[資料1]国連欧州本部での習近平主席演説

公開日:2017.06.01

ともに人類の未来をわかちあう共同体を築く

習近平
2017年1月18日
国連欧州本部(ジュネーブ)での演説

紳士淑女、友人の皆さん、

(略)

 ビジョンは行動を導き、方針は将来を決定します。現代史が示しているように、公正で平等な国際秩序を確立することは人類が常に奮闘してきた目標です。360年以上前にウエストファリア条約で確立された平等と主権の原則から150年あまり前にジュネーブ条約で確認された国際人道主義まで、そして約70年前に国連憲章前文で確認された4つの目的・7つの原則から60年あまり前にバンドン会議で擁護された平和共存5原則にいたる多くの原則が国際関係の進展の中で生起し、広く受け入れられてきました。これらは、人類の未来をわかちあう共同体を築こうとする私たちの指導原則でなければなりません。
 主権平等は過去数世紀にわたって国家間関係を律している最も重要な規範であり、国際連合及びすべての国際機関によって遵守されてきた核心的原則です。主権平等の本質は、国の大小、強弱、貧富の違いにかかわらず、すべての国の主権と尊厳は尊重されねばならない、つまり内政干渉は許されず、すべての国はそれぞれの社会構造や発展の道筋を独自に選択する権利を有するということにあります。国際連合、世界貿易機関、世界保健機関、世界知的所有権機関、世界気象機関、国際電機通信連合、万国郵便連合、国際移住機関と国際労働機関において、各国は世界的なガバナンスを改善するための意思決定と重要な執行権の確立に関わる平等な発言権を有しています。新しい時代、我々は主権平等を支持し、全ての国に平等な権利、機会とルールのために努力しなければなりません。

(略)

紳士淑女、友人の皆さん、

 ――我々は対話や協議を通じて永続する平和な世界を築くことを誓約し続けるべきです。国々が平和であれば、世界も平和を享受することになり、国々が争えば、世界は苦しみます。紀元前5世紀のペロポネス戦争から二つの世界大戦と40年間続いた冷戦に至るまで、我々は苦痛を伴う意味深い教訓を手にしました。「歴史は、忘れられなければ、未来への先導役となることができる。」(訳注:周恩来元首相の言葉)。国際連合設立によって我々の前世代の人々は70年以上比較的平和な状態を世界のために勝ち取ってきました。私たちのなすべきことは、より効果的に紛争を解決し、緊張を緩和し、戦争や衝突を終結させるように機構や手段を改善することです。

 スイスの作家でノーベル賞受賞者のヘルマン・ヘッセは「戦争と破壊でなく平和と和解」に奉仕することの重要性を強調しました。国々は対話、非対決、非同盟に基づいて協力関係を育てるべきです。主要国は相互の中心的関心と主要な懸念を尊重し、立場の違いを制御し、非衝突、非対立、相互尊重と“ウィンウィン”の協力関係を築くべきです。我々が意思の疎通を維持し、誠意を持ってお互いを遇する限り、「トゥキディデスの罠」(訳注:ある国が台頭するとき、既存の大国と衝突すること)は避けられます。大国は己の意思を他に押し付けるような覇者として振る舞わず、小国を対等に遇すべきです。いかなる国も、意のままに戦争を起こしたり、国際的な法の支配を弱体化することによってパンドラの箱を開くべきではありません。人類の頭上に吊るされたデモクレスの剣である核兵器は完全に禁止され、時間をかけて徹底的に解体されるべきです。平和、主権、包含性と共通のガバナンスの原則に導かれて、我々は深海、極地、宇宙とインターネットを競争のための闘技場ではなく協力のための新たなフロンティアに変えるべきです。
 ――我々は共同の努力をとおして全ての人々にとっての共通の安全保障を築くべきです。絶対的安全を享受できる国は世界にはありません。他の国が不安を抱いているのに自らは安全だということはありえません。なぜなら他国が直面している脅威は自らにも及ぶかもしれないからです。隣人が困っているときには自分の家の塀を強化するのではなく、隣人に救いの手を差し伸べるべきです。ことわざが言うように「団結すれば立ち、分裂すれば倒れる」のです。全ての国は、共通の、包括的、協調的でかつ持続可能な安全を追求すべきです。

(略)

紳士淑女、友人の皆さん、

 我々中国人にとっては、世界が栄えてはじめて中国も栄え、その逆もまた然りです。多くの人々が、中国が追求する政策にかなりの関心を抱いています。そして我々は様々な考え方を聞いてきました。ここで私は皆さんにはっきりと答えたいと思います。

 第一に、世界平和を支持するという中国の誓約は不変です。隣人との親善、画一性を強いることのない調和と平和は、中国文化の中で大切にされてきた価値です。中国の古典である孫子の「兵法」は冒頭で次のように述べています。「兵は国の大事にして、死生の地、存亡の地なり。察せざるべからず」。この意味するところは戦争を防ぐあらゆる努力がされるべきであるということ、そして戦争をする時には充分な注意を払われねばならないということです。数世紀にわたって、平和は我々中国人の血の中にあり、我々の遺伝子の一部となっています。

(後略)

出典:「新華網」英語版、17年2月19日