【年頭所感】さあ、核兵器退治のたたかいに赴こう 田巻一彦(ピースデポ代表)

公開日:2017.04.27

 「米国は核能力を大いに強化し拡大してゆかねばならない。世界が核に関する正気をとりもどすまでは」。16年12月22日、来る1月20日に大統領に就任するドナルド・トランプのツィートが世界を駆け巡った。これは、プーチン・露大統領が同じ日に「ミサイル防衛を打ち負かすようなミサイルを開発し核戦力を強化する必要がある」と国防幹部らに向かって檄を飛ばしたことへの反応だった。トランプは翌日のテレビ・インタビューでこのようにも言った。「軍拡競争になったって構わない。我々は彼らに打ちかち、より長く生き延びるのだ」。

 私たちは言ってやらねばならない。「『正気』を失っているのはあなた方だ。」

 トランプがツィートした翌日、国連総会では核兵器禁止条約交渉を開始する決議が採択された。決議を主導したのはオーストリア、ブラジル、アイルアンド、メキシコ、ナイジェリア、南アフリカ。そこに100を超える国々が結集してもたらされた歴史的転換であった。

 核保有の特権の上に世界の命運を握る米国、ロシアをはじめとする5か国、そしてその後を追う核保有4か国は、この決議に反対または棄権票を投じた。核兵器は、使用されるまでもなくすでに「非人道的役割」を果たしている。一握りの国が世界の頭上で核を振りかざし、73億人から自己決定の権利を奪う、というやり方で。

 16年のクリスマスに端無くも露呈した世界の醜悪な現実は、私たちにいっそうの行動を促している。「核の巨人を打ち倒そう」と。

……
奴らは手を挙げてこう言うだろう
「わかった、君たちの言うとおりにしよう。」
僕らは船の上から叫ぶ
「今すぐに、だ。時間稼ぎはゆるさない。」
さもなければ奴らは王家の一族のように波に呑まれ
ゴリアテのように打ち倒されるだろう。

(「船がやってくるとき」、ボブ・ディラン。訳:田巻一彦。)

 ピースデポが、この歴史的戦いの一端に連なることができることを喜びたいと思います。ともに進んでゆきましょう。2月26日の総会と総会イベントで会うのを楽しみにしています。