(山口大輔)

注:
1 本誌347-8号(10年3月15日)。
2 ギャレス・エバンス豪元外相らが呼びかけ人となり、11年に発足した。アジア太平洋諸国の現・元高官、政治家、研究機関のリーダーなどからなる。
3 「核情報」ウェブサイト:http://kakujoho.net/npt/lttr_nfu.html#d2